2020年度書評一覧

「日本経済新聞」 [2020年8月8日付] から(評者:小倉孝誠氏)

歴史家と少女殺人事件
レティシアの物語

歴史家と少女殺人事件

イヴァン・ジャブロンカ著/真野倫平訳『歴史家と少女殺人事件』が、「日本経済新聞」(2020年8月8日付)で紹介されました。18歳の女性が誘拐・殺害された「三面記事」事件。だが、大規模な捜査と政治の介入によって、それはスキャンダラスな国家的事件となった。作者=歴史家は自ら調査を進め、被害者の生の物語を語り始める。そこから明らかになる「真実」とは ——。メディシス賞、ル・モンド文学賞受賞作。フランスでテレビドラマ化。

“…… 産業の空洞化、社会的不平等、教育制度の欠陥、若者たちの社会への不適応など、日本社会にも共通した問題が、レティシアの物語を通じて炙り出される。…… 事件の謎が解決されていくさまは、あたかも上質の推理小説の趣があり、独特の語り口をもったノンフィクション文学である。……”(「日本経済新聞」2020年8月8日付、第26面)

イヴァン・ジャブロンカ 著
真野倫平 訳
価格 3,600円
四六判・上製・400頁
ISBN978-4-8158-0993-5 C3022
在庫有り


『東アジア近代史』 [第24号、2020年6月] から(評者:島田大輔氏)

対日協力者の政治構想
日中戦争とその前後

対日協力者の政治構想

関智英著『対日協力者の政治構想』が、『東アジア近代史』(第24号、2020年6月、東アジア近代史学会発行)で紹介されました。日中戦争には、抗日と同時に、占領地における協力の側面もあった。しかし多様な協力者たちは戦後、漢奸として糾弾され、その歴史も未完の政治構想とともに葬り去られた。本書はこの影の側面に光を当て、戦争の全体像に迫るとともに、占領から始まった戦後日本に鋭い眼差しを投げかけます。

“…… 1930年代に日本の意向を受けて中国各地に作られた対日協力政権について、その構成員・関係者という「人間」(特に、経歴や思想)に主に焦点を当て、彼等が抱えていた「政治構想」「将来構想」について鋭く分析したのが、本書の最大の意義である。対日協力者については、その傀儡性、対日従属性が前提となった研究が多かったなか、後知恵、先入観を排して分析し、対日協力者の「主体性」を明らかにした。合わせて、日本、重慶政権、共産党といった「占領地外部」の勢力との相互関係(対抗、交叉、水面下の繋がり)や「言論競争」を随所で指摘しており、占領地政権を「閉じた世界」ではなく、「開かれた世界」として描いている点は興味深い(特に、第6、7、10章)。従来看過されてきた対日協力者における戦前・戦後の連続性の分析(第11、12章)も、対日協力者の問題が戦後も継続していたことを示すものであり、その意義は大きい。
そして、本書に登場する人物・事象の多くは、従来研究上では、見落とされてきた(あるいは大きく取り上げられてこなかった)ものである。著者は、こうした人物・事象を丁寧に掘り起こし、既存の研究の枠組みに対する異議申し立てを行った。本書が、対日協力者研究の裾野を広げたのは間違いない。こうした研究が可能になったのは、見落とされてきた人物・事象を見つけ出す著者の感性と、徹底的な史料収集の賜物であろう。対日協力者たちの思想変遷を明らかにするために、諸種のメディアを活用し、著作、署名記事、声明などを網羅的に収集した努力は特筆に値する。……”(『東アジア近代史』第24号、p.197)

関 智英 著
価格 7,200円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-0963-8 C3022
在庫有り


『植民地文化研究』 [第19号、2020年7月] から(評者:三木直大氏)

対日協力者の政治構想
日中戦争とその前後

対日協力者の政治構想

関智英著『対日協力者の政治構想』が、『植民地文化研究』(第19号、2020年7月、植民地文化学会発行)で紹介されました。日中戦争には、抗日と同時に、占領地における協力の側面もあった。しかし多様な協力者たちは戦後、漢奸として糾弾され、その歴史も未完の政治構想とともに葬り去られた。本書はこの影の側面に光を当て、戦争の全体像に迫るとともに、占領から始まった戦後日本に鋭い眼差しを投げかけます。

関 智英 著
価格 7,200円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-0963-8 C3022
在庫有り


『日本植民地研究』 [第32号、2020年7月] から(評者:齊藤直氏)

満鉄経営史
株式会社としての覚醒

満鉄経営史

平山勉著『満鉄経営史』が、『日本植民地研究』(第32号、2020年7月、日本植民地研究会編集兼発行)で紹介されました。満州経営の全方位的担い手とみなされた巨大植民地企業が、国策会社化の挫折と満州国成立後の解体的再編をへて、鉄道を主軸とした市場志向の企業として覚醒する姿を、株式市場への対応からとらえ、終戦まで異例の高収益企業であり続けたメカニズムを解明、日本帝国主義の先兵とする満鉄理解を大きく書き換えます。

“…… 国策会社を対象とした先行研究のなかには、国策会社のイメージを先験的に定めたうえで、そのイメージに適合する部分のみを対象として局地的な分析を行い、国策会社の本質を提示したかのように振舞う研究も存在する。しかし、残念ながら、そうした姿勢で行われた研究では、部分的な史実の解明という点での貢献は期待できても、国策会社の本質に迫ることは困難である。そうした先行研究とは異なり、本書は、従来は等閑視されてきた内部組織や資本市場に関する分析を丹念に行うことを通じて、満鉄の国策会社としての性格が変容を余儀なくされる経緯を解明している。「国策会社」を自明視、絶対視しないからこその分析視角であり、それが本書の存在感を際立たせている。本書は、その分析内容においては「国策会社」を相対化したが、そうであるがゆえに、国策会社研究を生産的に進展させる大きな力を持っていると考えられるのである。”(『日本植民地研究』第32号、pp.98-99)

平山 勉 著
価格 9,500円
A5判・上製・504頁
ISBN978-4-8158-0945-4 C3021
在庫有り


「朝日新聞」 [2020年7月29日付、文芸時評] から(評者:小野正嗣氏)

歴史家と少女殺人事件
レティシアの物語

歴史家と少女殺人事件

イヴァン・ジャブロンカ著/真野倫平訳『歴史家と少女殺人事件』が、「朝日新聞」(2020年7月29日付)の「文芸時評」(小野正嗣氏)で紹介されました。18歳の女性が誘拐・殺害された「三面記事」事件。だが、大規模な捜査と政治の介入によって、それはスキャンダラスな国家的事件となった。作者=歴史家は自ら調査を進め、被害者の生の物語を語り始める。そこから明らかになる「真実」とは ——。メディシス賞、ル・モンド文学賞受賞作。フランスでテレビドラマ化。

“…… 驚くべき書物だ。…… 作家が自由に想像力を駆使する歴史小説とも事実報道に徹するジャーナリズムとも違う。フランスの福祉、教育、司法・警察の諸制度など社会背景を克明に分析し、数多くの関係者へのインタビューを重ね、ときに小説的想像力に依拠しつつ、ジャブロンカが行おうとしているのは、犯人ばかりか政治や里父など男性的・父権的な暴力によっても不当に蹂躙された少女の命の尊厳を、その輝きを取り戻すことなのだ。……”(「朝日新聞」2020年7月29日付、第21面)

イヴァン・ジャブロンカ 著
真野倫平 訳
価格 3,600円
四六判・上製・400頁
ISBN978-4-8158-0993-5 C3022
在庫有り


『東方』 [第473号、2020年8月] から(評者:山口早苗氏)

対日協力者の政治構想
日中戦争とその前後

対日協力者の政治構想

関智英著『対日協力者の政治構想』が、『東方』(第473号、2020年8月、東方書店発行)で紹介されました。日中戦争には、抗日と同時に、占領地における協力の側面もあった。しかし多様な協力者たちは戦後、漢奸として糾弾され、その歴史も未完の政治構想とともに葬り去られた。本書はこの影の側面に光を当て、戦争の全体像に迫るとともに、占領から始まった戦後日本に鋭い眼差しを投げかけます。

“…… 第一に挙げるべきは、本書の狙い通り、対日協力者の具体的な活動を丁寧に腑分けし分析することで、戦争・占領に向き合う彼らの主体性が十分に明らかになった点である。…… 第二に、本書の文体である。本書は一章ずつ異なる人物や組織を取り上げているが、著者の巧みな筆致により、人物の一人一人の人生が詳細に、生き生きと再現される。こうした文体は一般読者にも親しみやすく、また読み物としても非常に良質な印象を受ける。…… 第三に、戦後までタイムスパンを広げることで、これまで見えてこなかった対日協力者の別の姿が浮かび上がってくる点である。……”(『東方』第473号、pp.27-28)

関 智英 著
価格 7,200円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-0963-8 C3022
在庫有り


『日本台湾学会報』 [第22号、2020年6月] から(評者:福田円氏)

台湾外交の形成
日華断交と中華民国からの転換

台湾外交の形成

清水麗著『台湾外交の形成』が、『日本台湾学会報』(第22号、2020年6月、日本台湾学会編)で紹介されました。「一つの中国」という原則と、国際社会での地位存続との板挟みのなかで、台湾は何を選択してきたのか。安全保障をめぐる米国との交渉、国連の中国代表権問題、日中国交回復とその裏での対日断交などを、台湾側の動向を軸にたどり、今日の台湾外交の真の根源を浮き彫りにする画期的著作。

“…… 本書は、従来の台湾政治外交研究では位置付けが定まっていなかった蔣経国時代の外交に明確な像を与えた点において、大きな意義をもつ。…… 第二に、本書は1960年代から1970年代の台湾外交、とりわけ対日政策の展開を、関係者へのインタビュー、民主化以降継続して公開されてきた台湾の公文書、および自らが発掘した個人の史料などに依拠して、詳細に描いているという点において価値が高い。…… 第三に、…… 中華民国/台湾の政治外交史は、蔣介石、蔣経国、李登輝などの権力者に焦点を当てた叙述がなされがちであるが、著者は外交官や国民党エリート間の立場の相違や論争に焦点を当てている。…… 最後に、本書は単線的な日中台関係史の理解や、日本人の単純化された中国・台湾理解に警鐘を鳴らすものとして、今後の日中台関係史研究はもちろんのこと、日中、日台関係にかかわる政策研究や論争においても参照される価値があるだろう。……”(『日本台湾学会報』第22号、pp.140-141)

清水 麗 著
価格 5,400円
A5判・上製・344頁
ISBN978-4-8158-0935-5 C3031
在庫有り


『歴史評論』 [2020年7月号、第843号] から(評者:畑野勇氏)

海軍技術者の戦後史
復興・高度成長・防衛

海軍技術者の戦後史

沢井実著『海軍技術者の戦後史』が、『歴史評論』(2020年7月号、第843号、歴史科学協議会編)で紹介されました。戦後日本の復興と発展に、海軍技術者たちが果たした役割とは何か。造船、自動車、新幹線開発、土木などで高度成長を下支えした技術継受の全体像を復元、防衛生産も視野にその質的・量的インパクトを客観的に叙述するとともに、技術者たちの敗戦経験の歴史的特質をも浮き彫りにします。

“…… 本書を手に取り頁を繰った者で、いくつもの詳細かつ巨大な表に結実した、著者が手がけた調査領域の広大さと成果の巨大さに驚嘆しない者はいないであろう。そして、この分野の研究者で、その成果を享受できることに喜びを感じない者も、おそらく絶無と思われる。一万名を超えるすべてではないにせよ、その主要な人数のほぼすべての動向を系統的にまとめあげた著者の学識の広さと深さに、まずは敬意を表したい。ただ、本書の価値はまた別の個所にもある。評者が、本文の記述とその典拠をたどって読み進むにつれて逐一感じたことであるが、本書は、各章における代表的な人物の選定がきわめて的確であり、その説明に使用される典拠も、(記述の信頼度や歴史的価値において)これ以上望めない水準にある。……”(『歴史評論』2020年7月号、p.94)

沢井 実 著
価格 4,500円
A5判・上製・256頁
ISBN978-4-8158-0943-0 C3021
在庫有り


『経営史学』 [第55巻第1号、2020年] から(評者:湯澤規子氏)

飲食朝鮮
帝国の中の「食」経済史

大陸関与と離脱の狭間で

林采成著『飲食朝鮮』が、『経営史学』(第55巻第1号、2020年、経営史学会編)で紹介されました。牛肉、明太子、ビールなど、帝国による「食」の再編は日韓の食文化を大きく変えた。収奪論をこえて、帝国のフードシステムの歴史的意義をはじめてトータルに解明、生産・流通から植民地住民の身体に与えた影響まで、帝国の統治にはたした「食」の決定的な役割を浮かび上がらせます。

“…… 本書に新知見が見出せるのは、著者が7つの飲食物を「食料産業」という視点から分析することで、経営史、経済史の強みを遺憾なく発揮しているからである。様々な統計分析の厚みのうえに史料読解を重ね、それを大局的な視点、すなわち帝国、東アジア、市場、日韓関係史と絶えず交差させながら進められる議論には手堅い説得力がある。……”(『経営史学』第55巻第1号、p.53)

林 采成 著
価格 5,400円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-0940-9 C3022
在庫有り


東京財団政策研究所ウェブサイト [2020年5月20日] から(評者:菅原健志氏)

大陸関与と離脱の狭間で
イギリス外交と第一次世界大戦後の西欧安全保障

大陸関与と離脱の狭間で

大久保明著『大陸関与と離脱の狭間で』が、東京財団政策研究所ウェブサイト(2020年5月20日)で紹介されました。大国が後退するとき ——。平和を維持する仕組みはいかに構想され、なぜ脆弱化したのか? 国際連盟を含む複数の安全保障観やヨーロッパ派と帝国派のせめぎ合い等のなか、西欧への関与の揺らぐイギリスの外交姿勢と諸国との交渉過程を、膨大な史料から精緻に描き出し、現在への示唆に富む気鋭による力作。

大久保 明 著
価格 6,800円
A5判・上製・532頁
ISBN978-4-8158-0918-8 C3022
在庫有り


『国際安全保障』 [第47巻第2号、2019年9月] から(評者:小川浩之氏)

大陸関与と離脱の狭間で
イギリス外交と第一次世界大戦後の西欧安全保障

大陸関与と離脱の狭間で

大久保明著『大陸関与と離脱の狭間で』が、『国際安全保障』(第47巻第2号、2019年9月、国際安全保障学会編)で紹介されました。大国が後退するとき ——。平和を維持する仕組みはいかに構想され、なぜ脆弱化したのか? 国際連盟を含む複数の安全保障観やヨーロッパ派と帝国派のせめぎ合い等のなか、西欧への関与の揺らぐイギリスの外交姿勢と諸国との交渉過程を、膨大な史料から精緻に描き出し、現在への示唆に富む気鋭による力作。

大久保 明 著
価格 6,800円
A5判・上製・532頁
ISBN978-4-8158-0918-8 C3022
在庫有り


『史潮』 [新87号、2020年6月] から(評者:髙綱博文氏)

対日協力者の政治構想
日中戦争とその前後

対日協力者の政治構想

関智英著『対日協力者の政治構想』が、『史潮』(新87号、2020年6月、歴史学会編集/同成社発売)で紹介されました。日中戦争には、抗日と同時に、占領地における協力の側面もあった。しかし多様な協力者たちは戦後、漢奸として糾弾され、その歴史も未完の政治構想とともに葬り去られた。本書はこの影の側面に光を当て、戦争の全体像に迫るとともに、占領から始まった戦後日本に鋭い眼差しを投げかけます。

“…… 本書が扱う対日協力者は汪精衛のような著名人もいるが、そのほとんどが日中戦争の帰趨が定まらない状況にあって日中双方の狭間に生きたグレーゾーン的な人物であり、これまで本格的な実証研究がない人々である。著者はこれまで無視されてきた対日協力者たちを発掘し、彼らの経歴と政治思想について戦前・戦後を通して詳細に調べ上げ、対日政権を担った彼らの政治的な言説を同政権の刊行物等から復元する作業を行った。著者は日本占領地における対日協力者や占領地政権に新たな光を当て、「日中戦争、さらに近代日中関係を捉えなおす」ことを意図している。…… 日本の占領下の中国における協力者の「主体に寄り添う」具体的な分析を通じて、現代史における協力者(collaborator)のような白黒で評価出来ない存在を普遍的に論じる視点と素材を提供し、私たちが世界的に共有可能な新たな歴史認識を構築することに大きく貢献するものと期待される。”(『史潮』新87号、p.63, 71)

関 智英 著
価格 7,200円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-0963-8 C3022
在庫有り


「読売新聞」 [2020年6月28日付] から(評者:佐藤信氏)

朝貢・海禁・互市
近世東アジアの貿易と秩序

朝貢・海禁・互市

岩井茂樹著『朝貢・海禁・互市』が、「読売新聞」(2020年6月28日付)で紹介されました。朝貢体制論を超えて ——。「天下を統べる皇帝と朝貢する蕃夷諸国」という美しい理念の外形を辛うじて保っていた明代の通商外交体制も、海と陸の辺縁からの衝撃で転換を迫られ、やがて清代には互市が広がっていく。西洋とは異なる「もう一つの自由貿易」への構造変動を、日本の役割も含めて跡づけ、新たな歴史像を実証する労作。

“東アジアにおける14~19世紀の中国明・清時代の通商と外交を、朝貢・海禁・互市のキーワードから読み解き、歴史像をとらえ直す研究。…… 今日、自国中心理念の硬直性と、交流・経済の柔軟性との関係を考える際に、参考となるように思う。”(「読売新聞」2020年6月28日付、第10面)

岩井茂樹 著
価格 5,400円
A5判・上製・432頁
ISBN978-4-8158-0984-3 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2020年7月4日号、第3454号] から(評者:中島楽章氏)

朝貢・海禁・互市
近世東アジアの貿易と秩序

朝貢・海禁・互市

岩井茂樹著『朝貢・海禁・互市』が、『図書新聞』(2020年7月4日号、第3454号、武久出版発行)で紹介されました。朝貢体制論を超えて ——。「天下を統べる皇帝と朝貢する蕃夷諸国」という美しい理念の外形を辛うじて保っていた明代の通商外交体制も、海と陸の辺縁からの衝撃で転換を迫られ、やがて清代には互市が広がっていく。西洋とは異なる「もう一つの自由貿易」への構造変動を、日本の役割も含めて跡づけ、新たな歴史像を実証する労作。

“……「朝貢から互市へ」という大きな流れを基軸に、明清時代の貿易秩序の理念と実態、その時代的変遷を、多数の一次史料にもとづき従来の研究よりもはるかに精緻かつ体系的に解明した、きわめて重要な業績である …… 今後は本書が、明清時代だけではなく中国王朝の外交や通商を論じるうえでの基本文献となるだろう。”(『図書新聞』2020年7月4日号、第4面)

岩井茂樹 著
価格 5,400円
A5判・上製・432頁
ISBN978-4-8158-0984-3 C3022
在庫有り


「朝日新聞」 [2020年6月25日付、「あすを探る 科学技術」(内田麻理香氏)] から

専門知を再考する

専門知を再考する

H・コリンズ/R・エヴァンズ著『専門知を再考する』(奥田太郎監訳/和田慈・清水右郷訳)が、「朝日新聞」(2020年6月25日付)の「あすを探る 科学技術」(内田麻理香氏)で紹介されました。<専門家 vs 素人>を超えて ——。科学技術の浸透した世界で物事を決めるとき、専門家を無視することも、絶対的に信頼することもできない。では専門知とは何か。会話や「農民の知」から、査読や科学プロジェクト運営まで、専門知の多様なあり方を初めてトータルに位置づけます。対話型専門知の可能性に光をあて、現代社会に展望をひらく名著。

H・コリンズ/R・エヴァンズ 著
奥田太郎 監訳
和田 慈/清水右郷 訳
価格 4,500円
A5判・上製・220頁
ISBN978-4-8158-0986-7 C3030
在庫有り


『ドイツ研究』 [第54号、2020年] から(評者:伊藤実歩子氏)

政治教育の模索
オーストリアの経験から

政治教育の模索

近藤孝弘著『政治教育の模索』が、『ドイツ研究』(第54号、2020年、日本ドイツ学会発行)で紹介されました。半歩先のモデルか ——。民主主義の拡大を支え劣化を押しとどめるために、世界各国で注目される「政治教育」。先駆的な16歳選挙権を導入したオーストリアにおいても試行錯誤が続く。ナショナリズムに動員された過去から、現在のコンピテンシー重視の教育や「民主主義工房」の挑戦まで、変容と深化を跡づける。

近藤孝弘 著
価格 4,100円
A5判・上製・232頁
ISBN978-4-8158-0913-3 C3037
在庫有り


『史林』 [第102巻第6号、2019年11月] から(評者:村上衛氏)

帝国後のインド
近世的発展のなかの植民地化

帝国後のインド

小川道大著『帝国後のインド』が、『史林』(第102巻第6号、2019年11月、史学研究会発行)で紹介されました。インドはなぜ英領となったのか。ムガル帝国の衰退と後継国家の群雄割拠のもと生じた在地の大変動をとらえ、中間層権力をめぐる状況の変遷から植民地化の起源を解明、イギリス統治政策の浸透過程を丹念にたどるとともに、近代インドを近世史の発展との連続性のなかに位置づけます。

“…… 本書は手書きの現地語一次史料を駆使することによって、植民地側の記録からはみえてこなかった中間層の存在とその弱体化によるライヤットワーリー制の導入の過程を明らかにし、近世から近代への移行期を連続的に把握することを可能にした。これは、インドの在来社会をより動的に理解することにつながるから、本書は、イギリス植民地政府と静的な村落共同体の関係から描かれてきたインド植民地化の研究に大きな転換をせまるものである。また、共同体内における職商集団の農業兼業から、農民と職人の分業像にも大きな疑問を投げかけた。……”(『史林』第102巻第6号、p.90)

小川道大 著
価格 6,800円
A5判・上製・448頁
ISBN978-4-8158-0939-3 C3022
在庫有り


『日本史研究』 [第692号、2020年4月] から(評者:林尚之氏)

吉野作造と上杉愼吉
日独戦争から大正デモクラシーへ

吉野作造と上杉愼吉

今野元著『吉野作造と上杉愼吉』が、『日本史研究』(第692号、2020年4月、日本史研究会編集)で紹介されました。「民本主義」対「国家主義」の単純な枠組みに収まりきらない、近代社会科学最大のライバルの共通基盤と真の分水嶺はどこにあったのか。ドイツ経験などの見過ごされた契機も手掛かりに、近代日本政治の現実の焦点を捉え、デモクラシーと帝国をめぐる議論に新たな地平を拓きます。

“…… 本書は、ドイツ留学経験やドイツ学との格闘が、吉野と上杉の政治や社会に関する分析、さらには国際社会に関する認識、思想形成にいかに相関していたのかを実証的に明らかにしながら、立憲学派と君権学派、民本主義と反民本主義といった「二元論的な対立構図」に収まらない両者の思想的側面を炙り出している。とりわけ、吉野の国家主義的側面、上杉の直接民主主義的側面に分析の焦点をあてることで、両者の多様な可能性を考察している点に本書の特長がある。……”(『日本史研究』第692号、pp.65-66)

今野 元 著
価格 6,300円
A5判・上製・484頁
ISBN978-4-8158-0926-3 C3031
在庫有り


『Voice』 [2020年7月号] から(評者:奈良岡聰智氏)

「国家総動員」の時代
比較の視座から

「国家総動員」の時代

森靖夫著『「国家総動員」の時代』が、『Voice』(2020年7月号、PHP研究所発行)で紹介されました。第一次大戦後、大正デモクラシー下の日本において模索された民間主体の国家総動員構想を解明、同時代の英米で展開された政策も初めて精査して、その驚くべき重なりを跡づける。ファシズムや軍部独裁をその必然的帰結とみなす通説を大きく書き換え、近代史理解の新たな地平を拓く。

“…… 従来日本の国家総動員体制は、ナチスのそれと類似しているとみられることが多かったが、本書はむしろ英米との共通性を強調している。また、日中戦争勃発以降の国家総動員は、軍、官僚、政党などが認識のずれを抱えたまま、ちぐはぐな状態で進行したのであり、軍部独裁といえるようなものではなかったとも指摘している。目下世界では、新型コロナウイルスとの戦いが続いている。日本を含む先進諸国は、いかに自由で民主的な社会を維持しながら、このウイルスと戦い抜くかに苦心している。「総力戦」下にあるいま、本書から得られる示唆は大きい。”(『Voice』2020年7月号、p.241)

森 靖夫 著
価格 5,400円
A5判・上製・432頁
ISBN978-4-8158-0975-1 C3031
在庫有り


UTokyo BiblioPlaza から

反転する環境国家
「持続可能性」の罠をこえて

反転する環境国家

『反転する環境国家』の著者・佐藤仁先生による自著紹介が、UTokyo BiblioPlaza(東京大学)に掲載されました。国家に依存した自然保護の急速な展開は何をもたらしたのか ——。東南アジアをフィールドに、灌漑や森林、漁業資源をめぐって起こる思いがけない「人の支配」への転化や、開発と保護の連鎖する関係をあぶりだし、その解決策を現場の人々のしたたかな戦略や日本の経験に見出す。環境論の新たな地平を拓く著者の到達点。

佐藤 仁 著
価格 3,600円
四六判・上製・366頁
ISBN978-4-8158-0949-2 C3031
在庫有り


「朝日新聞」 [2020年6月10日付、「折々のことば」] から

反転する環境国家
「持続可能性」の罠をこえて

反転する環境国家

佐藤仁著『反転する環境国家』の一文が、「朝日新聞」(2020年6月10日付)の「折々のことば」(鷲田清一氏)で紹介されました。【内容】国家に依存した自然保護の急速な展開は何をもたらしたのか ——。東南アジアをフィールドに、灌漑や森林、漁業資源をめぐって起こる思いがけない「人の支配」への転化や、開発と保護の連鎖する関係をあぶりだし、その解決策を現場の人々のしたたかな戦略や日本の経験に見出す。環境論の新たな地平を拓く著者の到達点。

佐藤 仁 著
価格 3,600円
四六判・上製・366頁
ISBN978-4-8158-0949-2 C3031
在庫有り


『月刊ラティーナ』 [2020年5月号] から(評者:岸和田仁氏)

移民と徳
日系ブラジル知識人の歴史民族誌

移民と徳

佐々木剛二著『移民と徳』が、『月刊ラティーナ』(2020年5月号、ラティーナ発行)で紹介されました。ブラジルへの貢献と移民の成功をともに導いた徳=内面的資質と、それを体現する人々としての日系人は、いかにして生みだされたのか。移民知識人がはたした決定的役割から、日系コロニア構築の100年を超える歴史をとらえ、デカセギや世代交代とともに失われゆくその姿をも映し出します。

“…… 若き人類学徒が「ブラジルの日本移民たちが行うローカルな知識実践に着目しながら、人々が知識を通じて発現させた行為主体性を理解することを試み」ようと、この土曜会・人文研に結集した日系知識人たちの活躍の事例を子細に考察し、これを「移民的徳の誕生」と捉え、さらに移民史が70年史、80年史から百年史となるにつれ、その叙述を巡って様々な齟齬・亀裂が生じた経緯を “生き証人” として記録している。こうした「移民的徳」を歴史民族誌的に明らかにしたのが本書である。目配りの行き届いた著者のマクロ視線に読者は感心することになろう。”(『月刊ラティーナ』2020年5月号、p.66)

佐々木剛二 著
価格 6,300円
A5判・上製・398頁
ISBN978-4-8158-0978-2 C3036
在庫有り


『IDE現代の高等教育』 [2020年6月号、第621号] から(評者:羽田貴史氏)

大学論を組み替える
新たな議論のために

大学論を組み替える

広田照幸著『大学論を組み替える』が、『IDE現代の高等教育』(2020年6月号、第621号、IDE大学協会発行)で紹介されました。何を守り、何を見直していけばよいのか ——。なしくずしの政策追随に陥る大学。なぜこんなことになっているのか。価値や理念や規範をめぐる議論を避けることなく、教育の質、評価、学問の自由など具体的なトピックを通して、よい改革論とダメな改革論を区別し、大学が公共的な役割を果たし続けられる道を拓きます。

“…… 本書は、現在の高等教育をめぐる多様なトピックについて、高等教育研究の多様な成果をもとにした比較考察を行っており、読者が問題を考察する手助けになる。高等教育研究も細分化が進み、原理的な分析よりは、時々の政策をどう具体化するかというスタンスが多い。また、批判的考察を目的とする研究は、依拠する資料の選択に難があるが、著者はバランスよく文献を取り上げており、こうした姿勢は貴重である。……”(『IDE現代の高等教育』2020年6月号、p.62)

広田照幸 著
価格 2,700円
四六判・並製・320頁
ISBN978-4-8158-0967-6 C3037
在庫有り


『歴史学研究』 [2020年6月号、第997号] から(評者:岩間俊彦氏)

家族の命運
イングランド中産階級の男と女 1780~1850

家族の命運

L・ダヴィドフ/C・ホール著『家族の命運』(山口みどり/梅垣千尋/長谷川貴彦訳)が、『歴史学研究』(2020年6月号、第997号、歴史学研究会編集/績文堂出版発行)で紹介されました。現在、没落を言われる「中間層」は、どのように形成されたのか。—— 経済・政治・社会が急激に変動する産業革命の中心国を舞台に、家族とジェンダーに注目し、そのイデオロギー・制度・実践を、さまざまな男女の生き様を通して、鮮やかに描き出した名著、待望の邦訳。

L・ダヴィドフ/C・ホール 著
山口みどり/梅垣千尋/長谷川貴彦 訳
価格 7,200円
A5判・上製・520頁
ISBN978-4-8158-0955-3 C3022
在庫有り


『大原社会問題研究所雑誌』 [2020年5月号、第739号] から(評者:五十嵐千尋氏)

パチンコ産業史
周縁経済から巨大市場へ

パチンコ産業史

韓載香著『パチンコ産業史』が、『大原社会問題研究所雑誌』(2020年5月号、第739号、法政大学大原社会問題研究所編集兼発行)で紹介されました。戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」論を超えた等身大の姿を浮き彫りにする。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。

“…… 本書は産業が存続することは自明ではないという考えに基づき、本書を通底するキーワードとして「存続可能性」があげられている。著者はパチンコ産業の特徴の一つに「規制産業」であることをあげている。揺籃期のパチンコ産業の様子は、著者があとがきで述べているように、在留期限更新の著者の様子と重なるものがある。著者が研究を重ね、在留期限更新に対する不安感が薄れていったように、規制され、いつ潰えるともしれない、産業ともみなされない「周縁」経済の一端であったパチンコ産業がいかに存続し、拡大しえたのか。規制に対していかに対応したのかがM商会の一次資料を用いて丹念に綴られている。……”(『大原社会問題研究所雑誌』2020年5月号、pp.66-67)

韓 載香 著
価格 5,400円
A5判・上製・436頁
ISBN978-4-8158-0898-3 C3033
在庫有り


「毎日新聞」 [2020年5月30日付] から(評者:内田麻理香氏)

専門知を再考する

専門知を再考する

H・コリンズ/R・エヴァンズ著『専門知を再考する』(奥田太郎監訳/和田慈・清水右郷訳)が、「毎日新聞」(2020年5月30日付)で紹介されました。<専門家 vs 素人>を超えて ——。科学技術の浸透した世界で物事を決めるとき、専門家を無視することも、絶対的に信頼することもできない。では専門知とは何か。会話や「農民の知」から、査読や科学プロジェクト運営まで、専門知の多様なあり方を初めてトータルに位置づけます。対話型専門知の可能性に光をあて、現代社会に展望をひらく名著。

“…… 新型コロナウイルスは、論争的な科学であり、専門知とは何か、誰を専門家として鑑定するか、市民としてどう関わるべきか、などの問題を突きつけている。専門知の正体を見極めようと探求する本書は、いまの時代に必読であると考える。”(「毎日新聞」2020年5月30日付、第12面)

H・コリンズ/R・エヴァンズ 著
奥田太郎 監訳
和田 慈/清水右郷 訳
価格 4,500円
A5判・上製・220頁
ISBN978-4-8158-0986-7 C3030
在庫有り


『週刊読書人』 [2020年5月29日号、第3341号] から(評者:安高啓明氏)

徳川日本の刑法と秩序

徳川日本の刑法と秩序

代田清嗣著『徳川日本の刑法と秩序』が、『週刊読書人』(2020年5月29日号、第3341号、読書人発行)で紹介されました。江戸の裁きにおいて、罰せられるべき者はいかにして決まったのか。具体的な判例から江戸期固有の法理を探り出し、西洋法を規範とする刑法理解を塗り替えるとともに、幕政を基礎づけた統治原則をも浮き彫りにします。今日に及ぶ日本人の法観念への新たな理解を開く力作。

代田清嗣 著
価格 6,300円
A5判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-0980-5 C3032
在庫有り


『アステイオン』 [第92号、2020年6月] から(評者:苅部直氏)

丸山眞男の教養思想
学問と政治のはざまで

丸山眞男の教養思想

西村稔著『丸山眞男の教養思想』が、『アステイオン』(第92号、2020年6月、サントリー文化財団アステイオン編集委員会編集)の時評「丸山眞男研究の新たな動向」(苅部直氏)で紹介されました。「知」が問い直される時代に ——。教養と学問が関係することは、実は自明ではない。教養とは何か。また学問と思想はどのように関わるのか。知識人として、学者として、丸山が発し続けた問いと思考の展開を、遺された言葉の総体から精緻に読み解き、「丸山論」をこえて現代日本に提示。

“…… 知識人と政治との関係、および「教養思想」の展開という角度から、丸山の思想を分析する。もともと西洋法制史の研究から出発して、近代社会を支える「教養と作法」の重要性に関心をもち、大正時代以降の「教養思想」の流れのなかに、丸山の思想を位置づけようとした仕事である。…… ”(『アステイオン』第92号、p.181)

西村 稔 著
価格 6,800円
A5判・上製・566頁
ISBN978-4-8158-0953-9 C3010
在庫有り


『図書新聞』 [2020年5月30日号、第3449号] から(評者:池上英洋氏)

ヨーロッパ中世の想像界

ヨーロッパ中世の想像界

池上俊一著『ヨーロッパ中世の想像界』が、『図書新聞』(2020年5月30日号、第3449号、武久出版発行)で紹介されました。西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界 ——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。

“…… わが国の西洋研究の水準を示す記念碑的作品と評しても、決して大げさではないだろう。…… 心性史や思想史などと書くと、教父たちがのこしたような堅苦しく単調な文献が想像されると思うが、本書で出くわす事例は、傷つけられた心臓の図像のように、非常に珍奇なものであることが多い。それらは時にグロテスクであり、ユーモラスである。あるいはハートマークのように、これまで疑問を抱かなかったことがらにひそむ不可思議さに気付かせてくれる楽しさを有している。大著でかつ高度な学術書ではあるのだが、同時に読み物としても面白く、知的好奇心を大いに刺激してくれることだろう。”(『図書新聞』2020年5月30日号、第4面)

池上俊一 著
価格 9,000円
A5判・上製・960頁
ISBN978-4-8158-0979-9 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2020年5月23日号、第3448号] から(評者:山崎聡氏)

ピグー 財政学

ピグー財政学

本郷亮訳『ピグー 財政学』が、『図書新聞』(2020年5月23日号、第3448号、武久出版発行)で紹介されました。公平原則から説き起こし、課税の原理、各種租税の比較、公債、雇用政策など、財政学の核心を明晰に論じた古典。実際的有用性の観点から今なお評価が高い、ピグー厚生経済学体系の三部作の一つを、重要論文とともに、第一人者が初めて邦訳し現代に問いかけます。

“…… 歴史的に先駆けて、税に関する公平性を規範経済学的観点から明瞭に議論している点で、古典として不朽の意義を持つ……”(『図書新聞』2020年5月23日号、第4面)

本郷 亮 訳
価格 6,300円
A5判・上製・338頁
ISBN978-4-8158-0969-0 C3033
在庫有り


Journal of Japanese and Korean Cinema [2020年3月24日オンライン公開] から(評者:花田史彦氏)

映画観客とは何者か
メディアと社会主体の近現代史

映画観客とは何者か

藤木秀朗著『映画観客とは何者か』が、Journal of Japanese and Korean Cinema(2020年3月24日オンライン公開、Taylor & Francis Group)で紹介されました。民衆・国民・東亜民族・大衆・市民 ——。映画館でシネマを観る「数」であるにとどまらず、映画や社会と多様な関係をとりむすぶ人々のあり様を、大正期から現在まで、社会主体をめぐる言説に注目することで、変容する政治やメディア環境との交渉のうちに浮かび上がらせた、映画観客100年史。

藤木秀朗 著
価格 6,800円
A5判・上製・680頁
ISBN978-4-8158-0938-6 C3074
在庫有り


「中日新聞」 [2020年4月24日付、夕刊] から

歴史としての日教組【上下巻】

歴史としての日教組

『歴史としての日教組』(上下巻)の編者・広田照幸先生による自著紹介が、「中日新聞」(2020年4月24日付、夕刊)に掲載されました。過剰な期待と歪んだ批判の狭間で、実像とかけ離れたイメージが作られてきた日教組。膨大な非公開史料や関係者へのインタビューに基づき、学術的にその歴史を徹底検証 ——。上巻では、戦後の労働運動での立ち位置から、独自の教育理念や「教師の倫理綱領」の作成まで、初期の模索を跡づけ、下巻では、1980年代の労働戦線の再編から、教育運動の転換、文部省との「歴史的和解」まで、新たな路線選択の時代に迫ります。

“…… 研究を通じて浮かび上がってきたのは、その時代の情勢を多元的に分析し、内部で議論を戦わせ、慎重に運動方針を選び取っていた日教組の姿である。…… たとえば、結成直後の時期の日教組は、革命運動に邁進していた当時の日本共産党の支配下にあったわけでもないし、「教師の倫理綱領」は階級闘争の綱領として作られたのでもなかった。教育運動や平和運動、裁判など、まだこれからまとめていくべきテーマはたくさん残っている。だが、本書によって、日教組という組織の本質に迫り得たと自負している。……”(「中日新聞」2020年4月24日付、第7面)

広田照幸 編
価格 各3,800円
A5判・上製・上336頁+下326頁
ISBN 上:978-4-8158-0972-0 下:978-4-8158-0973-7 C3037
在庫有り


『史学雑誌』 [第129編第3号、2020年3月] から(評者:池田嘉郎氏)

イスラームのロシア
帝国・宗教・公共圏 1905-1917

イスラームのロシア

長縄宣博著『イスラームのロシア』が、『史学雑誌』(第129編第3号、2020年3月、史学会編集兼発行)で紹介されました。もう一つの市民社会 ——。多数のイスラーム教徒が存在したロシア帝国。彼らはいかに生きたのか。日露戦争から第一次世界大戦・革命へと至る時代に、政治・行政・教育・出版・戦争・慈善等に積極的に関与し、言論と行動によって自らの「公共圏」を生み出したムスリム社会の苦闘を、かつてない深度で描き出します。

“…… 本書の何よりの長所は、所与の社会の実態に関する、手堅い実証である。それがあってはじめて、ムスリム公共圏という構想が説得力をもって立ち上がってくるのである。本書から伝わってくるのは、史料調査に割かれた膨大な労力であり、緻密な実証と斬新な構想との両立に向けられた知的な誠実さと並外れた能力である。……”(『史学雑誌』第129編第3号、p.89)

長縄宣博 著
価格 6,800円
A5判・上製・440頁
ISBN978-4-8158-0888-4 C3022
在庫有り


「毎日新聞」 [2020年4月25日付] から(評者:本村凌二氏)

ヨーロッパ中世の想像界

ヨーロッパ中世の想像界

池上俊一著『ヨーロッパ中世の想像界』が、「毎日新聞」(2020年4月25日付)で紹介されました。西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界 ——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。

“ヨーロッパ中世について、日本人が思い浮かべるのは、強大なキリスト教会であったり勇ましい十字軍であったりする。昨今では観光旅行の機会もあり、パリのノートルダム寺院やフィレンツェの大聖堂などを身近に感じる人々もいる。しかし、その中世社会に生きていた人々の心の中までのぞくことなどできるのだろうか。この心性史という至難の課題に敢然と切りこんだ本書は、わが国の西洋史研究の最新にして最高水準の成果と評価していいだろう。……”(「毎日新聞」2020年4月25日付、第19面)

池上俊一 著
価格 9,000円
A5判・上製・960頁
ISBN978-4-8158-0979-9 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2020年5月2日号、第3446号] から(評者:西垣鳴人氏)

郵政民営化の政治経済学
小泉改革の歴史的前提

郵政民営化の政治経済学

伊藤真利子著『郵政民営化の政治経済学』が、『図書新聞』(2020年5月2日号、第3446号、武久出版発行)で紹介されました。戦後日本の発展と軌を一にし、隠れた福祉・再分配機能をはたした郵便貯金が、その巨大化の過程で抱え込んだ問題の核心とは。金融財政史の展開から民営化論の虚実を捉え直し、熱狂と混迷を生み出した小泉改革の歴史的位置を、政治手法やイデオロギーをめぐる議論をこえて初めて描き出します。

“…… もっとも重要な点は、郵貯における「7~80年代膨張と90年ショック」「主力商品である定額貯金の意義の変遷」「2000年問題」およびその後の民営化プロセスが国債消化問題や政治的派閥争いと絡めて歴史動態的に右の命題に連結されることで「小泉改革の歴史的前提」が詳らかにされていることである。この「前提」に鑑みれば、何らかの改革は必然だったとしても、観念的・情動的な小泉の民営化とは別な、さまざまな可能性(ナローバンク化はその一つ)があり得たことを本書はわれわれに教えてくれる。長大な歴史的分析から導き出されたこうした示唆にこそ、本書の真価は存在する。……”(『図書新聞』2020年5月2日号、第5面)

伊藤真利子 著
価格 5,400円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-0968-3 C3033
在庫有り


『中国21』 [第51巻、2019年12月] から(評者:藤原貞朗氏)

中国芸術というユートピア
ロンドン国際展からアメリカの林語堂へ

中国芸術というユートピア

範麗雅著『中国芸術というユートピア』が、『中国21』(第51巻、2019年12月、愛知大学現代中国学会編/東方書店発売)で紹介されました。中華文人の生活芸術か、想像された国民芸術か ——。第二次世界大戦前、中英の協力により一大展覧会が開かれた。様々な出版や外交を伴い東西文化交流の転換点となったイベントを軸に、日本の影響深いウェイリーらの研究から、在英中国知識人の活動、パール・バックの後押しした林語堂の傑作まで、中国芸術とは何かを問いかけます。

範 麗雅 著
価格 11,000円
菊判・上製・590頁
ISBN978-4-8158-0909-6 C3070
在庫有り


「読売新聞」 [2020年4月19日付] から(評者:三中信宏氏)

結核の文化史
近代日本における病のイメージ

結核の文化史

福田眞人著『結核の文化史』が、「読売新聞」(2020年4月19日付)の「新型コロナ 読書対談 下」で紹介されました。明治維新以降1千万人以上の犠牲者を出すという苛酷な現実の一方で、『不如歸』に代表される小説等に描かれ、「上流」「天才」「美人」といった甘美なイメージを喚起した結核という独特な病の、近代日本における文化的位相を、史資料の博捜によって描き出した力作。

福田眞人 著
価格 4,500円
四六判・上製・440頁
ISBN978-4-8158-0246-2 C3095
在庫有り


『自由思想』 [第156号、2020年4月] から(評者:杉浦勢之氏)

郵政民営化の政治経済学
小泉改革の歴史的前提

郵政民営化の政治経済学

伊藤真利子著『郵政民営化の政治経済学』が、『自由思想』(第156号、2020年4月、石橋湛山記念財団発行)で紹介されました。戦後日本の発展と軌を一にし、隠れた福祉・再分配機能をはたした郵便貯金が、その巨大化の過程で抱え込んだ問題の核心とは。金融財政史の展開から民営化論の虚実を捉え直し、熱狂と混迷を生み出した小泉改革の歴史的位置を、政治手法やイデオロギーをめぐる議論をこえて初めて描き出します。

“…… 本書を第一に、これまで研究史の空白をなしてきた戦後郵貯の歴史を系統的に明らかにする研究書として読むことをお勧めしたい。これにより、郵貯が国債不発行主義の下、戦後高度成長を支えてきた財投というシステム、国債大量発行時代における国債市場といかに深く関係していたかに理解が及び、郵政民営化の歴史的位相を踏まえた上で、残された課題の深刻さに思いを致すことができるだろう。第二に、田中政治を通じて戦後を形づくってきた団塊世代、特に著者のいう「都市新中間層」が田中的なものを否定し、無党派層として「革新」から「改革」へと流動し、政治的「ブーム」を生み出すことで小泉旋風となっていく姿に「歴史のイロニー」を感じられるかもしれない。本書はロストジェネレーションを自負する著者による団塊世代へのオマージュ、あるいは「世代の経済史」として読むことも可能であろう。……”(『自由思想』第156号、p.65)

伊藤真利子 著
価格 5,400円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-0968-3 C3033
在庫有り


『週刊読書人』 [2020年4月3日号、第3334号] から(評者:宮下規久朗氏)

ヨーロッパ中世の想像界

ヨーロッパ中世の想像界

池上俊一著『ヨーロッパ中世の想像界』が、『週刊読書人』(2020年4月3日号、第3334号、読書人発行)で紹介されました。西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界 ——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。

池上俊一 著
価格 9,000円
A5判・上製・960頁
ISBN978-4-8158-0979-9 C3022
在庫有り


『中日新聞』 [2020年4月1日付、夕刊文化欄「黒板」] から

エコロジーの世紀と植民地科学者
イギリス帝国・開発・環境

エコロジーの世紀と植民地科学者

水野祥子著『エコロジーの世紀と植民地科学者』が、「中日新聞」(2020年4月1日付、夕刊文化欄「黒板」)で紹介されました。新たな知はどこで生まれ、何をもたらしたのか。—— 20世紀における科学・開発・環境の関係を問い、生態環境をめぐる知の生成と帝国ネットワークによる循環から、植民地開発の思想と実践、国際開発援助への展開をたどり、植民地科学者を軸に「エコロジーの世紀」の成り立ちを描く力作。

水野祥子 著
価格 5,400円
A5判・上製・268頁
ISBN978-4-8158-0971-3 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2020年4月11日号、第3443号] から(評者:崎山直樹氏)

大学論を組み替える
新たな議論のために

大学論を組み替える

広田照幸著『大学論を組み替える』が、『図書新聞』(2020年4月11日号、第3443号、武久出版発行)で紹介されました。何を守り、何を見直していけばよいのか ——。なしくずしの政策追随に陥る大学。なぜこんなことになっているのか。価値や理念や規範をめぐる議論を避けることなく、教育の質、評価、学問の自由など具体的なトピックを通して、よい改革論とダメな改革論を区別し、大学が公共的な役割を果たし続けられる道を拓きます。

“…… 本書の特徴はどこにあるのか。それは広田が、教育社会学の泰斗であるだけでなく、例えば本書でもその意義や活用方法が論じられている分野別参照基準の作成にも深く関わっているように、政策のレベルにおいても現在大学が置かれた困難な状況を深く理解している一人であり、その見地からの大学論となっている。…… 本書のように、様々な論点から大学が直面している困難を紹介し、共に考えていくための議論のたたき台を提示していくことは、「組み替える」ためのはじめの一歩となるだろう。またこのような議論の枠組みを検討し、より妥当な方向を目指すために、議論そのものを組み替えていく必要がある領域は、何も大学だけではない。新自由主義改革によってもたらされた歪みは、社会のありとあらゆる部分に存在している。そういう社会のあり方を考え直すためにも、大学論は一つのケーススタディとして有効であるかもしれない。”(『図書新聞』2020年4月11日号、第4面)

広田照幸 著
価格 2,700円
四六判・並製・320頁
ISBN978-4-8158-0967-6 C3037
在庫有り


『中国研究月報』 [2020年3月号、第74巻第3号] から(評者:中村みどり氏)

中国芸術というユートピア
ロンドン国際展からアメリカの林語堂へ

中国芸術というユートピア

範麗雅著『中国芸術というユートピア』が、『中国研究月報』(2020年3月号、第74巻第3号、中国研究所発行)で紹介されました。中華文人の生活芸術か、想像された国民芸術か ——。第二次世界大戦前、中英の協力により一大展覧会が開かれた。様々な出版や外交を伴い東西文化交流の転換点となったイベントを軸に、日本の影響深いウェイリーらの研究から、在英中国知識人の活動、パール・バックの後押しした林語堂の傑作まで、中国芸術とは何かを問いかけます。

“…… 本書の特色は、国民政府の外交史、ヨーロッパにおける東洋美術の受容史、中国人欧米留学史など細分化された研究領域を超えて、さらに中国近現代文学研究の視点をくわえた広い視野から「中国芸術国際展覧会」をめぐる文化的ネットワークを総体的に捉えようと試みたところにある。厖大な中国語・英語・日本語の一次資料と二次資料(巻末の注釈は100頁を越す)を用いて、論を組み立ててゆくのにあたり、多くのエネルギーと時間が費やされたことが想像される。その成果である本書は、それぞれの研究分野の読者に新たな知見をもたらしてくれる。……”(『中国研究月報』2020年3月号、p.28)

範 麗雅 著
価格 11,000円
菊判・上製・590頁
ISBN978-4-8158-0909-6 C3070
在庫有り


『東洋史研究』 [第78巻第4号、2020年3月] から(評者:宇野伸浩氏)

モンゴル時代の「知」の東西(上下巻)

モンゴル時代の「知」の東西

宮紀子著『モンゴル時代の「知」の東西』(上下巻)が、『東洋史研究』(第78巻第4号、2020年3月、東洋史研究会編集兼発行)で紹介されました。日本からヨーロッパまで、人・モノ・情報が行き交う ——。世界史上、空前のレベルで展開したユーラシアを貫く「知」の交流。百科事典や辞書・地図から宗教・政治・経済の諸制度まで、モンゴル帝国によるダイナミックな革新と統合の実像を、多言語の文献・美術品・出土文物を駆使して描き出す記念碑的労作。

宮 紀子 著
価格 各9,000円
菊判・上製・上574頁+下600頁
ISBN 上978-4-8158-0900-3 下978-4-8158-0901-0
C3022
在庫有り

年度別書評一覧

近刊案内

2020年8月20日出来予定

闘う村落

蒲 豊彦 著
A5判・上製・504頁
価格  7,200円
ISBN 978-4-8158-0998-0
Cコード 3022

近刊書籍の予約を受け付けております。予約をご希望の方は、上の「予約の受付ページへ」をクリックして受付ページへリンクしていただき、そこでご予約の手続きをお願いいたします。刊行次第、商品を発送いたします。

重版案内

2020年7月20日出来

専門知を再考する

H・コリンズ/R・エヴァンズ 著
奥田太郎 監訳
和田 慈/清水右郷 訳
A5判・上製・220頁
価格  4,500円
ISBN 978-4-8158-0986-7
Cコード 3030

2020年7月13日出来

中国歴史研究入門

礪波 護・岸本美緒・杉山正明 編
A5判・並製・476頁
価格  3,800円
ISBN 978-4-8158-0527-2
Cコード 3022

2020年7月10日出来

「ボランティア」の誕生と終焉

仁平典宏 著
A5判・上製・562頁
価格  6,600円
ISBN 978-4-8158-0663-7
Cコード 3036

2020年7月10日出来

近代世界システムⅠ

I.ウォーラーステイン 著
川北 稔 訳
A5判・上製・484頁
価格  4,800円
ISBN 978-4-8158-0743-6
Cコード 3022

2020年7月3日出来

歴史は現代文学である

イヴァン・ジャブロンカ 著
真野倫平 訳
A5判・上製・320頁
価格  4,500円
ISBN 978-4-8158-0908-9
Cコード 3022

2020年6月12日出来

科学と証拠

エリオット・ソーバー 著
松王政浩 訳
A5判・上製・256頁
価格  4,600円
ISBN 978-4-8158-0712-2
Cコード 3010

2020年5月28日出来

ロボットからの倫理学入門

久木田水生・神崎宣次・佐々木 拓 著
A5判・並製・200頁
価格  2,200円
ISBN 978-4-8158-0868-6
Cコード 3012

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