2024年度書評一覧
『人工知能』 [40巻1号、2025年1月] から(評者:大内孝子氏)
科学ジャーナルの成立
アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、『人工知能』(40巻1号、2025年1月、人工知能学会発行)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。
アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
在庫有り
écriture et image [No.5、2024年12月15日公開] から(評者:坂井セシル氏)
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
田村美由紀著『口述筆記する文学』が、écriture et image(No.5、2024年12月15日公開)で紹介されました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
在庫有り
「中国学.com」 [2025年1月14日公開、著者インタビュー] から
中国共産党の神経系
情報システムの起源・構造・機能
周俊著『中国共産党の神経系』の著者インタビューが、「中国学.com」(2025年1月14日公開、中国学イニシアティブ運営サイト)に掲載されました。秘密主義のベールを乗り越える ——。毛沢東ら共産党中枢は、全知の支配者でも無知な指導者でもなかった。社会の実態を掴むべく形作られた制度はどのように作動したのか。今日にも通底する、一党支配下の情報収集・利用のあり方を膨大な史料により解明、中国政治の理解を一新する。
周 俊 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・478頁
ISBN978-4-8158-1152-5 C3031
在庫有り
『社会学評論』 [第75巻第3号、2024年12月] から(評者:吉田舞氏)
在日フィリピン人社会
1980~2020年代の結婚移民と日系人
高畑幸著『在日フィリピン人社会』が、『社会学評論』(第75巻第3号、2024年12月、日本社会学会発行)で紹介されました。バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出します。
高畑 幸 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN978-4-8158-1153-2 C3036
在庫有り
『週刊読書人』 [2025年1月3日号、第3571号] から(評者:吉川浩満氏)
古代ギリシアの宗教
ロバート・パーカー著『古代ギリシアの宗教』(栗原麻子監訳/竹内一博・佐藤昇・齋藤貴弘訳)が、『週刊読書人』(2025年1月3日号、第3571号、読書人発行)で紹介されました。日常生活から哲学・文学・芸術、ポリスや王国の統治まで、ギリシア人の「文明」は実は宗教と切り離すことができない。神々や英雄に祭礼・祈りを捧げるなかで、人々は何を経験していたのか。人類学の知見や最新の考古資料も参照しながら、多様性に満ちた信仰の根幹をとらえた、第一人者による格好の案内。
ロバート・パーカー 著
栗原麻子 監訳/竹内一博・佐藤 昇・齋藤貴弘 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・448頁
ISBN978-4-8158-1164-8 C3022
在庫有り
『大原社会問題研究所雑誌』 [2025年1月号、第795号] から(評者:菅山真次氏)
在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開
谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、『大原社会問題研究所雑誌』(2025年1月号、第795号、法政大学大原社会問題研究所発行)で紹介されました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。
谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1149-5 C3033
在庫有り
『英文学研究』 [第101巻、2024年12月] から(評者:五十嵐博久氏)
シェイクスピアはどのようにしてシェイクスピアとなったか
版本の扉が語る1700年までのイギリス演劇
山田昭廣著『シェイクスピアはどのようにしてシェイクスピアとなったか』が、『英文学研究』(第101巻、2024年12月、日本英文学会発行)で紹介されました。劇場閉鎖による危機を乗り越えて、その芝居は生き続けた ——。エリザベス時代から王政復古後まで、戯曲本の数や印刷された情報の変遷を網羅的に跡づけ、劇作家・出版者・観客・読者の多様な関係をふまえてシェイクスピアを歴史的に位置づける。演劇と出版をめぐる探究の到達点。
山田昭廣 著
税込8,800円/本体8,000円
A5判・上製・524頁
ISBN978-4-8158-1123-5 C3098
在庫有り
『週刊ダイヤモンド』 [2024年12月28日・2025年1月4日新年合併特大号、特集「2024年『ベスト経済書』」] から
財政規律とマクロ経済
規律の棚上げと遵守の対立をこえて
齊藤誠著『財政規律とマクロ経済』が、『週刊ダイヤモンド』(2024年12月28日・2025年1月4日新年合併特大号、ダイヤモンド社発行)の特集「経済学者・経営学者・エコノミスト107人が選んだ 2024年『ベスト経済書』」の第1位に選ばれました。日本経済の進む隘路を照らす ——。現状をどう考えればよいか、この先どうなるのか。過去30年間に陥った不可思議な均衡とその行方を初めて包括的に解明。戦中・敗戦直後の経験も踏まえた透徹した分析から、危機対応の方針を含め、政府・日銀のすべきこと/してはいけないことを明確に提示します。
齊藤 誠 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・468頁
ISBN978-4-8158-1136-5 C3033
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年12月20日号、第3570号、特集「2024年回顧総特集」] から
『週刊読書人』(2024年12月20日号、第3570号)の特集「2024年回顧総特集」で、以下の図書が紹介されました。
【下楠昌哉氏による紹介】
湯浅信之訳
『ジョン・ダン全詩集[新装版]』
【石岡丈昇氏による紹介】
高畑幸著
『在日フィリピン人社会 —— 1980~2020年代の結婚移民と日系人』
【河本真理氏による紹介】
桑原夏子著
『聖母の晩年 —— 中世・ルネサンス期イタリアにおける図像の系譜』
【鈴木楠緒子氏による紹介】
川村陶子著
『〈文化外交〉の逆説をこえて —— ドイツ対外文化政策の形成』
【関智英氏による紹介】
古松崇志著
『ユーラシア東方の多極共存時代 —— 大モンゴル以前』
三品英憲著
『中国革命の方法 —— 共産党はいかにして権力を樹立したか』
周俊著
『中国共産党の神経系 —— 情報システムの起源・構造・機能』
吉井文美著
『日本の中国占領地支配 —— イギリス権益との攻防と在来秩序』
小林亮介著
『近代チベット政治外交史 —— 清朝崩壊にともなう政治的地位と境界』
平井健介著
『日本統治下の台湾 —— 開発・植民地主義・主体性』
林采成著
『健康朝鮮 —— 植民地のなかの感染症・衛生・身体』
「読売新聞」 [2024年12月22日付、特集「読書委員が選ぶ『2024年の3冊』」] から
「読売新聞」(2024年12月22日付)の特集「読書委員が選ぶ『2024年の3冊』」で、以下の図書が紹介されました。
【岡本隆司氏による紹介】
アンゲロス・ハニオティス著/藤井崇訳
『アレクサンドロス以後 —— 長いヘレニズムとギリシア世界』
小林亮介著
『近代チベット政治外交史 —— 清朝崩壊にともなう政治的地位と境界』
「朝日新聞」 [2024年12月21日付] から(評者:隠岐さや香氏)
「後進国」日本の研究開発
電気通信工学・技師・ナショナリズム
河西棟馬著『「後進国」日本の研究開発』が、「朝日新聞」(2024年12月21日付)で紹介されました。「後進国」は、発明された技術の利用者にとどまるのか。鳥潟右一や八木秀次、松前重義など、移植や模倣を脱した戦前の技術者たちの系譜を、彼らを突き動かした要因や跳躍を可能にした条件ともども明らかにします。挫折した構想や時代的制約も見据え、技術史的達成を冷静に分析した気鋭の力作。
河西棟馬 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1168-6 C3021
在庫有り
Japanese Research in Business History [第41巻、2024年12月] から(評者:中岡俊介氏)
日本帝国圏鉄道史
技術導入から東アジアへ
沢井実著『日本帝国圏鉄道史』が、Japanese Research in Business History(第41巻、2024年12月、経営史学会発行)で紹介されました。帝国日本の「骨格」はいかに形成されたのか。欧米から吸収した最先端の鉄道技術が朝鮮・満洲といった外地において固有の仕方で実践され、戦後へとつながる一大鉄道ネットワークの構築に至る歩みを、技術者など人的資源の移転を軸に隅々まで捉え、比類なきスケールで鉄道史を描き直します。
沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・340頁
ISBN978-4-8158-1135-8 C3021
在庫有り
『アジア経済』 [第65巻第4号、2024年12月] から(評者:田原史起氏)
都市化の中国政治
土地取引の展開と多元化する社会
鄭黄燕著『都市化の中国政治』が、『アジア経済』(第65巻第4号、2024年12月、ジェトロ・アジア経済研究所発行)で紹介されました。改革と開放後、独自の不動産市場の展開に伴い都市空間の急拡大をみた中国において、都市と農村で分断された従来の社会構造がいかに変容したのかを、徹底したフィールド調査で解明。土地収用による一方的収奪を超えた農村のしたたかな対応も捉え、今日に及ぶ政治経済の核心的問題に迫ります。
鄭 黄燕 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・268頁
ISBN978-4-8158-1133-4 C3031
在庫有り
『AERA』 [2024年12月23日号] から(評者:星野博美氏)
猫を愛でる近代
啓蒙時代のペットとメディア
貝原伴寛著『猫を愛でる近代』が、『AERA』(2024年12月23日号、朝日新聞出版発行)で紹介されました。かつては害獣対策はもちろん、薬用や祝祭の犠牲にも供されていた猫。なぜ、どのようにして「愛らしいペット」になったのか ——。啓蒙期フランスの科学・文学・美術を通して、「文明」の伴侶としての猫観の誕生に迫り、「ネコ好き」社会をもたらした、人々の感情の大転換を跡づけます。
貝原伴寛 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・498頁
ISBN978-4-8158-1172-3 C3022
在庫有り
「毎日新聞」 [2024年12月14日付、特集「2024 この3冊 上」] から(評者:岩間陽子氏)
ヴェニスのユダヤ人
ゲットーと地中海の500年
リッカルド・カリマーニ著『ヴェニスのユダヤ人』(藤内哲也監訳/大杉淳子訳)が、「毎日新聞」(2024年12月14日付)の特集「2024 この3冊 上」で紹介されました。隔離か、共生か ——。差別と寛容の狭間で、豊かな文化を育んだヴェネツィアのユダヤ人たち。16世紀から現代にいたるヨーロッパ・地中海世界の激動の歴史のなかで、金融業や商業、さらには政治・宗教・思想など多様な領域で活躍した「シャイロックたち」と、水の都が織りなす500年の物語。
リッカルド・カリマーニ 著
藤内哲也 監訳/大杉淳子 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・392頁
ISBN978-4-8158-1156-3 C3022
在庫有り
『日本歴史』 [2024年12月号、第919号] から(評者:一ノ瀬俊也氏)
軍国の文化 上・下
日清戦争・ナショナリズム・地域社会
羽賀祥二著『軍国の文化』が、『日本歴史』(2024年12月号、第919号、日本歴史学会編)で紹介されました。近代初の本格的対外戦争は、いかなる制度と心性のもとに遂行され、戦いと病いによる膨大な犠牲を社会はどのように受容したのか。動員体制の確立から、戦闘と占領地統治の様相、葬送・記念や仏教教団の活動まであまねく探究、「大量死の時代」が生んだ戦争協同体の構造を解明します。
羽賀祥二 著
上 税込6,930円/本体6,300円
下 税込8,030円/本体7,300円
A5判・上製・上478頁+下640頁
ISBN 上:978-4-8158-1137-2 下:978-4-8158-1138-9
C3021
在庫有り
『大原社会問題研究所雑誌』 [第794号、2024年12月号] から(評者:松本武祝氏)
健康朝鮮
植民地のなかの感染症・衛生・身体
林采成著『健康朝鮮』が、『大原社会問題研究所雑誌』(第794号、2024年12月号、法政大学大原社会問題研究所発行)で紹介されました。スペイン・インフルエンザのパンデミックを経験した植民地は、いかにしてその医療衛生システムを構築し、人々の健康を管理しようとしたのか。学校・工場・農村・軍・遊郭などの実態を、スポーツやレクリエーションも視野にトータルに解明、帝国下での医療の社会化の光と影をとらえた渾身の成果。
林 采成 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・564頁
ISBN978-4-8158-1144-0 C3022
在庫有り
『月刊美術』 [2024年12月号] から
猫を愛でる近代
啓蒙時代のペットとメディア
貝原伴寛著『猫を愛でる近代』が、『月刊美術』(2024年12月号、サン・アート発行)で紹介されました。かつては害獣対策はもちろん、薬用や祝祭の犠牲にも供されていた猫。なぜ、どのようにして「愛らしいペット」になったのか ——。啓蒙期フランスの科学・文学・美術を通して、「文明」の伴侶としての猫観の誕生に迫り、「ネコ好き」社会をもたらした、人々の感情の大転換を跡づけます。
貝原伴寛 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・498頁
ISBN978-4-8158-1172-3 C3022
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年11月22日号、第3566号] から(評者:吉松覚氏)
この生
世俗的信と精神的自由
マーティン・ヘグルンド著『この生』(宮﨑裕助・木内久美子・小田透訳)が、『週刊読書人』(2024年11月22日号、第3566号、読書人発行)で紹介されました。有限性の忘却に抗して、今ここにある生の哲学へ ——。「死後の生」を超え、我々が〈自由な時間〉を生きる社会とはどのようなものか。ハイデガーやデリダの難解さを脱し、アーレントとは別の仕方で、グローバル資本主義下の人間の条件を洞察、それを超え出るヴィジョンを提起します。
マーティン・ヘグルンド 著
宮﨑裕助・木内久美子・小田 透 訳
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-1160-0 C3010
在庫有り
『日本近代文学』 [第111集、2024年11月] から(評者:倉田容子氏)
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
田村美由紀著『口述筆記する文学』が、『日本近代文学』(第111集、2024年11月、日本近代文学会発行)で紹介されました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
在庫有り
『目で見る WHO』 [2024秋号、第90号] から(評者:戸田登美子氏)
グローバル・ヘルス法
理念と歴史
西平等著『グローバル・ヘルス法』が、『目で見る WHO』(2024秋号、第90号、日本WHO協会発行)で紹介されました。国際的な保健協力が目指す「健康」とは何か。その実現のために、どのような法や制度が創出されてきたのか。従来の国際法学を超えて、「社会医学」と「生物医学」の対抗関係を軸に、現在の世界保健機関(WHO)にいたるグローバルな「健康」体制のあり方を問い直します。パンデミックの時代に必読の書。
西 平等 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・350頁
ISBN978-4-8158-1056-6 C3032
在庫有り
『まいにちドイツ語』 [2024年12月号] から
男同士の絆
イギリス文学とホモソーシャルな欲望
イヴ・K・セジウィック著『男同士の絆』(上原早苗・亀澤美由紀訳)が、『まいにちドイツ語』(2024年12月号、NHK出版発行)で紹介されました。シェイクスピアからディケンズにいたるイギリス文学の代表的テクストを読み解くことによって、近代における欲望のホモソーシャル/ヘテロセクシュアルな体制と、その背後に潜む「女性嫌悪」「同性愛恐怖」を掴み出し、文学・ジェンダー研究に新生面を拓いた画期的著作。
イヴ・K・セジウィック 著
上原早苗・亀澤美由紀 訳
税込4,180円/本体3,800円
A5判・上製・394頁
ISBN978-4-8158-0400-8 C3098
在庫有り
『月刊事業構想』 [2024年12月号] から
「後進国」日本の研究開発
電気通信工学・技師・ナショナリズム
河西棟馬著『「後進国」日本の研究開発』が、『月刊事業構想』(2024年12月号、事業構想大学院大学発行)で紹介されました。「後進国」は、発明された技術の利用者にとどまるのか。鳥潟右一や八木秀次、松前重義など、移植や模倣を脱した戦前の技術者たちの系譜を、彼らを突き動かした要因や跳躍を可能にした条件ともども明らかにする。挫折した構想や時代的制約も見据え、技術史的達成を冷静に分析した気鋭の力作。
河西棟馬 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1168-6 C3021
在庫有り
『日本植民地研究』 [第36号、2024年6月] から(評者:林采成氏)
日本帝国圏鉄道史
技術導入から東アジアへ
沢井実著『日本帝国圏鉄道史』が、『日本植民地研究』(第36号、2024年6月、日本植民地研究会発行)で紹介されました。帝国日本の「骨格」はいかに形成されたのか。欧米から吸収した最先端の鉄道技術が朝鮮・満洲といった外地において固有の仕方で実践され、戦後へとつながる一大鉄道ネットワークの構築に至る歩みを、技術者など人的資源の移転を軸に隅々まで捉え、比類なきスケールで鉄道史を描き直します。
沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・340頁
ISBN978-4-8158-1135-8 C3021
在庫有り
『国文学研究』 [第201集、2024年11月] から(評者:加藤邦彦氏)
戦後表現
Japanese Literature after 1945
坪井秀人著『戦後表現』が、『国文学研究』(第201集、2024年11月、早稲田大学国文学会発行)で紹介されました。アジア太平洋戦争から冷戦、昭和の終わり、湾岸・イラク戦争、ポスト3・11まで、戦争をめぐる言葉がすくい上げてきたもの、底に沈めてきたものを、詩・小説・批評を中心に精緻に読解。経験や記憶に刻まれた〈傷跡〉としての表現の重層性から、〈戦後〉概念を再審にかけます。
坪井秀人 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-1116-7 C3095
在庫有り
「artscape」 [2024年10月24日公開] から(評者:星野太氏)
この生
世俗的信と精神的自由
マーティン・ヘグルンド著『この生』(宮﨑裕助・木内久美子・小田透訳)が、「artscape」(2024年10月24日公開、大日本印刷運営サイト)で紹介されました。有限性の忘却に抗して、今ここにある生の哲学へ ——。「死後の生」を超え、我々が〈自由な時間〉を生きる社会とはどのようなものか。ハイデガーやデリダの難解さを脱し、アーレントとは別の仕方で、グローバル資本主義下の人間の条件を洞察、それを超え出るヴィジョンを提起します。
マーティン・ヘグルンド 著
宮﨑裕助・木内久美子・小田 透 訳
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-1160-0 C3010
在庫有り
『図書新聞』 [2024年11月9日号、第3662号] から(評者:李美奈氏)
ヴェニスのユダヤ人
ゲットーと地中海の500年
リッカルド・カリマーニ著『ヴェニスのユダヤ人』(藤内哲也監訳/大杉淳子訳)が、『図書新聞』(2024年11月9日号、第3662号、武久出版発行)で紹介されました。隔離か、共生か ——。差別と寛容の狭間で、豊かな文化を育んだヴェネツィアのユダヤ人たち。16世紀から現代にいたるヨーロッパ・地中海世界の激動の歴史のなかで、金融業や商業、さらには政治・宗教・思想など多様な領域で活躍した「シャイロックたち」と、水の都が織りなす500年の物語。
リッカルド・カリマーニ 著
藤内哲也 監訳/大杉淳子 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・392頁
ISBN978-4-8158-1156-3 C3022
在庫有り
『図書新聞』 [2024年11月9日号、第3662号] から(評者:大野恵理氏)
在日フィリピン人社会
1980~2020年代の結婚移民と日系人
高畑幸著『在日フィリピン人社会』が、『図書新聞』(2024年11月9日号、第3662号、武久出版発行)で紹介されました。バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出します。
高畑 幸 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN978-4-8158-1153-2 C3036
在庫有り
『史林』 [第107巻第4号、2024年7月] から(評者:岡本隆司氏)
近世日琉関係の形成
附庸と異国のはざまで
木土博成著『近世日琉関係の形成』が、『史林』(第107巻第4号、2024年7月、史学研究会発行)で紹介されました。近世日本の外部にして島津氏の「属国」—— 琉球王国の両義的地位はいかに確立したのか、幕府と琉球のチャネルたる薩摩を主軸として立体的かつ動態的に把握。琉球使節の実態や海禁・華夷秩序との関係に新たな光をあて、朝鮮との比較も視野に日琉関係の全体像を鮮やかに一新します。
木土博成 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・442頁
ISBN978-4-8158-1142-6 C3021
在庫有り
『図書新聞』 [2024年11月2日号、第3661号] から(評者:江口伸吾氏)
中国共産党の神経系
情報システムの起源・構造・機能
周俊著『中国共産党の神経系』が、『図書新聞』(2024年11月2日号、第3661号、武久出版発行)で紹介されました。秘密主義のベールを乗り越える ——。毛沢東ら共産党中枢は、全知の支配者でも無知な指導者でもなかった。社会の実態を掴むべく形作られた制度はどのように作動したのか。今日にも通底する、一党支配下の情報収集・利用のあり方を膨大な史料により解明、中国政治の理解を一新します。
周 俊 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・478頁
ISBN978-4-8158-1152-5 C3031
在庫有り
『経済研究』 [第75巻第2号、2024年10月] から(評者:後藤玲子氏)
社会をつくった経済学者たち
スウェーデン・モデルの構想から展開へ
藤田菜々子著『社会をつくった経済学者たち』が、『経済研究』(第75巻第2号、2024年10月、一橋大学経済研究所発行)で紹介されました。不況・戦争など直面する危機を乗り越え、福祉先進国の礎を築いた経済学者たち。ケンブリッジ学派と双璧をなしたスウェーデン経済学の全体像を、彼らの政治・世論との深いかかわりとともに初めて解明、福祉国家への合意を導いた決定的役割と、現代におけるその変容までを鮮やかに描き出します。
藤田菜々子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・438頁
ISBN978-4-8158-1097-9 C3033
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『中央公論』 [2024年11月号] から
『中央公論』(2024年11月号、中央公論新社発行)の特集「保存版 世界史を学びなおす100冊」で、以下の3点が紹介されました。
【君塚直隆氏による紹介(「辺境」ヨーロッパが世界を変えるまで)】
K.ポメランツ著/川北稔監訳
『大分岐 —— 中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』
ジョン・ブリュア著/大久保桂子訳
『財政=軍事国家の衝撃 —— 戦争・カネ・イギリス国家 1688-1783』
【神里達博氏による紹介(科学はどう営まれてきたか)】
ブノワ・ゴダン著/松浦俊輔訳/隠岐さや香解説
『イノベーション概念の現代史』
「毎日新聞」 [2024年10月12日付] から(評者:村上陽一郎氏)
「後進国」日本の研究開発
電気通信工学・技師・ナショナリズム
河西棟馬著『「後進国」日本の研究開発』が、「毎日新聞」(2024年10月12日付)で紹介されました。「後進国」は、発明された技術の利用者にとどまるのか。鳥潟右一や八木秀次、松前重義など、移植や模倣を脱した戦前の技術者たちの系譜を、彼らを突き動かした要因や跳躍を可能にした条件ともども明らかにします。挫折した構想や時代的制約も見据え、技術史的達成を冷静に分析した気鋭の力作。
河西棟馬 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1168-6 C3021
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『文化経済学』 [第21巻第2号、2024年9月] から(評者:藤野一夫氏)
〈文化外交〉の逆説をこえて
ドイツ対外文化政策の形成
川村陶子著『〈文化外交〉の逆説をこえて』が、『文化経済学』(第21巻第2号、2024年9月、文化経済学会発行)で紹介されました。文化交流への国家の関与という、内外・硬軟が交差する繊細な領域を分析する理論枠組みを示すとともに、冷戦期に発展したドイツの先端的とりくみに注目。戦後復興とナチの過去、東西競争や外国人問題を背景とする政策形成過程と具体的実践をつぶさに検証し、現代日本の文化運営にも示唆を与える意欲作。
川村陶子 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・552頁
ISBN978-4-8158-1147-1 C3031
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「かもがわ便り」 [2024年10月号] から(評者:貴志俊彦氏)
帝国のフロンティアをもとめて
日本人の環太平洋移動と入植者植民地主義
東栄一郎著『帝国のフロンティアをもとめて』(飯島真里子・今野裕子・佐原彩子・佃陽子訳)が、「かもがわ便り」(2024年10月号、京都大学東南アジア地域研究研究所発行)で紹介されました。環太平洋の各地へと展開した日本人移植民の知られざる相互関係を、入植者植民地主義の概念を用いて一貫して把握。移民排斥を受けた日系アメリカ人によって帝国内外へ移転された人流、知識、技術、イデオロギーの衝撃を初めて捉え、見過ごされたグローバルな帝国の連鎖を浮かび上がらせます。
東 栄一郎 著
飯島真里子・今野裕子・佐原彩子・佃 陽子 訳
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・430頁
ISBN978-4-8158-1092-4 C3021
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『公法研究』 [第85号、2024年10月] から
皇室財政の研究
もう一つの近代日本政治史
加藤祐介著『皇室財政の研究』が、『公法研究』(第85号、2024年10月、日本公法学会編)の「学界展望」で紹介されました。ヴェールに覆われた皇室財政の姿を初めてトータルに解明。御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせます。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。
加藤祐介 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1126-6 C3021
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『図書新聞』 [2024年10月12日号、第3658号] から(評者:山本和行氏)
日本統治下の台湾
開発・植民地主義・主体性
平井健介著『日本統治下の台湾』が、『図書新聞』(2024年10月12日号、第3658号、武久出版発行)で紹介されました。半世紀に及ぶ支配のなかで、台湾は何を経験したのか。経済開発を軸として社会の隅々にまで及んだ統治の実態と、環境の激変を生き抜く台湾人の主体性を同時に捉え、日本最初の植民地における「近代化」の全容と限界を描き出す。「収奪」一色でも賛美・肯定でもない、信頼できる通史の決定版。
平井健介 著
税込3,960円/本体3,600円
四六判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1158-7 C3022
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『アジア・アフリカ地域研究』 [第24-1号、2024年9月] から(評者:大形里美氏)
インドネシア政治とイスラーム主義
ひとつの現代史
茅根由佳著『インドネシア政治とイスラーム主義』が、『アジア・アフリカ地域研究』(第24-1号、2024年9月、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科発行)で紹介されました。多様な宗教を包摂する「民主化の成功国」で、「不寛容」の烙印を押されたイスラーム主義者の系譜がなぜ人々を糾合できたのか。デモクラシーと排他性の間で揺れてきた彼らの活動を軸に、インドネシアにおける政治と宗教のダイナミズムを、独立期からSNSの時代まで総体的に捉え直した、俊英の力作。
茅根由佳 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・282頁
ISBN978-4-8158-1134-1 C3031
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『歴史評論』 [2024年10月号、第894号] から(評者:永松敦氏)
狩猟と権力
日本中世における野生の価値
中澤克昭著『狩猟と権力』が、『歴史評論』(2024年10月号、第894号、歴史科学協議会発行)で紹介されました。日本の歴史において、狩猟はつねに権力と結びついていた。なぜ「野生のキャプチャー」がそれほど大きな政治性を帯びたのか。古代から近世まで、天皇・公家や武士たちが実践した鷹狩・巻狩などを通観し、殺生禁断や、暴力と儀礼をつなぐ広範な狩猟文化を探究する中から、列島の人間と動物の関係を問い直す。
中澤克昭 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・484頁
ISBN978-4-8158-1106-8 C3021
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『建築史学』 [第83号、2024年9月] から(評者:中江研氏)
チョコレート・タウン
〈食〉が拓いた近代都市
片木篤著『チョコレート・タウン』が、『建築史学』(第83号、2024年9月、建築史学会発行)で紹介されました。チョコレート工場を中核として築かれた新たな都市「チョコレート・タウン」。甘くて苦い嗜好品の大量生産・輸送・消費・広告は、どのような空間や生活をもたらしたのか ——。欧米の代表的事例から、外来の〈食〉が〈住〉を刷新していく歴史をトータルに描きだします。
片木 篤 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・440頁
ISBN978-4-8158-1132-7 C3052
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『経営史学』 [第59巻第2号、2024年9月] から(評者:田中幹大氏)
輸出立国の時代
日本の軽機械工業とアメリカ市場
沢井実著『輸出立国の時代』が、『経営史学』(第59巻第2号、2024年9月、経営史学会発行)で紹介されました。戦後日本の復興を支え、高度成長を生み出した対米輸出への道は、いかにして切り拓かれていったのか? 自動車・家電に先駆けてアメリカを席捲したカメラ、ミシンなど軽機械の動向を初めて包括的に解明、労働集約型産業の変貌を現場からとらえて、今日に及ぶ発展を鮮やかに描き出します。
沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・296頁
ISBN978-4-8158-1099-3 C3033
在庫有り
『経営史学』 [第59巻第2号、2024年9月] から(評者:林采成氏)
「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える
松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『経営史学』(第59巻第2号、2024年9月、経営史学会発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。
松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
在庫有り
『都市問題』 [2024年9月号、第115巻第9号] から
日本統治下の台湾
開発・植民地主義・主体性
平井健介著『日本統治下の台湾』が、『都市問題』(2024年9月号、第115巻第9号、後藤・安田記念東京都市研究所発行)で紹介されました。半世紀に及ぶ支配のなかで、台湾は何を経験したのか。経済開発を軸として社会の隅々にまで及んだ統治の実態と、環境の激変を生き抜く台湾人の主体性を同時に捉え、日本最初の植民地における「近代化」の全容と限界を描き出します。「収奪」一色でも賛美・肯定でもない、信頼できる通史の決定版。
平井健介 著
税込3,960円/本体3,600円
四六判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1158-7 C3022
在庫有り
『日本労働研究雑誌』 [2024年10月号、第771号] から(評者:橋野知子氏)
在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開
谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、『日本労働研究雑誌』(2024年10月号、第771号、労働政策研究・研修機構発行)で紹介されました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。
谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1149-5 C3033
在庫有り
「斎藤哲也の『博論本を聴く』」から
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
『口述筆記する文学』の著者・田村美由紀先生のインタビューが、「斎藤哲也の『博論本を聴く』」(DISTANCE.media)で公開されました。【本書の内容】谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
在庫有り
「京都新聞」 [2024年9月10日付] から
ヴェニスのユダヤ人
ゲットーと地中海の500年
リッカルド・カリマーニ著『ヴェニスのユダヤ人』(藤内哲也監訳/大杉淳子訳)の訳者・大杉先生のインタビューが、「京都新聞」(2024年9月10日付)の文化欄に掲載されました。隔離か、共生か ——。差別と寛容の狭間で、豊かな文化を育んだヴェネツィアのユダヤ人たち。16世紀から現代にいたるヨーロッパ・地中海世界の激動の歴史のなかで、金融業や商業、さらには政治・宗教・思想など多様な領域で活躍した「シャイロックたち」と、水の都が織りなす500年の物語。
リッカルド・カリマーニ 著
藤内哲也 監訳/大杉淳子 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・392頁
ISBN978-4-8158-1156-3 C3022
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『昭和文学研究』 [第89集、2024年9月] から(評者:武内佳代氏)
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
田村美由紀著『口述筆記する文学』が、『昭和文学研究』(第89集、2024年9月、昭和文学会発行)で紹介されました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
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『移民研究年報』 [第30号、2024年6月] から(評者:今野裕子氏)
アメリカの人種主義
カテゴリー/アイデンティティの形成と転換
竹沢泰子著『アメリカの人種主義』が、『移民研究年報』(第30号、2024年6月、日本移民学会発行)で紹介されました。差別を生み出し続けたステレオタイプ、制度、学知などによる黒人、アメリカ先住民、アジア系移民の人種化の実態を鋭くとらえるとともに、排除に抗うアイデンティティ形成のジレンマもはじめて一貫して提示、アートを手がかりに、固定化された対立をほどく、第一人者による渾身の成果。
竹沢泰子 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・516頁
ISBN978-4-8158-1118-1 C3022
在庫有り
『情報の科学と技術』 [第74巻第9号、2024年9月] から(評者:池田貴儀氏)
科学ジャーナルの成立
アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、『情報の科学と技術』(第74巻第9号、2024年9月、情報科学技術協会発行)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。
アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
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『中国研究月報』 [2024年8月号、第78巻第8号] から(評者:梶谷懐氏)
都市化の中国政治
土地取引の展開と多元化する社会
鄭黄燕著『都市化の中国政治』が、『中国研究月報』(2024年8月号、第78巻第8号、中国研究所発行)で紹介されました。改革と開放後、独自の不動産市場の展開に伴い都市空間の急拡大をみた中国において、都市と農村で分断された従来の社会構造がいかに変容したのかを、徹底したフィールド調査で解明。土地収用による一方的収奪を超えた農村のしたたかな対応も捉え、今日に及ぶ政治経済の核心的問題に迫ります。
鄭 黄燕 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・268頁
ISBN978-4-8158-1133-4 C3031
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『アジア研究』 [第70巻第3号、2024年7月] から(評者:武藤秀太郎氏)
愛国とボイコット
近代中国の地域的文脈と対日関係
吉澤誠一郎著『愛国とボイコット』が、『アジア研究』(第70巻第3号、2024年7月、アジア政経学会発行)で紹介されました。中国ナショナリズムの実像 ——。時に暴力をともなう激しい対日ボイコットはなぜ繰り返されたのか。たんなる外交懸案の解決でも自国工業の振興でもない、それぞれの運動が生じた異なる地域事情と利害・思想を詳らかにするとともに、それらが愛国主義へとつながっていくメカニズムを捉えた力作。
吉澤誠一郎 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・314頁
ISBN978-4-8158-1048-1 C3022
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『史学雑誌』 [第133編第7号、2024年7月] から(評者:森脇優紀氏)
殉教の日本
近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック
小俣ラポー日登美著『殉教の日本』が、『史学雑誌』(第133編第7号、2024年7月、史学会発行)で紹介されました。キリスト教文化にとって、日本は〈暴虐と聖性の国〉だった。グローバルな宣教のなかで、驚くべきイメージはどのように成立・普及したのか。長崎二十六殉教者の列福やその聖遺物の行方、さらには多様な殉教伝・磔図像・残酷劇などを跡づけ、東西をつなぐ新たな「双方向の歴史」を実践します。
小俣ラポー日登美 著
税込9,680円/本体8,800円
A5判・上製・600頁
ISBN978-4-8158-1119-8 C3022
在庫有り
『西洋史学』 [第277号、2024年6月] から(評者:福澤直樹氏)
失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索
森宜人著『失業を埋めもどす』が、『西洋史学』(第277号、2024年6月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。
森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
在庫有り
『西洋史学』 [第277号、2024年6月] から(評者:山下範久氏)
オスマン帝国の世界秩序と外交
鈴木董著『オスマン帝国の世界秩序と外交』が、『西洋史学』(第277号、2024年6月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。イスラム的世界帝国の理念・現実・変容 ——。ナショナルな主権国家とは異なる秩序観に基づき、多様な人々を包摂した大帝国。そのダイナミックな「国際」関係や対外交渉行動を描くとともに、近代の西欧国際体系との関係を、外交使節や公館、革命や大戦への対応などから論じた、碩学の労作。原初から終焉までの600年余を文明史的視角から一望します。
鈴木 董 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・324頁
ISBN978-4-8158-1117-4 C3022
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「日本経済新聞」 [2024年8月24日付] から(評者:梅森直之氏)
日本統治下の台湾
開発・植民地主義・主体性
平井健介著『日本統治下の台湾』が、「日本経済新聞」(2024年8月24日付)で紹介されました。半世紀に及ぶ支配のなかで、台湾は何を経験したのか。経済開発を軸として社会の隅々にまで及んだ統治の実態と、環境の激変を生き抜く台湾人の主体性を同時に捉え、日本最初の植民地における「近代化」の全容と限界を描き出します。「収奪」一色でも賛美・肯定でもない、信頼できる通史の決定版。
平井健介 著
税込3,960円/本体3,600円
四六判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1158-7 C3022
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「中日新聞」 [2024年8月23日付、夕刊] から
在日フィリピン人社会
1980~2020年代の結婚移民と日系人
高畑幸著『在日フィリピン人社会』の著者インタビューが、「中日新聞」(2024年8月23日付、夕刊)に掲載されました。バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出します。
高畑 幸 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN978-4-8158-1153-2 C3036
在庫有り
『図書新聞』 [2024年8月31日号、第3653号] から(評者:難波優輝氏)
愛・セックス・結婚の哲学
R・ハルワニ著『愛・セックス・結婚の哲学』(江口聡・岡本慎平監訳)が、『図書新聞』(2024年8月31日号、第3653号、武久出版発行)で紹介されました。フェミニズムやジェンダー論に収斂しない豊かな洞察 ——。恋愛・セックス・結婚は、なぜ人生で重要とされるのか。多くの人々がエネルギーを注ぐこれら三者と、相互の密な関係性を、明晰な議論とさまざまな具体例によって根底から問い直す、最良の入門書。
R・ハルワニ 著
江口 聡・岡本慎平 監訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・572頁
ISBN978-4-8158-1154-9 C3010
在庫有り
『経済史研究』 [第26号、2023年1月] から(評者:沢井実氏)
東アジアのなかの満鉄
鉄道帝国のフロンティア
林采成著『東アジアのなかの満鉄』が、『経済史研究』(第26号、2023年1月、大阪経済大学日本経済史研究所発行)で紹介されました。帝国拡大の原動力となり、世界でも最高水準を誇った満鉄の鉄道技術はいかにして伝播していったのか。見過ごされてきた本業・鉄道業の姿をはじめて解明、その経済的・技術的インパクトを数量的に位置づけるとともに、東アジア鉄道システムの形成から、戦後再編の新たな全体像を描き出します。
林 采成 著
税込8,580円/本体7,800円
A5判・上製・638頁
ISBN978-4-8158-1013-9 C3022
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年8月23日号、第3553号] から(評者:東島雅昌氏)
中国共産党の神経系
情報システムの起源・構造・機能
周俊著『中国共産党の神経系』が、『週刊読書人』(2024年8月23日号、第3553号、読書人発行)で紹介されました。秘密主義のベールを乗り越える ——。毛沢東ら共産党中枢は、全知の支配者でも無知な指導者でもなかった。社会の実態を掴むべく形作られた制度はどのように作動したのか。今日にも通底する、一党支配下の情報収集・利用のあり方を膨大な史料により解明、中国政治の理解を一新します。
周 俊 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・478頁
ISBN978-4-8158-1152-5 C3031
在庫有り
『図書新聞』 [2024年8月17日号、第3652号] から(評者:芝崎祐典氏)
〈文化外交〉の逆説をこえて
ドイツ対外文化政策の形成
川村陶子著『〈文化外交〉の逆説をこえて』が、『図書新聞』(2024年8月17日号、第3652号、武久出版発行)で紹介されました。文化交流への国家の関与という、内外・硬軟が交差する繊細な領域を分析する理論枠組みを示すとともに、冷戦期に発展したドイツの先端的とりくみに注目。戦後復興とナチの過去、東西競争や外国人問題を背景とする政策形成過程と具体的実践をつぶさに検証し、現代日本の文化運営にも示唆を与える意欲作。
川村陶子 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・552頁
ISBN978-4-8158-1147-1 C3031
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年7月26日号、第3549号] から(評者:鈴木彩加氏)
愛・セックス・結婚の哲学
R・ハルワニ著『愛・セックス・結婚の哲学』(江口聡・岡本慎平監訳)が、『週刊読書人』(2024年7月26日号、第3549号、読書人発行)で紹介されました。フェミニズムやジェンダー論に収斂しない豊かな洞察 ——。恋愛・セックス・結婚は、なぜ人生で重要とされるのか。多くの人々がエネルギーを注ぐこれら三者と、相互の密な関係性を、明晰な議論とさまざまな具体例によって根底から問い直す、最良の入門書。
R・ハルワニ 著
江口 聡・岡本慎平 監訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・572頁
ISBN978-4-8158-1154-9 C3010
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年7月26日号、第3549号、特集「2024年上半期の収穫から」] から(評者:関智英氏)
中国共産党の神経系
情報システムの起源・構造・機能
周俊著『中国共産党の神経系』が、『週刊読書人』(2024年7月26日号、第3549号、読書人発行)の特集「2024年上半期の収穫から」で紹介されました。秘密主義のベールを乗り越える ——。毛沢東ら共産党中枢は、全知の支配者でも無知な指導者でもなかった。社会の実態を掴むべく形作られた制度はどのように作動したのか。今日にも通底する、一党支配下の情報収集・利用のあり方を膨大な史料により解明、中国政治の理解を一新します。
周 俊 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・478頁
ISBN978-4-8158-1152-5 C3031
在庫有り
『比較文学』 [第66巻、2024年3月] から(評者:馬場美佳氏)
変革する文体
もう一つの明治文学史
木村洋著『変革する文体』が、『比較文学』(第66巻、2024年3月、日本比較文学会発行)で紹介されました。新たな文体は新たな社会をつくる ——。小説中心主義を脱し、政論・史論から翻訳・哲学まで、徳富蘇峰を起点にして近代の「文」の歩みを辿りなおし、新興の洋文脈と在来の和文脈・漢文脈の交錯から、それまでにない人間・社会像や討議空間が形づくられる道程をつぶさに描いた意欲作。
木村 洋 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1108-2 C3095
在庫有り
『史学雑誌』 [第133編第6号、2024年6月号] から(評者:小池晃弘氏)
軍国の文化 上・下
日清戦争・ナショナリズム・地域社会
羽賀祥二著『軍国の文化』が、『史学雑誌』(第133編第6号、2024年6月号、史学会発行)で紹介されました。近代初の本格的対外戦争は、いかなる制度と心性のもとに遂行され、戦いと病いによる膨大な犠牲を社会はどのように受容したのか。動員体制の確立から、戦闘と占領地統治の様相、葬送・記念や仏教教団の活動まであまねく探究、「大量死の時代」が生んだ戦争協同体の構造を解明します。
羽賀祥二 著
上 税込6,930円/本体6,300円
下 税込8,030円/本体7,300円
A5判・上製・上478頁+下640頁
ISBN 上:978-4-8158-1137-2 下:978-4-8158-1138-9
C3021
在庫有り
『中国研究月報』 [2024年7月号、第78巻第7号] から(評者:岸本美緒氏)
東アジア国際通貨と中世日本
宋銭と為替からみた経済史
井上正夫著『東アジア国際通貨と中世日本』が、『中国研究月報』(2024年7月号、第78巻第7号、中国研究所発行)で紹介されました。貨幣、この自由にして御しがたきもの ——。宋・遼・金・元・明・日本・朝鮮など、東アジア各地に流通した宋銭は、それぞれの政権の思惑を超え、為替や紙幣を誘発しつつ、経済・社会・政治を大きく動かしていった。文献と考古学的知見を踏まえた丹念な検証により、従来の見方を一新する画期的な貨幣・金融史。
井上正夫 著
税込8,800円/本体8,000円
A5判・上製・584頁
ISBN978-4-8158-1061-0 C3033
在庫有り
『中国研究月報』 [2024年7月号、第78巻第7号] から(評者:阿南友亮氏)
派閥の中国政治
毛沢東から習近平まで
李昊著『派閥の中国政治』が、『中国研究月報』(2024年7月号、第78巻第7号、中国研究所発行)で紹介されました。公式には存在を否認されながら、権力闘争や政策論争の展開を根本で規定してきた中国共産党の派閥集団。その隠れた実態とダイナミズムをクリアに描出し、建国以前から文化大革命や改革開放を経て現在に至る流れを新たな視点で再解釈する。権威主義体制において派閥が担う真の役割とは?
李 昊 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1131-0 C3031
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『日本植民地研究』 [第36号、2024年6月] から(評者:木越義則氏)
「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える
松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『日本植民地研究』(第36号、2024年6月、日本植民地研究会発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。
松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
在庫有り
『大原社会問題研究所雑誌』 [789号、2024年7月号] から(評者:仁平典宏氏)
歴史としての日教組【上下巻】
広田照幸編『歴史としての日教組』(上下巻)が、『大原社会問題研究所雑誌』(789号、2024年7月号、法政大学大原社会問題研究所発行)で紹介されました。過剰な期待と歪んだ批判の狭間で、実像とかけ離れたイメージが作られてきた日教組。膨大な非公開史料や関係者へのインタビューに基づき、学術的にその歴史を徹底検証 ——。上巻では、戦後の労働運動での立ち位置から、独自の教育理念や「教師の倫理綱領」の作成まで、初期の模索を跡づけ、下巻では、1980年代の労働戦線の再編から、教育運動の転換、文部省との「歴史的和解」まで、新たな路線選択の時代に迫ります。
広田照幸 編
税込各4,180円/本体各3,800円
A5判・上製・上336頁+下326頁
ISBN 上:978-4-8158-0972-0 下:978-4-8158-0973-7 C3037
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『月刊We learn』 [2024年4月号、第839号] から
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
田村美由紀著『口述筆記する文学』が、『月刊We learn』(2024年4月号、第839号、日本女性学習財団発行)で紹介されました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
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『歴史学研究』 [2024年8月号、第1051号] から(評者:岩間俊彦氏)
チョコレート・タウン
〈食〉が拓いた近代都市
片木篤著『チョコレート・タウン』が、『歴史学研究』(2024年8月号、第1051号、歴史学研究会編)の「批判と反省 チョコレートからの歴史」(岩間俊彦氏)で取り上げられました。チョコレート工場を中核として築かれた新たな都市「チョコレート・タウン」。甘くて苦い嗜好品の大量生産・輸送・消費・広告は、どのような空間や生活をもたらしたのか ——。欧米の代表的事例から、外来の〈食〉が〈住〉を刷新していく歴史をトータルに描きだします。
片木 篤 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・440頁
ISBN978-4-8158-1132-7 C3052
在庫有り
『歴史学研究』 [2024年8月号、第1051号] から(評者:峰毅氏)
「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える
松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『歴史学研究』(2024年8月号、第1051号、歴史学研究会編)の書評欄で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。
松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
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『倫理学研究』 [第54号、2024年6月] から(評者:安部彰氏)
真理・政治・道徳
プラグマティズムと熟議
C・ミサック著『真理・政治・道徳』が、『倫理学研究』(第54号、2024年6月号、関西倫理学会発行)で紹介されました。価値の多元化が進むなか、リベラルな民主主義は相対主義や排外主義に抗して自らを正当化できるのか。疑いの目で見られがちな真理概念を、C・S・パースに依拠しながら政治と道徳の世界に呼び戻し、真理探究者の共同体としての社会と、そこで経験や熟議が持つ意義を描き直した、私たちがいま必要とする一冊。
C・ミサック 著
加藤隆文・嘉目道人・谷川嘉浩 訳
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・326頁
ISBN978-4-8158-1122-8 C3010
在庫有り
『都市問題』 [2024年7月号、第115巻第7号] から
在日フィリピン人社会
1980~2020年代の結婚移民と日系人
高畑幸著『在日フィリピン人社会』が、『都市問題』(2024年7月号、第115巻第7号、後藤・安田記念東京都市研究所発行)で紹介されました。バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出します。
高畑 幸 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN978-4-8158-1153-2 C3036
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『大原社会問題研究所雑誌』 [789号、2024年7月号] から(評者:木下順氏)
皇室財政の研究
もう一つの近代日本政治史
加藤祐介著『皇室財政の研究』が、『大原社会問題研究所雑誌』(789号、2024年7月号、法政大学大原社会問題研究所発行)で紹介されました。ヴェールに覆われた皇室財政の姿を初めてトータルに解明。御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせる。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。
加藤祐介 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1126-6 C3021
在庫有り
『洛北史学』 [第26号、2024年] から(評者:岩本真利絵氏)
明代とは何か
「危機」の世界史と東アジア
岡本隆司著『明代とは何か』が、『洛北史学』(第26号、2024年、洛北史学会発行)で紹介されました。現代中国の原型をかたちづくるとともに、東アジア史の転機ともなった明代。世界的危機の狭間で展開した財政経済や社会集団のありようを、室町期や大航海時代との連動もふまえて彩り豊かに描くとともに、民間から朝廷まで全体を貫く構造を鋭くとらえ、新たな時代像を提示します。
岡本隆司 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・324頁
ISBN978-4-8158-1086-3 C3022
在庫有り
『図書新聞』 [2024年7月6日号、第3646号] から(評者:矢野美沙子氏)
近世日琉関係の形成
附庸と異国のはざまで
木土博成著『近世日琉関係の形成』が、『図書新聞』(2024年7月6日号、第3646号、武久出版発行)で紹介されました。近世日本の外部にして島津氏の「属国」—— 琉球王国の両義的地位はいかに確立したのか、幕府と琉球のチャネルたる薩摩を主軸として立体的かつ動態的に把握。琉球使節の実態や海禁・華夷秩序との関係に新たな光をあて、朝鮮との比較も視野に日琉関係の全体像を鮮やかに一新します。
木土博成 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・442頁
ISBN978-4-8158-1142-6 C3021
在庫有り
『中国研究月報』 [2024年5月号、第78巻第5号] から(評者:宮脇雄太氏)
愛国とボイコット
近代中国の地域的文脈と対日関係
吉澤誠一郎著『愛国とボイコット』が、『中国研究月報』(2024年5月号、第78巻第5号、中国研究所発行)で紹介されました。中国ナショナリズムの実像 ——。時に暴力をともなう激しい対日ボイコットはなぜ繰り返されたのか。たんなる外交懸案の解決でも自国工業の振興でもない、それぞれの運動が生じた異なる地域事情と利害・思想を詳らかにするとともに、それらが愛国主義へとつながっていくメカニズムを捉えた力作。
吉澤誠一郎 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・314頁
ISBN978-4-8158-1048-1 C3022
在庫有り
「読売新聞」 [2024年6月23日付] から(評者:岡本隆司氏)
在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開
谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、「読売新聞」(2024年6月23日付)で紹介されました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。
谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1149-5 C3033
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『図書新聞』 [2024年6月15日号、第3643号] から(評者:末永恵子氏)
健康朝鮮
植民地のなかの感染症・衛生・身体
林采成著『健康朝鮮』が、『図書新聞』(2024年6月15日号、第3643号、武久出版発行)で紹介されました。スペイン・インフルエンザのパンデミックを経験した植民地は、いかにしてその医療衛生システムを構築し、人々の健康を管理しようとしたのか。学校・工場・農村・軍・遊郭などの実態を、スポーツやレクリエーションも視野にトータルに解明、帝国下での医療の社会化の光と影をとらえた渾身の成果。
林 采成 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・564頁
ISBN978-4-8158-1144-0 C3022
在庫有り
「科学技術社会論学会ウェブサイト」 [2024年5月3日公開] から(評者:調麻佐志氏)
科学ジャーナルの成立
アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、科学技術社会論学会ウェブサイト(2024年5月3日公開)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。
アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年6月7日号、第3542号] から(評者:鶴田想人氏)
科学ジャーナルの成立
アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、『週刊読書人』(2024年6月7日号、第3542号、読書人発行)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。
アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
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『外交』 [第85号、2024年5・6月号] から
日本の国連外交
戦前から現代まで
潘亮著『日本の国連外交』が、『外交』(第85号、2024年5・6月号、外務省発行)で紹介されました。時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにします。
潘 亮 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・806頁
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
在庫有り
「読売新聞」 [2024年6月2日付] から(評者:遠藤乾氏)
日本の国連外交
戦前から現代まで
潘亮著『日本の国連外交』が、「読売新聞」(2024年6月2日付)で紹介されました。時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにします。
潘 亮 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・806頁
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
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『アメリカ学会会報』 [第214号、2024年4月] から(評者:鈴木俊弘氏)
アメリカの人種主義
カテゴリー/アイデンティティの形成と転換
竹沢泰子著『アメリカの人種主義』が、『アメリカ学会会報』(第214号、2024年4月、アメリカ学会発行)で紹介されました。差別を生み出し続けたステレオタイプ、制度、学知などによる黒人、アメリカ先住民、アジア系移民の人種化の実態を鋭くとらえるとともに、排除に抗うアイデンティティ形成のジレンマもはじめて一貫して提示、アートを手がかりに、固定化された対立をほどく、第一人者による渾身の成果。
竹沢泰子 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・516頁
ISBN978-4-8158-1118-1 C3022
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『年報近現代史研究』 [第16号、2024年5月] から(評者:原科颯氏)
皇室財政の研究
もう一つの近代日本政治史
加藤祐介著『皇室財政の研究』が、『年報近現代史研究』(第16号、2024年5月、近現代史研究会発行)で紹介されました。ヴェールに覆われた皇室財政の姿を初めてトータルに解明。御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせます。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。
加藤祐介 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1126-6 C3021
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『アジア研究』 [第70巻第2号、2024年4月] から(評者:任哲氏)
都市化の中国政治
土地取引の展開と多元化する社会
鄭黄燕著『都市化の中国政治』が、『アジア研究』(第70巻第2号、2024年4月、アジア政経学会発行)で紹介されました。改革と開放後、独自の不動産市場の展開に伴い都市空間の急拡大をみた中国において、都市と農村で分断された従来の社会構造がいかに変容したのかを、徹底したフィールド調査で解明。土地収用による一方的収奪を超えた農村のしたたかな対応も捉え、今日に及ぶ政治経済の核心的問題に迫ります。
鄭 黄燕 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・268頁
ISBN978-4-8158-1133-4 C3031
在庫有り
「UTokyo BiblioPlaza」 [2024年5月31日公開、自著紹介] から
絵図の史学
「国土」・海洋認識と近世社会
杉本史子著『絵図の史学』の自著紹介が、「UTokyo BiblioPlaza」(2024年5月31日公開、東京大学)に掲載されました。近世期、高度に成熟した表現を獲得した国絵図、鳥瞰図などの絵図の役割を、色彩・材料などのモノや、制作者や人々の想像力から新たに捉え、近代地図への発展史観が見落とした全体像を提示、海図など海洋の視点も導入して、近代移行期の社会空間をめぐる理解を書き換える、絵図研究の決定版。
杉本史子 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・440頁
ISBN978-4-8158-1062-7 C3021
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『経済学論集』 [第84巻第1号、2024年3月] から(評者:伊藤正直氏)
戦前日本のユニバーサルバンク
財閥系銀行と金融市場
粕谷誠著『戦前日本のユニバーサルバンク』が、『経済学論集』(第84巻第1号、2024年3月、東京大学大学院経済学研究科発行)で紹介されました。証券市場が高度に発達した戦前日本において、三井、三菱、住友など財閥系銀行はいかにしてその隔絶した地位を築きえたのか。見過ごされてきた証券・国際業務を軸に、近世来の両替商がユニバーサルバンクへと発展する姿を鮮やかに示し、巨大銀行と金融市場の関係に新たな光を投げかけます。
粕谷 誠 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・390頁
ISBN978-4-8158-1004-7 C3033
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『経営史学』 [第58巻第4号] から(評者:幸田亮一氏)
失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索
森宜人著『失業を埋めもどす』が、『経営史学』(第58巻第4号、経営史学会編)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。
森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
在庫有り
『図書新聞』 [2024年5月25日号、第3640号] から(評者:佐々木啓氏)
軍国の文化 上・下
日清戦争・ナショナリズム・地域社会
羽賀祥二著『軍国の文化』が、『図書新聞』(2024年5月25日号、第3640号、武久出版発行)で紹介されました。近代初の本格的対外戦争は、いかなる制度と心性のもとに遂行され、戦いと病いによる膨大な犠牲を社会はどのように受容したのか。動員体制の確立から、戦闘と占領地統治の様相、葬送・記念や仏教教団の活動まであまねく探究、「大量死の時代」が生んだ戦争協同体の構造を解明します。
羽賀祥二 著
上 税込6,930円/本体6,300円
下 税込8,030円/本体7,300円
A5判・上製・上478頁+下640頁
ISBN 上:978-4-8158-1137-2 下:978-4-8158-1138-9
C3021
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年5月10日号] から(評者:関智英氏)
ユーラシア東方の多極共存時代
大モンゴル以前
古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』が、『週刊読書人』(2024年5月10日号、読書人発行)で紹介されました。遊牧王朝と中国王朝、なぜ数百年間も併存できたのか ——。モンゴル帝国による統合以前のユーラシア東方では、複数の国家が並び立っていた。契丹(遼)と北宋の盟約による「澶淵体制」、さらには金(女真)の時代の国際関係に焦点を当て、考古資料も活用しつつ、外交・儀礼・信仰から歴史編纂まで東洋史・中国史像を刷新します。
古松崇志 著
税込14,300円/本体13,000円
A5判・上製・836頁
ISBN978-4-8158-1150-1 C3022
在庫有り
「読売新聞」 [2024年5月19日付] から(評者:苅部直氏)
近代チベット政治外交史
清朝崩壊にともなう政治的地位と境界
小林亮介著『近代チベット政治外交史』が、「読売新聞」(2024年5月19日付)で紹介されました。仏教を介して中国と特別な関係を結び、広大な領域を治めたダライ・ラマ政権。東アジア国際秩序の構造転換を前に、彼らは勢力を維持すべくいかに行動したのか。そこで主張された「独立」「自治」の意味とは何か。現代に至るチベット問題の起源を、チベット語を中心とする貴重な一次史料にもとづき究明した画期的成果。
小林亮介 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・430頁
ISBN978-4-8158-1146-4 C3022
在庫有り
『図書新聞』 [2024年5月18日号、第3639号] から(評者:金原由紀子氏)
聖母の晩年
中世・ルネサンス期イタリアにおける図像の系譜
桑原夏子著『聖母の晩年』が、『図書新聞』(2024年5月18日号、第3639号、武久出版発行)で紹介されました。聖書には、彼女がどのように生を終えたかについての記述がない。しかし、マリア崇敬の高まりとともに、外典や伝承などにもとづき晩年伝の多様な図像が生み出されてきた。地中海圏の聖堂壁画からチマブーエやドゥッチョ、ジョットらの作品までをその背景とともに跡づけ、知られざる聖母の美術史をよみがえらせます。
桑原夏子 著
税込16,500円/本体15,000円
A5判・上製・904頁
ISBN978-4-8158-1141-9 C3071
在庫有り
「UTokyo BiblioPlaza」 [2024年5月14日公開、自著紹介] から
消え去る立法者
フランス啓蒙における政治と歴史
王寺賢太著『消え去る立法者』の自著紹介が、「UTokyo BiblioPlaza」(2024年5月14日公開、東京大学)に掲載されました。かつてこんなふうに読まれたことがあっただろうか ——。モンテスキューとルソー、そしてディドロへ。彼らが格闘し、解き明かし、残した問題とは何か。新たな共同体の創設という課題に直面し、法の根拠を問い直す重層的なテクストを読み抜き、「啓蒙」をクリシェから解き放った、気鋭の力作。
王寺賢太 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・532頁
ISBN978-4-8158-1120-4 C3010
在庫有り
『歴史評論』 [2024年5月号、第889号] から(評者:菅野智博氏)
「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える
松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『歴史評論』(2024年5月号、第889号、歴史科学協議会発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。
松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
在庫有り
『教育と医学』 [2024年5・6月号、第72巻3号] から
学び・育ち・支えの心理学
これからの教育と社会のために
中谷素之・平石賢二・高井次郎編『学び・育ち・支えの心理学』が、『教育と医学』(2024年5・6月号、第72巻3号、教育と医学の会編)で紹介されました。予測困難な時代、激変する教育現場において、心理学にできることは何か。教職や公認心理師をめざす人に役立つベーシックな知識のみならず、マルチタスクや非認知能力、LGBTといった注目を集める最新のトピックも丁寧に解説、教育心理の根本が身につく充実のテキスト。
中谷素之・平石賢二・高井次郎 編
税込2,970円/本体2,700円
A5判・並製・304頁
ISBN978-4-8158-1151-8 C3037
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『グローバル・ガバナンス』 [第10号、2024年3月] から(評者:山田哲也氏)
国際法を編む
国際連盟の法典化事業と日本
高橋力也著『国際法を編む』が、『グローバル・ガバナンス』(第10号、2024年3月、グローバル・ガバナンス学会編)で紹介されました。大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直します。
“…… 本書は、膨大な先行研究と史資料の渉猟を踏まえつつ、史料の制約・限界にも細心の注意を払って抑制的に論じた …… 会議の議事の分析に加え、個人の会議場外での発言や伝記的エピソードも含まれた本書は、様々な読み方が可能であり、著者が目指した「学際的アプローチ」は成功している。…… 国際会議開催に際しての開催主体を巡る綱引き(補論3)や女性の国際会議参加(補論4)など、今日でも色褪せぬ重要な論点が扱われている。……”(p.127)
高橋力也 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・546頁
ISBN978-4-8158-1111-2 C3032
在庫有り
『日本文学』 [2024年4月号、第73巻第4号] から(評者:片岡美有季氏)
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
田村美由紀著『口述筆記する文学』が、『日本文学』(2024年4月号、第73巻第4号、日本文学協会発行)で紹介されました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
“…… これまで不可視化されてきた口述筆記者の存在や言説に焦点を当てることで、男性ジェンダーがヘゲモニーを握ってきた日本近代文学の制度性そのものを問い直し、近代的な「創造性神話」の解体を試みている ……”(p.99)
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN978-4-8158-1129-7 C3095
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『科学史研究』 [2024年4月号、第Ⅲ期第63巻] から(評者:由井秀樹氏)
ツベルクリン騒動
明治日本の医と情報
月澤美代子著『ツベルクリン騒動』が、『科学史研究』(2024年4月号、第Ⅲ期第63巻、日本科学史学会発行)で紹介されました。欧米では「フィーバーからスキャンダルへ」と化した、コッホによる「結核新治療薬」。日本社会はそれをどのように受け止めたのか。多様な医療雑誌による「情報」の伝達・普及・切り分けを軸に、近代日本の医学・医療の風土が形成される転換期の実相を描き、今日への示唆に富む労作。
“…… 頁をめくってみると、緻密かつ厳密な記述でありながら、ミステリー小説さながらの論の展開、…… 緻密な記述に関しては、特に分析対象とした医療情報誌そのものの情報について、刊行年や発行部数のような基本的な情報のみならず、編集人の情報も含めた医療情報誌の性格も詳細に検討され、情報媒体間での伝えられる情報の違い —— とくに、どの媒体において何が語られなかったか、という点の検討 —— について丁寧に目配りがされており、研究の方法論としても大変勉強になった。……”(p.117)
月澤美代子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・504頁
ISBN978-4-8158-1101-3 C3021
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『現代化学』 [2024年5月号、638号] から
準結晶の科学
構造と物性
佐藤憲昭・石政勉著『準結晶の科学』が、『現代化学』(2024年5月号、638号、東京化学同人発行)で紹介されました。周期的ではない規則性を持つ不思議な物質、準結晶。合金やセラミックス・高分子など多様な系で生じる、この物質の全体像を、構造解析や物性の基礎から、強相関電子系との関わりなど最新の成果まで、丁寧に解説。準周期的な構造が、磁性や超伝導などの物性とどう関係するのか?
佐藤憲昭・石政 勉 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1140-2 C3042
在庫有り
『史学雑誌』 [第133編第3号、2024年3月] から(評者:高橋典幸氏)
狩猟と権力
日本中世における野生の価値
中澤克昭著『狩猟と権力』が、『史学雑誌』(第133編第3号、2024年3月号、史学会発行)で紹介されました。日本の歴史において、狩猟はつねに権力と結びついていた。なぜ「野生のキャプチャー」がそれほど大きな政治性を帯びたのか。古代から近世まで、天皇・公家や武士たちが実践した鷹狩・巻狩などを通観し、殺生禁断や、暴力と儀礼をつなぐ広範な狩猟文化を探究する中から、列島の人間と動物の関係を問い直します。
“…… 近年、歴史学の分野でも人間と自然との関係に大きな関心が集まりつつある。人間にとって自然は脅威であるとともに、さまざまな恵みをもたらしてくれるものでもあった。狩猟はまさにそうした恵みを獲得する営みであるが、それは日々の生活の糧ばかりではなく、権力にとっては政治的な資源を手にすることをも意味した。本書はまさにその標題どおり、「狩猟と権力」の関係、権力にとっての「野生の価値」を追究した一書といえよう。”(p.88)
中澤克昭 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・484頁
ISBN978-4-8158-1106-8 C3021
在庫有り
「読売新聞」 [2024年4月21日付] から(評者:岡美穂子氏)
ユーラシア東方の多極共存時代
大モンゴル以前
古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』が、「読売新聞」(2024年4月21日付)で紹介されました。遊牧王朝と中国王朝、なぜ数百年間も併存できたのか ——。モンゴル帝国による統合以前のユーラシア東方では、複数の国家が並び立っていた。契丹(遼)と北宋の盟約による「澶淵体制」、さらには金(女真)の時代の国際関係に焦点を当て、考古資料も活用しつつ、外交・儀礼・信仰から歴史編纂まで東洋史・中国史像を刷新します。
古松崇志 著
税込14,300円/本体13,000円
A5判・上製・836頁
ISBN978-4-8158-1150-1 C3022
在庫有り
『現代史研究』 [第69号、2023年12月] から(評者:中野隆生氏)
失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索
森宜人著『失業を埋めもどす』が、『現代史研究』(第69号、2023年12月、現代史研究会発行)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。
森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
在庫有り
『現代史研究』 [第69号、2023年12月] から(評者:伊豆田俊輔氏)
ニュースピークからサイバースピークへ
ソ連における科学・政治・言語
スラーヴァ・ゲローヴィチ著『ニュースピークからサイバースピークへ』(大黒岳彦訳/金山浩司校閲・解説)が、『現代史研究』(第69号、2023年12月、現代史研究会発行)で紹介されました。統制的国家において、科学はいかにふるまうのか? 空疎なイデオロギー話法を乗り越える、厳密で普遍的な科学言語として期待されたサイバネティックス。この「自由の道具」が、数学・生物学・生理学・言語学などソ連科学界を席巻した末に、社会の科学的管理をめざして体制化していく道程をヴィヴィッドに描きだす。それは彼方の世界か、あるいは我らの鏡か?
スラーヴァ・ゲローヴィチ 著
大黒岳彦 訳/金山浩司 校閲・解説
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1115-0 C3022
在庫有り
『週刊エコノミスト』 [2024年4月16・23日合併号] から(評者:井上寿一氏)
日本の国連外交
戦前から現代まで
潘亮著『日本の国連外交』が、『週刊エコノミスト』(2024年4月16・23日合併号、毎日新聞出版発行)で紹介されました。時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにします。
潘 亮 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・806頁
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
在庫有り
『経済科学』 [第71巻第3・4号、2024年3月] から(評者:田中英明氏)
中央銀行はお金を創造できるか
信用システムの貨幣史
金井雄一著『中央銀行はお金を創造できるか』が、『経済科学』(第71巻第3・4号、2024年3月、名古屋大学大学院経済学研究科発行)で紹介されました。社会に深く浸透している経済学の「常識」が、いかに貨幣の実態を捉えそこね、不合理な判断や施策を生み出してきたか、イギリス金融史の精緻な分析をもとに鋭く実証。近代的貨幣の生成プロセスを「信用」の次元から描き直すことで、MMT にもつながる素朴な認識を覆し、政策の指針を示します。
金井雄一 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・234頁
ISBN978-4-8158-1125-9 C3033
在庫有り
「朝日新聞」 [2024年4月6日付] から(評者:隠岐さや香氏)
科学ジャーナルの成立
アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』(柴田和宏訳/伊藤憲二解説)が、「朝日新聞」(2024年4月6日付)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。
アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
在庫有り
『アジア・アフリカ地域研究』 [第23-2号、2024年3月] から(評者:畔柳理氏)
グローバル開発史
もう一つの冷戦
サラ・ロレンツィーニ著『グローバル開発史』(三須拓也・山本健訳)が、『アジア・アフリカ地域研究』(第23-2号、2024年3月、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科発行)で紹介されました。開発はなぜ、いかにしてなされたのか。米・ソ・欧・中の対抗関係を軸にした実践と、国際機関や私的アクターの国境をこえた活動を描き出し、旧植民地・途上国との相克も視野に、20世紀初頭の「開発」の誕生から冷戦後までの、無数の思惑が交錯する複雑な歴史を初めてトータルに把握します。
サラ・ロレンツィーニ 著
三須拓也・山本 健 訳
税込3,740円/本体3,400円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-1090-0 C3022
在庫有り
『アジア・アフリカ地域研究』 [第23-2号、2024年3月] から(評者:松井真子氏)
オスマン帝国の世界秩序と外交
鈴木董著『オスマン帝国の世界秩序と外交』が、『アジア・アフリカ地域研究』(第23-2号、2024年3月、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科発行)で紹介されました。イスラム的世界帝国の理念・現実・変容 ——。ナショナルな主権国家とは異なる秩序観に基づき、多様な人々を包摂した大帝国。そのダイナミックな「国際」関係や対外交渉行動を描くとともに、近代の西欧国際体系との関係を、外交使節や公館、革命や大戦への対応などから論じた、碩学の労作。原初から終焉までの600年余を文明史的視角から一望します。
鈴木 董 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・324頁
ISBN978-4-8158-1117-4 C3022
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『アジア経済』 [第65巻1号、2024年3月] から(評者:金子文夫氏)
「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える
松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『アジア経済』(第65巻第1号、2024年3月、アジア経済研究所発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。
松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
在庫有り
『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:服部茂幸氏)
中央銀行はお金を創造できるか
信用システムの貨幣史
金井雄一著『中央銀行はお金を創造できるか』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。社会に深く浸透している経済学の「常識」が、いかに貨幣の実態を捉えそこね、不合理な判断や施策を生み出してきたか、イギリス金融史の精緻な分析をもとに鋭く実証。近代的貨幣の生成プロセスを「信用」の次元から描き直すことで、MMTにもつながる素朴な認識を覆し、政策の指針を示します。
金井雄一 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・234頁
ISBN978-4-8158-1125-9 C3033
在庫有り
『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:江頭進氏)
経済学のどこが問題なのか
ロバート・スキデルスキー著/鍋島直樹訳『経済学のどこが問題なのか』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。モヤモヤしている人のために ——。「科学」の地位を得るために、経済学は様々な数学やモデルを使ってきた。しかし、それらは本当に有効なのか。現実から離れた想定によって視野を狭めているのではないか。スタンダードな経済学の考え方を再検討し、今後に向けての処方箋を提示する話題作。
ロバート・スキデルスキー 著/鍋島直樹 訳
税込3,960円/本体3,600円
A5判・上製・288頁
ISBN978-4-8158-1088-7 C3033
在庫有り
『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:寺尾範野氏)
社会をつくった経済学者たち
スウェーデン・モデルの構想から展開へ
藤田菜々子著『社会をつくった経済学者たち』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。不況・戦争など直面する危機を乗り越え、福祉先進国の礎を築いた経済学者たち。ケンブリッジ学派と双璧をなしたスウェーデン経済学の全体像を、彼らの政治・世論との深いかかわりとともに初めて解明、福祉国家への合意を導いた決定的役割と、現代におけるその変容までを鮮やかに描き出します。
藤田菜々子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・438頁
ISBN978-4-8158-1097-9 C3033
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『経済学史研究』 [65巻2号、2024年1月] から(評者:渡辺恵一氏)
野蛮と宗教Ⅱ
市民的統治の物語
J・G・A・ポーコック著/田中秀夫訳『野蛮と宗教Ⅱ』が、『経済学史研究』(65巻2号、2024年1月、経済学史学会編)で紹介されました。西洋史の大きな物語 —— 古典古代の崩壊にともなう「野蛮と宗教」の時代から、洗練された習俗・商業・主権国家に基づく「ヨーロッパ」へ —— はいかにして形成されたのか。聖史を脱して博学と哲学を統合する多様な「啓蒙の語り」を読み解き、ギボンの知的文脈と独自性に迫るライフワーク。好評の第Ⅰ巻に続く、歴史叙述をめぐる思想史。
J・G・A・ポーコック 著/田中秀夫 訳
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1096-2 C3022
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『昭和文学研究』 [第88集、2024年3月] から(評者:佐藤泉氏)
戦後表現
Japanese Literature after 1945
坪井秀人著『戦後表現』が、『昭和文学研究』(第88集、2024年3月、昭和文学会編)で紹介されました。アジア太平洋戦争から冷戦、昭和の終わり、湾岸・イラク戦争、ポスト3・11まで、戦争をめぐる言葉がすくい上げてきたもの、底に沈めてきたものを、詩・小説・批評を中心に精緻に読解。経験や記憶に刻まれた〈傷跡〉としての表現の重層性から、〈戦後〉概念を再審にかけます。
坪井秀人 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・616頁
ISBN978-4-8158-1116-7 C3095
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『西洋史学』 [第276号、2023年12月] から(評者:山中由里子氏)
ヨーロッパ中世の想像界
池上俊一著『ヨーロッパ中世の想像界』が、『西洋史学』(第276号、2023年12月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界 ——。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。
池上俊一 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・960頁
ISBN978-4-8158-0979-9 C3022
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『社会経済史学』 [第89巻第4号、2024年2月] から(評者:水野敦洋氏)
輸出立国の時代
日本の軽機械工業とアメリカ市場
沢井実著『輸出立国の時代』が、『社会経済史学』(第89巻第4号、2024年2月、社会経済史学会発行)で紹介されました。戦後日本の復興を支え、高度成長を生み出した対米輸出への道は、いかにして切り拓かれていったのか? 自動車・家電に先駆けてアメリカを席捲したカメラ、ミシンなど軽機械の動向を初めて包括的に解明、労働集約型産業の変貌を現場からとらえて、今日に及ぶ発展を鮮やかに描き出します。
沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・296頁
ISBN978-4-8158-1099-3 C3033
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『社会経済史学』 [第89巻第4号、2024年2月] から(評者:加来祥男氏)
失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索
森宜人著『失業を埋めもどす』が、『社会経済史学』(第89巻第4号、2024年2月、社会経済史学会発行)で紹介されました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。
森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1103-7 C3022
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『2023年人文地理学会大会 研究発表要旨』 [2023年11月] から(評者:原口剛氏、宮内洋平氏)
カースト再考
バングラデシュのヒンドゥーとムスリム
杉江あい著『カースト再考』が、『2023年人文地理学会大会 研究発表要旨』(2023年11月、人文地理学会発行)で紹介されました。宗教が異なれば社会のかたちも異なる、という図式は、本当に有効なのか。生活の場を介して、カーストを含む多様な集団が相互に交錯する過程を、宗教の別をこえてトータルに把握。物乞いや聖者など宗教横断的な主体も視野に、分裂した南アジア像が覆い隠してきたものをすくいだします。
杉江あい 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・426頁
ISBN978-4-8158-1112-9 C3022
在庫有り
『週刊読書人』 [2024年2月23日号、第3528号] から(評者:宮間純一氏)
維新の政治と明治天皇
岩倉・大久保・木戸の「公論」主義 1862~1871
伊藤之雄著『維新の政治と明治天皇』が、『週刊読書人』(2024年2月23日号、第3528号、読書人発行)で紹介されました。国家の危機を前に、幕末・維新のリーダーたちはいかにして政治的意思決定を行ったのか。そのとき天皇のあり方はどのように変化したのか。岩倉具視・大久保利通・木戸孝允らによる「公論」主義を軸に、倒幕から廃藩までの激動の過程を一貫した視座のもとでとらえ、新たな明治維新像を示す渾身作。
伊藤之雄 著
税込10,780円/本体9,800円
A5判・上製・834頁
ISBN978-4-8158-1139-6 C3021
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