内 容
大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直す。
目 次
凡 例
略称一覧
序 章 国際法の受け手から「つくり手」へ
1 はじめに
2 本書の位置づけ
3 法律家という視座
4 本書の構成
第1章 エリヒュー・ルートと戦間期国際法の法典化の端緒
1 戦間期国際法の法典化
2 国際連盟の始動と法典化
3 高まる気運 —— 共振する連盟の「内」と「外」
4 ワシントン会議後の展開
補論1 「ルート劇場」と潜水艦・毒ガス条約
第2章 国際連盟による法典化事業の始動
1 動き出す国際連盟
2 第五回連盟総会 —— スウェーデン提案の提出
3 専門家委員会(CPDI)の設置
第3章 「ムッシュー・マツダ」の海賊条約草案
—— 国際法典編纂会議への道程と日本
1 「現にある法」か「あるべき法」か
2 なぜ海賊か —— 題目の選択過程
3 松田草案の作成過程 ——「草案」と「原案」
4 松田草案の歴史的意義
補論2 法典化の意味
第4章 日本国際法学会の国際法典案
1 法典案提出の経緯
2 JSIL 法典案の内容
3 国際社会における反響
4 法典化という「思想」—— 法典案作成の背後にあるもの
第5章 「事実上の」法律顧問たち
—— ハーグ会議に向けた訓令策定過程と立作太郎
1 ジュネーブでの動き
2 領海問題と立作太郎
3 戦間期日本の国際法実務と国際法学者
4 国際法学者の本分
補論3 ハーグ会議の開催主体をめぐる攻防
第6章 国際法を編む
—— ハーグ会議と日本
1 日本代表団の構成と準備
2 国籍問題
3 領海問題
4 国家責任
5 「ゆっくり急げ」—— ハーグ会議の総括とその後
補論4 「妻の国籍」問題と日本
第7章 立作太郎以後
—— 戦時期外務省における法律顧問設置構想
1 法務室
2 法律顧問設置構想
3 戦前から戦後の国際法実務の連続性
終 章 「真正なる意義に於ける国際法」を求めて
1 国際連盟の法典化事業とは
2 なぜ日本はかくも法典化に熱心であったか
3 「個人」と「国家」の狭間で ——「国際法マフィア」の面目
4 おわりに
注
あとがき
初出一覧
参考文献
索 引
受 賞
書 評
『グローバル・ガバナンス』(第10号、2024年3月、評者:山田哲也氏)
『国際法外交雑誌』(第122巻第4号、2024年1月、評者:酒井哲哉氏)
『法と文化の制度史』(第4号、2023年10月、評者:大中真氏)
『図書新聞』(2023年5月27日号、第3592号、評者:西平等氏)