2024年度受賞一覧
第115回(2025年度)「日本学士院賞」
日本綿業史
徳川期から日中開戦まで
『日本綿業史』の著者である阿部武司先生が、第115回(2025年度)「日本学士院賞」(日本学士院)を受賞されることが決定しました。受賞理由となった成果が、『日本綿業史』にまとめられています。【内容】明治の産業革命をリードし瞬く間に世界市場を制覇した日本綿紡績・織物業の競争力の源泉とは。近代的大紡績企業と、近世から続く農村織物産地や流通を担う問屋・商社などの連携による成長過程を初めて解明、衰退に向かう戦後も視野に、巨大産業の興隆を圧倒的な密度とスケールで描く決定版。
阿部武司 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・692頁
ISBN 978-4-8158-1059-7 C3033
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2024年度「中小企業研究奨励賞 特賞」
在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開
谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、2024年度「中小企業研究奨励賞 特賞」(商工総合研究所主催)を受賞しました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。
谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN 978-4-8158-1149-5 C3033
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第37回「和辻哲郎文化賞」
日本統治下の台湾
開発・植民地主義・主体性
平井健介著『日本統治下の台湾』が、第37回「和辻哲郎文化賞」(姫路文学館主催)を受賞しました。半世紀に及ぶ支配のなかで、台湾は何を経験したのか。経済開発を軸として社会の隅々にまで及んだ統治の実態と、環境の激変を生き抜く台湾人の主体性を同時に捉え、日本最初の植民地における「近代化」の全容と限界を描き出します。「収奪」一色でも賛美・肯定でもない、信頼できる通史の決定版。
平井健介 著
税込3,960円/本体3,600円
四六判・上製・386頁
ISBN 978-4-8158-1158-7 C3022
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第41回「大平正芳記念賞」
在日フィリピン人社会
1980~2020年代の結婚移民と日系人
高畑幸著『在日フィリピン人社会』の、第41回「大平正芳記念賞」(大平正芳記念財団主催)受賞が決定しました。バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出します。
高畑 幸 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN 978-4-8158-1153-2 C3036
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第41回「大平正芳記念賞」
インドネシア政治とイスラーム主義
ひとつの現代史
茅根由佳著『インドネシア政治とイスラーム主義』の、第41回「大平正芳記念賞」(大平正芳記念財団主催)受賞が決定しました。多様な宗教を包摂する「民主化の成功国」で、「不寛容」の烙印を押されたイスラーム主義者の系譜がなぜ人々を糾合できたのか。デモクラシーと排他性の間で揺れてきた彼らの活動を軸に、インドネシアにおける政治と宗教のダイナミズムを、独立期からSNSの時代まで総体的に捉え直した、俊英の力作。
茅根由佳 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・282頁
ISBN 978-4-8158-1134-1 C3031
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第52回「伊波普猷賞」
近世日琉関係の形成
附庸と異国のはざまで
木土博成著『近世日琉関係の形成』が、第52回「伊波普猷賞」(沖縄タイムス社主催)を受賞しました。近世日本の外部にして島津氏の「属国」—— 琉球王国の両義的地位はいかに確立したのか、幕府と琉球のチャネルたる薩摩を主軸として立体的かつ動態的に把握。琉球使節の実態や海禁・華夷秩序との関係に新たな光をあて、朝鮮との比較も視野に日琉関係の全体像を鮮やかに一新します。
木土博成 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・442頁
ISBN 978-4-8158-1142-6 C3021
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第21回(2024年度)「日本学士院学術奨励賞」
殉教の日本
近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック
『殉教の日本』の著者である小俣ラポー日登美先生が、第21回(2024年度)「日本学士院学術奨励賞」(日本学士院)を受賞されました。これまでの成果が、『殉教の日本』にまとめられています。【内容】キリスト教文化にとって、日本は〈暴虐と聖性の国〉だった。グローバルな宣教のなかで、驚くべきイメージはどのように成立・普及したのか。長崎二十六殉教者の列福やその聖遺物の行方、さらには多様な殉教伝・磔図像・残酷劇などを跡づけ、東西をつなぐ新たな「双方向の歴史」を実践する。
小俣ラポー日登美 著
税込9,680円/本体8,800円
A5判・上製・600頁
ISBN 978-4-8158-1119-8 C3022
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第21回(2024年度)「日本学術振興会賞」
殉教の日本
近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック
『殉教の日本』の著者である小俣ラポー日登美先生が、第21回(2024年度)「日本学術振興会賞」(日本学術振興会)を受賞されました。これまでの成果が、『殉教の日本』にまとめられています。【内容】キリスト教文化にとって、日本は〈暴虐と聖性の国〉だった。グローバルな宣教のなかで、驚くべきイメージはどのように成立・普及したのか。長崎二十六殉教者の列福やその聖遺物の行方、さらには多様な殉教伝・磔図像・残酷劇などを跡づけ、東西をつなぐ新たな「双方向の歴史」を実践する。
小俣ラポー日登美 著
税込9,680円/本体8,800円
A5判・上製・600頁
ISBN 978-4-8158-1119-8 C3022
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第15回「鉄道史学会住田奨励賞」
日本帝国圏鉄道史
技術導入から東アジアへ
沢井実著『日本帝国圏鉄道史』が、第15回「鉄道史学会住田奨励賞」(鉄道史学会主催)を受賞しました。帝国日本の「骨格」はいかに形成されたのか。欧米から吸収した最先端の鉄道技術が朝鮮・満洲といった外地において固有の仕方で実践され、戦後へとつながる一大鉄道ネットワークの構築に至る歩みを、技術者など人的資源の移転を軸に隅々まで捉え、比類なきスケールで鉄道史を描き直します。
沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・340頁
ISBN 978-4-8158-1135-8 C3021
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第46回「サントリー学芸賞」
近代チベット政治外交史
清朝崩壊にともなう政治的地位と境界
小林亮介著『近代チベット政治外交史』が、第46回「サントリー学芸賞」(サントリー文化財団主催)を受賞しました。仏教を介して中国と特別な関係を結び、広大な領域を治めたダライ・ラマ政権。東アジア国際秩序の構造転換を前に、彼らは勢力を維持すべくいかに行動したのか。そこで主張された「独立」「自治」の意味とは何か。現代に至るチベット問題の起源を、チベット語を中心とする貴重な一次史料にもとづき究明した画期的成果。
小林亮介 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・430頁
ISBN 978-4-8158-1146-4 C3022
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2024年度 第19回「女性史学賞」
口述筆記する文学
書くことの代行とジェンダー
田村美由紀著『口述筆記する文学』が、2024年度 第19回「女性史学賞」(奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター主催)を受賞しました。谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
田村美由紀 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・318頁
ISBN 978-4-8158-1129-7 C3095
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第36回「アジア・太平洋賞特別賞」
健康朝鮮
植民地のなかの感染症・衛生・身体
林采成著『健康朝鮮』が、第36回「アジア・太平洋賞特別賞」(主催:毎日新聞社、アジア調査会)を受賞しました。スペイン・インフルエンザのパンデミックを経験した植民地は、いかにしてその医療衛生システムを構築し、人々の健康を管理しようとしたのか。学校・工場・農村・軍・遊郭などの実態を、スポーツやレクリエーションも視野にトータルに解明、帝国下での医療の社会化の光と影をとらえた渾身の成果。
林 采成 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・564頁
ISBN 978-4-8158-1144-0 C3022
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第6回「西脇順三郎学術賞」
聖母の晩年
中世・ルネサンス期イタリアにおける図像の系譜
桑原夏子著『聖母の晩年』が、第6回「西脇順三郎学術賞」(慶應義塾大学文学部主催)を受賞しました。聖書には、彼女がどのように生を終えたかについての記述がない。しかし、マリア崇敬の高まりとともに、外典や伝承などにもとづき晩年伝の多様な図像が生み出されてきた。地中海圏の聖堂壁画からチマブーエやドゥッチョ、ジョットらの作品までをその背景とともに跡づけ、知られざる聖母の美術史をよみがえらせます。
桑原夏子 著
税込16,500円/本体15,000円
A5判・上製・904頁
ISBN 978-4-8158-1141-9 C3071
在庫有り
第29回(2023年度)「地中海学会ヘレンド賞」
聖母の晩年
中世・ルネサンス期イタリアにおける図像の系譜
桑原夏子著『聖母の晩年』が、第29回(2023年度)「地中海学会ヘレンド賞」(地中海学会主催)を受賞しました。聖書には、彼女がどのように生を終えたかについての記述がない。しかし、マリア崇敬の高まりとともに、外典や伝承などにもとづき晩年伝の多様な図像が生み出されてきた。地中海圏の聖堂壁画からチマブーエやドゥッチョ、ジョットらの作品までをその背景とともに跡づけ、知られざる聖母の美術史をよみがえらせます。
桑原夏子 著
税込16,500円/本体15,000円
A5判・上製・904頁
ISBN 978-4-8158-1141-9 C3071
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第45回(2024年度)「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」
都市化の中国政治
土地取引の展開と多元化する社会
鄭黄燕著『都市化の中国政治』が、第45回(2024年度)「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」(ジェトロ・アジア経済研究所主催)を受賞しました。改革と開放後、独自の不動産市場の展開に伴い都市空間の急拡大をみた中国において、都市と農村で分断された従来の社会構造がいかに変容したのかを、徹底したフィールド調査で解明。土地収用による一方的収奪を超えた農村のしたたかな対応も捉え、今日に及ぶ政治経済の核心的問題に迫ります。
鄭 黄燕 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・268頁
ISBN 978-4-8158-1133-4 C3031
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第40回「大平正芳記念賞」
国際法を編む
国際連盟の法典化事業と日本
高橋力也著『国際法を編む』が、第40回「大平正芳記念賞」(大平正芳記念財団主催)を受賞しました。大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直します。
高橋力也 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・546頁
ISBN 978-4-8158-1111-2 C3032
在庫有り
第18回(2023年度)「日本科学史学会学術賞」
ツベルクリン騒動
明治日本の医と情報
月澤美代子著『ツベルクリン騒動』が、第18回(2023年度)「日本科学史学会学術賞」(日本科学史学会主催)を受賞しました。欧米では「フィーバーからスキャンダルへ」と化した、コッホによる「結核新治療薬」。日本社会はそれをどのように受け止めたのか。多様な医療雑誌による「情報」の伝達・普及・切り分けを軸に、近代日本の医学・医療の風土が形成される転換期の実相を描き、今日への示唆に富む労作。
月澤美代子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・504頁
ISBN 978-4-8158-1101-3 C3021
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2023年度「日本比較経営学会 学術賞」
中国国有企業の政治経済学
改革と持続
中屋信彦著『中国国有企業の政治経済学』が、2023年度「日本比較経営学会 学術賞」(日本比較経営学会主催)を受賞しました。非効率なはずの企業群はなぜ存続し、成長できたのか。グローバル企業ランキングを席捲し、存在感を示し続ける国有企業が、市場経済への適応と共産党支配を両立すべく実施した改革の成果を、腐敗などの副作用も含め解明、「普通の」資本主義体制に抗いながら発展する中国経済の実像に迫ります。
中屋信彦 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・366頁
ISBN 978-4-8158-1095-5 C3033
在庫有り