2021年度受賞一覧
第16回「日本科学史学会学術賞」
ルネサンスの数学思想
東慎一郎著『ルネサンスの数学思想』が、第16回「日本科学史学会学術賞」(日本科学史学会主催)を受賞しました。科学革命の前夜、数学や関連する諸学はどのように捉えられていたのか。それらは果たして確実なものなのか。数学の対象や認識・論証の特質、学問全体における位置づけ、教育的意義などをめぐって、当時の思想家たちのテキストを精緻に読み解き、見失われて久しい知の相互連関を問い直す、白眉の学問論。
授賞理由:“…… 本研究は、単なる個別研究論文の集合体ではなく、ルネサンスの数学思想全体を視野に入れて、テクストの綿密な分析を通じてその特質を明らかにしており、国内外にわたり今後この分野の基礎文献となることが期待できる。論証構造や概念分析についての著者の思考過程や、新たに得られた学術的知見は、16世紀のみならず、前後の時代の中世や17世紀の科学思想、さらに現代数学思想を考究する際にも資するものであり、広く学術的影響が期待できる。……”(『科学史研究』2023年4月号(第Ⅲ期第62巻第305号)、p.104)
東 慎一郎 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・408頁
ISBN 978-4-8158-1010-8 C3010
在庫有り
第72回「芸術選奨文部科学大臣賞」
移り棲む美術
ジャポニスム、コラン、日本近代洋画
『移り棲む美術』の著者である三浦篤先生が、第72回「芸術選奨文部科学大臣賞」(文化庁主催)を受賞されました。本書の成果が高く評価されての受賞となりました。【内容】グローバルな〈美〉の往還 ——。日本から西洋へ、そして西洋から日本へと海を越えた芸術の種子。どのように移動・変容・開花したのか。「アカデミスム対前衛」の構図に囚われることなく、ジャポニスムの多面的展開から近代洋画の創出まで、フランスを中心に一望し、選択的な交雑による新たな芸術史を描きだします。
三浦 篤 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・574頁
ISBN 978-4-8158-1016-0 C3071
在庫有り
第34回「和辻哲郎文化賞」
移り棲む美術
ジャポニスム、コラン、日本近代洋画
三浦篤著『移り棲む美術』が、第34回「和辻哲郎文化賞」(姫路文学館主催)を受賞しました。グローバルな〈美〉の往還 ——。日本から西洋へ、そして西洋から日本へと海を越えた芸術の種子。どのように移動・変容・開花したのか。「アカデミスム対前衛」の構図に囚われることなく、ジャポニスムの多面的展開から近代洋画の創出まで、フランスを中心に一望し、選択的な交雑による新たな芸術史を描きだします。
三浦 篤 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・574頁
ISBN 978-4-8158-1016-0 C3071
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第18回(2021年度)「日本学士院学術奨励賞」
イスラームのロシア
帝国・宗教・公共圏 1905-1917
『イスラームのロシア』の著者である長縄宣博先生が、第18回(2021年度)「日本学士院学術奨励賞」(日本学士院)を受賞されることが決定しました。これまでの成果が、『イスラームのロシア』にまとめられています。【内容】もう一つの市民社会 ——。多数のイスラーム教徒が存在したロシア帝国。彼らはいかに生きたのか。日露戦争から第一次世界大戦・革命へと至る時代に、政治・行政・教育・出版・戦争・慈善等に積極的に関与し、言論と行動によって自らの「公共圏」を生み出したムスリム社会の苦闘を、かつてない深度で描き出す。
長縄宣博 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・440頁
ISBN 978-4-8158-0888-4 C3022
在庫有り
第18回(2021年度)「日本学術振興会賞」
イスラームのロシア
帝国・宗教・公共圏 1905-1917
『イスラームのロシア』の著者である長縄宣博先生が、第18回(2021年度)「日本学術振興会賞」(日本学術振興会)を受賞されることが決定しました。これまでの成果が、『イスラームのロシア』にまとめられています。【内容】もう一つの市民社会 ——。多数のイスラーム教徒が存在したロシア帝国。彼らはいかに生きたのか。日露戦争から第一次世界大戦・革命へと至る時代に、政治・行政・教育・出版・戦争・慈善等に積極的に関与し、言論と行動によって自らの「公共圏」を生み出したムスリム社会の苦闘を、かつてない深度で描き出す。
長縄宣博 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・440頁
ISBN 978-4-8158-0888-4 C3022
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第5回「フォスコ・マライーニ賞」
転生するイコン
ルネサンス末期シエナ絵画と政治・宗教抗争
松原知生著『転生するイコン』が、第5回「フォスコ・マライーニ賞」(イタリア文化会館主催)を受賞しました。古今の時間を自在に行き来し、「像」と「アート」の汽水域にたゆたうシエナ派絵画。イタリア戦争と宗教改革にともなう波乱のなか、「聖母の都市」を守護する古きイコン=聖画像はいかに動員され、新たな使命を獲得したのか。繊細なシエナ美術に秘められたダイナミズムを析出し、イメージ論の新地平を切り拓きます。
松原知生 著
税込12,980円/本体11,800円
A5判・上製・652頁
ISBN 978-4-8158-1007-8 C3071
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第43回「サントリー学芸賞」(思想・歴史部門)
戦争障害者の社会史
20世紀ドイツの経験と福祉国家
北村陽子著『戦争障害者の社会史』が、第43回「サントリー学芸賞」(思想・歴史部門、サントリー文化財団主催)を受賞しました。二度の大戦により、300万人におよぶ大量の戦争障害者を生み出したドイツで、国家に奉仕した「英雄」はどのようなその後を生きたのか。公的支援や医療の発達、義肢や盲導犬などの補助具の発展と、他方での差別や貧困、ナチへの傾倒などの多面的な実態を丁寧に描き、現代福祉の淵源を示します。
北村陽子 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・366頁
ISBN 978-4-8158-1017-7 C3022
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第33回「アジア・太平洋賞大賞」
世界史のなかの東アジアの奇跡
杉原薫著『世界史のなかの東アジアの奇跡』の、第33回「アジア・太平洋賞大賞」(毎日新聞社・アジア調査会主催)受賞が決定しました。脱〈西洋中心〉のグローバル・ヒストリー。—— 豊かさをもたらす工業化の世界的普及は、日本をはじめとする「東アジアの奇跡」なしにはありえなかった。それは「ヨーロッパの奇跡」とは異なる、分配の奇跡だった。地球環境や途上国の行方も見据え、複数の発展径路の交錯と融合によるダイナミックな世界史の姿を提示する、渾身のライフワーク。
杉原 薫 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・776頁
ISBN 978-4-8158-1000-9 C3022
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第16回(2021年度)「樫山純三賞」
闘う村落
近代中国華南の民衆と国家
蒲豊彦著『闘う村落』が、第16回(2021年度)「樫山純三賞」(公益財団法人樫山奨学財団主催)を受賞しました。互いに武力闘争を繰り返す城塞化した村落 ——。それは王朝交替や辛亥革命などを経ても変わらぬ、明末以来の基層社会の姿であり、共産主義へと向かう農民運動の凄惨な暴力に極まる。宣教師文書を駆使しつつ、初めてその生成・展開・終焉を跡づけ、新たな中国史像を提示した渾身の力作。
蒲 豊彦 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・504頁
ISBN 978-4-8158-0998-0 C3022
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第1回(2021年度)「租税法学会賞」
租税回避と法
GAARの限界と解釈統制
本部勝大著『租税回避と法』の、第1回(2021年度)「租税法学会賞」(租税法学会主催)受賞が決定しました。スターバックスやアップル、グーグルなど、名だたるグローバル企業がおこない、世界的に問題化した租税回避行為をいかに抑止すべきか。各国で導入が進むGAARの効果と限界を実証的に浮き彫りにし、岐路に立つわが国がとるべき道を、GAARにかわる第三のアプローチとともに提示します。
本部勝大 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・336頁
ISBN 978-4-8158-0999-7 C3032
在庫有り
第1回「古典の日文化基金賞 芳賀徹記念・古典の日宣言特別賞」
『涙の詩学』の著者であるツベタナ・クリステワ先生が、このたび、第1回「古典の日文化基金賞 芳賀徹記念・古典の日宣言特別賞」(古典の⽇⽂化基⾦賞顕彰委員会主催)を受賞されることが決定しました。比較文化の視点から精力的に日本古典の研究を進め、多くの成果を発表してきたこと、そして日本文化の国際発信への寄与が評価され、今回の受賞決定となりました。
『涙の詩学 —— 王朝文化の詩的言語』
第10回「三島海雲学術賞」
対日協力者の政治構想
日中戦争とその前後
関智英著『対日協力者の政治構想』の、第10回「三島海雲学術賞」(公益財団法人三島海雲記念財団主催)受賞が決定しました。日中戦争には、抗日と同時に、占領地における協力の側面もあった。しかし多様な協力者たちは戦後、漢奸として糾弾され、その歴史も未完の政治構想とともに葬り去られた。本書はこの影の側面に光を当て、戦争の全体像に迫るとともに、占領から始まった戦後日本に鋭い眼差しを投げかけます。
関 智英 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・616頁
ISBN 978-4-8158-0963-8 C3022
在庫有り
第42回「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」
試される正義の秤
南アジアの開発と司法
佐藤創著『試される正義の秤』の、第42回「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」(ジェトロ・アジア経済研究所主催)受賞が決定しました。文字も読めない社会的弱者の権利を守り、裁判所みずから正義を届けるべくはじまった公益訴訟。インド経済の急速な発展のもと、司法の恣意的利用をもひきおこしたその両義的性格を鋭くとらえ、南アジア法の最大の特徴にせまるとともに、政治の司法化をめぐる世界的潮流をも指し示します。
佐藤 創 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・298頁
ISBN 978-4-8158-0976-8 C3032
在庫有り
第38回(2021年度)「渋沢・クローデル賞 本賞」
言論と経営
戦後フランス社会における「知識人の雑誌」
中村督著『言論と経営』の、第38回(2021年度)「渋沢・クローデル賞 本賞」(日仏会館・読売新聞社主催)受賞が決定しました。メディア企業の生き方とは ——。言論によって民主主義に奉仕すると同時に、私企業として資本主義のなかで動くジャーナリズム。戦後フランスに生まれ、サルトルはじめ知識人を結集する一方、市場で稀有な成功を収めたニューズマガジンの歴史を、変容する社会とともに捉え、その思想と身体を見つめた俊英の力作。
中村 督 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・442頁
ISBN 978-4-8158-1022-1 C3036
在庫有り
2021年度「フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト賞」
『多民族国家プロイセンの夢』などの著者である今野元先生が、このたび、2021年度「フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト賞」(アレクサンダー・フォン・フンボルト財団)を受賞されることが決定しました。マックス・ヴェーバーの研究を主とし、政治・歴史学の分野で活躍されていること、そして研究以外での様々な活動を通じた日独の文化・社会相互理解への貢献が評価され、今回の受賞となりました。
『多民族国家プロイセンの夢 ——「青の国際派」とヨーロッパ秩序』
『吉野作造と上杉愼吉 —— 日独戦争から大正デモクラシーへ』