内 容
脱植民地化による第三世界の台頭は、超大国の命運をどのようにかえていったのか? 冷戦の主要舞台であった第三世界諸国の苦闘と戦略的対応を縦横に叙述、超大国の蹉跌の真の原因を描き出す。第三世界から見た冷戦史の新たな全体像を示し、現代世界の諸問題の起源をも捉えた注目作。
目 次
謝 辞
日本語版のための序章
概念と定義
グローバルな冷戦における日本の役割
本書の議論と構成
第1章 自由の帝国
—— アメリカのイデオロギーと対外的介入
「いかなる闘争においても」
「外来者」と反共産主義
ヨーロッパを超えて
「ひとつの市場としての世界」
近代化、技術そしてアメリカのグローバリズム
第2章 公正の帝国
—— ソ連のイデオロギーと対外的介入
ロシア帝国とロシア革命
コミンテルンと第三世界
決定的介入 —— イラン、中国、朝鮮
ソ連による第三世界の再発見(1955-60年)
第3章 革命家たち
—— 反植民地の政治とその変容
植民地主義とその影響
反植民地革命
新国家の創造
バンドンと非同盟運動
第4章 「第三世界」の形成
—— 革命に直面するアメリカ
アメリカと脱植民地化に伴う最初の危機
イラン、スエズ、そしてアメリカの新たな役割
アメリカとアフリカの脱植民地化
ラテンアメリカ —— サンディーノからカストロへ
第三世界と冷戦の経済システム
第5章 キューバとベトナムの挑戦
中ソ対立と第三世界
革命の実例としてのキューバ
ベトナムと東南アジア
冷戦と超大国のデタント
第6章 脱植民地化の危機
—— 南部アフリカ
南部アフリカの解放と超大国の冷戦
ポルトガル帝国の崩壊
アンゴラ内戦
アフリカにおける冷戦と超大国間デタントの後退
第7章 社会主義の可能性
—— エチオピアとアフリカの角
エチオピア革命と対抗勢力
ソ連=エチオピア同盟の出現
オガデン戦争
ソ連の介入主義とデタントの崩壊
第8章 イスラーム主義の反抗
—— イランとアフガニスタン
イラン革命と冷戦
ソ連とアフガニスタン革命
内戦とアフガニスタン共産主義の分裂
ソ連の介入の決定
イスラーム主義者の対応
第9章 1980年代
—— レーガンの攻勢
第三世界の分解とレーガンの攻勢の起源
ニカラグアの戦争
アフガニスタンの戦争
アメリカとジハード
援助、貿易そしてイデオロギー
第10章 ゴルバチョフの撤退と冷戦の終焉
ゴルバチョフの攻勢
アフガニスタンからの脱出
ソ連撤退の原因
「第三世界」の終焉
終 章 革命、介入、大国崩壊
監訳者あとがき
略語表
図版一覧
注
索 引
書 評
『史学雑誌』(第121編第4号、2012年、評者:藤沢潤氏)
日本経済新聞(2010年10月17日付、評者:佐々木卓也氏)