内 容
統計学は実験や臨床試験、社会調査だけでなく、ビッグデータ分析やAI開発でも不可欠である。ではなぜ統計は科学的な根拠になるのか? 帰納推論や因果推論の背後に存在する枠組みを浮き彫りにし、科学的認識論としてデータサイエンスを捉え直す。科学と哲学を架橋する待望の書。
目 次
序 章 統計学を哲学する?
1 本書のねらい
2 本書の構成
第1章 現代統計学のパラダイム
1 記述統計
1-1 統計量
1-2 「思考の経済」としての記述統計
1-3 経験主義、実証主義と帰納の問題
2 推測統計
2-1 確率モデル
2-2 確率変数と確率分布
2-3 統計モデル
2-4 推測統計の世界観と「確率種」
第2章 ベイズ統計
1 ベイズ統計の意味論
2 ベイズ推定
2-1 仮説の確証と反証
2-2 パラメータ推定
2-3 予測
3 ベイズ統計の哲学的側面
3-1 帰納論理としてのベイズ統計
3-2 内在主義的認識論としてのベイズ統計
3-3 ベイズ主義の認識論的問題
3-4 小括:ベイズ統計の認識論的含意
第3章 古典統計
1 頻度主義の意味論
2 検定の考え方
2-1 蓋然的仮説の反証
2-2 仮説検定の考え方
2-3 検定の構成
2-4 サンプルサイズ
3 古典統計の哲学的側面
3-1 帰納行動としての検定理論
3-2 外在主義認識論としての古典統計
3-3 頻度主義の認識論的問題
3-4 小括:ベイズ/頻度主義の対立を超えて
第4章 モデル選択と深層学習
1 最尤法とモデル適合
2 モデル選択
2-1 回帰モデルとモデル選択の動機
2-2 モデルの尤度と過適合
2-3 赤池情報量規準(AIC)
2-4 AICの哲学的含意
3 深層学習
3-1 多層ニューラルネットワークの構成
3-2 深層モデルの学習
4 深層学習の哲学的含意
4-1 プラグマティズム認識論としての統計学
4-2 機械学習と徳認識論
4-3 深層学習の哲学的含意
第5章 因果推論
1 規則説と回帰分析
2 反事実条件アプローチ
2-1 反事実条件説の意味論
2-2 反事実的因果の認識論
3 構造的因果モデル
3-1 因果グラフ
3-2 介入とバックドア基準
3-3 因果探索
4 統計的因果推論の哲学的含意
終 章 統計学の存在論・意味論・認識論
1 統計学の存在論
2 統計学の意味論
3 統計学の認識論
4 結びにかえて
参考文献
あとがき
索 引
書評等
『みすず』(2022年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:佐藤文隆氏)
『週刊ダイヤモンド』(2021年12月25日・2022年1月1日合併号)
『みすず』(2021年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:三中信宏氏)
関連書
『世界の複数性について』 デイヴィッド・ルイス 著/出口康夫 監訳/佐金 武・小山 虎・海田大輔・山口 尚 訳
『科学技術をよく考える』 伊勢田哲治・戸田山和久・調 麻佐志・村上祐子 編