内 容
科学理論はどのように根拠づけられるのか。その根幹を支える統計的推論の枠組みを丹念に検討し、ベイズ主義や有意検定、AICなどが抱える本質的課題を浮彫りにする。科学において証拠の果たすべき役割を、哲学者と科学者の双方に向けて明瞭に示した希有な著作。
著者紹介
エリオット・ソーバー (Elliott Sober)
1948年生まれ。米ウィスコンシン大学教授。科学哲学者(特に生物学の哲学、統計の哲学の分野)として著名であり、アメリカ科学哲学会会長(2003-05)、科学史、科学哲学国際連合(科学の論理、方法、哲学部門)会長(2012-16)も務めた。多数の著書があり、邦訳のあるものとして Reconstructing the Past: Parsimony, Evolution, and Inference(MIT Press, 1988)(『過去を復元する:最節約原理、進化論、推論』、ラカトシュ賞受賞)、Philosophy of Biology: Second Edition(Perseus, 2000)(『進化論の射程: 生物学の哲学入門』)がある。
目 次
日本語版序文
はじめに
§1 ロイヤルの3つの問い
§2 ベイズ主義の基本
ベイズの定理
更新の規則
事後確率、尤度、そして事前確率
確 証
信 頼 性
予想と期待値
帰 納
楽園の苦難
哲学的なベイズ主義、ベイズ統計、論理
§3 尤度主義
謙虚さの強み
尤度主義への3つの反論
尤度の法則を制限する必要性
ばかげた仮説がきわめてもっともらしくなることがあるか
尤度主義と条件付き確率の定義
全証拠の原則
尤度主義の限界
§4 頻度主義Ⅰ —— 有意検定と確率論的モーダス・トレンス
§5 頻度主義Ⅱ —— ネイマン-ピアソンの仮説検定
§6 テストケース —— 停止規則
§7 頻度主義Ⅲ —— モデル選択理論
街灯の下で鍵を探す
科学のモデル構築:広く見られる2つの方法
赤池の体系、理論、規準
同定可能性
AICは統計学的一致性をもたないか
ベイズ主義のモデル選択
下位グループの問題
AICの適用範囲
実在論と道具主義
パラメータとは何か
AICは頻度主義か
§8 第2のテストケース —— 偶然の一致についての推論
§9 結 語
訳 注
参考文献
訳者解説
本書が抄訳である理由
第8節について
本書のアウトライン
議論についての補足
おわりに
索 引
書 評
関連書
『生命科学の実験デザイン〔第4版〕』 G.D.ラクストン,N.コルグレイヴ 著/麻生一枝・南條郁子 訳
『専門知を再考する』 H・コリンズほか著/奥田太郎 監訳/和田 慈・清水右郷 訳