内 容
17世紀に成立した西洋近代科学は、神に由来する自然の秩序と合目的性を見いだすことを目的としていた。本書は、常識化された科学と宗教の闘争史観を排し、元来宗教に一体化していた科学がイギリス自然神学の中から分離・自立していく過程をダーウィンの進化論に即して克明に究明する。
目 次
まえがき
序 章 科学と宗教に関する研究展望
第1章 イギリス自然神学の成立と展開
1 自然神学とはなにか
2 科学革命と自然神学
3 自然神学の確立
4 ペイリーの自然神学
第2章 地質学の発展と自然神学
1 ウェルナーとハットン
2 バックランドの地質学
3 歴史地質学の発展
4 聖書地質学の反撃
5 ライエル神話
第3章 ブリッジウォーター論集
1 論集の成立事情
2 論集の内容
3 論集の受容
4 スコットランド福音派の自然神学
第4章 広教会派と高教会派
1 イングランド教会の状況
2 ケンブリッジ広教会派
3 聖書批判学の導入
4 オックスオード運動
5 オックスオード広教会派
6 イギリス科学振興協会の設立
7 ゴーラム事件とその波紋
第5章 『創造の自然史の痕跡』の衝撃
1 『痕跡』の背景
2 『痕跡』の内容
3 『痕跡』の反響
4 世界の複数性論争
第6章 『論文と評論』の反響
1 著者たちとその論文
2 三大評論誌の書評
3 非難の渦
4 宗教裁判
5 科学者たちの反応
6 コレンゾウ事件
第7章 『種の起源』の反響
1 ダーウィン進化論の形成
2 ウィルバーフォース主教のダーウィン批判
3 ダーウィニズムの受容とキリスト教
4 科学と宗教の分離へ
5 イギリスの特殊性
あとがき
文献解題
人名索引