内 容
環境変動、グローバル化、感染症など、ますます加速する変化と、それに伴う分断のなかで、教育はいかなる役割を果たせるのか? 変革にただ即応するだけではない粘り強い思考力を養い、より良い教育をめざす問いを手放さない教師になるための、最良の教育学入門。
執筆者一覧
(執筆順、*は編者)
*松下晴彦 (序章、第1章) 内田康弘 (第9章)
三尾真琴 (第2章) 内田 良 (第10章)
塚原利理 (第3章) 龍崎 忠 (第11章)
岩瀬真寿美(第4章) 生澤繁樹 (第12章)
石倉瑞恵 (第5章) 伊藤博美 (第13章)
虎岩朋加 (第6章) 藤原直子 (第14章)
*伊藤彰浩 (第7章) *服部美奈 (第15章、終章)
松岡 靖 (第8章) 松本麻人 (第16章)
目 次
序 章 教育原理を組みなおす
はじめに
1 変革の時代と21世紀の課題
2 教育者の課題
3 本書の構成と学習のポイント
第Ⅰ部 変革の時代の教育へ
第1章 教育学とはどのような学問か
—— 教育論から教育学へ
はじめに
1 何が「教育」と呼ばれてきたのか
2 education の意味の変遷
3 近代の教育論の展開
4 学問としての教育学とその多元化
おわりに
コラム ナチュラル・ペダゴジー
Taking Sides 教育は個人のためか社会のためか
第2章 子ども・経験・共同体
—— 近代教育以前の人間形成
はじめに
1 江戸時代の民衆教育にみる人間形成
2 「教えることのない共同体」と近代化
3 非認知能力の獲得と学びに向かう力
おわりに
コラム アクティブ・ラーニング
Taking Sides インクルーシブ教育は子どもの学びに寄与するか
第3章 家族・学校・社会
—— 教育する家族の誕生
はじめに
1 〈子ども〉の発見と教育する家族の誕生
2 学校の誕生 —— 見習修行から学校教育へ
3 「教育する家族」の変遷
おわりに
コラム アーキテクチャ
Taking Sides 学校はしつけの場なのか
第4章 道徳教育の歴史と展望
—— 寛容なあり方を目指して
はじめに
1 道徳思想の多様性 —— 古代から近代へ
2 日本の道徳教育の歴史 —— 明治から現代へ
3 日本の道徳教育の理解 —— アメリカの道徳理論からの視点
4 自律的道徳主体をこえて
おわりに
コラム 脳科学と道徳
Taking Sides 道徳は教えられるか
第5章 教育成果のユニバーサル・デザイン
はじめに
1 DeSeCo のコンピテンシー概念
2 PISA の測定手法と日本の調査結果
3 PISA 以降の諸外国の教育動向
4 評価指標から学習方向性へ
おわりに
コラム Society5.0
Taking Sides PISA による国際比較は有意義か
第Ⅱ章 変革のさなかにある教育
第6章 測定の科学と教育評価
—— 誰が何のために測るのか
はじめに
1 統計学の成立と国家の介入
2 測定から評価へ
3 教育評価の現在とその課題
おわりに
コラム 統計からみる正常と病理
Taking Sides 標準化テストはやめるべきか
第7章 学校と不平等
はじめに
1 メリトクラシーをめぐる理論
2 不平等の再生産
3 学校に何ができるか
おわりに
コラム 貧困と自己責任
Taking Sides 遺伝的個人差を考慮して教育内容は変えるべきか
第8章 学校教育批判の系譜
はじめに
1 20世紀の学校教育批判
2 批判的教育学の理論と実践
3 自律的主体の脱構築
おわりに
コラム 近代学校教育とアイヌ民族
Taking Sides 教育は伝達か対話か
第9章 情報通信技術と教育
——「学校教育の情報化」と冷静に向き合う
はじめに
1 「学校教育の情報化」の現在地
2 学びの新常態
3 高度情報通信社会における情報教育の課題
おわりに
コラム 教育の「クラウド化」
Taking Sides ICT は学校教育を変えるか
第10章 教師の仕事
はじめに
1 時間管理なき長時間労働
2 法制度と教師文化
3 制度設計なき部活動
おわりに
コラム 学校依存社会
Taking Sides リスクとベネフィットどちらをとるか
第Ⅲ部 変化の時代の先へ
第11章 デモクラシーと未来の学び
はじめに
1 デューイの教育実践
2 非認知能力を育む学び
3 多様な学びの実践
おわりに
コラム STEAM 教育
Taking Sides 人間の諸能力は個人のものか社会のものか
第12章 科学技術と人間
はじめに
1 社会と教育を変革する科学技術
2 科学技術と支配
3 探究する市民を育む
おわりに
コラム 教育における因果とエビデンス
Taking Sides 科学的事実は社会的に構成されるか
第13章 学校教育とケア
—— ケアと学びの関係
はじめに
1 学校における「ケア」
2 ケアを基盤とする学校教育
3 学校と地域の関わり
おわりに
コラム 「自立」の見直し
Taking Sides ケア倫理はリベラリズムの継承者か
第14章 性の多様性と教育
はじめに
1 性の多様性という視点
2 学校教育とジェンダー・セクシュアリティ
3 多様な性が尊重される学習環境づくり
おわりに
コラム 包括的な性教育にむけて
Taking Sides 性別を入学要件とする教育機関は廃止すべきか
第15章 ポスト世俗化社会における宗教教育
はじめに
1 公共宗教論にみる宗教の公的役割
2 宗教教育の形態と役割
3 諸外国における宗教教育
4 一般知と宗教知
おわりに
コラム 「文明の衝突」以降
Taking Sides 公立学校においてムスリムのスカーフ着用を認めるか
第16章 共生時代における「グローバル市民」の育成
はじめに
1 グローバル人材とグローバル市民
2 グローバル市民の育成 —— ESD と GCED
3 東アジアにおけるグローバル市民教育
おわりに
コラム 日韓のユネスコスクールの教員交流
Taking Sides グローバル市民にとって英語は必須能力であるか
終 章 ポスト変革の時代の「教育の未来」
—— よい教育とはなにか
はじめに
1 脆弱な世界に生きること
2 「首尾一貫感覚」という視点
3 教育改革の方向性と課題
おわりに
参考文献
あとがき
索 引