内 容
日常生活から哲学・文学・芸術、ポリスや王国の統治まで、ギリシア人の「文明」は実は宗教と切り離すことができない。神々や英雄に祭礼・祈りを捧げるなかで、人々は何を経験していたのか。人類学の知見や最新の考古資料も参照しながら、多様性に満ちた信仰の根幹をとらえた、第一人者による格好の案内。
著者紹介
ロバート・パーカー
(Robert Parker)
1950年イングランド生まれ。オクスフォード大学で博士号を取得。1996年に同大学ウィッカム古代史教授、2016年より同名誉教授、1998年より英国学士院会員。主著に Athenian Religion: A History(Oxford, 1996)、Polytheism and Society at Athens(Oxford, 2005)、Religion in Roman Phrygia: From Polytheism to Christianity(Oakland, Calif., 2023)など。
(所属などは本邦訳刊行時のものです。)
目 次
序 文
第1章 なぜ啓示も受けずに信じるのか
—— ギリシア宗教の証拠
証 拠
神託による啓示
書物の役割
神話の語られる場
神話と宗教
神話の不安定さ
儀礼と信仰
啓示としての倫理的な直感 —— 神はいかにあるべきか
神々についてどこまで発言の自由があったのか
第2章 教会を持たない宗教
—— ギリシアにおける宗教的権威
民会における聖なる用務
男神官と女神官
ポリス宗教
ずっとそうだったのか
第3章 ギリシアの神々を分析する
匿名の集合としての「神々」、名前のある神々、添え名のある神々
ローカルな
自然の力と神格化された抽象概念
オリュンポス系と
神々のさまざまな「権能」—— 構造主義的アプローチ
まとめ —— ギリシアの
第4章 英雄たちの力と性質
英雄たちの性質
英雄たちの力
第5章 屠殺、饗宴、
供犠の二面性 —— 饗宴としての供犠、交信としての供犠
変種の迷宮 —— 標準的でない食餌供犠の諸形態
供犠と集団
屠殺が問題となるところ —— 屠殺供犠と「供犠」の統一性の問題
「生食」とその他の
エンドノート —— 死者のための流血を伴う供犠
第6章 祝祭の経験
祝祭の
神の死または消失
神の結婚?
「新生活」と季節
現在における過去 ——
都市は自らを祝い、若者を祝う
無秩序で無礼な祝祭
社会の反転
畏れと恐怖?
祝祭と役の割当
祝祭と歴史
第7章 ギリシア人の宗教的経験の多様性
場 所
社会的な立場
ジェンダー
特殊なニーズ —— アキレウス、ディオメデス、そして船乗り
「公的」宗教にみる多様性
私的な結社
秘 儀
誕生としての死 —— 来世への高い希望
呪縛と呪術
御意のままに
補 論
補論1 祭祀に関しての神への助言うかがい
補論2 新しい神を受け入れること
補論3 人間を崇拝すること、および神々の本性
補論4 地下系神格への供犠のタイプ?
補論5 英雄祭祀の初期の歴史
謝 辞
日本語版へのあとがき
訳者あとがき
註
参考文献
索 引