内 容
アメリカ合衆国といえば、一体となった大陸本土の地図が思い浮かぶ。だが歴史上は、ハワイ、フィリピン、プエルトリコをはじめ多数の海外領土や内陸准州を保持してきた。アメリカは辺境との関係で、また辺境の地で何をしてきたのか。なぜそれは見えなかったのか ——。新たな帝国像とともにアメリカのリアルな姿を明るみに出す卓抜な通史。
「真珠湾、ゴジラ、ソニー、007、海鳥の糞、道路標識、ネジ山の角度、ウエスト・サイド物語、経口避妊薬、孤島、ビートルズ、英語、ピースマーク、そして今話題のグリーンランド、パナマ運河……。連想遊びではない。一見、無関係に思われるこれらの言葉・事象が、本書を読めばあたかも魔法のごとく、すべてつながってゆく」(「監訳者あとがき」より)
著者紹介
ダニエル・イマヴァール
(Daniel Immerwahr)
1980年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校にて博士号(歴史学)取得。現在、ノースウェスタン大学教授。専門はアメリカ外交史、グローバル・ヒストリー。本書によりロバート・H・フェレル賞を受賞。また本書は、『ニューヨーク・タイムズ』の2019年トップ・ブックスの一冊、『シカゴ・トリビューン』の2019年ベスト・ブックスの一冊に選ばれた。他の著作に、Thinking Small: The United States and the Lure of Community Development(2015年)などがある。
(所属などは本邦訳刊行時のものです。)
目 次
はじめに —— ロゴ・マップを超えて
用語解説
第Ⅰ部 植民地帝国
第1章 ダニエル・ブーンの栄枯盛衰
第2章 インディアン・カントリー
第3章 知りたいが聞きにくいグアノのすべて
第4章 テディ・ローズヴェルトの最良の日
第5章 帝国の心性
第6章 自由の喊声を高らかに歌いながら
第7章 特権的な空間の外で
第8章 ホワイト・シティ
第9章 国境なき医師たち
第10章 要塞アメリカ
第11章 戦争国家
第12章 男には死なねばならぬ時がある
第Ⅱ部 点描法帝国
第13章 キルロイ参上
第14章 アメリカの脱植民地化
第15章 アメリカでは誰も知らないけど、プエルトリコはアメリカにあるわ
第16章 シンセティカ――合成物の新世界
第17章 これこそ神のなせる業だ
第18章 赤い八角形の帝国
第19章 言語はウイルス
第20章 力こそが主権だ、ボンド君
第21章 ベースランディア —— 基地の国
第22章 点と点の戦争
おわりに —— おわりなき帝国
謝 辞
日本語版へのあとがき
監訳者あとがき
註
図版一覧
索 引
関連書
『記念碑の語るアメリカ』 ケネス・E・フット 著/和田光弘・森脇由美子・久田由佳子・小澤卓也・内田綾子・森 丈夫 訳