2025年度書評一覧
「読売新聞」 [2025年4月27日付] から(評者:岡本隆司氏)
中国の産業政策
主導権獲得への模索
丸川知雄著『中国の産業政策』が、「読売新聞」(2025年4月27日付)で紹介されました。米中対立の一大焦点と化した中国の産業政策。国際競争力や技術力に与えた真の効果をめぐり、中央・地方の開発戦略や企業データを徹底分析、鉄鋼から半導体・EVまで重要産業を網羅し、誤解にもとづく脅威論を退けてその全貌と限界を描きます。日本への示唆にも富んだ、第一人者による決定版。
丸川知雄 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・400頁
ISBN978-4-8158-1187-7 C3033
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『図書新聞』 [2025年4月26日号、第3685号] から(評者:中谷直司氏)
日本の中国占領地支配
イギリス権益との攻防と在来秩序
吉井文美著『日本の中国占領地支配』が、『図書新聞』(2025年4月26日号、第3685号、武久出版発行)で紹介されました。満洲事変以降、固有の矛盾と制約をはらんだ日本の中国支配において、外国資本や海関制度の掌握にむけた試みは前例のない展開をみせた。既存の法秩序や欧米の利権を残存させたまま進んだ特殊な支配の内実を、見過ごされてきた在華外国人の反応の諸相とともに、日・英・中の視点をクロスさせ立体的に描き出します。
吉井文美 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・330頁
ISBN978-4-8158-1169-3 C3021
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『歴史評論』 [2025年5月号、第901号] から(評者:毛利英介氏)
ユーラシア東方の多極共存時代
古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』が、『歴史評論』(2025年5月号、第901号、歴史科学協議会発行)で紹介されました。遊牧王朝と中国王朝、なぜ数百年間も併存できたのか ——。モンゴル帝国による統合以前のユーラシア東方では、複数の国家が並び立っていた。契丹(遼)と北宋の盟約による「澶淵体制」、さらには金(女真)の時代の国際関係に焦点を当て、考古資料も活用しつつ、外交・儀礼・信仰から歴史編纂まで東洋史・中国史像を刷新します。
古松崇志 著
税込14,300円/本体13,000円
A5判・上製・836頁
ISBN978-4-8158-1150-1 C3022
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『科学基礎論研究』 [52巻1-2号、2025年3月] から(評者:中根美知代氏)
科学ジャーナルの成立
アレックス・シザール著『科学ジャーナルの成立』が、『科学基礎論研究』(52巻1-2号、2025年3月、科学基礎論学会発行)で紹介されました。学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かします。
アレックス・シザール 著
柴田和宏 訳/伊藤憲二 解説
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・376頁
ISBN978-4-8158-1145-7 C3022
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「読売新聞」 [2025年4月20日付] から(評者:岡美穂子氏)
豊臣政権の統治構造
谷徹也著『豊臣政権の統治構造』が、「読売新聞」(2025年4月20日付)で紹介されました。秀吉の「天下一統」は、日本・東アジアの近世化をいかに導いたのか。それは単なる「専制」だったのか。実務を担う奉行らと自律的な在地社会の交渉から、複数の〈首都〉の成立、朝鮮侵略による転換まで、支配機構の全容と政策の柔軟性を一貫した視座で把握し、政権像を鮮やかに更新します。
谷 徹也 著
税込8,800円/本体8,000円
A5判・上製・624頁
ISBN978-4-8158-1181-5 C3021
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『月刊美術』 [2025年5月号] から
「東洋」の変貌
近代日本の美術史像とペルシア
ザヘラ・モハッラミプール著『「東洋」の変貌』が、『月刊美術』(2025年5月号、サン・アート発行)で紹介されました。〈東洋芸術〉とは何か ——。近代日本において歴史像が刷新されるなかで、「東洋」は拡大・変容していった。ペルシア芸術を焦点として、伊東忠太・黒板勝美ら学術界、美術商や展覧会、メディア・思想などのグローバルな動向を結びつけ、今日の美術史が確立されていく過程を丹念に掘り起こした挑戦作。
ザヘラ・モハッラミプール 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・430頁
ISBN978-4-8158-1182-2 C3071
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『キネマ旬報』 [2025年5月号] から(評者:岡田秀則氏ほか)
淀川長治
「映画の伝道師」と日本のモダン
北村洋著『淀川長治』が、『キネマ旬報』(2025年5月号、キネマ旬報社発行)の「映画ブッキッシュ・デイズ」と「映画本大賞 2024」で紹介されました。俳優でもなく監督でもないが、この人なくして映画は語れない ——。『日曜洋画劇場』の解説で人気を博した「サヨナラおじさん」こと淀川長治。映画会社の宣伝員、雑誌編集者、批評家など、いくつもの顔をもつこの人物は何者だったのか。膨大な資料を博捜し、多様な価値観を包摂する変革者=映画人の思想・仕事・人生を描きあげます。
北村 洋 著
税込4,950円/本体4,500円
A5判・上製・304頁
ISBN978-4-8158-1178-5 C3074
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『外交』 [第90号、2025年3・4月] から
PKOの思想
その実践を紡ぎだすもの
山下光著『PKOの思想』が、『外交』(第90号、2025年3・4月、外務省発行)で紹介されました。なぜPKOに協力するのか。紛争後の国家・社会はいかなる形をとるべきか。そもそも平和とは何か。現場の実践に深くビルトインされた概念を根本から問い直し、多岐にわたる活動を貫き支えるPKOの本質を鋭く析出。内在する緊張や矛盾をも正面から見つめ、理想論をこえてその行方を展望します。
山下 光 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・248頁
ISBN978-4-8158-1179-2 C3031
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「読売新聞」 [2025年4月13日付] から(評者:佐橋亮氏)
強制送還の国際社会学
「ヒスパニック」系移民とアメリカのゆくえ
飯尾真貴子著『強制送還の国際社会学』が、「読売新聞」(2025年4月13日付)で紹介されました。「史上最大」とも称される国外追放政策は、移民社会に何をもたらすのか。米国とメキシコをつなぐ画期的な調査を通して、取締り・収容から帰国後のさらなる困難、分断される家族、再移動の試みまで、一国に限定された視野では捉えきれない強制送還の全容を力強く描き出し、移民論の新領域を拓きます。
飯尾真貴子 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・334頁
ISBN978-4-8158-1190-7 C3036
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『週刊読書人』 [2025年3月28日号、第3583号] から(評者:河内将芳氏)
豊臣政権の統治構造
谷徹也著『豊臣政権の統治構造』が、『週刊読書人』(2025年3月28日号、第3583号、読書人発行)で紹介されました。秀吉の「天下一統」は、日本・東アジアの近世化をいかに導いたのか。それは単なる「専制」だったのか。実務を担う奉行らと自律的な在地社会の交渉から、複数の〈首都〉の成立、朝鮮侵略による転換まで、支配機構の全容と政策の柔軟性を一貫した視座で把握し、政権像を鮮やかに更新します。
谷 徹也 著
税込8,800円/本体8,000円
A5判・上製・624頁
ISBN978-4-8158-1181-5 C3021
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『同志社時報』 [第159号、2025年4月] から
中国共産党の神経系
情報システムの起源・構造・機能
周俊著『中国共産党の神経系』の自著紹介が、『同志社時報』(第159号、2025年4月、同志社発行)に掲載されました。秘密主義のベールを乗り越える ——。毛沢東ら共産党中枢は、全知の支配者でも無知な指導者でもなかった。社会の実態を掴むべく形作られた制度はどのように作動したのか。今日にも通底する、一党支配下の情報収集・利用のあり方を膨大な史料により解明、中国政治の理解を一新します。
周 俊 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・478頁
ISBN978-4-8158-1152-5 C3031
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「読売新聞」 [2025年3月30日付] から(評者:岡本隆司氏)
モンスーン経済
水と気候からみたインド史
ティルタンカル・ロイ著/小林和夫訳『モンスーン経済』が、「読売新聞」(2025年3月30日付)で紹介されました。水への安定したアクセスなしに、熱帯アジアの持続的な経済発展はありえなかった —— 飢饉やコレラとの闘い、井戸をめぐるカースト間の対立、失業と停滞を生む乾季への対処など、成長のボトルネックとなった過酷な環境との交渉に焦点をあて、西洋とは異なる新たな発展モデルを提示します。
ティルタンカル・ロイ 著
小林和夫 訳
税込3,960円/本体3,600円
四六判・上製・240頁
ISBN978-4-8158-1176-1 C3022
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『歴史学研究』 [2025年4月号、第1060号] から(評者:岩田啓介氏)
近代チベット政治外交史
清朝崩壊にともなう政治的地位と境界
小林亮介著『近代チベット政治外交史』が、『歴史学研究』(2025年4月号、第1060号、歴史学研究会編)で紹介されました。仏教を介して中国と特別な関係を結び、広大な領域を治めたダライ・ラマ政権。東アジア国際秩序の構造転換を前に、彼らは勢力を維持すべくいかに行動したのか。そこで主張された「独立」「自治」の意味とは何か。現代に至るチベット問題の起源を、チベット語を中心とする貴重な一次史料にもとづき究明した画期的成果。
小林亮介 著
税込7,920円/本体7,200円
A5判・上製・430頁
ISBN978-4-8158-1146-4 C3022
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『アジア経済』 [第66巻第1号、2025年3月] から(評者:内藤寛子氏)
派閥の中国政治
毛沢東から習近平まで
李昊著『派閥の中国政治』が、『アジア経済』(第66巻第1号、2025年3月、ジェトロ・アジア経済研究所発行)で紹介されました。公式には存在を否認されながら、権力闘争や政策論争の展開を根本で規定してきた中国共産党の派閥集団。その隠れた実態とダイナミズムをクリアに描出し、建国以前から文化大革命や改革開放を経て現在に至る流れを新たな視点で再解釈します。権威主義体制において派閥が担う真の役割とは?
李 昊 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-1131-0 C3031
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『アジア経済』 [第66巻第1号、2025年3月] から(評者:中村尚史氏)
日本帝国圏鉄道史
技術導入から東アジアへ
沢井実著『日本帝国圏鉄道史』が、『アジア経済』(第66巻第1号、2025年3月、ジェトロ・アジア経済研究所発行)で紹介されました。帝国日本の「骨格」はいかに形成されたのか。欧米から吸収した最先端の鉄道技術が朝鮮・満洲といった外地において固有の仕方で実践され、戦後へとつながる一大鉄道ネットワークの構築に至る歩みを、技術者など人的資源の移転を軸に隅々まで捉え、比類なきスケールで鉄道史を描き直します。
沢井 実 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・340頁
ISBN978-4-8158-1135-8 C3021
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『アジア経済』 [第66巻第1号、2025年3月] から(評者:足立真理氏)
インドネシア政治とイスラーム主義
ひとつの現代史
茅根由佳著『インドネシア政治とイスラーム主義』が、『アジア経済』(第66巻第1号、2025年3月、ジェトロ・アジア経済研究所発行)で紹介されました。多様な宗教を包摂する「民主化の成功国」で、「不寛容」の烙印を押されたイスラーム主義者の系譜がなぜ人々を糾合できたのか。デモクラシーと排他性の間で揺れてきた彼らの活動を軸に、インドネシアにおける政治と宗教のダイナミズムを、独立期からSNSの時代まで総体的に捉え直した、俊英の力作。
茅根由佳 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・282頁
ISBN978-4-8158-1134-1 C3031
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『史学雑誌』 [第134編第2号、2025年2月号] から(評者:柴田広志氏)
アレクサンドロス以後
長いヘレニズムとギリシア世界
アンゲロス・ハニオティス著/藤井崇訳『アレクサンドロス以後』が、『史学雑誌』(第134編第2号、2025年2月号、史学会発行)で紹介されました。人・物・アイデアの活発な移動、メガシティや新宗教の出現、市民の政治参加とその浸蝕 ——。西地中海から中央アジアまでひろがった言語・制度・文化は、在地社会と交わりながらかつてない光景をもたらした。ローマ支配下でも継続したギリシア人の「グローバル」な拡散・統合を、500年のスパンで展望する画期的通史。
アンゲロス・ハニオティス 著
藤井 崇 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1170-9 C3022
在庫有り
『史学雑誌』 [第134編第2号、2025年2月号] から(評者:李美奈氏)
ヴェニスのユダヤ人
ゲットーと地中海の500年
リッカルド・カリマーニ著『ヴェニスのユダヤ人』(藤内哲也監訳/大杉淳子訳)が、『史学雑誌』(第134編第2号、2025年2月号、史学会発行)で紹介されました。隔離か、共生か ——。差別と寛容の狭間で、豊かな文化を育んだヴェネツィアのユダヤ人たち。16世紀から現代にいたるヨーロッパ・地中海世界の激動の歴史のなかで、金融業や商業、さらには政治・宗教・思想など多様な領域で活躍した「シャイロックたち」と、水の都が織りなす500年の物語。
リッカルド・カリマーニ 著
藤内哲也 監訳/大杉淳子 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・392頁
ISBN978-4-8158-1156-3 C3022
在庫有り
『企業家研究』 [第25号、2025年2月] から(評者:田中幹大氏)
在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開
谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、『企業家研究』(第25号、2025年2月、企業家研究フォーラム発行)で紹介されました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。
谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1149-5 C3033
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『経済研究』 [J-STAGE早期公開 2025年2月28日] から(評者:斎藤修氏)
在来的発展と大都市
20世紀日本における中小経営の展開
谷本雅之著『在来的発展と大都市』が、『経済研究』(J-STAGE早期公開 2025年2月28日、一橋大学経済研究所発行)で紹介されました。最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてます。
谷本雅之 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-1149-5 C3033
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『経済研究』 [J-STAGE早期公開 2024年12月20日] から(評者:佐藤正広氏)
日本統治下の台湾
開発・植民地主義・主体性
平井健介著『日本統治下の台湾』が、『経済研究』(J-STAGE早期公開 2024年12月20日、一橋大学経済研究所発行)で紹介されました。半世紀に及ぶ支配のなかで、台湾は何を経験したのか。経済開発を軸として社会の隅々にまで及んだ統治の実態と、環境の激変を生き抜く台湾人の主体性を同時に捉え、日本最初の植民地における「近代化」の全容と限界を描き出します。「収奪」一色でも賛美・肯定でもない、信頼できる通史の決定版。
平井健介 著
税込3,960円/本体3,600円
四六判・上製・386頁
ISBN978-4-8158-1158-7 C3022
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「読売新聞」 [2025年3月16日付] から(評者:出口治明氏)
経済成長の日本史
古代から近世の超長期GDP推計 730-1874
高島正憲著『経済成長の日本史』が、「読売新聞」(2025年3月16日付)読書欄の「昭和百年百冊 歴史を考える」で紹介されました。奈良時代~近代初頭にいたる列島経済の展開を一望、最貧国水準を抜け出し、1人あたりGDPが着実な上昇に転じていく過程を、利用可能な数値の精査と多様な文献の活用により、災害・飢饉・環境・都市化なども視野に解明。はじめて日本の超長期GDP推計を実現し、日本史の新たな扉を開きます。
高島正憲 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・348頁
ISBN978-4-8158-0890-7 C3033
在庫有り
『図書新聞』 [第3680号、2025年3月22日号] から(評者:安井大輔氏)
食の豊かさ 食の貧困
近現代日本における規範と実態
上田遥著『食の豊かさ 食の貧困』が、『図書新聞』(第3680号、2025年3月22日号、武久出版発行)で紹介されました。「善き食生活」とは何か ——。「崩食」を背景として、栄養学や伝統・自然など多様な指針が乱立するいま、食の豊かさ/貧困をどう再定義するかが問われている。社会学と倫理学を結び合わせて「食潜在能力」の考え方を提示し、日本食文化の歴史的考察と現代の食卓調査から、私たちの食生活を問い直す力作。
上田 遥 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・368頁
ISBN978-4-8158-1166-2 C3036
在庫有り
『図書新聞』 [第3680号、2025年3月22日号] から(評者:遠藤直子氏)
アレクサンドロス以後
長いヘレニズムとギリシア世界
アンゲロス・ハニオティス著/藤井崇訳『アレクサンドロス以後』が、『図書新聞』(第3680号、2025年3月22日号、武久出版発行)で紹介されました。人・物・アイデアの活発な移動、メガシティや新宗教の出現、市民の政治参加とその浸蝕 ——。西地中海から中央アジアまでひろがった言語・制度・文化は、在地社会と交わりながらかつてない光景をもたらした。ローマ支配下でも継続したギリシア人の「グローバル」な拡散・統合を、500年のスパンで展望する画期的通史。
アンゲロス・ハニオティス 著
藤井 崇 訳
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・410頁
ISBN978-4-8158-1170-9 C3022
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『社会経済史学』 [第90巻第4号、2025年2月] から(評者:加島潤氏)
「満洲国」以後
中国工業化の源流を考える
松本俊郎編『「満洲国」以後』が、『社会経済史学』(第90巻第4号、2025年2月、社会経済史学会発行)で紹介されました。戦後の混乱と破壊を乗りこえ、社会主義化の最前線かつ最大の生産拠点へと成長した中国東北。鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、帝国支配の「遺産」が時代をこえて幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描きます。
松本俊郎 編
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
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『西洋史学』 [第278号、2024年12月] から(評者:亀長洋子氏)
近世東地中海の形成
マムルーク朝・オスマン帝国とヴェネツィア人
堀井優著『近世東地中海の形成』が、『西洋史学』(第278号、2024年12月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。古くから東西交易の要衝として栄えた「レヴァント」。中世から近世への転換のなか、イスラーム国家とヨーロッパ商人の「共生」を支えてきた秩序の行方は? オスマン条約体制や海港都市アレクサンドリアのありようから、異文化接触の実像を明らかにするとともに、東アジアに及ぶ「治外法権」の淵源をも示した力作。
堀井 優 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・240頁
ISBN978-4-8158-1053-5 C3022
在庫有り
『西洋史学』 [第278号、2024年12月] から(評者:石原俊時氏)
社会をつくった経済学者たち
スウェーデン・モデルの構想から展開へ
藤田菜々子著『社会をつくった経済学者たち』が、『西洋史学』(第278号、2024年12月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。不況・戦争など直面する危機を乗り越え、福祉先進国の礎を築いた経済学者たち。ケンブリッジ学派と双璧をなしたスウェーデン経済学の全体像を、彼らの政治・世論との深いかかわりとともに初めて解明、福祉国家への合意を導いた決定的役割と、現代におけるその変容までを鮮やかに描き出します。
藤田菜々子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・438頁
ISBN978-4-8158-1097-9 C3033
在庫有り
『西洋史学』 [第278号、2024年12月] から(評者:根占献一氏)
殉教の日本
近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック
小俣ラポー日登美著『殉教の日本』が、『西洋史学』(第278号、2024年12月、日本西洋史学会発行)で紹介されました。キリスト教文化にとって、日本は〈暴虐と聖性の国〉だった。グローバルな宣教のなかで、驚くべきイメージはどのように成立・普及したのか。長崎二十六殉教者の列福やその聖遺物の行方、さらには多様な殉教伝・磔図像・残酷劇などを跡づけ、東西をつなぐ新たな「双方向の歴史」を実践します。
小俣ラポー日登美 著
税込9,680円/本体8,800円
A5判・上製・600頁
ISBN978-4-8158-1119-8 C3022
在庫有り
『文明動態学』 [第4号、2025年3月] から(評者:渡辺健哉氏)
ユーラシア東方の多極共存時代
大モンゴル以前
古松崇志著『ユーラシア東方の多極共存時代』が、『文明動態学』(第4号、2025年3月、岡山大学文明動態学研究所発行)で紹介されました。遊牧王朝と中国王朝、なぜ数百年間も併存できたのか ——。モンゴル帝国による統合以前のユーラシア東方では、複数の国家が並び立っていた。契丹(遼)と北宋の盟約による「澶淵体制」、さらには金(女真)の時代の国際関係に焦点を当て、考古資料も活用しつつ、外交・儀礼・信仰から歴史編纂まで東洋史・中国史像を刷新します。
古松崇志 著
税込14,300円/本体13,000円
A5判・上製・836頁
ISBN978-4-8158-1150-1 C3022
在庫有り
『読書アンケート 2024(みすず)』 [2025年2月] から
『読書アンケート 2024(みすず)』(2025年2月、みすず書房発行)で、以下の図書が紹介されました。
【関智英氏による紹介】
古松崇志著
『ユーラシア東方の多極共存時代 —— 大モンゴル以前』
吉井文美著
『日本の中国占領地支配 —— イギリス権益との攻防と在来秩序』
【板橋拓己氏による紹介】
川村陶子著
『〈文化外交〉の逆説をこえて —— ドイツ対外文化政策の形成』
【斎藤修氏による紹介】
B. ファン・バヴェル著/友部謙一・加藤博・大月康弘・田口英明訳
『市場経済の世界史 —— 見えざる手をこえて』
「読売新聞」 [2025年3月2日付] から(評者:岡美穂子氏)
戦国家法の形成と公界
『結城氏新法度』と『相良氏法度』を読む
安野眞幸著『戦国家法の形成と公界』が、「読売新聞」(2025年3月2日付)で紹介されました。戦国大名の領国経営を土台から捉え直す ——。君臣関係、軍事、賞罰、課役、契約など、多様な規定を含む家法。そこに現れる公界とは何か。当主の支配確立の取組みから、武士・百姓・下人のあり様、そして流通・金融を担う商人との関係まで、法文の精緻な読解により、新たな歴史像を立ち上げます。
安野眞幸 著
税込13,200円/本体12,000円
A5判・上製・576頁
ISBN978-4-8158-1177-8 C3021
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