内 容
俳優でもなく監督でもないが、この人なくして映画は語れない ——。『日曜洋画劇場』の解説で人気を博した「サヨナラおじさん」こと淀川長治。映画会社の宣伝員、雑誌編集者、批評家など、いくつもの顔をもつこの人物は何者だったのか。膨大な資料を博捜し、多様な価値観を包摂する変革者=映画人の思想・仕事・人生を描きあげる。
目 次
プロローグ ——「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」を超えて
第1章 下町のモダン・ボーイ
1 モダニティの片隅で
2 淀川少年の映画体験
3 中学時代の「モダンライフ」
4 児童雑誌という「教室」
5 創作への意欲と傾倒
おわりに
第2章
1 中学は出たけれど……
2 投書というカーニヴァル的活動
3 男性・女性・映画
4 「紹介記事」の内容
おわりに
第3章 アメリカ映画の商人
1 ユナイテッド・アーチスツ社大阪支社
2 東京本社へ
3 『駅馬車』を宣伝する
おわりに
第4章 戦争・東宝・セントラル
1 開戦と移籍
2 『東宝』から東宝へ
3 戦争と占領の間
4 セントラル映画社へ
おわりに
第5章 映画運動の勃興
1 『映画の友』の復活
2 編集長・淀川長治
3 「友の会」
4 アメリカ映画の「見方」
5 アメリカ映画の「社会性」
6 「駄作」の批判
おわりに
第6章 編集から批評へ
1 「アメリカ」から「世界」へ
2 アメリカとのさらなる接近
3 「批評」の開花
4 「紹介批評」の展開
おわりに
第7章 ブラウン管の劇場
1 「テレビ時代」の到来
2 テレビを擁護する
3 『ララミー牧場』の衝撃
4 『日曜洋画劇場』へ
おわりに
第8章
1 淀川長治百花繚乱
2 「感覚」で観よう
3 「過去」への渇望
4 ハリウッドの「斜陽」
5 「モダン」への尽きない眼差し
おわりに
第9章 「日本映画は観ていない」
1 戦前から占領へ
2 邦画の可能性
3 批判から称賛へ
4 日本映画は「嫌い」
5 淀川長治と4人の監督たち
おわりに
エピローグ —— 淀川長治の死を超えて
本書で用いた淀川関連の文献・資料について
注
あとがき
図表一覧
索 引
関連書
『フィルム・アート』 D.ボードウェルほか著/藤木秀朗 監訳