内 容
デジタル技術は映画の製作・流通・受容を劇的に変え、日本映画をグローバル市場に押しだした。Jホラーやアニメーションからドキュメンタリー・民族映画まで、作品に即してメディア収束下の新たな映画文化を捉えるとともに、「トランスナショナル」の実像を見つめる画期的な現代映画論。
目 次
序 章
ポスト撮影所時代における文化地勢図の変容
日本におけるメディアの収束
デジタル技術
文化的想像力の中のトランスナショナル性
第1章 ホラー映画におけるニューメディアの影響
デジタル製作への移行
新たな図像とニューメディアの修辞学
DVDと流通・消費の新たなパラダイム
グローバル市場における日本映画
「映画」の歴史的コンテクストの消失
第2章 デジタル的な「真実らしさ」
ドキュメンタリー・スタイルによる物語映画、『誰も知らない』
リアルな映画、『垂乳女』
『新しい神様』と私的ドキュメンタリー
第3章 「個人的な」アニメーション
北米の学術研究におけるアニメ言説の構築
アニメとメディアの収束、押井守の場合
「個人的」製作によるアニメ、新海誠の場合
「日本的」アニメーション、山村浩二の場合
第4章 トランスナショナル・シネマに見る国家
中国語映画と北欧映画の場合
「トランスナショナル」を遠く離れて
国境、曖昧化すれども決して完全に超越することのできないもの
グローカリゼーション、地域戦略からグローバル現象へ
『ホテル・ヴィーナス』の場合
『ホテル・ヴィーナス』のトランスナショナル性とは?
補 論 『トランスナショナル・ジャパン』との対話
第5章 日本の文化的想像力と民族映画
「情動」としての映画的暴力
民族映画
スターの力と日本の文化的想像力
終 章
「テレビ映画」
メディア・コンテンツをめぐる国家政策
あとがき
注
参考文献
人名・作品名索引
書 評
関連書
『アニメ・エコロジー』 トーマス・ラマール 著/上野俊哉 監訳/大﨑晴美 訳