内 容
大衆文化のつくり上げた近代 ——。日本の近代という比類ない「国民的」経験に、映画はどのように関わったのか。東京の都市空間、小市民映画ジャンル、近代スポーツ、女性映画、松竹蒲田調スタイルを焦点に、日本映画の最も魅力的な時代を重層的にとらえ、戦前の文化への視角転換をせまる必読の映画論。
目 次
序 章
古典的日本映画
映画と日本の近代
映画と視覚のコミュニティー
近代の具現化
第1章 近代空間の創造
映画空間の複数性
映画と都市
中産階級の家庭空間
懐かしさの空間、故郷の創造
他者との境界空間
第2章 ナショナル・シネマにおけるジャンル
—— 小市民映画
1920年代から30年代の日本映画のジャンル
小市民映画ジャンル
ジャンルとスタジオ・システム
小市民映画、『生まれてはみたけれど』、そして近代的主体
第3章 近代性、映画、そして「ナショナル・ボディー」の構築
「学生スポーツ映画」の近代
綻びのあるテクスト
第4章 女性映画
日本における女性映画
両大戦間期における女性映画
モダン・ガール
『東京の女』における近代の征服
身体言説としての女優
消費主体としてのモガ
モガ、自立した主体の記号
第5章 松竹蒲田調
日本における「近代」の複数性
松竹蒲田調
『隣の八重ちゃん』
近代的な主体性
日本の近代と高級芸術
「西洋」の分岐と日本近代の共存
ナショナル・アイデンティティーと松竹蒲田映画
終 章
あとがき
注
参考文献
図版出所一覧
人名・映画作品名索引
関連書
『フィルム・アート』 D.ボードウェルほか著/藤木秀朗 監訳