内 容
はたして政治指導における責任とは何か ——。国家と主権の本質、国家と法の関係、近代国家の歴史的起源等、イェリネクによって集大成されたドイツ国家学が先駆的に取り組んだ諸問題を引き受け、あらためて国家学の再構成を試みたウェーバー。主権国家の枠組みが問い直される現在、ドイツ国家学の達成と今日的意義を明らかにするとともに、二人の知的営為の核心に迫る。
目 次
凡 例
序 章 イェリネクとウェーバー
1 ウェーバーと国家学
2 宰相ビューローと大戦前ドイツの内政と外交
3 イェリネクの宰相責任論とラーバントの批判
第Ⅰ部 帝制ドイツ国家と国家学の再編
—— イェリネクの『一般国家学』
第1章 ドイツ統一と国家学の再編
1 ドイツ国家学の変容とラーバントの実証主義的国法学
2 ギールケの公法実証主義批判
3 イェリネク『一般国家学』と国家学の再編
第2章 ドイツ国家学における君主制の問題
1 ハラーの家産制国家論
2 ヘーゲル —— 理性的国家としての立憲君主制
3 シュタール —— 君主制原理の確立
4 君主制原理と国法学
5 イェリネクの君主制論
第3章 連邦制の問題
1 連邦国家と主権の問題 —— ザイデル
2 ラーバントにおける連邦国家の構成
3 ラーバント連邦国家論に対するギールケの批判
4 イェリネクにおける連邦国家問題の解決
5 イェリネク(ウェーバー)宰相責任論の意味
第Ⅱ部 ウェーバーとドイツ国家学
——『経済と社会』の諸論点
第4章 法秩序の社会学的解剖
——「経済と社会的諸秩序」
1 イェリネクとシュタムラー —— 習律と法をめぐって
2 シュタムラーにおける法と経済
3 ウェーバーのシュタムラー批判の意味
4 ウェーバーにおける習律と法 ——「経済と社会的諸秩序」
5 小結 —— 法と国家の批判的解剖
第5章 「国家」の起源
——「家共同体」および「政治的共同体」
1 ドイツ国家学と国家の起源論
2 モルガン『古代社会』における家族と国家
3 男性同盟と母権制 —— シュルツ『年齢階梯制と男性同盟』
4 ウェーバーにおける家共同体と氏族、国家
第6章 西洋型国家の歴史的起源
——「支配の社会学」と中世国家論争
1 中世国家論争とギールケ
2 ベロウ『中世ドイツ国家』
3 「支配の社会学」における家産制と封建制 —— ベロウの批判的継承
4 「法社会学」と「都市の類型学」—— ギールケの批判的継承
第7章 国家概念の系譜
1 ギールケの国家機関論批判
2 イェリネクの国家=ケルパーシャフト概念
3 ベロウの国家法人説批判
4 ウェーバーによる概念装置の再編 —— 社会学的アンシュタルト概念
終 章 ウェーバーと国家学の再建
1 「大戦前草稿」から「新稿」へ
2 「一般国家学」としての「支配の諸類型」
3 国家学の再建 —— イェリネク『一般国家学』からの方法的な継承
あとがき
事項索引
人名索引
関連書
『ウェーバー 近代への診断』 D.ポイカート 著/雀部幸隆・小野清美 訳