内 容
マキァヴェッリによる古典共和主義思想の復興に注目し、イタリアから英米へと展開する「シヴィック・ヒューマニズム」の軌跡を掘り起こした記念碑的名著。「共和国の不安定性」を焦点とする思想史上の一大事件を捉え、その巨大な波動と思想世界の総体的変動を、広大な射程と圧倒的な迫力をもって描き出す。
【ALL REVIEWS】『論座』書評(2008年8月号、評者:犬塚元氏)
著者紹介
J.G.A. ポーコック
(John G.A. Pocock)
1924年生まれ。ジョンズ・ホプキンズ大学名誉教授。ヨーロッパ啓蒙思想史研究、政治思想史研究における巨匠。本書の他に代表作として Ancient Constitution and Feudal Law (1957), Politics, Language and Time (1971), Virtue, Commerce and History (1985), Barbarism and Religion (1999-, 現在第4巻まで刊行), The Discovery of Islands (2005) などがある。共和主義研究のみならず、思想史方法論、イギリス史の再検討でも影響力が大きい。
(所属などは本邦訳刊行時のものです。)
目 次
凡 例
日本語版への序文
序 文
第Ⅰ部 個別性と時間
—— 概念的背景
第1章 問題とその様式
(A)経験、慣用、慎慮
第2章 問題とその様式
(B)摂理、運命、徳
第3章 問題とその様式
(C)〈活動的生活〉と〈市民的生活〉
第Ⅱ部 共和国とその運命
—— 1494年から1530年までのフィレンツェの政治思想
第4章 ブルーニからサヴォナローラまで
運命、ヴェネツィア、黙示録
第5章 メディチ家の復辟
(A)グイッチャルディーニと下級の〈都市貴族層〉、1512-1516年
第6章 メディチ家の復辟
(B)マキァヴェッリの『君主論』
第7章 ローマとヴェネツィア
(A)マキァヴェッリの『ディスコルシ』と『戦争の技術』
第8章 ローマとヴェネツィア
(B)グイッチャルディーニの『対話』と貴族的慎慮の問題
第9章 ジャンノッティとコンタリーニ
概念としてのヴェネツィアと神話としてのヴェネツィア
第Ⅲ部 革命以前の大西洋圏における価値と歴史
第10章 イングランド・マキァヴェリズムの問題
内乱以前の市民的意識の様式
第11章 共和国のイングランド化
(A)混合政体、聖徒、市民
第12章 共和国のイングランド化
(B)コート、カントリ、常備軍
第13章 新マキァヴェッリ的政治経済学
土地、商業、信用をめぐるオーガスタン時代の論争
第14章 18世紀の論争
徳、情念、商業
第15章 徳のアメリカ化
腐敗、国制、辺境
第Ⅳ部 『マキァヴェリアン・モーメント』をめぐる論争を回顧して
第16章 『マキァヴェリアン・モーメント』再訪
歴史とイデオロギーの研究
第17章 『マキァヴェリアン・モーメント』をめぐる三十年間の論争
2003年版(新版)への後書き
訳者後書き
注
文献目録
索 引
書 評
『社会思想史研究』(第33号、2009年9月、評者:土井美徳氏)
『みすず』(2009年1・2月合併号、2008年度読書アンケート、評者:佐々木力氏)
毎日新聞(2008年12月14日付、特集「この3冊」、評者:松原隆一郎氏)
『論座』(2008年8月号、評者:犬塚元氏)
『週刊東洋経済』(2008年3月8日号、評者:渡辺恵一氏)
毎日新聞(2008年3月2日付、評者:松原隆一郎氏)
関連書
『世俗の時代』(上下巻) チャールズ・テイラー 著/千葉 眞 監訳