内 容
フランクリンからジェファスンにいたる「アメリカ建国の父たち」に焦点を合わせ、大西洋を越えた思想的交流を跡づけることによって、「アメリカ啓蒙」の実像を明らかにした労作。「スコティッシュ・モーメント」はアメリカにいかなる影響を及ぼしたのか。
目 次
序 章 スコティッシュ・モーメント
—— 思想の伝播、変容、転回
第Ⅰ部 フランクリンとアメリカ啓蒙
第1章 啓蒙思想家としてのフランクリン
1 職人から思想家へ
2 学会と教育 —— 啓蒙と公共性
3 フランクリンの経済思想
4 フランクリンの自由主義的農業共和国論
5 フランクリンの政治思想
第2章 ロンドン時代のフランクリン
1 スコットランドとアメリカ
2 フランクリンのロンドンへの赴任
第3章 イングランドからカレドニアへ
—— フランクリンの旅
1 イングランドを北上する
2 スコットランドに入る
第4章 フランクリンとスコットランド啓蒙
1 帝国の危機、課税問題とフランクリン
2 1771年のアイルランドとスコットランドへの旅
3 スコットランドを後に —— 独立革命への転進
第5章 アメリカ独立革命とフランクリン
—— 大ブリテン-アメリカ史における忠誠と反逆
1 トマス・パウヌル —— 開明派植民地官僚の思想
2 植民地課税論争
3 フランクリンの審問から独立宣言へ
4 『国富論』とステュアートのアメリカ論
第6章 老骨に鞭打って
—— 晩年のフランクリン
1 独立戦争の勝利と分裂の危機
2 本国におけるアメリカ革命論争とプライス
3 スミスのアメリカ問題の「覚書」
4 連邦国家の形成に向けて
第Ⅱ部 アメリカ啓蒙の群像
第1章 辺境の啓蒙
—— スコットランド啓蒙とアメリカ啓蒙
1 長老派学院 —— 非国教徒学院と信仰復興運動
2 フランシス・アリスン —— オールド・サイドの啓蒙
3 辺境の啓蒙 —— スコットランドとアメリカ
第2章 ウィザスプーンの道徳哲学
—— スコットランド啓蒙のアメリカへの波及
1 ウィザスプーン、アメリカに渡る
2 ウィザスプーンの道徳哲学
3 倫理学の概要
4 政治学と法学
5 アメリカ共和国建設へのウィザスプーンの貢献
第3章 ジョン・アダムズとジェイムズ・ウィルスンの統一国家論
1 ジョン・アダムズ
2 アダムズの『アメリカ合衆国統治制度擁護論』
3 ジェイムズ・ウィルスン —— 忘れられた思想家
4 ウィルスンの経済思想
第4章 独立革命とトマス・ペインの共和国像
—— 祖国の創生
1 ペイン『コモン・センス』と独立宣言
2 ペイン『人間の権利』とアメリカ
第5章 アメリカ国民の鍛造
—— ベンジャミン・ラッシュとノア・ウェブスター
1 ラッシュの旅 —— 独立革命まで
2 アメリカへの帰国 —— 激動のなかで
3 アメリカにエディンバラ大学を —— 国民の鍛造
4 ノア・ウェブスターの教育論
第6章 アメリカ独立と2つの国家デザイン
—— フェデラリストと反フェデラリスト
1 フィラデルフィア会議
2 『ザ・フェデラリスト』の国家ヴィジョン
3 反フェデラリストの抵抗
第7章 商業共和国か農業共和国か
—— ジェファスンとハミルトン
1 クレヴクール『農夫の手紙』
2 ジェファスンの農民共和国論
3 ハミルトンの商業共和国論
第8章 人類の統一性の思想
—— サミュエル・スタナップ・スミス
1 人類の単一系統説
2 『道徳政治哲学講義』
第9章 学問の国、ロマンスの国と未来の国
—— 独立以後の関係とアメリカ国民の形成
1 フランス革命後の思想的交流
2 コモン・センス哲学の確立
3 アメリカ啓蒙の継承 —— ラムジーのアメリカ史
終 章 アメリカ啓蒙 —— 遺産と課題
あとがき
注
参考文献
図版一覧
書名索引
人名索引
書 評
『社会思想史研究』(第37号、2013年、評者:石川敬史氏)
関連書
『マキァヴェリアン・モーメント』 J・G・A・ポーコック 著/田中秀夫・奥田 敬・森岡邦泰 訳