内 容
主権と歴史のあいだ ——。歴史のポストモダニズムに抗しつつ、大西洋・太平洋を含む「群島」の視点から、多元・多層的な「新しいブリテン史」を構想し、グローバルヒストリーにも重い問いを投げかける、政治思想史の碩学によるもう一つの代表作。
著者紹介
J.G.A. ポーコック
(John G.A. Pocock)
1924年ロンドン生まれ、ニュージーランドのクライストチャーチで育つ。現在、ジョンズ・ホプキンズ大学名誉教授。政治思想史研究における世界的第一人者。邦訳に『マキァヴェリアン・モーメント』(田中秀夫他訳、名古屋大学出版会、2008年)、『徳・商業・歴史』(田中秀夫訳、みすず書房、1993年)がある。主著に Ancient Constitution and Feudal Law (1957), Politics, Language and Time (1971), Barbarism and Religion (1999-, 現在第5巻まで刊行), Political Thought and History (2009) 他。
(所属などは本邦訳刊行時のものです。)
目 次
凡 例
序文と謝辞
第Ⅰ部 フィールドの提唱
第1章 対蹠地の認識
第2章 ブリテン史
—— 新たな主題に向けた訴え
第Ⅱ部 三王国とイングランド問題
第3章 拡張されたフィールド
—— 導入として
第4章 2つの王国と3つの歴史?
—— ブリテンの様々な文脈における政治思想
第5章 大西洋群島と三王国戦争
第6章 歴史のなかの第三の王国
第Ⅲ部 第一の
第7章 1688年以後の群島、ヨーロッパ、大西洋
第8章 1688年の意義
—— ウィッグ的な歴史をめぐる省察
第9章 帝国、国家、国家連合
—— 多元的君主国における危機としてのアメリカ独立戦争
第10章 ブリテン史における
第Ⅳ部 見慣れぬ多元性のなかのニュージーランド
第11章 ネオ・ブリテン人と3つの帝国
第12章 タガタ・フェヌアと啓蒙の人類学
第13章 分断された文化における法、主権、歴史
—— ニュージーランドとワイタンギ条約の事例
第Ⅴ部 ブリテン、ヨーロッパ、ポストモダン的歴史
第14章 20世紀後半における主権と歴史
第15章 ヨーロッパを脱構築する
第16章 新しいブリテン史の政治
第17章 結 論
—— 歴史、主権、アイデンティティ
訳者解題 ポーコックのブリテン史
注
参考文献
索 引
書 評
『社会思想史研究』(第39号、2015年、評者:伊藤誠一郎氏)
『イギリス哲学研究』(第38号、2015年、評者:木村俊道氏)
関連書
『マキァヴェリアン・モーメント』 J・G・A・ポーコック 著/田中秀夫・奥田 敬・森岡邦泰 訳
『財政=軍事国家の衝撃』 ジョン・ブリュア 著/大久保桂子 訳
『近代世界システム』(全4巻) I. ウォーラーステイン 著/川北 稔 訳