内 容
強力な戦争遂行国家はいかにして生まれたのか。巨大な陸海軍、勤勉な行政官、重税と莫大な債務を特徴とする新たな国家、「財政=軍事国家」の成立とその政治的・社会的インパクトを明快に描き出し、従来のイギリス史像に根本的な書き換えを迫った話題作。待望の邦訳。
【原書名】
John Brewer, The Sinews of Power: War, Money, and the English State, 1688-1783, Rogers, Coleridge and White Ltd., 1989.
著者紹介
(邦訳書初版第1刷刊行時のものです)
ジョン・ブリュア (John Brewer)
1947年生。ケンブリッジ大学シドニ・サセックス・カレジ卒業。同大学で修士号、博士号取得。母校で教鞭をとった後、1976年にイェール大学に招かれ、以後ハーヴァード大学、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校などを経て、現在はシカゴ大学ジョン&マリオン・サリヴァン・英語/歴史学教授。主著としてParty Ideology and Popular Politics at the Accession of George III, 1976, The Pleasures of the Imagination, 1997など。
目 次
はしがき
凡 例
序 論
第Ⅰ部 革命前史
—— 中世~近世のイングランド国家
第1章 コンテクスト
1 イングランド国家初期の集権化
2 周縁にあって
—— ヨーロッパの大戦争に加わらないイングランド国家 1450年ごろ~1689年
3 行政府 —— 売官制への歯止め
4 結 論
第Ⅱ部 財政=軍事国家の輪郭
第2章 軍 隊
—— 軍事力組織化の諸形態
1 投入された軍事力
2 活動範囲 —— 海軍の場合
3 軍事力の相対評価
4 文民政府と軍事力
5 軍隊と市民
6 軍隊と社会 —— 専門化、政治、社会
7 比較史的展望
第3章 文民政府
—— 政府の中央部局
1 行政府の規模と拡大
2 行政府の性格
3 専門的行政官の登場
4 行政と政治危機 —— アメリカ独立戦争の余波
第4章 カネ、カネ、カネ
—— 膨らむ債務と課税
1 課税の規模
2 徴 税
3 課税のパターン
4 財政運営の現場 —— 消費税の場合
5 国 債
6 国債と税金 —— 国際比較
第Ⅲ部 政治危機
—— 財政=軍事国家の出現
第5章 国家権力のパラドクス
1 国内政策と国際情勢
2 資金をめぐる抗争
3 政治党派、地方イデオロギー、国家
第Ⅳ部 国家・戦争・経済
第6章 戦争のパラメーター
—— 政策と経済
1 戦争と政策
2 経 済
第7章 戦争と租税
—— 社会、経済、世論
1 戦争と経済
2 財政=軍事国家と社会
3 土地利害
4 金融利害
5 税金、商人、媒介者、消費者
第Ⅴ部 国家と市民社会
—— 情報と利害をめぐる衝突
第8章 公の情報、私の利害
—— 国家、圧力団体、情報の政治学
1 政府、情報、社会
2 圧力団体と国家
結 論
訳者あとがき
注
図表一覧
事項索引
人名索引
書 評
『社会経済史学』(第70巻第2号、2004年7月、評者:篠塚信義氏)
『史学雑誌』(第112編第11号、2003年11月、評者:長谷川貴彦氏)
関連書
『戦争国家イギリス』 デービッド・エジャトン 著/坂出 健 監訳/松浦俊輔ほか訳
『イギリス現代史 1900-2000』 ピーター・クラーク 著/西沢 保 他訳