内 容
「大英帝国」を動かすものは何か? 地主から金融・サーヴィスの担い手へと転化しつつイギリス近・現代史を貫くジェントルマンの支配と海外膨張の論理を明らかにし、活発な論争を呼び起こした「ジェントルマン資本主義論」の決定版第1巻、待望の邦訳。
目 次
日本語版への序文
序
凡 例
第Ⅰ部 序 論
第1章 問題とその歴史的文脈
研究史における位置づけ
その主張
ジェントルマンの特性と市場
ジェントルマン秩序の生成
製造業の利害
用語の規定 —— 膨張と帝国主義
イデオロギーと方法論
結 論
第2章 視 点
—— 貴族寡頭制、金融、帝国 1688-1850年
研究史における我々の視点
金融革命 —— 私益の公聴への転化
軍事・財政国家の生成
革命の制度と原理の輸出
結 論
第Ⅱ部 ジェントルマン的秩序
第3章 「イギリスに特有なもの」
—— サーヴィス部門、富、権力 1850-1914年
経済成長
農業の衰退
1850年以降の工業
サーヴィス部門
新しいジェントルマン資本家
ロンドンのシティとジェントルマン資本主義
産業、地域主義、権力
ジェントルマン資本主義と政治
補追1: 経済的諸利害と下院議員の職業 1868-1914年
第4章 ジェントルマン資本主義と経済政策
—— シティ、政府、「国益」 1850-1914年
グラッドストン財政
グラッドストン主義、イングランド銀行、金本位
ロンドンのシティと国益
ベアリング恐慌とその解決
産業と経済政策
19世紀におけるシティと政府
第5章 「巨大商業中心地」
—— 外国貿易と貿易外収入 1850-1914年
商品貿易と外国の競争
サーヴィス貿易
外国投資
商業、金融、自由貿易
第6章 2つの国家?
—— 海外投資と国内経済 1850-1914年
シティと海外投資
海外投資と産業
海外投資と経済成長
海外投資とジェントルマン資本主義
第7章 コスモポリタニズムへの挑戦
—— 関税問題そして帝国の統合 1880-1914年
自由貿易と帝国の統合
チェンバレンと保護主義
産業、シティ、自由貿易
コスモポリタニズムと産業的衰退
補追2: 議会内における製造業利害 1868-1910年
第Ⅲ部 広大な世界
第8章 「旧社会の拡張」
—— イギリスと定住植民地 1850-1914年
国際経済と新世界
政治的自由と金融的従属
オーストラレイシア
カナダ統一とイギリスの金融
1850年以降のイギリスと白人定住植民地
第9章 新世界を生み出せ
—— 南アメリカ 1815-1914年
1つの大陸展望
アルゼンチン
ブラジル
チ リ
非公式の影響力の拡張
第10章 「イギリスの債権者への債務支払いを」
—— インド 1858-1914年
帝国建設の目的に関する諸解釈
序 曲 1757-1857年
ジェントルマン秩序の拡大
金融上の命題とイギリス支配
第11章 「差し迫った否応なしの必要性」
—— イギリスとアフリカ分割
イギリスの最初のアフリカ開発計画
エジプト占領
南アフリカにおける危機と戦争
選択的な獲得 —— 熱帯アフリカ
分割から至上権へ
第12章 「我々は支持者として現れる」
—— オスマン帝国とペルシア 1838-1914年
オスマン帝国 —— 自由貿易から外国による管理へ
ペルシア —— 限られた金融力での金融外交
開発を伴わない管理
第13章 「中国政府の国際金融市場での信用を維持せよ」
—— 中国 1839-1911年
非公式の影響力による実験
1839-94年
中国の分割 1894-1911年
新たな金融帝国
第Ⅳ部 再分割された世界
第14章 イギリス、ドイツ、「帝国主義」戦争
—— 1900-14年
外交の経済学
マルクス主義の理論と第一次世界大戦
英・独の対立とその諸影響
第15章 結 論
解説 「帝国」はどのように逆襲したか(竹内幸雄)
訳者あとがき
関連地図
注
略号表
表一覧
索 引
『ジェントルマン資本主義の帝国』
『ジェントルマン資本主義の帝国Ⅱ』 P.J.ケイン/A.G.ホプキンズ 著 木畑洋一・旦 祐介 訳
関連書
『戦争国家イギリス』 デービッド・エジャトン 著/坂出 健 監訳/松浦俊輔ほか訳
『財政=軍事国家の衝撃』 ジョン・ブリュア 著/大久保桂子 訳
『イギリス現代史 1900-2000』 ピーター・クラーク 著/西沢 保・市橋秀夫・椿 建也・長谷川淳一他 訳