内 容
イギリスで、投資はいかにして中流の人びとや労働者層・女性にまでいきわたったのか。政治・社会・文化・経済の幅広い文脈で生じた革新の全体像を、ヨーロッパ・アメリカへの拡大も視野に捉え、投資社会化がもたらした衝撃と、今日まで続くその構造を見事に浮き彫りにした注目の研究。
目 次
序 章 「投資社会」論へ向けて
第Ⅰ部 投資社会の政治経済学
第1章 国政・都市政治・国際金融
—— 18世紀中頃のロンドン・シティと公債請負人
はじめに
1 都市自治体と特権会社
2 18世紀中頃の政府公債起債構造 —— 1757年債の政治経済学
3 公債請負人とホイッグ政府
おわりに
第2章 七年戦争・公債請負人・党派抗争
はじめに
1 公債請負人と外債 —— 1758年債・ハノーファ債・1759年債
2 巨額の起債とオランダ —— 1760年債・1761年債・1762年債
3 「ホイッグの優越」の終焉とロンドンの急進主義者
おわりに
第Ⅱ部 投資社会の形成
第3章 公債請負人の基層
—— オランダ人貿易商と近世最末期の投資社会の一断面
はじめに
1 遺言状からみる貿易商の私的空間
2 ビジネスと私的空間
3 私的空間の変容
おわりに
第4章 証券投資をする人びとの社会
—— 投資社会の垂直的拡大と公債の社会化
はじめに
1 イギリス政府公債(1693~1785年)
2 イギリス政府公債および三大特権会社証券の保有構造
3 女性証券保有者
4 流通経路と証券保有者
5 公債保有の期間と目的
おわりに —— 投資社会と「公債の社会化」
第Ⅲ部 文化と投資社会
第5章 投資社会の文化史
—— 公信用・投機・投資
はじめに
1 証券ブローカー批判(1690~1720年代)
2 「怠惰な」公債保有者(1730~50年)
3 投資社会と『ブローカー入門』
4 七年戦争の衝撃とイサーク・ド・ピント
5 受容と模倣
おわりに
第6章 年金・科学・投資社会
はじめに
1 アニュイティと科学
2 投資社会とトンチン
3 年金の科学の確立と投資社会の水平的拡大
おわりに
第Ⅳ部 投資社会の拡大と経済
第7章 もうひとつの財政金融革命
—— 社会基盤整備と投資社会
はじめに
1 社会基盤整備の展開 ——「改良」と「トンチンの時代」
2 近代化される空間 ——「もうひとつの財政金融革命」
3 アイルランドと合衆国へ
おわりに
第8章 投資社会空間の拡大
—— アイルランド・ロンドン・ジュネーヴ
はじめに —— アイルランド財政金融革命
1 アイルランド財政と公信用
2 アイルランド・トンチン
3 アイルランド・トンチンと投資社会
おわりに
第9章 投資社会と国際金融
はじめに
1 資金の移動
2 公債の流通経路と公債請負人
3 1780年代の変化と投資社会
おわりに
終 章 投資社会とは何か
あとがき
付 表
注
参考文献
図表一覧
索 引
書 評
『経営史学』(第51巻第4号、2017年3月、評者:岩間俊彦氏)
『経済史研究』(第20号、2017年1月、評者:金澤周作氏)
『みすず』(第656号、2017年1・2月合併号、評者:川端康雄氏)
『ヴィクトリア朝文化研究』(第14号、2016年11月、評者:高田実氏)
『歴史と経済』(第233号、2016年10月、評者:長谷川貴彦氏)
『パブリック・ヒストリー』(第13号、2016年2月、評者:大西吉之氏)
『九州歴史科学』(第43号、2015年12月、評者:松塚俊三氏)
『図書新聞』(第3215号、2015年7月18日、評者:藤原辰史氏)
関連書
『財政=軍事国家の衝撃』 ジョン・ブリュア 著/大久保桂子 訳
『ジェントルマン資本主義の帝国Ⅰ』 P.J.ケイン 他著/竹内幸雄・秋田 茂 訳
『ジェントルマン資本主義の帝国Ⅱ』 P.J.ケイン 他著/木畑洋一・旦 祐介 訳