内 容
EUの今日の発展を決定づけた戦後イギリス最大の外交転換を、帝国=コモンウェルス、英米特殊関係、対ヨーロッパ関係の困難に満ちた再編過程を軸に、徹底的な資料の博捜により解明、EFTA設立など経済的要因も踏まえ、現在に続くイギリスとヨーロッパ関係の特質を浮彫りにした画期的成果。
目 次
序 論 戦後イギリス対外政策と第1回EEC加盟申請
第1節 歴史的転換点としての第1回EEC加盟申請
第2節 先行研究の成果と課題
第3節 中期的諸変化への着目と本書のアプローチ
第Ⅰ部 西ヨーロッパ、コモンウェルスとの通商関係の変容
はじめに
第1章 メッシーナ・イニシアティブとイギリス政府の対応 1955~56年
第1節 ヨーロッパ統合の「再着手」
第2節 スパーク委員会とイギリス政府代表の離脱
第2章 コモンウェルス特恵制度の揺らぎ 1956~59年
—— オーストラリア、ニュージーランドとのオタワ協定再交渉
第1節 オーストラリア政府の要求と交渉の開始
第2節 イギリス政府内の議論と交渉の妥結
第3節 ニュージーランド政府の要求と交渉の開始
第4節 両国首相のイニシアティブと交渉の妥結
おわりに
第Ⅱ部 2つのFTA構想とイギリス対外政策の行き詰まり
はじめに
第3章 ヨーロッパFTA案と政府間交渉の挫折 1956~58年
第1節 ヨーロッパFTA案の形成とその採用
第2節 マクミラン政権の成立とFTA交渉の開始
第3節 FTA交渉の難航とドゴールの政権復帰
第4節 仏独関係の緊密化とFTA交渉の決裂
第4章 イギリス、カナダ間のFTA協議とその挫折 1957年
第1節 輸入転換発言とイギリス政府の対応
第2節 英加FTA案の形成過程
第3節 非公式協議と情報漏洩をめぐる迷走
第4節 公式閣僚協議と英加FTA案の挫折
おわりに
第Ⅲ部 「3つのサークル」の交錯と第1回EEC加盟申請への道
はじめに
第5章 EEC、EFTAの並立と英米関係の展開 1959~60年
第1節 アウター七諸国間のFTA形成に向けた議論
第2節 EFTA設立に向けた動きと英米関係の交錯
第3節 イギリス対外政策の行き詰まりと政策転換の開始
第6章 「新コモンウェルス」と南アフリカ共和国の脱退 1960~61年
第1節 「新コモンウェルス」への移行とアパルトヘイト問題
第2節 南アフリカの人種問題とコモンウェルス首相会議(1960年)
第3節 南アフリカの共和国移行とコモンウェルス首相会議(1961年)
第7章 ケネディ政権の成立と第1回EEC加盟申請 1960~61年
第1節 内閣改造からマクミランの『大構想』へ
第2節 ケネディ政権の成立とEEC加盟申請への動き
第3節 「条件付きの加盟申請」としての第1回EEC加盟申請
おわりに
結 論 第1回EEC加盟申請とイギリス対外政策の特質
あとがき
注
参考文献
人名索引
事項索引
書 評
関連書
『グローバル冷戦史』 O.A.ウェスタッド 著/佐々木雄太 監訳/小川浩之・益田 実・三須拓也・三宅康之・山本 健 訳
『イギリス現代史 1900-2000』 ピーター・クラーク 著/西沢 保・市橋秀夫・椿 建也・長谷川淳一 他訳