内 容
今日、イスラーム世界の存在がクローズアップされ、それに関する情報も飛躍的に増大している。本書は、歴史と現在をともに視野におさめ、最も信頼できる知識を凝縮、誰でもアクセスできる「知の見取り図」を提供すると同時に、研究の先端へと進んでいける「学びのマニュアル」である。
今からすぐに本マニュアルを役立てるために(本書の使い方)
本マニュアルを有効活用していただけるよう、本マニュアルの使い方について説明します。次項目に掲げた本書の目次と併せてご覧ください。
◆すぐに何かを調べたい方に◆
仕事や研究で、イスラームやイスラーム世界に関する情報がすぐに必要な方は、「主題・地域・項目インデクス」をご覧ください。本マニュアルの記述は、大きな項目を立てた上で、その中で焦点を絞って小項目を立て、節としてまとめてあります。この索引は、単語の索引ではなく、大項目および小項目/節を50音順に配列してありますので、そこから探しているテーマを見つけてください。
さらに、すぐ使えるリソースや調べ物のツールを探す場合は、Ⅰ「研究案内」の1「道具類」をご覧ください。便利な辞書や文献、インターネットや電子媒体などの情報リソースが、きわめて豊富にあげてあります。
どこかの国について調べる必要がある場合は、まずⅣ「イスラーム世界と諸国の概要」で当該国を見てください。国際的な要覧は他にもいろいろありますが、イスラームに焦点を当てて独自の情報を記述している点は、類書にない特徴です。
◆これから勉強を始める方に◆
イスラームやイスラーム世界に興味を持って、これから勉強してみたいという方は、「目次」で本マニュアルの全体像を見て、それぞれの主題に進むか、「主題・地域・項目インデクス」でもっとも関心の深いところを見つけて、読み始めてください。
次いで、関連する項目を読み進めて、より立体的な知識を得ることをお勧めします。
◆研究者をめざす方に◆
これから学部の専門課程や大学院に進んで、イスラームやイスラーム世界に関する研究をしていこうと考えている方には、ご自分が一番関心を抱いている主題に関する項目を熟読し、そこにあげられた文献に直接あたっていく手順をお勧めします。
Ⅱ「研究キーワード100」は、単なる用語集ではなく、これまでの研究史をふまえて、研究者が知っているべき用語の基礎知識を問い直したものです。ぜひご覧ください。
◆ゆっくり、じっくり勉強しようという方には◆
とことん、じっくり学ぼうとお考えの方にお勧めしたい、道を究める本マニュアルの使い方は、これを最初から終わりまで読む、ということです。
なぜなら、本マニュアルには、イスラーム世界研究に関する知の達人たちの知見が驚くべき濃度で集積されています。しかも、これまで蓄積された研究がどのようなものであるかだけではなく、今後探究すべき分野、主題が何であるかにも踏み込んで言及されています。
目 次
まえがき
今からすぐに本マニュアルを役立てるために(本書の使い方)
知りたい項目がすぐにわかる 主題・地域・項目インデクス
Ⅰ 研究案内
1 道具類
1-1 文献
1-2 ウェブサイト、電子媒体
1-3 歴史史料
1-4 語学
2 イスラーム学、イスラーム研究
2-1 クルアーン
2-2 ハディース
2-3 法学
2-4 アラビア文法学
2-5 神学と哲学
2-6 スーフィズムとタリーカ
2-7 シーア派+
2-8 イスラーム法と政治
3 イスラームの時空間 —— 歴史、文明、地域
A 歴史
3A-1 初期イスラーム
3A-2 ウマイヤ朝
3A-3 アッバース朝
3A-4 セルジューク朝
3A-5 ムラービト朝+
3A-6 マルムーク朝+
3A-7 イルハーン朝とティムール朝
3A-8 オスマン朝
3A-9 サファヴィー朝+
3A-10 ムガル帝国+
B 文明と文化
3B-1 比較文明論
3B-2 イスラーム科学史
3B-3 文学史
3B-4 美術史
3B-5 建築史
C 地域
3C-1 マシュリク
3C-2 マグリブ
3C-3 湾岸アラビア地域とイエメン
3C-4 イラク
3C-5 イラン
3C-6 トルコ
3C-7 東アフリカ
3C-8 西アフリカ
3C-9 中央アジア
3C-10 東トルキスタン
3C-11 南アジア
3C-12 東南アジア
3C-13 東アジア
3C-14 日本
3C-15 ヨーロッパ、南北アメリカ
3C-16 地域間関係
4 政治、経済、社会
4-1 イスラーム・戦争と平和
4-2 イスラーム復興とNGO
4-3 イスラーム急進派
4-4 国家の安全保障と軍事問題
4-5 パレスチナ問題
4-6 シーア派とイスラーム革命
4-7 イスラーム経済
4-8 エネルギーと経済開発
4-9 都市と社会問題
4-10 部族と遊牧民
4-11 人権
4-12 ジェンダー
4-13 中東の民主化
4-14 難民問題
5 民族と宗教
5-1 ナショナリズム論
5-2 バルカン問題
5-3 クルド人問題
5-4 ムスリム・マイノリティ問題
5-5 宗教復興
5-6 中央アジア・ロシアのイスラーム
5-7 現代アフリカのイスラーム
5-8 ユダヤ教
5-9 東方キリスト教
5-10 キリスト教と中東和平
5-11 ヒンドゥー教とイスラーム
5-12 イスラームと世俗主義
Ⅱ 研究キーワード100
Ⅲ イスラーム・知の年表
Ⅳ イスラーム世界と諸国の概要
1 イスラーム諸国(イスラーム諸国会議機構・正式メンバー)
2 OICオブザーバー国
3 ムスリムが人口の過半であるが、OICに加盟していない国
4 その他、ムスリム・マイノリティの存在が大きな意味を持っている国
Ⅴ 海外文献調査ガイド
書 評
【日本経済新聞書評】
関連書籍の紹介
「研究入門」シリーズ
『アジア経済史研究入門』 水島 司・加藤 博・久保 亨・島田竜登 編