内 容
書物の文化とともにさまざまな地域・王朝で花開き、驚くべき美の表現を達成してきたイスラームの写本絵画。その多様なる作品世界はどのように読み解くことができるのか。科学書から歴史書・文学書まで、色彩豊かな図版を多数掲載し、イスラーム地域の絵画芸術を基礎から本格的に解説した画期的労作。
目 次
はじめに
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第Ⅰ部 イスラーム絵画の基礎知識
第1章 イスラーム地域における絵画
1 クルアーンと造形芸術
2 発達した絵画の種類
第2章 イスラーム地域における写本
1 写本とは?
2 写本制作のための素材
3 写本の制作
4 写本の構成
第3章 イスラーム地域の写本絵画
—— 書物と略史
1 クルアーン写本
2 アラビア語文化圏の挿絵入り写本
3 ペルシア語文化圏の挿絵入り写本
第Ⅱ部 イスラーム写本絵画鑑賞
第1章 画面の構成
—— 写本絵画の枠組み
1 「立面図画面」の構図
2 「立面図画面」と「並列画面」
3 「立面図画面」から「俯瞰図画面」へ
4 「俯瞰図画面」の構図
第2章 場所と時間
—— 場面設定の工夫
1 写本挿絵そのものの設定
2 屋外場面の設定
3 室内場面の設定
4 空の表現と時間の設定
5 光と火
第3章 枠のはみ出しと細部表現
—— 叙述をどう絵画化するか
1 萌芽期: 13~14世紀前半
2 ジャラーイル朝絵画における確立: 14世紀後半
3 ティムール朝時代における発展: 15世紀
4 トゥルクマーン王朝下での表現: 15世紀末
5 サファヴィー朝時代における定型化: 16世紀
第4章 巻頭口絵の意義
1 現在最古のイスラーム写本絵画
—— サヌアー大モスクのクルアーン写本口絵
2 写本口絵としての著者肖像画
3 君主、王族の肖像画と写本口絵
4 著者像か君主像か?
第5章 イル・ハーン朝写本絵画における革新
1 イル・ハーン朝の歴史的背景とタフテ・ソレイマーン
2 『動物の効用』写本(モーガン図書館、M.500)
3 『歴史集成』写本における中国史の挿絵(ナーセル・D・ハリーリー・
コレクション、MSS 727)
おわりに
図 版
あとがき
参考文献
図版一覧
索 引
書 評
『歴史学研究』(935号、2015年9月、評者:奥美穂子氏)
『イスラーム地域研究ジャーナル』(第7巻、2015年、評者:鎌田由美子氏)