内 容
公共善の政治的理想のみならず、近隣・家族・職業・遊興・霊性による結びつきから、裁判記録にみられる噂と評判の世界、人間関係の結節点としての都市空間や諸々のイメージまで、中世都市に生きる人々の社会的絆を、多様な文書の丹念な解読によって描きだし、人間の共同性を更新していく力のありようを探った労作。
目 次
序 章
a アンブロージョ・ロレンツェッティ「善政と悪政の寓意と効果」を解読する
b 政治・経済史的考察
c ソシアビリテの歴史の方法
第1章 行政上の地理区分と市民
a 規範史料について
b チッタ、ボルゴ、マッセ、コンタード、ディストレット
c 市域の三重構造 —— チッタ、テルツォ、コントラーダ
d 市民と非市民
まとめ
第2章 さまざまな仲間団体
a 家族・親族組織
b 職業団体
c 遊興集団
d 霊的な絆で結ばれた人々
まとめ
第3章 噂と評判の世界
—— 裁判記録から
a 犯罪傾向と処罰の体制
b ひとつの事例より
c 中傷と冒瀆
まとめ
第4章 社会関係の結節点
a 都市空間と主要トポス
b カンポ広場
まとめ
第5章 イメージの媒介力
a 水と血
b 聖母マリア
c 狼
まとめ
終 章 新たな公共善へ
—— 後期中世都市の世界
あとがき
註
文献目録
シエナ市街図
図版一覧
索 引
受 賞
書 評
『史学雑誌』(2019年2月、第128編第2号、評者:大黒俊二氏)
『みすず』(第667号、2018年1・2月合併号、特集「2017年読書アンケート」、評者:䕃山宏氏)
『週刊読書人』(2014年12月19日号、評者:髙木勇夫氏)
著者の既刊書
『原典 イタリア・ルネサンス芸術論』(上下巻) 池上俊一 監修
『西洋中世史研究入門[増補改訂版]』 佐藤彰一・池上俊一・高山 博 編