内 容
とめどなく生み出される無数の「辺境」—— そこではなにが生起するのか。中世イベリア半島を舞台に、従来のレコンキスタの図式を排して、征服=入植運動、封建制、商業の展開プロセスを実証的に解明。遍在する「辺境」から、ラテン・ヨーロッパをも見通す新たなモデルを導き出す。
目 次
序 章
1 「辺境」と征服=入植運動
2 「辺境」とはなにか —— 史料概念・空間認知・実態
3 無数の「中心」、無数の「辺境」
4 封建的空間編成の展開モデルと征服=入植運動
第Ⅰ部 アラゴン北部における封建的空間編成の展開
第1章 ウエスカ地方の城塞・定住・空間編成
1 城塞と国王ホノール
2 征服=入植運動と城塞集落の形成
むすび
第2章 シンカ川中流域の城塞・定住・空間編成
1 城塞と国王ホノール
2 アルムニア
3 王権とインカステラメント
4 競合する入植運動
むすび
第3章 都市ウエスカの定住と空間編成
1 史料の時間的・空間的ギャップ
2 市域の系譜論
3 都市的定住空間の形態生成
4 領域の空間的布置と土地利用
むすび
第Ⅱ部 アラゴン南部における封建的空間編成の展開
第4章 13世紀の「辺境」と封建的空間編成の展開
1 理念と現実
(1)ベルチーテ
(2)アルカニス
2 騎士団の進出
(1)テンプル騎士団領
(アルファンブラ、カステリョーテ、カンタビエハ、ビジェル)
(2)聖ヨハネ騎士団領(アリアーガ)
(3)カラトラーバ騎士団領(アルカニス)
(4)サンティアゴ騎士団領(モンタルバン)
3 「辺境」の生成と封建的空間編成の展開
むすび
第5章 テンプル騎士団領の定住・流通・空間編成
1 城塞ビジェルとその属域
2 コンセホと属域管理
3 組織的集村化と域内集住村落の形成
(1)リブロス
(2)リオデバ
(3)ビジャスタル
4 域内分業と散居定住
5 生産物取引
6 食糧の域内流通と域外輸出
7 木材の域外輸出
むすび
第6章 サラゴーサ司教領の定住・流通・空間編成
1 土地分配・入植・集村化
2 プエルトミンガルボのコンセホ
3 市場開設特権
4 小麦取引
5 小麦売主・買主の動態分析
6 毛織物取引
7 羊毛生産の拡大と国際商業
むすび
終 章 「辺境」の遍在
1 征服=入植運動
2 封建制
3 商 業
補論1 オリジナルとカルチュレール
1 文書保管形式の差異
2 ボクロン家
3 イサーク家
4 ウエスカ司教座聖堂教会とイエ・アーカイヴズ
補論2 カルチュレールと公証人登記簿
1 『ビジェル緑書』
2 『1277年から1302年までのビジェル(テルエル)の公証人マニュアル』
3 カルチュレール=財産目録
補論3 公証人登記簿と商品交換
1 公証人制度の確立
2 プエルトミンガルボの公証人登記簿
3 債務弁済書式と商品交換
4 債務弁済書式と不在の買主
あとがき
註
参考文献
略号一覧
図表一覧
索 引
書 評
『西洋史学』(第273号、2022年6月、評者:黒田祐我氏)
『北大史学』(第60号、2020年12月、評者:諫早庸一氏)
『史学雑誌』(2020年12月号、第129編第12号、評者:城戸照子氏)
『みすず』(2020年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:小澤実氏)