内 容
隠修士、カタリ派、少年十字軍、ベギン会、鞭打ち苦行団、千年王国運動 —— ヨーロッ パ中世社会が希求した〈霊性〉のあり方を民衆的な宗教運動に探り、初期から末期までのその持続と変化の様をとおして中世世界をトータルに捉え直すとともに、「ヨーロッパ精神」の最も深い水脈にふれた画期的著作。
目 次
序 章 宗教運動とその霊性
第1章 隠修士
はじめに —— 民衆的宗教運動の叢生
1 隠修士の霊性
2 隠修士と教会制度
A 教会人の隠修士批判
B 隠修士の聖職者・修道士批判
C 対立から宥和へ
3 隠修士の記号学
A イマジネールの中の隠修士
B 生活コードの解読
C 霊性と想像
むすび
第2章 カタリ派
はじめに —— ゴシック期の組織的宗教運動
1 カタリ派の霊性
A コンソラメントゥム
B 完徳者と帰依者
C カタリ派の福音主義
2 カタリ派思想・神話の基本構造
A 絶対二元論とその帰結
B キリスト論
C 審問記録から
3 南仏的文化・社会構造の中のカタリ派
A カバラとトゥルバドゥール
B カタリ派の社会的基盤
C 女性と〈家〉
むすび
第3章 少年十字軍
はじめに —— 子供の宗教的覚醒
1 「少年十字軍」の顛末
A フランスの少年十字軍
B ドイツの少年十字軍
2 「少年十字軍」と13世紀ヨーロッパ
A 十字軍史の観点から
B 祭儀史の観点から
C 遊戯史の観点から
D 子供史の観点から
3 子供の霊性
A 霊性教育
B 聖人の子供時代
C 子供の聖性
むすび
第4章 ベギン会
はじめに —— 都市の宗教運動:托鉢修道会と女性
1 ベギン会の起源と発展
A 起源の問題
B 発展の類型学
C 擁護と批判
2 母性と霊性
A ベギンの日常生活
B 伝記と著作から
C 異端化するベギン
3 霊性の図像学
A 女性の霊性と図像
B 聖母子・ピエタ・嬰児イエス
C 図像と支配のイデオロギー
むすび
第5章 鞭打ち苦行団
はじめに —— フランボワイアン期の宗教運動、俗人・信心会・説教
1 鞭打ち苦行の展開
A 前 史
B 1260~61年の事件
C 1349~51年の事件
2 鞭打ち苦行信心会
A イタリアの信心会
B ドイツ・ネーデルラントの信心会
C 規約に表れた霊性の変化
3 鞭打ち苦行団の霊性
A 鞭打ち苦行団歌謡
B 十字軍の精神と終末観
C ビアンキ運動
むすび
第6章 千年王国運動
はじめに —— 終末論・神秘主義と政治
1 フィオーレのヨアキムの思想の骨子
A 千年王国説と発展的歴史観
B 聖三位一体的歴史構造
C 数と形象のアレゴリー
2 過激な宗教運動への影響
A フランシスコ会聖霊派とフラティチェッリ
B 使徒兄弟団
C 自由心霊派
3 預言と政治
A 偽ヨアキム文書と「永遠の福音書」
B アルナルドとルペスキッサ
C 女性預言者の力
むすび
終 章 民衆的宗教運動と霊性の展開
あとがき
註
参考文献
図版出典一覧
事項・作品名索引
人名索引
著者の既刊書
『西洋中世史研究入門[増補改訂版]』 佐藤彰一・池上俊一・高山 博 編
『原典 イタリア・ルネサンス芸術論』(上下巻) 池上俊一 監修