内 容
30年代イギリス外交史の実証研究は、1967年の公文書法改正により新しい段階を迎えた。本書は、欧米におけるこの新動向に対応して、イギリスの閣議議事録、覚書、外務省外交文書等一次資料を駆使して、第二次大戦に至るイギリス外交の政策決定過程を精緻に分析する。
目 次
まえがき
序 論 研究史と課題
第Ⅰ部 イギリス外交と宥和の論理
第1章 「宥和政策」再検討の視角
第1節 「宥和政策」と反共イデオロギー
第2節 スペイン戦争とチャーチル
第3節 「宥和主義者」と「反宥和主義者」
第2章 イギリス帝国防衛の外交戦略
第1節 現状維持の外交路線と1937年の危機
第2節 チェンバレンの外交戦略
第3節 イーデンの外交戦略
第4節 ヴァンシッタートの対独政策と対伊和解論
第5節 ハンキーの帝国政策と対伊和解論
第6節 帝国防衛戦略と宥和・反宥和の論理
第3章 1939年イギリス外交の諸問題
第1節 ポーランド安全保障の意義
第2節 英ソ同盟拒否の論理
第3節 政策の連続性・不連続性と「宥和」
第Ⅱ部 30年代イギリス外交の岐路
—— 1937年
第1章 イギリス帝国と地中海
第1節 地中海権益と英伊関係
第2節 帝国防衛と対伊政策
第3節 チェンバレン内閣の外交課題と地中海
第2章 東西の危機とイタリア
第1節 極東危機と対伊和解政策
第2節 ニヨン会議とスペイン不干渉政策
第3節 「隔離演説」とブリュッセル会議
第3章 チェンバレン対イーデン
第1節 ドイツ、イタリアと再軍備問題
第2節 ローズヴェルト提案と英伊会談
結 章 1937年の国際環境とイギリス外交の戦略
第Ⅲ部 第二次世界大戦への道
—— 1939年
第1章 ポーランド安全保障問題と帝国防衛の戦略
第1節 ミュンヘン以後の情勢と防衛戦略の再検討
第2節 中・東欧危機と対独戦線構想
第3節 ポーランド安全保障宣言と対独抑止政策
第2章 東南欧「平和戦線」と英ソ交渉
第1節 アルバニア占領とギリシア、トルコ、ルーマニア
第2節 東南欧戦線強化問題と英ソ交渉
第3節 三国同盟交渉受諾の論理
第3章 対独抑止政策の破綻
第1節 モスクワ、天津、ダンツィヒ
第2節 英独ソ三角関係と独ソ不可侵条約
第3節 大戦前夜
結 章 「平和」の戦略と帝国の代償
補 論 労働党の対外政策と統一戦線問題
はじめに
1 平和主義の政治的模索
2 現実主義の政治的選択
3 戦争と連合への政治的道程
むすび
注
資料・文献目録
索 引
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