内 容
新たな知はどこで生まれ、何をもたらしたのか。—— 20世紀における科学・開発・環境の関係を問い、生態環境をめぐる知の生成と帝国ネットワークによる循環から、植民地開発の思想と実践、国際開発援助への展開をたどり、植民地科学者を軸に「エコロジーの世紀」の成り立ちを描く力作。
目 次
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序 章 「エコロジーの世紀」への視角
1 「エコロジーの世紀」
2 科学知の生産と帝国の科学者ネットワーク
3 イギリス帝国植民地の開発と環境
4 国際開発援助と植民地開発
5 本書の構成
第Ⅰ部 大戦間期のイギリス帝国
—— 科学・開発・環境
第1章 第一次世界大戦後のイギリス帝国と「開発のための科学」
1 大戦間期の植民地開発と科学の役割
2 イギリス本国 —— 植民地省と研究教育機関
3 植民地開発と科学の制度化
4 世界恐慌と「開発のための科学」
5 植民地開発と科学者ネットワークの拡大
第2章 帝国林学ネットワークと在来知
1 森林・開発・保全
2 帝国林学の形成
3 森林管理制度と現地住民の慣習
4 森林をめぐる知の生産と循環
第3章 アフリカ開発と生態学的パラダイム
1 生態学と植民地開発
2 1920年代までのアフリカ開発
3 フィールドワークと在来知
4 生態調査のインパクト
5 ワージントンと『アフリカの科学』
6 「エコロジカルな開発」
第4章 土壌侵食とグローバルな危機論
1 土壌侵食とイギリス帝国の科学者ネットワーク
2 「人間がつくった砂漠」
3 グローバルな環境危機論
4 科学者ネットワークとグローバルな環境危機論
5 土壌保全と植民地開発
6 土壌危機論がもたらしたもの
第Ⅱ部 第二次世界大戦後の植民地開発と国際開発援助
第5章 国際開発援助のはじまりと植民地科学
—— グローバルな資源管理をめぐって
1 第二次世界大戦後の国際開発と技術援助
2 資源の保全と利用に関する国連科学会議
3 植民地科学者の開発アプローチ
4 技術援助と植民地科学者の経験
第6章 1950年代英領東アフリカの農業開発とエコロジー
1 第二次世界大戦後の植民地政策と科学
2 東アフリカ農業林業研究機関に見る開発アプローチ
3 「エコロジカルな開発」のゆくえ
4 植民地における開発主体の重層性
5 大戦後の土壌保全政策と住民の反応
6 植民地末期の「開発」
第7章 アフリカ開発と国際技術援助
1 ヨーロッパ諸帝国と技術援助
2 領土横断的な技術協力ネットワークの成立
3 植民地科学者の農業開発に対する見方とアプローチ
4 技術援助をめぐる国際機関との関係
5 CSA・CCTAと脱植民地化
6 科学者ネットワークとアフリカ開発
終 章 植民地科学者・開発・環境
1 植民地科学者と生態学的パラダイム
2 「エコロジカルな開発」とその射程
3 国際開発援助とエコロジー
4 いかにして20世紀は「エコロジーの世紀」となったのか
あとがき
注
文献目録
図表一覧
索 引
書 評
『西洋史学』(第273号、2022年6月、評者:中島弘二氏)
『経済史研究』(第25号、2022年1月、評者:見市雅俊氏)
『科学史研究』(2021年1月号、第Ⅲ期第59巻 No.296、評者:瀬戸口明久氏)
『史林』(第103巻第6号、2020年11月、評者:溝上宏美氏)
『日本森林学会誌』(第102巻第4号、2020年、評者:香坂玲氏)
『経営史学』(第55巻第4号、2021年3月、評者:上野継義氏)
『社会経済史学』(第86巻第4号、2021年2月、評者:水谷智氏)
『歴史学研究』(2021年3月号、第1006号、評者:磯部裕幸氏)
『林業経済』(2020年10月号、第864号、評者:椙本歩美氏)
『図書新聞』(2020年9月5日号、第3462号、評者:楠和樹氏)
関連書
『近代科学のリロケーション』 カピル・ラジ 著/水谷 智・水井万里子・大澤広晃 訳
『20世紀環境史』 J.R.マクニール 著/海津正倫・溝口常俊 監訳