内 容
英領期における飢饉と疫病被害の深刻な様相は、なにゆえに生じたのか? 灌漑用水路や鉄道の発達、都市化などの開発がもたらした疾病環境の悪化を、社会経済的変動に即して描き出すとともに、植民地政府の対応をも詳細に叙述、英領期インド社会への新たな視野を開いた力作。
目 次
序 論 飢饉・疫病と社会経済史
1 なぜ飢饉と疫病は多大の人的被害をもたらしたのか?
2 植民地政府の飢饉・疫病への対応
第Ⅰ部 飢饉と疫病の時代
第1章 英領インドにおける飢饉と疫病
—— 概 観
1 旱魃と飢饉
2 疫病の諸相
3 人口変動と飢饉・疫病
4 飢饉論の系譜
第2章 飢饉・マラリアと死亡率
—— 北インド連合州における事例、1871~1920年
1 はじめに
2 人口変動と死亡率
3 1879年の死亡危機と飢饉・マラリア連関
4 その他の飢饉・マラリア連関
5 その他の疾病と死亡
6 おわりに
第3章 マラリアと植民地的開発
—— アノフェレス・ファクターとヒューマン・ファクター
1 はじめに
2 熱帯医学とマラリア研究
3 英領インドにおけるマラリア対策とマラリア研究
4 ヒューマン・ファクター・アプローチ
5 マラリアと「開発」
6 おわりに
第4章 インフルエンザ・パンデミックとインド
—— 1918年
1 はじめに
2 インフルエンザはどのように世界に拡がったか
3 インドにおけるインフルエンザの流行地域と死亡率
4 食糧不足とインフルエンザ
5 インフルエンザと植民地政府の対応
6 おわりに
第5章 植民地的開発・エンタイトルメント・疾病環境
—— 中間的総括
1 植民地的開発の時代
2 植民地的開発と食糧エンタイトルメント
3 植民地的開発と疾病環境
第Ⅱ部 飢饉・疫病と植民地統治
第6章 飢饉救済政策の制度化
—— 1880年飢饉委員会とその後
1 はじめに
2 1880年飢饉委員会の設置
3 1880年飢饉委員会報告書の分析
4 1896~97年の飢饉と飢饉救済政策 —— 連合州の事例
5 おわりに
第7章 植民地主義と疾病・医療
1 はじめに —— 植民地主義と疾病
2 英領期インドにおける医療の発展
3 おわりに
第8章 植民地統治と公衆衛生
—— インドと台湾
1 はじめに
2 英領期インドにおける疾病と公衆衛生
3 日本統治期台湾における疾病と公衆衛生
4 差異化と同質化 —— 懸隔と社会管理
結 語
あとがき
図表一覧
索 引
受 賞
著者の既刊書
『ヨーロッパの奇跡』 E.L.ジョーンズ 著/安元 稔・脇村孝平 訳