内 容
世界規模の出来事が明確に意識されるようになった近世。オリエンタリズム論や構造論的アプローチを批判し、ムガルと西欧の交渉の現場で、人々の思惑と行動が複雑にからみあい事件が展開してゆく「接続」の有り様を丹念に解きほぐす。現在最も注目される歴史家の仕事を凝縮した一冊。
著者紹介
サンジャイ・スブラフマニヤム
(Sanjay Subrahmanyam)
1961年生まれ。デリー大学のデリー・スクール・オブ・エコノミクスで博士号を取得後、フランス社会科学高等研究院、オックスフォード大学などの教授を務め、現在、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の教授として活躍中。ポルトガルと南アジアを中心に、広く近世インド洋=ユーラシア史の分野で精力的に研究を展開している。主な著書として、The Political Economy of Commerce: Southern India, 1500-1650(1990)や Textures of Time: Writing History in South India, 1600-1800(2001)などがある。
(所属などは本邦訳刊行時のものです。)
目 次
凡 例
単位・貨幣・船舶名について
略 号
まえがき
第1章 序 論
—— 抑制された摩擦の時代のムガルと西欧
第2章 1546-65年の西インド洋交易世界
—— ひとつの政治学的解釈
はじめに
スーラトの興隆
オスマンの「脅威」
西インドと紅海ルート
結 論
第3章 ムガル朝治下グジャラートとイベリア世界
—— 1580-81年の転換
はじめに
転換の文脈
ムガル朝の視点
1580-81年のインディア領
1581-83年のグジャラート交易紛争
結 論
第4章 1600年頃のポルトガル人とムガル朝とデカン政治
はじめに
ポルトガルとムガル朝
ムガル朝の拡大とデカン地方
「
ビジャープル王国という要因
最終的な「解決」
疑惑と疑問
第5章 スルタン・ブラーキー伝説とインディア領
—— 1628-40年
はじめに
ムガル朝皇位継承とブラーキー事件
ゴアからの視点
イスファハーンの宮廷で
伝説の継続
第6章 イギリス東インド会社とムガル朝
—— サー・トマス・ローの時代とサー・ウィリアム・ノリスの時代
はじめに
イギリス人と象
ムトゥリビーへの脱線
オックスフォードからケンブリッジへ
結 論
第7章
——
はじめに
ヴィジャヤナガラとポルトガル
1543年大
チャンドラギリとティルパティ
乳牛としてのティルパティ?
エピローグと考察
終 章
訳者あとがき
関連系図
関連地図
索 引
書 評
関連書
『近代科学のリロケーション』 カピル・ラジ 著/水谷 智・水井万里子・大澤広晃 訳