内 容
分裂と対立のやまない中東の政治情勢や、産油国と石油産業の抵抗を前に、アメリカの「同盟プロジェクト」はその限界を露呈していく。挫折と迷走を経て、米国の政策決定者たちはどのように舵を切ったのか。今日にまでつながる歴史の転換を精緻に描き、現代史を書き換える画期的労作。
目 次
凡 例
第Ⅲ部 西側統合政策の変容と崩壊
第11章 エジプト・ソ連武器取引の衝撃
1 米英の初期対応
2 イランのバグダード条約加盟
3 ヨルダンのバグダード条約加盟の試み
4 アスワン・ハイ・ダム援助提案とアンダーソン・ミッション
第12章 西側統合政策の変質
—— オメガ・メモランダムとスエズ危機
1 オメガ・メモランダムと地域的政策の再検討
2 オメガ的西側統合政策の展開
3 スエズ危機の射程
4 スエズ戦争
第13章 西側統合政策の行き詰まりと崩壊
—— アイゼンハワー・ドクトリンからシリア危機へ
1 アイゼンハワー・ドクトリンと米英関係の再建
2 「国王たちの組合」
3 西側統合政策の行き詰まり
4 軍事介入オプションの浮上
5 シリア危機と親西側ブロック政策の盛衰
第14章 地域的政策の空位時代
1 NSC 5801/1 の成立
2 2つの連合国家
3 レバノン危機と中東政策の迷走
4 イラク革命と米英の軍事介入
第15章 オフショア・バランシング政策への移行
1 新たな地域的政策の生成
2 新たな行動様式の出現
3 ケネディ政権への継承
第Ⅳ部 協調的石油秩序の黄昏
第16章 協調的石油秩序の限界
1 西側統合政策と協調的石油秩序
2 スエズ戦争と新たな議論のはじまり
3 新パイプライン計画の展開
4 新パイプライン計画の消滅
第17章 新たな中東石油政策の生成
1 イラン・ENI 協定
2 アラビア石油・サウジアラビア/クウェイト協定
3 米英共同分析の作成
4 新たな石油政策の生成
第18章 産油国・消費国関係の質的変容
1 米国の石油輸入制限の導入
2 OPEC の結成
3 クウェイト危機とペルシャ湾の秩序
終 章
1 同盟プロジェクトとしての西側統合政策と協調的石油秩序
2 同盟プロジェクトと米英関係
3 同盟プロジェクトの挫折の原因
4 同盟プロジェクトの問題点
5 オフショア・バランシングの過去と未来
参考文献
あとがき
索 引
(上巻内容)
序 章
第Ⅰ部 地域的政策の生成
第1章 英国の非公式帝国と米国の中東への関与の始まり
第2章 西側統合政策の形成 —— 中東コマンド構想とその遺産
第3章 協調的石油秩序への道程
第4章 イラン石油国有化紛争と協調的石油秩序
第Ⅱ部 西側統合政策の展開
第5章 アイゼンハワー政権と西側統合政策
第6章 西側統合政策の展開(1)—— 1953-54年
第7章 西側統合政策の確認と定着
第8章 西側統合政策の展開(2)—— 1954年後半
第9章 バグダード条約の成立と西側統合政策の再編
第10章 西側統合政策の迷走と停滞
受 賞
書 評
『イスラーム地域研究ジャーナル』(第10号、2018年10月、評者:松田拓也氏)
『アメリカ研究』(第52号、2018年5月、評者:小濵祥子氏)
『アメリカ史評論』(第35号、2018年1月、評者:青野利彦氏)
『史林』(第100巻第6号、2017年11月、評者:菅英輝氏)
『アメリカ学会会報』(第194号、2017年7月、評者:倉科一希氏)
『アメリカ太平洋研究』(第17号、2017年4月、評者:池田亮氏)
『図書新聞』(第3267号、2016年8月13日付、評者:泉淳氏)
『週刊東洋経済』(2016年6月18日号、評者:渡邊啓貴氏)
『幻の同盟』
関連書
『星条旗 1777〜1924』 S・M・グインター 著/和田光弘・山澄 亨・久田由佳子・小野沢 透 訳
『グローバル冷戦史』 O・A・ウェスタッド 著/佐々木雄太 監訳/小川浩之・益田 実・三須拓也・三宅康之・山本 健 訳
『戦争国家イギリス』 デービッド・エジャトン 著/坂出 健 監訳/松浦俊輔ほか訳