書籍の内容
多様な民族・階級がせめぎ合う広大な人工国家アメリカのナショナル・アイデンティティはいかにして形成されたのか? —— 「想像の共同体」 の創造に動員され、やがて愛国主義の中枢部へと上り詰めてゆく国旗の機能と変遷を、市民宗教の概念を駆使しつつ描き出した星条旗の文化史。
書籍の目次
日本語版に寄せて
第1章 象徴の評価
本書の課題 / 合衆国国旗の研究史 / シンボルの解釈 / 市民宗教の概念 /
旗章学の射程 / 本書の構成
第2章 新しき星座の掲揚
旗の変遷 / 植民地時代の旗とシンボル / 大陸旗の使用とその問題点 / 新国
旗の制定 / 進まない新国旗の普及 / 絵画のなかの国旗 / 陶磁器・壁紙・織
物 / 人型と鷲のシンボル / 愛国歌 「星条旗」 の誕生 / 学校と国旗
第3章 アンテベラム期の国旗文化
シンボルの転換 —— ジョージ・ワシントンから国旗へ / 国旗のデザインの変更 /
市民宗教のシンボル / 大統領選挙キャンペーンと国旗 / フィラデルフィアのケン
シントン暴動 / メキシコ戦争 / 絵画に見る国旗 / 南北対立と国旗
第4章 連邦のシンボル —— 南北戦争期の国旗の使用
サムター要塞と国旗 / 連邦支持のシンボルとして / 教育と国旗 / 市民宗教の
シンボルとして / 戦死と国旗 / 捕虜と国旗 / 女性と国旗 / 雑誌に見る国旗
/ 教会と国旗
第5章 国旗崇拝の展開
国旗の氾濫 / 独立百周年祝典と国旗 / ある少女の中のナショナリズムと国旗
/ 国旗をめぐる三つの伝説 / 国旗崇拝と米国陸海軍人会 / 初期移民の子孫
たちの団体の活動 / 子ども向け雑誌 『セント・ニコラス』 に見る国旗崇拝の影響
/ 「忠誠の誓い」 への道
第6章 公立学校に持ち込まれた国旗儀礼 —— 「忠誠の誓い」 の展開と普及
ジョージ・ボルチと愛国教育 / 愛国教育の広まりと国旗 / 子ども向け雑誌 『若
者の友』 による国旗崇拝の推進 / ジェイムズ・アップハムと大陸発見四百周年
/ フランシス・ベラミーと国旗崇拝の組織的推進 / 「忠誠の誓い」 の誕生
第7章 国旗冒涜禁止の法制化の動き
選挙における国旗の利用 / 宣伝の中の国旗 / 国旗の商業的利用に対する反
発 / 国旗冒瀆を禁止する法律制定の動き / 州法による国旗冒瀆禁止 / 米西
戦争と国旗 / 音楽における国旗 / ジェイコブ・リースと合衆国国旗
第8章 国旗礼式の民間規定
ブロードウェイ・ミュージカルと歴史雑誌における国旗 / 「統一国旗規約」 の承認
/ ボーイスカウト活動における国旗 / 第一次世界大戦参戦と国旗への関心の高
まり / 星条旗のページェント / 国旗をめぐる裁判 / 秘密結社における国旗崇拝
/ 『国旗の宗教』 / 米国在郷軍人会の活動と国旗会議 / クー・クラックス・クラン
における国旗崇拝 / 合衆国国旗協会の設立とその活動
結びにかえて
訳者の他の書籍の紹介
『記念碑の語るアメリカ』 ケネス・E・フット 著/和田光弘・森脇由美子・久田由佳子・小澤卓也・内田綾子・森 丈夫 訳
『アトランティック・ヒストリー』 バーナード・ベイリン 著/和田光弘・森 丈夫 訳