内 容
癒しがたい悲劇と暴力はいかにしてアメリカの風景に刻み込まれ、国民の記憶を創りあげてきたか —— さまざまな悲劇の場所が語る物語を、鮮烈な写真とともに描き出し、アメリカ社会の深層によこたわる暴力と景観、記憶と忘却のメカニズムを明らかにする。J・B・ジャクソン賞受賞。
目 次
日本語版への序文
第1章 暴力と悲劇の景観
1 景観に刻印された悲劇と暴力
2 聖 別
3 選 別
4 復 旧
5 抹 消
6 伝統の創出と記憶の景観形成
7 地域・地方・国、それぞれの帰属意識の表象
8 景観と記憶 —— 何が忘れられるのか
第2章 英雄と殉教者の崇敬
1 ガーフィールドとマッキンリーの崇敬
2 リンカーン —— 不滅の英雄の創造
3 ダラスのケネディ
4 他の英雄崇敬
第3章 共同体とカタルシス
1 癒しの過程
2 微妙な配置と意味
3 ジョンズタウンの洪水
4 遡及的意味
5 隠された深い悲しみ
第4章 英雄的な教訓
1 バンカーヒル
2 ゲティスバーグ —— 反乱の上げ潮
3 ヘイマーケットの教訓
4 さらなる教訓
第5章 無垢な場所
1 イロコイ劇場火災
2 イーストランド号転覆事故
3 非難の隠蔽
4 他の災害の事例
5 救済する景観 —— 別種の記憶のかたち
第6章 恥辱の痕跡
1 恥辱の力
2 恥辱を与える他の要因
3 受動的末梢と能動的末梢
4 復旧が選択される場合
5 場所に対する変則的な対応
6 場所の病理学
第7章 記憶と伝統の景観形成
1 テキサスの記憶
2 シカゴの四つの星
3 モルモン教徒の荒野への逃避行
4 形ある伝統へ
第8章 ナショナル・アイデンティティの刻印
1 宇宙論・市民宗教・伝統の刻印
2 ボストン虐殺と聖なる神話の緩慢な発露
3 ハーパーズ・フェリーと 「景観の聖遺物箱」 の創造
4 真珠湾とその意味の問題
5 選択性・ヒエラルキー・慣習
第9章 見えない暗い過去
1 未確定の意味
2 慰霊碑なき犠牲者 —— アメリカの労働者の台頭
3 アメリカの強制収容所と他の不正事件
4 対立する意味
5 暴力の影
書 評
【朝日新聞「天声人語」掲載】
関連書
『星条旗 1777〜1924』 S・M・グインター 著/和田光弘・山澄 亨・久田由佳子・小野沢 透 訳