書籍の内容
大学人・病理学研究者として38年間、母校に場を与えられた著者が、井の底の蛙のように限られた視角の中で思念したことどもを束ねたエッセイ集。医学的に人の死生を冷徹に受けとめる立場にあった著者の、真理を求めつづけたロマンと生命への深い畏敬の念が全編に溢れ出ている。
書籍の目次
[目 次]
Ⅰ 研究者とロマンと
井底蛙、天を観る / お前の夢はまだ生きているか / バッカスの盃を飲み干した人々 / コンドルは風雲にはばたく / 三河の広野 / ニライカナイから来た男 / 極北にて / 飛鳥への風が吹いた / 素晴らしい師との出合いの中で
Ⅱ 学窓より
弓道考 / フォルムとムーブメント / 阿吽(アウン)の呼吸 / 騎馬民族の末裔 / 「止観の法」の活用 / かくしてヒトは弓を引くようになった / 「脱皮」のすすめ / 口腔考 / 神秘にみちた臓器、脾臓 / ものを観察する / 管見、病理学の歩み / 文明と病気 / 医学と人間性 / 病気とは何か / 「手作りの書物」に乾杯を / 社会より贈られた勲章
Ⅲ 死生のこと
時の流れに / 紙吹雪の中で / 阿修羅の琴 / 達人の尻尾 / 糸車の乱れ / 大人しい鬼への鎮魂歌 / 達人の鬼籍 / 日本海の縄文人 / 臥床の記 / 夢想の記 / 創作「花脈物語」