内 容
経済成長やイノベーションを持続させるものは何か。——「有用な知識」を軸に科学・技術と経済の歴史を架橋することで、ビッグ・クエスチョンに鮮やかな解を提示、西欧近代の再定位を図ると同時に、現代社会の行く末をも展望する注目の書、待望の邦訳。
(原書名 The Gifts of Athena: Historical Origins of the Knowledge Economy)
著者紹介
ジョエル・モキイア
(Joel Mokyr)
1946年、オランダ生まれ。ヘブライ大学で修士号、イェール大学で博士号を取得したのち、1974年からノースウェスタン大学で経済学および歴史学の教鞭をとっている。2003年から2004年にはアメリカ経済史学会会長を務め、2006年にはオランダ王立芸術科学アカデミーの会員となった。また、2006年にハイネケン賞(歴史部門)、そして2015年にバルザン賞(人文科学分野)を受賞するなど、経済史家として国際的に広く知られている。本書以外の主な著作に、The Lever of Riches: Technological Creativity and Economic Progress (Oxford University Press, 1990)、The Enlightened Economy: An Economic History of Britain 1700-1850 (Yale University Press, 2009)、A Culture of Growth: The Origins of the Modern Economy (Princeton University Press, 2016) がある。
目 次
序 文
第1章 技術と人間の知識の問題
はじめに
有用な知識 —— いくつかの定義
「有用な知識」の理論
有用な知識の歴史的進化
有用な知識と社会科学
第2章 産業啓蒙主義
—— 経済発展の根源
はじめに
産業革命期の知識、科学、技術
知識革命
結 び
第3章 産業革命とそれを越えて
はじめに
第1次産業革命
第2次産業革命
第3次産業革命か?
有用な知識と経済成長
第4章 技術と工場制
はじめに
産業革命と工場の勃興
工場化の意義
工場化の説明
産業革命以後の工場
将来の展望
第5章 知識、健康、家庭
はじめに
家庭の知識と健康の単純モデル
3つの科学革命
知識、説得、家庭行動
家政学と家事労働
補 遺
第6章 知識の政治経済学
—— 経済史におけるイノベーションとそれに対する抵抗
はじめに —— 選択と知識
制度と技術
市場か政治か? 抵抗の経済史
政治経済学と産業革命
カードウェルの法則再考
結 び
第7章 制度、知識、経済成長
参照文献
監訳者あとがき
図表一覧
索 引
書 評
『西洋史学』(第273号、2022年6月、評者:瀬戸口明久氏)
訳者の既刊書
関連書
『世界史のなかの産業革命』 R.C.アレン 著/眞嶋史叙・中野 忠・安元 稔・湯沢 威 訳
『経済成長の世界史』 E.L.ジョーンズ 著/天野雅敏・重富公生・小瀬 一・北原 聡 訳
『ヨーロッパの奇跡』 E.L.ジョーンズ 著/安元 稔・脇村孝平 訳
『最初の近代経済』 J.ド・フリースほか著/大西吉之・杉浦未樹 訳
『イノベーション概念の現代史』 ブノワ・ゴダン 著/松浦俊輔 訳/隠岐さや香 解説