内 容
最初の「近代経済」か、「中世経済」の残り火か? 繁栄を極めた近世オランダ経済の歴史的実態を、ニュー・エコノミック・ヒストリやアナール学派など、最新の研究方法を駆使して解明する。経済史研究の到達点を象徴する画期的名著。—— 川北稔(大阪大学名誉教授)
【ジョルジ・ラーンキ賞受賞(Economic History Association, 1998)】
目 次
序 文
凡 例
第1章 はじめに
1 先行研究について
2 本書の目的
第Ⅰ部 構 造
第2章 空間と時間、構造とコンジョンクチュール
1 構 造
2 コンジョンクチュール
3 移りゆく景観 ——「黄金時代」的環境の構築
4 環境の反応
第3章 人 々
1 はじめに
2 各地の人口成長、1795年まで
3 バタヴィア・フランス時代
4 都市化
5 移民と人口構成
6 結 論
第4章 貨幣と税金、借入と貸付
1 貨幣供給量
2 国家財政
3 商業金融
4 どん欲、不安と効率的市場
第5章 3つの疑問
1 中世的遺産の影響とは?
2 オランダはカルヴァン主義的経済だったか?
3 オランダは単一の経済だったか?
第Ⅱ部 産業部門
第6章 農 業
1 はじめに
2 16世紀初期
3 1500年から1650年
4 1650年から1750年
5 1750年から1815年
6 農業生産に関する計測
第7章 漁 業
1 内水漁業
2 沿岸漁業
3 ニシン漁
4 小漁業
5 捕鯨業
6 若干の結論
第8章 工 業
1 はじめに
2 1585年までの工業
3 1585年以降の工業
4 結 論
第9章 17世紀中頃までの外国貿易
1 初期のオランダ貿易
2 商 船
3 16世紀中頃の外国貿易
4 危機とオランダ外国貿易
5 貿易システムの拡大
第10章 17世紀中期以降の外国貿易
1 覇権と危機
2 主要な取引商品
3 アジア貿易
4 西インド貿易
5 その他の成長部門
6 地域別考察、1650年から1815年
7 貿易の取引量と額、1650年頃から1815年
8 結 論
第Ⅲ部 分 析
第11章 都市と農村
—— 近代経済の社会構造
1 都市と農村の共存
2 手工業、工業、職業構造
3 貴族 —— 狩猟権を持つ人々?
4 農村の住民
5 都市の住民
6 女性や子供の経済的地位
第12章 生活水準と労働市場
1 はじめに
2 名目賃金
3 生活コスト
4 実質賃金
5 労働市場
6 所得の再分配
第13章 マクロ経済学的分析
1 経済発展の諸段階
2 先進的な前工業化経済の存在を受け入れるには
3 最初の近代経済を計測する
終 章
訳者あとがき
註
参考文献
図表一覧
索 引
書 評
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