内 容
経済成長の諸起源を、ヨーロッパ、日本、中国などから析出、遍在する成長への性向とともに、その発展を抑制した諸要因の除去こそが決定的であることを示して、産業革命の核心的テーゼに挑戦、諸地域の経済的勃興を新たな世界史的視野で描き出したグローバルヒストリーの先駆的著作。
著者紹介
エリック・ライオネル・ジョーンズ
(Eric Lionel Jones)
1936年イギリス生まれ。オーストラリア、ラ・トローブ大学教授を経て、現在メルボルン大学、メルボルン・ビジネス・スクール教授(Professional Fellow)および、イギリス、レディング大学大学院国際ビジネス学部教授(非常勤)。1400-1800年のヨーロッパとアジアの経済発展を比較した『ヨーロッパの奇跡 —— 環境・経済・地政の比較史』(1981年、邦訳2000年)は、グローバルヒストリー、比較史、環境史の開拓者的業績として、世界の歴史学界に大きな衝撃を与えた。『ヨーロッパの奇跡』の続編とも言うべき本書は、経済成長の軌跡を、ヨーロッパはもとより、東アジア、特に徳川期の日本と宋代の中国を取り上げて、成長阻害要因とその克服という視点から分析したものである。本書の他に、『一巡する成長 —— 環太平洋経済史』(L.Frost & C.Whiteと共著、1993年)、『経済発展の世界史』(2002年)がある。
(所属は刊行当時のものです。)
目 次
日本語版への序
謝 辞
第二版への序
序
Ⅰ すべてはどのように始まったか?
第1章 独りよがりの産業革命解釈
第2章 経済成長の始点
Ⅱ 初期における成長阻害要因の克服
第3章 古代における成長の兆し
第4章 宋代中国の事例
Ⅲ 挫折の解剖学
第5章 神のひき臼
第6章 征 服
第7章 派生的影響
第8章 惰眠する国家
Ⅳ 繰り返し発生する成長
第9章 日 本
第10章 ヨーロッパ
第11章 要約と結論
訳者あとがき
注
精選文献案内
文 献
索 引
書 評
【日本経済新聞書評】
【週刊東洋経済書評】
著者の既刊書
『ヨーロッパの奇跡』 E.L.ジョーンズ 著/安元 稔・脇村孝平 訳
関連書
『近代世界の誕生』 C.A.ベイリ 著/平田雅博・吉田正広・細川道久 訳
『世界史のなかの産業革命』 R.C. アレン 著/眞嶋史叙・中野 忠・安元 稔・湯沢 威 訳
『知識経済の形成』 ジョエル・モキイア 著/長尾伸一 監訳/伊藤庄一 訳
『近代世界システム』 (全4巻) I. ウォーラーステイン 著/川北 稔 訳