内 容
苛烈な暴力を許容する社会はいかにして生まれたのか ——。議会制民主主義を謳うワイマル共和国。だが、街頭は世論を左右する新たな公共圏として、ナチスや共産党のプロパガンダの場となり、酒場を拠点とした「暴力のサブカルチャー」が形成されていく。実像を初めて描きだした力作。
目 次
序 章 「政治的暴力の社会史」をめざして
1 問題の所在
2 研究の現状
3 本書の視角と構成
第Ⅰ部 ワイマル共和国における政治的街頭闘争
第1章 ベルリンにおける街頭政治とナチスのプロパガンダ活動
1 ワイマル期ベルリンの政治状況
2 街頭をめぐる政治/街頭における政治
3 プロパガンダ活動の諸相
4 小 括
第2章 相対的安定期のベルリンにおける政治的暴力
1 ベルリンのナチズム運動
2 ベルリンをめぐる「闘い」
3 党派対立型暴力の始まり
4 小 括
第3章 「リヒターフェルデ東駅の衝突」事件
1 事件の前史
2 事件の経緯
3 事件の影響
4 小 括
第4章 政治的暴力と武器の氾濫
1 ワイマル共和国における「国家による暴力独占」
2 武器の市中氾濫
3 警察による武器の押収
4 小 括
第5章 1930年代初頭のベルリンにおける政治的暴力
1 党派対立の深刻化
2 政治的街頭闘争の展開
3 政治的街頭闘争の背景
4 小 括
第Ⅱ部 政治的暴力と酒場
第6章 第二帝政期における酒場の政治化
1 第二帝政期の政治的酒場に関する研究の現状
2 19世紀ドイツにおけるアルコール消費と酒場
3 社会主義労働運動と酒場
4 政治的公共圏としての酒場
5 小 括
第7章 1930年代初頭のベルリンにおける政治的酒場
1 政治的酒場の増大と分極化
2 政治的酒場をめぐる諸相
3 酒場に対する警察の対応
4 小 括
第8章 ベルリンにおける政治的暴力と酒場
1 「前線基地」としての酒場
2 酒場への襲撃
3 酒場内でのトラブル
4 酒場からの攻撃
5 酒場への行き帰りでの襲撃・衝突
6 ナチス政権の成立と政治的酒場
7 小 括
終 章 ワイマル共和国と政治的暴力
註
あとがき
参考文献
略語一覧
図表一覧
地名・事項索引
人名索引
書評等
『西洋史学』(第275号、2023年6月、評者:村上宏昭氏)
『ドイツ研究』(第57号、2023年3月、評者:藤原辰史氏)
『歴史学研究』(2023年5月号、第1035号、評者:長田浩彰氏)
『史学雑誌』(第131編第10号、2022年10月、評者:星乃治彦氏)
『週刊読書人』(2022年2月11日号、第3427号、評者:中道寿一氏)
北海道新聞(2021年12月26日付、読書欄特集「『読書ナビ』16人が選ぶ『今年の3冊』」、評者:吉田徹氏)
関連書
『ワイマル共和国』 D. ポイカート 著/小野清美・田村栄子・原田一美 訳
『ナチズムと歴史家たち』 P. シェットラー 編/木谷 勤・小野清美・芝 健介 訳
『第三帝国の音楽』 エリック・リーヴィー 著/望田幸男監訳/田野大輔・中岡俊介 訳