内 容
危機と心地よさ ——。戦争と大不況をくぐり、自然・地域・人間性の回復が希求されるなか、「相互受胎」していく三つの国家。カリスマ的指導者、プロパガンダ、シンボル建築などを手がかりに、「ファシズム」対「民主主義」、「全体主義」対「自由主義」の構図をこえ、今日に至るレジームの深層に迫る。
著者紹介
ヴォルフガング・シヴェルブシュ
(Wolfgang Schivelbusch)
1941年、ベルリン生まれ。フランクフルト大学とベルリン大学で文学・哲学・社会学を修める。1970年代からニューヨークに在住し、多彩な著作活動を展開。主著に『鉄道旅行の歴史』(1977年)、『楽園・味覚・理性』(1980年)、『知識人の黄昏』(1982年)、『闇をひらく光』(1983年)、『図書館炎上』(1988年)、『光と影のドラマトゥルギー』(1992年)、『ベルリン文化戦争』(1995年)、『敗北の文化』(2001年。以上、邦訳は法政大学出版局より刊行)などがある。2003年にハインリヒ・マン賞、2013年にレッシング賞を授賞。
(所属等は初版第1刷発行時のものです。)
目 次
序 章 全体主義と自由主義
第1章 ファシズム、ナチズム、ニューディール
「フェビアン・ファシズム」
戦争のメタファー
資本からの解放者
第2章 カリスマ的指導者
—— ローズヴェルトとヒトラー
ローズヴェルトとラジオ
ヒトラーと大衆集会
第3章 プロパガンダ
シンボルの力
青い鷲
「服従のシンボリズム」
プロパガンダとサーカス
第4章 新しい空間
—— 国民、地域、入植
地域主義
入 植
自給自足のための入植
第5章 シンボル建築
—— アグロ・ポンティーノ、テネシー川流域開発、アウトバーン
アグロ・ポンティーノ
テネシー川流域開発
電化による救済
アウトバーン
景観の王冠
弧を描く道路
終 章 1944年
——「行進していくように」
訳者あとがき
注
図版一覧
事項索引
人名索引
書 評
『週刊読書人』(第3120号、2015年12月18日付、評者:髙木勇夫氏)
『週刊読書人』(第3104号、2015年8月28日付、評者:井上茂子氏)
『週刊ポスト』(2015年7月17・24日号、評者:井上章一氏)
関連書
『ワイマル共和国』 D.ポイカート 著/小野清美・田村栄子・原田一美 訳
『ウェーバー 近代への診断』 D.ポイカート 著/雀部幸隆・小野清美 訳
『ナチズムと歴史家たち』 P.シェットラー 編/木谷 勤・小野清美・芝 健介 訳