内 容
最も信頼できる現代史 ——。20世紀初頭、国王陛下の「臣民」でしかなかったイタリアの「民衆」が、議会制民主主義と近代産業国家へと踏み出し、二度の世界大戦や内戦、冷戦といった幾多の困難を乗り越えて、イタリア「国民」となり「市民」となっていく曲折に満ちた道程を、密度濃く描き出す。複雑で魅力あふれる現代イタリアを理解する最良の一冊。
目 次
第Ⅰ部 自由主義イタリア
第1章 ジョリッティ時代(1900-13年)
1 一つの時代の終わり
2 発展と後進性のはざまの国家
3 社会党を率いる改良派(1900-04年)
4 協力と非協力のあいだの社会主義者とカトリック教徒
5 中間層の政治的動員
6 発展と近代化
7 カトリック教会とカトリック教徒の政治参加
8 リビア戦争
第2章 世界大戦(1914-18年)
1 赤い一週間
2 ヨーロッパにおける戦争
3 参戦論者
4 中立論者の敗北
5 戦時のイタリア
6 国内戦線
7 勝利
8 成長過程の国
9 傷ついた勝利
第3章 自由主義国家の崩壊(1919-22年)
1 政治体制を左右する人民党
2 赤い二年間(1919-20年)
3 革命の約束
4 戦士のファッショ
5 ジョリッティとファシズム議会化の幻想
6 イタリア共産党の誕生
7 ファシストが議会に入る
8 ローマ進軍
第Ⅱ部 ファシスト・イタリア
第4章 独裁制の誕生(1922-29年)
1 経済界とファシズム
2 武装解除しない行動隊
3 アチェルボ法と1924年選挙
4 マッテオッティ事件とアヴェンティーノ反対派
5 反ファシストの敗北
6 ファシスト体制の確立
7 ファシズムと文化と社会
8 ファシスト国家とカトリック教会の和解
第5章 全体主義国家(1929-39年)
1 ファシスト国家と経済 —— 90リラ相場政策から大恐慌へ
2 大恐慌下の労働者と農民
3 「人民のなかへ」—— 社会事業と公共事業
4 亡命地と地下活動の反ファシスト
5 国内外における合意の時代
6 エチオピア戦争
7 スペイン戦争
8 全体主義への転回と人種法
第6章 第二次世界大戦(1939-45年)
1 ヨーロッパ戦争
2 非交戦国から参戦へ
3 イタリアの並行戦争
4 イタリアの敗北
5 ファシズムの崩壊
6 イタリアが二つに分断されたとき
7 レジスタンスと連合軍
第Ⅲ部 イタリア共和国
第7章 再建期(1945-53年)
1 南部の戦後
2 「北部の風」
3 政治体制選択の国民投票と制憲議会選挙
4 冷 戦
5 再建期の経済政策
6 知識人の政治参加
7 農地改革・南部開発公庫・大規模な国内移住
8 安定した中道多数派の模索 —— シェルバ法
第8章 大変動の時代(1953-68年)
1 大右翼政党構想
2 民間企業家と公営企業家
3 中道左派という新たな均衡の模索
4 「忘れがたき1956年」
5 経済の奇跡の時代におけるイタリア社会
6 方向転換
7 「福祉国家」
8 社会からの抗議と学生からの抗議
第9章 鉛の時代(1968-80年)
1 新左翼
2 緊張の戦略
3 赤いテロリストと黒いテロリスト
4 民主主義社会
5 国家転覆と秩序のあいだの右翼
6 スキャンダルの季節
7 経済危機
8 歴史的妥協
第10章 世紀末の危機(1980-2000年)
1 退 潮
2 第二の経済の奇跡
3 新たな消費と新たな社会
4 政党システムの衰退
5 共産党と弱い野党
6 抗議の嵐
7 政党システムの解体
8 イタリアとヨーロッパ
9 新たな政治的均衡を求めて
解題(村上信一郎)
註
年 表
参考文献
図版一覧
人名索引
書 評
関連書
『イタリア・ファシズム経済』 G・トニオロ 著/浅井良夫・モルテーニ 訳
『ヴェニスのユダヤ人』 リッカルド・カリマーニ 著/藤内哲也 監訳/大杉淳子 訳