書籍の内容
第一次世界大戦の危機のさなかに誕生しムッソリーニ・ファシズム体制の成立とともに消滅したイタリア史上最初のカトリック政党であるイタリア人民党の歴史社会学的分析を通じて、近代の政治的危機における政治と宗教のダイナミックな関係を考察する。
書籍の目次
序 章
第1章 イタリアのカトリック運動
1.「謬説表」から教皇不可謬権の教義化へ:教皇絶対主義の確立
2.「ローマ問題」と非妥協主義カトリック運動の誕生
3.「大会活動団」
4.教皇レオーネ13世の新時代:妥協派と和解派の台頭
5.反教権主義とカトリック非妥協主義
6.キリスト教社会運動と教皇レオーネ13世の回勅『レールム・ノワールム』
7.非妥協派による社会運動とその大衆基盤
8.キリスト教民主主義運動の出現
9.「大会活動団」の解散
第2章 「カトリック活動」と大衆の組織化
1.教皇ピオ10世と「カトリック活動」
2.カトリック系経済組織とカトリック系金融資本の国民経済への統合
3.教権-穏健主義
4.カトリック教徒の中立論と参戦論
5.教皇ベネデット15世と「カトリック活動」の再編
第3章 イタリア人民党
1.結党のイニシアティブの確立
2.綱領と党組織の基本的特徴
3.非宗派性の問題
4.カトリック系諸組織との関係
5.党内ダイナミズムの表出(第一回党大会)
第4章 戦後政治のなかの人民党
1.比例代表制
2.《選挙政党》としての人民党
3.総選挙後の院内活動
4.カトリック農民運動
5.左派勢力の拡大(第二回党大会)
6.メーダの組閣問題
7.第五次ジョリッティ内閣と人民党
8.党構造の二重性と選挙制度
9.ファシズムとの遭遇(1921年5月15日繰り上げ総選挙)
10.人民党構造の地域類型
11.人民党議員の社会構成分析
第5章 政治危機への対応と党構造の分極化
1.ボノーミ内閣と第三回ヴェネツィア党大会
2.ジョリッティにたいする《拒否》
3.社会党との協力問題
4.第一次ファクタ内閣の危機
5.ファシズムの権力獲得
第6章 党構造の表層と深層
1.人民党をめぐる内外の情勢
2.第四回トリーノ党大会
3.選挙法改正問題とストゥルツォの政治書記辞任
4.1924年総選挙
第7章 人民党と反ファシズム
1.マッテオッティ危機と教皇の《警告》
2.人民党と「アヴェンティーノ反対派」
3.ヴァティカンにたいする最後の《抵抗》
4.第五回ローマ党大会
5.人民党の最期
この著者の他の書籍の紹介
『イタリア20世紀史』 S. コラリーツィ 著/村上信一郎 監訳/橋本勝雄 訳