書籍の内容
現代イタリアの代表的経済史家が、広い視野と柔軟な方法に基づき、ムッソリーニの権力掌握からリラの安定へ、さらに1929年恐慌からアウタルキー体制、そして戦争へといたるファシズム期20年間の経済と経済政策の実態を国際経済の中に位置づけて具体的に概説した最良かつ唯一の通史。
書籍の目次
序 論
第1章 長期的趨勢と景気循環
Ⅰ 停滞か成長か
Ⅱ 構造変化
Ⅲ 景気循環
第2章 発展期
Ⅰ 「経済成長モデル」の一般的特徴
Ⅱ 成長の諸要因(1) —— 労働力供給の弾力性
Ⅲ 成長の諸要因(2) —— 金融市場
Ⅳ デ・ステーファニの経済政策
Ⅴ 穀物関税なき農業
Ⅵ 工業生産の増大とその問題点
Ⅶ 成長の地域的較差
Ⅷ 1925年 —— 転換の年
第3章 1ポンド90リラ平価
Ⅰ ヨーロッパにおける「金本位制」の問題
Ⅱ 1922年から25年のリラ為替相場
Ⅲ 「好循環」の終焉
Ⅳ 為替安定の前提条件
Ⅴ ヴォルピの最初の試み
Ⅵ ペーザロの演説
Ⅶ 過度のデフレーション
Ⅷ 金本位制への復帰
Ⅸ ヴォルピ氏の経済的帰結
Ⅹ 1926~29年の産業部門別動向
第4章 大恐慌
Ⅰ イタリアにおける恐慌の原因
Ⅱ 恐慌は比較的軽度だったか
Ⅲ 農業における生産と所得の鋏状較差
Ⅳ 工業における生産、生産性および付加価値
Ⅴ 産業政策と部門間の二重構造の拡大
Ⅵ 外国貿易の傾向
Ⅶ リラの過大評価と初期の為替管理の実験
Ⅷ 金融政策と財政政策
第5章 銀行家国家・企業家国家の誕生
Ⅰ 兼営銀行・産業救済・最後の貸し手
Ⅱ 「90リラ平価」から大恐慌期にかけての産業・銀行・国家の関係
Ⅲ 初期の銀行救済(1930~31年)における「独裁制の利点」
Ⅳ 中央ヨーロッパにおける兼営銀行の危機
Ⅴ 台風の目 —— イタリア商業銀行
Ⅵ 1932年における産業金融の問題
Ⅶ 内部貸借対照表と銀行の「再建計画」
Ⅷ 企業家国家・銀行家国家
Ⅸ 大銀行の国有化
Ⅹ 金融制度の中枢に位置する政府
第6章 アウタルキー
Ⅰ 恐慌からの緩慢な回復
Ⅱ 戦時アウタルキー体制下の成長のマクロ経済的側面
Ⅲ 貿易政策と「アウタルキー政策」
Ⅳ 金融・財政政策
Ⅴ 物価・賃金・利潤
Ⅵ 生産諸部門とアウタルキー計画
Ⅶ 農業の自給自足のコスト
Ⅷ 消費財産業の放棄
Ⅸ 保護産業への資源の移転
Ⅹ アフリカ侵攻の経済的側面
Ⅺ 制度改革 —— 銀行改革とIRI
関連書籍の紹介
『イタリア20世紀史』 コラリーツィ 著/村上信一郎 監訳/橋本勝雄 訳