2012年度書評一覧

『イスラム世界』 [第79号、2013年3月] から(評者:新井政美氏)

オスマン帝国と立憲政
青年トルコ革命における政治、宗教、共同体

オスマン帝国と立憲政

藤波伸嘉著『オスマン帝国と立憲政』が、『イスラム世界』(第79号、2013年3月、日本イスラム協会発行)で紹介されました。近代的な立憲主義のもとで、多民族多宗教の統合をいかにして果たすのか ——。個人に基礎をおく憲法体制と民族的宗教的少数集団の権利主張、共和主義と共同体主義、公と私が鋭く対立する中での国民統合・憲政運用という、今なお解きがたい問題に果敢に挑戦したオスマン立憲政のアクチュアルな試みを、膨大な史料から政治史的・思想史的に跡づけ、近現代の世界史像に修正をせまる、気鋭による力作。

藤波伸嘉 著
税込7,260円/本体6,600円
A5判・上製・460頁
ISBN978-4-8158-0683-5 C3031
在庫有り


『明大アジア史論集』 [第17号、2013年3月] から(評者:伊藤彩氏)

オスマン帝国と立憲政
青年トルコ革命における政治、宗教、共同体

オスマン帝国と立憲政

藤波伸嘉著『オスマン帝国と立憲政』が、『明大アジア史論集』(第17号、2013年3月、明治大学東洋史談話会発行)で紹介されました。近代的な立憲主義のもとで、多民族多宗教の統合をいかにして果たすのか ——。個人に基礎をおく憲法体制と民族的宗教的少数集団の権利主張、共和主義と共同体主義、公と私が鋭く対立する中での国民統合・憲政運用という、今なお解きがたい問題に果敢に挑戦したオスマン立憲政のアクチュアルな試みを、膨大な史料から政治史的・思想史的に跡づけ、近現代の世界史像に修正をせまる、気鋭による力作。

藤波伸嘉 著
税込7,260円/本体6,600円
A5判・上製・460頁
ISBN978-4-8158-0683-5 C3031
在庫有り


『経済セミナー』 [2013年4・5月号] から (評者: 山形辰史 氏)
“開発経済学は中国をどこまで解けるのか?”

開発経済学と現代中国

開発経済学と現代中国

中兼和津次著 『開発経済学と現代中国』 が、『経済セミナー』 (2013年4・5月号、日本評論社刊) に掲載されました。未曾有の変貌をとげる現代中国を、社会科学の実験場とみなし、開発経済学のさまざまなモデルや仮説を準拠枠として、その 「発展」 の軌跡を検証します。はたして 「中国モデル」 は存在するのか。第一人者による透徹した中国経済論。

中兼和津次 著
価格 3,800円
A5判・上製・306頁
ISBN978-4-8158-0710-8 C3033
在庫有り


『現代詩手帖』 [2013年4月号] から

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、『現代詩手帖』(2013年4月号、思潮社発行)で紹介されました。第4回「鮎川信夫賞」受賞決定に関する記事であり、著者による受賞の言葉、そして岡井隆氏、北川透氏、吉増剛造氏ら選考委員による選評が紹介されています。

性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出します。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


『図書新聞』 [2013年3月23日号、第3103号] から(評者:岩野卓司氏)

バタイユ 聖なるものから現在へ

バタイユ聖なるものから現在へ

吉田裕著『バタイユ 聖なるものから現在へ』が、『図書新聞』(2013年3月23日号、第3103号、図書新聞発行)に掲載されました。思想家ジョルジュ・バタイユの強烈な思考のうねり ——「過剰さ」の行方 —— を、その生涯にわたって辿りつつ、政治・宗教・芸術など複数の領域の交点で、またニーチェやヘーゲルとの対峙の極点に、斬新なバタイユ像を描き出す。多様な書物・思考から浮かび上がる全体性を捉えた思想の伝記。

“…… 私が特に評価したい点はふたつある。ひとつは文学作品の具体的な分析に関してである。総合的な視点からのバタイユ読解では、個々の小説作品は触れられずに終わったり、とおりいっぺんの解説に終始したりしがちであるが、吉田氏は文学作品にきちんとメスを入れ、作品に「全体」の中での場所を与えている。例えば、『死者』という物語がエロスと死をめぐって『内的経験』と『エロティシズム』を繋ぐ重要な役割を担っていることや、『わが母』の「裏切り」のテーマが『内的経験』の「死の瞞着」という「死なずに死ぬ」ことでの死の裏切りの考えと結びついていることが見事に示されている。
もうひとつは、バタイユの「聖なるもの」の思想の到達点の素描である。それは現代社会の有用性や平準化に対して英雄のように反抗するのではなく、これらを受け入れながら無名なまま決定的な勝利もなく抵抗していくことにある。吉田氏はバタイユの描くカフカ像にそれを見出している。かくして「禁止と違反の共犯関係」をバタイユの到達点と見る、かつて流行った俗流解釈は退けられるのだ。こういった興味深い発見の数々は、確かにバタイユの全体像の解明がもたらした成果と言えるであろう。この全体像の根底に吉田氏はキー概念として「過剰さ」なるものを据えるのであるが、これはバタイユが生涯を通してあらゆるジャンルの作品で関心をもっていたものである。……”(『図書新聞』2013年3月23日号、第3面)

吉田 裕 著
価格 6,600円
A5判・上製・520頁
ISBN978-4-8158-0713-9 C3010
在庫有り


「読売新聞」 [2013年3月10日付] から(評者:管啓次郎氏)

バタイユ 聖なるものから現在へ

バタイユ聖なるものから現在へ

吉田裕著『バタイユ 聖なるものから現在へ』が、「読売新聞」(2013年3月10日付)に掲載されました。思想家ジョルジュ・バタイユの強烈な思考のうねり —— 「過剰さ」 の行方 —— を、その生涯にわたって辿りつつ、政治・宗教・芸術など複数の領域の交点で、またニーチェやヘーゲルとの対峙の極点に、斬新なバタイユ像を描き出す。多様な書物・思考から浮かび上がる全体性を捉えた思想の伝記。

“…… バタイユの全貌を、丁寧に概観する。論述は、あくまでも明晰で、ゆるぎなく、ゆるみもない。古文書学校を出た図書館員として終生すごしつつ、多くの文学者・哲学者・芸術家たちと地下水系のような交渉を保ちながら、娼家を好み、バタイユはすべてを考えた。社会学、宗教学、哲学、文学、美術史。すべてを横切るようにして、「死」という想念にとりつかれずには生きてゆけない人間存在の核心を考えた。
あらゆる通念(ドクサ)に対してスキャンダラスなまでに抵抗を試みたパラドクサル(逆説的)な人。彼が第一次大戦からヒロシマ、アウシュビッツにいたる大量かつ無名の死をつきつけられてきた世代に属していることには、大きな意味があるだろう。痛いほどの不安が生んだ思想だと思う。それはわれわれの多くが共有している不安だ。チェルノブイリがあった。福島の状況はいまも続く。有用性・計画性の社会の破綻に直面した現在、改めてバタイユの姿勢に学びたい。”(「読売新聞」2013年3月10日付、第10面)

吉田 裕 著
価格 6,600円
A5判・上製・520頁
ISBN978-4-8158-0713-9 C3010
在庫有り


「日本経済新聞」 [2013年3月10日付] から
“沿海部から清朝末期の混乱描く”

海の近代中国
福建人の活動とイギリス・清朝

海の近代中国

村上衛著 『海の近代中国』 が、2013年3月10日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。貿易、海賊・海難、移民など、清末中国の 「海の歴史」 に注目し、福建人の活動とイギリスの役割を焦点に、漢文・英文史料を博捜することで、アヘン戦争の再定義を含め、中国を新たな時代へと突き動かした力を多角的に明らかにします。海と陸、近世と近代を接続し、歴史像を刷新した労作。

「…… 1830年代から20世紀初頭、清朝末期の中国の混乱を漢文と英文の膨大な史料をもとに描き出した労作。アヘン貿易を機に始まる社会の動揺が鮮明に映し出される地域として、著者は商業が発展し、人の流動性も激しい福建省の南部を舞台に選ぶ。……
 ……今の中国はどうか。中国への投機資金を動かしているのは、実は海外の華人といわれる。中央がいくら抑えても不動産投機はやまず、背後で地方政府が動く。内に混沌を抱え込んだ清朝末期を描く本書は、現代中国をみるヒントにもなる。」 (2013年3月10日付日本経済新聞から)

村上 衛 著
価格 8,400円
A5判・上製・692頁
ISBN978-4-8158-0719-1 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2013年3月9日号] から (評者: 倉石一郎 氏)
“地道なフィールドワークによって、日本の矯正教育がもつ 「底力」 のみなもとに迫る”

現代日本の少年院教育
質的調査を通して

現代日本の少年院教育

広田照幸・古賀正義・伊藤茂樹編 『現代日本の少年院教育』 が、『図書新聞』 (2013年3月9日号、図書新聞刊) に掲載されました。少年院ではどのような教育が行われ、少年の更生にどのように役立っているのか? 現場で工夫や改善を重ねることで独自の発展をとげてきた日本の少年院での教育実践を、本格的なフィールド調査を通して、教育学・社会学の視点から多面的に分析、従来のイメージを一新する画期的な研究。

広田照幸・古賀正義・伊藤茂樹 編
価格 5,600円
A5判・上製・396頁
ISBN978-4-8158-0705-4 C3037
在庫有り


『週刊読書人』 [2013年3月1日号] から(評者:福島勲氏)

バタイユ 聖なるものから現在へ

バタイユ聖なるものから現在へ

吉田裕著『バタイユ 聖なるものから現在へ』が、『週刊読書人』(2013年3月1日号、読書人発行)に掲載されました。思想家ジョルジュ・バタイユの強烈な思考のうねり —— 「過剰さ」 の行方 —— を、その生涯にわたって辿りつつ、政治・宗教・芸術など複数の領域の交点で、またニーチェやヘーゲルとの対峙の極点に、斬新なバタイユ像を描き出す。多様な書物・思考から浮かび上がる全体性を捉えた思想の伝記。

“…… 本書の最大の興味は、「禁止と侵犯」の思想家から「衰退」の思想家へのバタイユ像の更新にある…… この刺激的なテーゼは、単なる思いつきではない。これを論証する際、吉田が依拠するのはつねに実証的な読解であり、密林でのフィールドワークから根気よく実測された、バタイユのテクストで言及される哲学者や作家の比重の変化である。…… 本書が描くバタイユ像は、見返りなき贈与で燃えさかる太陽的なイメージとはちがって、より現実的で、シニカルなものである。しかし、それだけに、バタイユの思想を現在に活かすためのアイデアにあふれている。こうした長年の成果を一冊の書物として享受できることを、私たちは喜びとしなければならない。吉田が本書の最後に置いた文学の問いは、吉田自身が、また、後に続く世代が引き継いで考えていくべき課題となろう。…… バタイユの文学と思想が持つ厚みの全体像を知るために必読の最重要本である。”(『週刊読書人』2013年3月1日号)

吉田 裕 著
価格 6,600円
A5判・上製・520頁
ISBN978-4-8158-0713-9 C3010
在庫有り


「福井新聞」 [2013年2月17日付] から (評者: 小針 進 氏)
“双方主張を丹念に再検討”

竹島問題とは何か

竹島問題とは何か

池内敏著 『竹島問題とは何か』 が、2013年2月17日付 「福井新聞」 に掲載されました。歴史分析の光に照らし、学問的に確実に言いうることとは何か。日韓双方の史料に精通する著者が、過熱する両国の自己中心的な議論を乗り越えて、近世から現代に至る竹島問題の全体像を余すところなく描き出します。

池内 敏 著
価格 4,600円
A5判・上製・402頁
ISBN978-4-8158-0718-4 C3021
在庫有り


『みすず』 [2013年1・2月号] から

「読書アンケート特集」 より

2013年1・2月号 『みすず』 (みすず書房刊) 「読書アンケート特集」 で下記の図書が紹介されました。

【郷原佳以氏による紹介】
アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳  鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
『アンチモダン —— 反近代の精神史』

「…… モダンに潜む 『アンチモダン』 派の系譜を大胆に描き出す大著の待望の翻訳。……」 (p.11)

【梅津順一氏による紹介】
沢井 実 著
『近代日本の研究開発体制』

「…… 第一次大戦から高度成長までの日本の研究開発の在り方を、多面的に克明に分析した労作。…… 」 (p.61)

【水野正好氏による紹介】
水野千依 著
『イメージの地層 —— ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』

「…… 審美・表現の対象であったルネサンス図像を、図像と共に生き、生み出した人々の地層に根づかせて感得させる地平の平衡と揺らぎを地層として重ね描いている。地層・層序をキイワードとする考古学はこの言葉の本義を忘れ化石語化させているだけに、『地層』 から 『地層』 へ図像が語るその地相は活きて語る力に輝いている。 ……」 (p.84)

【加藤尚武氏による紹介】
エリオット・ソーバー 著/松王政浩 訳
『科学と証拠 —— 統計の哲学 入門』


「毎日新聞」 [2013年2月17日付] から (評者: 富山太佳夫 氏)
「“近代と反近代” 複雑きわまりない関係に迫る」

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 (松澤和宏監訳/鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈訳) が、2013年2月17日付 「毎日新聞」 に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてた衝撃作。

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


『経済史研究』 [第16号 2012年] から (評者: 木越義則 氏)

「大東亜共栄圏」 経済史研究

「大東亜共栄圏」経済史研究

山本有造著 『「大東亜共栄圏」 経済史研究』 が、『経済史研究』 (第16号 2012年、日本経済史研究所刊) に掲載されました。日本帝国50年の歴史を通じて形成された植民地経済の構造と特質をふまえて、その最後の姿となった 「大東亜共栄圏」 の全容を初めて客観的に描き出します。マクロ的数量データをもとに、交易や金融の実証的分析から、アジア各地に大きな影響を及ぼした円域経済の実態を捉えた、必読の成果。著者の 『日本植民地経済史研究』 『「満洲国」 経済史研究』 に続く、日本帝国史研究3部作の最後を飾る著作。

「…… 本書の優れている点は、貿易と国際収支分析を、太平洋戦争の勃発によって広がった 『南方圏』 だけに向けるのではなく、日本本土、さらには満蒙・中国からなる 『北方圏』 も網羅する形で進めたことである。政策の動向や各地の戦時経済の実態について詳細に探求することも重要であるが、それらを大きく規定したマクロ的な経済構造とは何か。『大東亜共栄圏』 の経済的なありようをまるごと把握しようとする視角と方法を提示した点が評価される。……」 (『経済史研究』 第16号 2012年 p.191-192から 評者: 木越義則氏)

山本有造 著
価格 5,500円
A5判・上製・306頁
ISBN978-4-8158-0680-4 C3033
在庫有り


『週刊 エコノミスト』 [2013年2月12日号] から (評者: 橘川武郎 氏)
“ダイナミックで胸躍る日本のものづくり経営”

ものづくり日本経営史
江戸時代から現代まで

ものづくり日本経営史

粕谷誠著 『ものづくり日本経営史』 が、『週刊 エコノミスト』 (2013年2月12日号、毎日新聞社刊) に掲載されました。ものづくりの現場の奥深くから見えてくる日本経済発展の真の力とは何か。神話を超えて、歴史的な一貫した視点により、苦闘から隆盛への展開過程を制度やガバナンス、国際環境にも注目して解き明かします。今日の停滞局面への示唆にも富む、新たな標準をなす通史決定版。

「…… 本書は、……ものづくりに関連する、それぞれの時代における技術革新のポイントを、簡潔かつ明瞭に説明していく。掲載された設計図や写真に目をやりつつ、テンポよくそして無駄なく展開される説明を追っていくと、読者はいつの間にか、その時代を生きた職人や技術者の息づかいを感じることができるような気分になる。
 ……狭義のものづくりだけでなく、ものづくりに大きな影響を及ぼす流通ビジネスの変遷にも目を向けている。具体的には、江戸時代の呉服販売を皮切りに、近代化の過程で登場した商社、デパート、メーカー系列販売、スーパーなどに光を当て、それらのビジネスモデルの解明にページを割いているのである。
 …… 本書は、『ものづくり』 の分析を手掛かりにして企業経営全般の本質を照射した 『日本経営史』 の書物なのである。今後本書が、経営史学の世界で、標準的なテキストの1つとして定着していくことは間違いない。……」 (『週刊 エコノミスト』 2013年2月12日号 p.58-59から 評者: 橘川武郎氏)

粕谷 誠 著
価格 3,800円
A5判・並製・502頁
ISBN978-4-8158-0715-3 C3034
在庫有り


『出版ニュース』 [2013年2月上旬号] から

中東鉄道経営史
ロシアと 「満洲」 1896-1935

中東鉄道経営史

麻田雅文著 『中東鉄道経営史』 が、『出版ニュース』 (2013年2月上旬号、出版ニュース社刊) に掲載されました。東清ないし東支鉄道ともよばれ、「満洲」 を通るロシアの 「植民地化会社」 として、露・中・日・仏・米が角逐する国際政治の焦点となった中東鉄道。海運とも連動する鉄道事業経営と、収用地や警備隊による植民地経営が一体となった、その全体像を初めて実証的に解明。西洋史・東洋史・日本史を横断する跨境的な東北アジア近現代史を描き出します。

麻田雅文 著
価格 6,600円
A5判・上製・536頁
ISBN978-4-8158-0711-5 C3022
在庫有り


『経済学論集』 [第78巻第4号、2013年1月] から(評者:森宜人氏)

ドイツ社会保険史
社会国家の形成と展開

ドイツ社会保険史

福澤直樹著『ドイツ社会保険史』が、『経済学論集』(第78巻第4号、2013年1月、東京大学経済学会発行)で紹介されました。19世紀末、世界最初の導入から東西統一後の今日まで、年金・医療・労災保険において先進的施策を生み出してきたドイツ社会保険の通史を初めて描出。社会保険発祥の国が直面した、制度・市場・国家・社会・財政などの難題を余すところなく捉え、現代日本にも多くの示唆を与える成果。

福澤直樹 著
税込7,260円/本体6,600円
A5判・上製・338頁
ISBN978-4-8158-0701-6 C3033
在庫有り


『大原社会問題研究所雑誌』 [第651号、2013年1月] から(評者:枡田大知彦氏)

ドイツ社会保険史
社会国家の形成と展開

ドイツ社会保険史

福澤直樹著『ドイツ社会保険史』が、『大原社会問題研究所雑誌』(第651号、2013年1月、法政大学大原社会問題研究所発行)で紹介されました。19世紀末、世界最初の導入から東西統一後の今日まで、年金・医療・労災保険において先進的施策を生み出してきたドイツ社会保険の通史を初めて描出。社会保険発祥の国が直面した、制度・市場・国家・社会・財政などの難題を余すところなく捉え、現代日本にも多くの示唆を与える成果。

福澤直樹 著
税込7,260円/本体6,600円
A5判・上製・338頁
ISBN978-4-8158-0701-6 C3033
在庫有り


『現代詩手帖』 [2013年2月号] から(評者:久谷雉氏)

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、『現代詩手帖』(2013年2月号、思潮社発行)で紹介されました。 性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出します。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

“…… 坪井氏は伊藤比呂美のテクストの複雑かつ繊細な構造を、初出からの異同も視野に入れた上で、的確に丁寧に読み解いてゆく。そこから浮かび上がってくるのは、性〈が〉語っているものの相対化が、やがて言葉そのものへの批評的な視線へと展開され、〈文学〉ひいては〈文化〉に内在する制度へ極めて戦略的に揺さぶりがかけられてゆくという過程である。「〈産む性〉と〈産まぬ性〉とがそれぞれ肯定形と否定形を分け持って相補う」という二項対立的に設定された、〈性〉をめぐる「心性の枠組み」に対して、伊藤比呂美が —— 上手くいったとは言えない試みも含めて —— いかにして新たな局面を切り開いたのかが、坪井氏の分析を通じて実感的に伝わってくる。無機的な文体から看取される〈禁欲性〉が、帰化植物や死体等、〈棄却されたもの〉のカオティックさを逆に炙り出していくという初期作品の特質がやがて、荒木経惟の写真とのコラボレーションや、他者のテクストからの引用などを通じて、多声的な方向へ展開されていく様を追う論述は実にスリリングだ。また、それは〈詩〉という、〈個人的なこと〉から生まれた言葉であることが散文以上に重視される —— それゆえに〈個人〉を統べる、あるいはその中に潜んでいる〈政治〉との関係がより強く意識されざるを得ない —— ジャンルに携わる者にとっては、重要なヒントになりうるであろう。〈個人的なこと〉から、その背後にある歴史の層へと言葉を切り結んでゆくための ——。”(p/65)

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


『出版ニュース』 [2013年1月下旬号] から

竹島問題とは何か

竹島問題とは何か

池内敏著 『竹島問題とは何か』 が、『出版ニュース』 (2013年1月下旬号、出版ニュース社) に掲載されました。歴史分析の光に照らし、学問的に確実に言いうることとは何か。日韓双方の史料に精通する著者が、過熱する両国の自己中心的な議論を乗り越えて、近世から現代に至る竹島問題の全体像を余すところなく描き出します。不毛な論争を終わらせ、冷静に問題に向き合うための必読の著作。

池内 敏 著
価格 4,600円
A5判・上製・402頁
ISBN978-4-8158-0718-4 C3021
在庫有り


『同時代史研究』 [2012年 第5号] から (評者: 浅井良夫 氏)

日本のエネルギー革命
資源小国の近現代

日本のエネルギー革命

小堀聡著 『日本のエネルギー革命』 が、『同時代史研究』 (2012年 第5号、同時代史学会) に掲載されました。戦後日本の高度成長への道を拓いたエネルギー革命の歴史的意義を、戦前~1960年に至る長期的視野で位置づけ直し、熱管理や臨海開発などの経済政策・企業活動を通じて、資源制約に需要・供給両面から効率的に対応し得た要因を示します。戦後経済史・環境史の理解に新たな扉を開く画期的成果。

小堀 聡 著
価格 6,800円
A5判・上製・432頁
ISBN978-4-8158-0660-6 C3033
在庫有り


『西洋史学』 [2012年 No.246] から (評者: 林 忠行 氏)

農民と労働者の民主主義
戦間期チェコスロヴァキア政治史

農民と労働者の民主主義

中田瑞穂著 『農民と労働者の民主主義』 が、『西洋史学』 (2012年 No.246、日本西洋史学会) に掲載されました。中欧の新興国として出発し議会制民主主義体制を安定化させた共和国が、経済危機と権威主義体制による競合という困難な時代を迎え、「実効力」 ある独自の民主制を構想していく過程を、はじめて実証的に分析。ヨーロッパ史のみならず、今日の民主主義のあり方を考える上でも示唆に富む労作です。

中田瑞穂 著
価格 7,600円
A5判・上製・468頁
ISBN978-4-8158-0693-4 C3031
在庫有り


「日本経済新聞」 [2013年1月6日付] から (評者: 山内昌之 氏)

竹島問題とは何か

竹島問題とは何か

池内敏著 『竹島問題とは何か』 が、2013年1月6日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。歴史分析の光に照らし、学問的に確実に言いうることとは何か。日韓双方の史料に精通する著者が、過熱する両国の自己中心的な議論を乗り越えて、近世から現代に至る竹島問題の全体像を余すところなく描き出します。

池内 敏 著
価格 4,600円
A5判・上製・402頁
ISBN978-4-8158-0718-4 C3021
在庫有り


「福井新聞」 [2012年12月30日付] から (評者: 佐藤俊樹 氏)

開発経済学と現代中国

開発経済学と現代中国

中兼和津次著 『開発経済学と現代中国』 が、2012年12月30日付 「福井新聞」 に掲載されました。未曾有の変貌をとげる現代中国を、社会科学の実験場とみなし、開発経済学のさまざまなモデルや仮説を準拠枠として、その 「発展」 の軌跡を検証します。はたして 「中国モデル」 は存在するのか。第一人者による透徹した中国経済論。

中兼和津次 著
価格 3,800円
A5判・上製・306頁
ISBN978-4-8158-0710-8 C3033
在庫有り


『中国21』 [2012年12月号] から (評者: 岡本信広 氏)

現代中国の財政金融システム
グローバル化と中央-地方関係の経済学

現代中国の財政金融システム

梶谷懐著 『現代中国の財政金融システム』 が、『中国21』 (2012年12月号、愛知大学現代中国学会編) に掲載されました。現代中国の経済発展に果たした、積極果敢な楽観主義者としての地方政府の決定的役割を解明、独自の中央-地方関係に基づく財政金融システムが構造的に生みだしてきた問題と、それが世界経済に及ぼす影響を描き出します。グローバル不均衡や人民元改革問題にも新たな光をあてる画期的成果。

梶谷 懐 著
価格 4,800円
A5判・上製・258頁
ISBN978-4-8158-0678-1 C3033
在庫有り


『中国21』 [2012年12月号] から (評者: 岡崎清宜 氏)

大恐慌下の中国
市場・国家・世界経済

大恐慌下の中国

城山智子著 『大恐慌下の中国』 が、『中国21』 (2012年12月号、愛知大学現代中国学会編) に掲載されました。未曾有の危機は中国に何をもたらしたのか? 看過されてきた大恐慌の中国への影響を初めて体系的に叙述、銀本位制の特質と市場・政府の役割を捉え直し、中華帝国から現代中国への大きな転換を浮き彫りにする。近代の中国経済をグローバル・ヒストリーのなかに位置づけた画期的成果。

城山智子 著
価格 5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-0662-0 C3033
在庫有り


『週刊 読書人』 [2012年12月21日号] から (評者: 塚本昌則 氏)

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 (松澤和宏監訳/鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈訳) が、『週刊 読書人』 (2012年12月21日号、読書人刊) に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてた衝撃作。

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


『週刊読書人』 [2012年12月21日号] から(評者:関智英氏)

外交官の誕生
近代中国の対外態勢の変容と在外公館

外交官の誕生

箱田恵子著『外交官の誕生』が、『週刊読書人』(2012年12月21日号、読書人刊)で紹介されました。体制外的な「洋務」機関たる在外公館を孵化器に、対外交渉を経験し積極的に国際法を援用するなど西洋国際関係を受容していく中から、国際認識や外交観とともに職業外交官が形成されていく過程を、個々の外交交渉のみならず、外交人事の実態を含めて把握することで、中国近代外交の形成が、「伝統」からの断絶ではなく、連続性において捉えられることを実証的に明らかにした力作。

箱田恵子 著
税込6,820円/本体6,200円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-0687-3 C3022
在庫有り


『週刊 読書人』 [2012年12月21日号] から (評者: 阿部安成 氏)

「二重国籍」 詩人 野口米次郎

「二重国籍」詩人野口米次郎

堀まどか著 『「二重国籍」 詩人 野口米次郎』 が、『週刊 読書人』 (2012年12月21日号、読書人刊) に掲載されました。〈沈黙〉 の言葉を英語でつづり日本文化の紹介や諸芸術の融合を試みながら、「戦時メガフォン」 として文学史から消された 「世界的詩人」 の生涯・思想・作品を、初めてトータルに明らかにした知的伝記。東西の文化翻訳への志はなぜ挫折しなければならなかったのか。

堀 まどか 著
価格 8,400円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0697-2 C3095
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年12月23日付] から (評者: 荒俣 宏 氏)

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年12月23日付 「朝日新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


『図書新聞』 [2012年12月22日号] から (評者: 稲賀繁美 氏)

イメージの地層
ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言

イメージの地層

水野千依著 『イメージの地層』 が、『図書新聞』 (2012年12月22日号、図書新聞) に掲載されました。奇跡像、蠟人形、幻視 …… 近代の 「芸術」 からはこぼれ落ちる、「迷信」 に満ちたイメージの力を無視することなく、人々がそこに残した痕跡や文化の記憶が織りなす複雑な地層を、図像・文書の丹念な解読によって辿りなおし、ルネサンスの多元性を蘇らせた 「イメージの歴史人類学」 の試み。

水野千依 著
価格 13,000円
A5判・上製・920頁
ISBN978-4-8158-0673-6 C3071
在庫有り


『図書新聞』 [2012年12月22日号] から (評者: 稲賀繁美 氏)

「二重国籍」 詩人 野口米次郎

「二重国籍」詩人野口米次郎

堀まどか著 『「二重国籍」 詩人 野口米次郎』 が、『図書新聞』 (2012年12月22日号、図書新聞) に掲載されました。〈沈黙〉 の言葉を英語でつづり日本文化の紹介や諸芸術の融合を試みながら、「戦時メガフォン」 として文学史から消された 「世界的詩人」 の生涯・思想・作品を、初めてトータルに明らかにした知的伝記。東西の文化翻訳への志はなぜ挫折しなければならなかったのか。

堀まどか 著
価格 8,400円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0697-2 C3095
在庫有り


『西洋史研究』 [第41号 2012年] から (評者: 佐藤雪野 氏)

農民と労働者の民主主義
戦間期チェコスロヴァキア政治史

農民と労働者の民主主義

中田瑞穂著 『農民と労働者の民主主義』 が、『西洋史研究』 (第41号 2012年、西洋史研究会) に掲載されました。中欧の新興国として出発し議会制民主主義体制を安定化させた共和国が、経済危機と権威主義体制による競合という困難な時代を迎え、「実効力」 ある独自の民主制を構想していく過程を、はじめて実証的に分析。ヨーロッパ史のみならず、今日の民主主義のあり方を考える上でも示唆に富む労作です。

中田瑞穂 著
価格 7,600円
A5判・上製・468頁
ISBN978-4-8158-0693-4 C3031
在庫有り


「毎日新聞」 [2012年12月9日付] から (評者: 加藤陽子 氏)

近代日本の研究開発体制

近代日本の研究開発体制

沢井実著 『近代日本の研究開発体制』 が、2012年12月9日付 「毎日新聞」 書評欄の 「2012年 『この3冊』」 に掲載されました。東アジアの後発工業国がキャッチアップを実現するべく、第1次大戦から高度成長期までの約半世紀、科学技術の軍事動員を経つつ (軍) 官産学の連携をはかり研究開発を行ってきた歴史を、圧倒的な実証によって描きます。

沢井 実 著
価格 8,400円
菊判・上製・622頁
ISBN978-4-8158-0714-6 C3021
在庫有り


『社会と倫理』 [第27号 2012年] から (評者: 吉永明弘 氏)

20世紀環境史

20世紀環境史

J・R・マクニール著 『20世紀環境史』 (海津正倫・溝口常俊監訳) が、『社会と倫理』 (第27号 2012年、南山大学社会倫理研究所) に掲載されました。人類史上、未曾有の規模と速度で環境改変が進行した20世紀とは何だったのか。地球の各圏域 —— 岩石圏、土壌圏、大気圏、水圏、生物圏 —— で生じた変化の全容を、同時代の政治・経済・科学技術との緊密な影響関係とともに明らかにします。「歴史学と生態学の統合」 を目指すグローバル環境史の名著。

J・R・マクニール 著
海津正倫・溝口常俊 監訳
価格 5,600円
A5判・上製・416頁
ISBN978-4-8158-0677-4 C3020
在庫有り


『社会と倫理』 [第27号 2012年] から (評者: 稲葉 肇 氏)

科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ

科学アカデミーと「有用な科学」

隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、『社会と倫理』 (第27号 2012年、南山大学社会倫理研究所) に掲載されました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作。

隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り


『日本近代文学』 [第87集、2012年] から (評者:岩見照代氏)

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、『日本近代文学』(第87集、2012年、日本近代文学会発行)で紹介されました。性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出します。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

「…… 坪井氏の、時代と空間を自在に往還する論の中で、もっとも興味深かったのは、第Ⅲ部の知里幸恵論と李箱論である。日本語とアイヌ語において、知里幸恵の「みずからの声を翻訳すること」や、朝鮮の作家李箱の日本語と朝鮮語で書かれた詩や小説を二重言語のエクリチュールとして分析し、モダニズムやモダニティの問題を東アジアという枠組みでとらえようとするなど、氏の問題意識は実に多角的かつ新鮮である。……」(p.153)

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


『日本近代文学』 [第87集 2012年] から (評者: 鈴木暁世 氏)

「二重国籍」 詩人 野口米次郎

「二重国籍」詩人野口米次郎

堀まどか著 『「二重国籍」 詩人 野口米次郎』 が、『日本近代文学』 (第87集 2012年10月、日本近代文学会刊) に掲載されました。〈沈黙〉 の言葉を英語でつづり日本文化の紹介や諸芸術の融合を試みながら、「戦時メガフォン」 として文学史から消された 「世界的詩人」 の生涯・思想・作品を、初めてトータルに明らかにした知的伝記。東西の文化翻訳への志はなぜ挫折しなければならなかったのか。

「…… 本書において最も大きな研究成果と問題提起を含んでいるのが、第Ⅲ部 「〈二重国籍〉 性をめぐって —— 境界者としての立場と祖国日本への忠誠」 であろう。「二重国籍者」 を自称した野口が、国際的詩人であったがゆえに祖国日本がとった国策に寄り添う形で戦時下の執筆活動を行った点が検証される。第13章 「インドへ —— 国際文化交流と国際政治の狭間で」 では、1930年代の野口の渡印に関わる資料を多数用いて、野口とタゴールやガンジーらインド文化人との交流と対立・論争に焦点を当てている。日本政府の対外政策と密接にかかわる形で、「大東亜共栄圏」 の理想を掲げてアジアの解放や民族独立に関する論説や時局詩を発表していく野口が、日本の帝国主義を批判するタゴールと1938年から国際的な論争をまきおこしていく過程が本書によって明らかになった。第15章 「父から子へ —— 子によって開示された野口の普遍性」 は、イサム・ノグチの代表作 「明かり」 シリーズが、父の詩 “Like a paper Lantern” (Seen and Unseen, 1986) から芸術的インスピレーションを受けた可能性について論じている好論である。……」 (『日本近代文学』 第87集 2012年、p.175-176)

堀 まどか 著
価格 8,400円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0697-2 C3095
在庫有り


『日本文学』 [2012年10月号] から (評者: 竹本寛秋 氏)

「二重国籍」 詩人 野口米次郎

「二重国籍」詩人野口米次郎

堀まどか著 『「二重国籍」 詩人 野口米次郎』 が、『日本文学』 (2012年10月号、日本文学協会刊) に掲載されました。〈沈黙〉 の言葉を英語でつづり日本文化の紹介や諸芸術の融合を試みながら、「戦時メガフォン」 として文学史から消された 「世界的詩人」 の生涯・思想・作品を、初めてトータルに明らかにした知的伝記。東西の文化翻訳への志はなぜ挫折しなければならなかったのか。

「…… 本書は、「日本近現代文学史」 研究が意識的無意識的に 「欠落」 させてきた 「野口米次郎」 という存在を、当時の文脈のなかで位置づけることで、現在からの遡及的な視線からは見えなくなってしまっている、同時代の文学・文化・思想の布置を明らかにする書物である。その意味で本書は、現代の 「日本近現代文学史」 のあり方そのものの問題性を突く野心作であり、日本文学・文化研究に携わる者すべての必読書となっていると言っても言い過ぎではない。……
 多言語を縦横無尽に往来して論を構築する筆者の圧倒的な力量に支えられた本書が、今後の日本文学研究、文化研究、比較研究に与える影響は大きい。本書自体が 「二重」 性・「多重」 性を含み込んだ研究書となっているともいえる。著者が指摘する、敗戦に伴う文学者の戦争責任追及と共に行われた 「戦前の国文学研究の否定」 の帰結は、現在も我々を規定し続けている 「国文学史」 の前提条件を問い直すための重要な糸口を与えるものとしてある。……」 (『日本文学』 2012年10月号、p.98-99)

堀 まどか 著
価格 8,400円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0697-2 C3095
在庫有り


『日経サイエンス』 [2013年1月号] から (評者: 三中信宏 氏)
“個別科学とともに歩む新しい科学哲学のイメージが見えてくる”

科学と証拠
統計の哲学 入門

科学と証拠

エリオット・ソーバー著 『科学と証拠』 (松王政浩訳) が、『日経サイエンス』 (2013年1月号、日経サイエンス社刊) に掲載されました。科学理論はどのように根拠づけられるのか。その根幹を支える統計的推論の枠組みを丹念に検討し、ベイズ主義や有意検定、AICなどが抱える本質的課題を浮彫りにします。科学において証拠の果たすべき役割を、哲学者と科学者の双方に向けて明瞭に示した希有な著作。

エリオット・ソーバー 著
松王政浩 訳
価格 4,600円
A5判・上製・256頁
ISBN978-4-8158-0712-2 C3010
在庫有り


『思想』 [2012年12月号] から (評者: 有田英也 氏)
“失われたフランスを求めて”

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 (松澤和宏監訳/鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈訳) が、『思想』 (2012年12月号、岩波書店刊) に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてた衝撃作。

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年11月25日付] から

イメージの地層
ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言

イメージの地層

水野千依著 『イメージの地層』 が、2012年11月25日付 「朝日新聞」 書評欄に掲載されました。奇跡像、蠟人形、幻視 …… 近代の「芸術」からはこぼれ落ちる、「迷信」 に満ちたイメージの力を無視することなく、人々がそこに残した痕跡や文化の記憶が織りなす複雑な地層を、図像・文書の丹念な解読によって辿りなおし、ルネサンスの多元性を蘇らせた 「イメージの歴史人類学」 の試み。

水野千依 著
価格 13,000円
A5判・上製・920頁
ISBN978-4-8158-0673-6 C3071
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年11月25日付] から (評者: 山崎 聡 氏)
“精神生活向上めざした経済思想”

ピグー 富と厚生

ピグー富と厚生

アーサー・C・ピグー著 『ピグー 富と厚生』 (八木紀一郎監訳/本郷亮訳) が、2012年11月25日付 「日本経済新聞」 書評欄に掲載されました。貧困と失業の存在する現実世界を扱える 「実践経済学」 たるべく、国民の福利向上の視点から、資源配分や分配、景気変動を論じ、それらへの介入政策を検討します。「ケンブリッジ大学教授就任講演」 も収録。

アーサー・C・ピグー 著
八木紀一郎 監訳/本郷 亮 訳
価格 6,800円
菊判・上製・472頁
ISBN978-4-8158-0702-3 C3033
在庫有り


『日本文学』 [2012年11月号] から (評者: 福田安典 氏)

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、『日本文学』 (2012年11月号、日本文学協会刊) に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年11月18日付] から

香港 「帝国の時代」 のゲートウェイ

香港「帝国の時代」のゲートウェイ

久末亮一著 『香港 「帝国の時代」 のゲートウェイ』 が、2012年11月18日付 「日本経済新聞」 で紹介されました。19世紀半ば以来、中国から東南アジアやアメリカに広がる空間で、ヒト・モノ・カネ・情報の流れを接続・調節する 「場」 であった香港。銀号など華人による金融活動に焦点をあて、一つの経済圏の歴史と、現在にいたる香港の存在理由を、初めて実証的に明らかにした力作。

「…… 力を増した中国を含め、アジア各国との連携が課題になった今日、広域経済のあり方を広く見渡す視座を与えてくれる一冊だ。」 (2012年11月18日付 「日本経済新聞」 第24面)

久末亮一 著
価格 5,700円
A5判・上製・310頁
ISBN978-4-8158-0709-2 C3033
在庫有り


『歴史と経済』 [第217号 2012年10月] から (評者: 山崎志郎 氏)

「大東亜共栄圏」 経済史研究

「大東亜共栄圏」経済史研究

山本有造著 『「大東亜共栄圏」 経済史研究』 が、『歴史と経済』 (第217号 2012年10月、政治経済学・経済史学会刊) に掲載されました。日本帝国50年の歴史を通じて形成された植民地経済の構造と特質をふまえて、その最後の姿となった 「大東亜共栄圏」 の全容を初めて客観的に描き出します。マクロ的数量データをもとに、交易や金融の実証的分析から、アジア各地に大きな影響を及ぼした円域経済の実態を捉えた、必読の成果。著者の 『日本植民地経済史研究』 『「満洲国」 経済史研究』 に続く、日本帝国史研究3部作の最後を飾る著作。

山本有造 著
価格 5,500円
A5判・上製・306頁
ISBN978-4-8158-0680-4 C3033
在庫有り


『歴史と経済』 [第217号 2012年10月] から (評者: 浅井良夫 氏)

戦後日本の対外金融
360円レートの成立と終焉

戦後日本の対外金融

伊藤正直著 『戦後日本の対外金融』 が、『歴史と経済』 (第217号 2012年10月、政治経済学・経済史学会刊) に掲載されました。360円レート成立の起源から、ニクソン・ショックによる固定相場制の崩壊まで、戦後復興・高度成長を可能にした対外金融構造を、日米の一次資料を駆使 して実証的・立体的に解明、戦後日本経済の国際的連関をこれまでにない水準で示し、ブレトン・ウッズ体制の理解にも新たな光を投げかけます。好評の前著 『日本の対外金融と金融政策』 に続く、戦後経済への鋭い分析。

伊藤正直 著
価格 6,600円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-0615-6 C3033
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年11月11日付] から (評者: 園田茂人 氏)

現代中国政治 [第3版]
グローバル・パワーの肖像

現代中国政治第3版

毛里和子著 『現代中国政治 [第3版]』 が、2012年11月11日付 「朝日新聞」 書評欄の 「ニュースの本棚」 で紹介されました。建国60年、改革開放30年の激動をへて世界有数の大国へと変貌した中国。毛沢東から胡錦濤へと至る政治の巨大な変容を、長年の研究により包括的に叙述、かつてない繁栄を迎えたかに見える大国の新たな肖像を描きだします。第一人者による最も信頼の厚い解説書、大幅改訂による待望の最新版。

毛里和子 著
価格 2,800円
A5判・並製・404頁
ISBN978-4-8158-0700-9 C3031
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年11月11日付] から (評者: 園田茂人 氏)

開発経済学と現代中国

開発経済学と現代中国

中兼和津次著 『開発経済学と現代中国』 が、2012年11月11日付 「朝日新聞」 書評欄の 「ニュースの本棚」 で紹介されました。未曾有の変貌をとげる現代中国を、社会科学の実験場とみなし、開発経済学のさまざまなモデルや仮説を準拠枠として、その 「発展」 の軌跡を検証します。はたして 「中国モデル」 は存在するのか。第一人者による透徹した中国経済論。

中兼和津次 著
価格 3,800円
A5判・上製・306頁
ISBN978-4-8158-0710-8 C3033
在庫有り


『大学への数学』 [2012年11月号] から (評者: 生物物理若手の会)

大沢流 手づくり統計力学

大沢流手づくり統計力学

大沢文夫著 『大沢流 手づくり統計力学』 が、『大学への数学』 (2012年11月号、東京出版刊) に掲載されました。分子の気持ちを自分の手で体験しよう —— 本書は、サイコロとチップのゲームを楽しみながら、統計力学の真髄を直感的に納得することを目指します。高校生でも研究者でも面白い、今までにない入門書。生体内の現象に統計力学を応用した、最新の生物物理の話題も解説。

大沢文夫 著
価格 2,400円
A5判・並製・164頁
ISBN978-4-8158-0674-3 C0042
在庫有り


『社会経済史学』 [Vol.78 No.2 2012] から (評者: リンダ・グローブ 氏)

大恐慌下の中国
市場・国家・世界経済

大恐慌下の中国

城山智子著 『大恐慌下の中国』 が、『社会経済史学』 (Vol.78 No.2 2012、社会経済史学会刊) に掲載されました。未曾有の危機は中国に何をもたらしたのか? 看過されてきた大恐慌の中国への影響を初めて体系的に叙述、銀本位制の特質と市場・政府の役割を捉え直し、中華帝国から現代中国への大きな転換を浮き彫りにします。近代の中国経済をグローバル・ヒストリーのなかに位置づけた画期的成果。

城山智子 著
価格 5,800円
A5判・上製・358頁
ISBN978-4-8158-0662-0 C3033
在庫有り


『社会経済史学』 [Vol.78 No.2 2012] から (評者: 尾高煌之助 氏)

「就社」 社会の誕生
ホワイトカラーからブルーカラーへ

「就社」社会の誕生

菅山真次著 『「就社」 社会の誕生』 が、『社会経済史学』 (Vol.78 No.2 2012、社会経済史学会刊) に掲載されました。新卒就職・終身雇用を常識としてきた 「就社」 社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明します。学生の就職活動のあり方が問い直され日本的雇用慣行が終焉を迎えつつあるかにみえる今、必読の書。

菅山真次 著
価格 7,400円
A5判・上製・530頁
ISBN978-4-8158-0654-5 C3036
在庫有り


『社会経済史学』 [Vol.78 No.2 2012] から (評者: 大森一宏 氏)

近代日本の陶磁器業
産業発展と生産組織の複層性

近代日本の陶磁器業

宮地英敏著 『近代日本の陶磁器業』 が、『社会経済史学』 (Vol.78 No.2 2012、社会経済史学会刊) に掲載されました。近世以来の伝統をもとに多彩な製品群を生み出し、輸出産業化・機械制大工業の成立を経て飛躍的発展を遂げた近代日本の陶磁器業を、瀬戸・東濃・名古屋・京都・有田など主要産地の構造変化を捉えて実証的に描き出し、近代化へと至る多様な発展経路の存在を示した産業史研究の画期的成果。

宮地英敏 著
価格 6,600円
A5判・上製・404頁
ISBN978-4-8158-0602-6 C3033
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年11月6日付] から

圧縮された産業発展
台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム

圧縮された産業発展

『圧縮された産業発展』 の著者である川上桃子先生が、2012年11月6日付 「日本経済新聞」 において 「経済教室」 を執筆されました。テーマは 「台湾企業の情報活用が鍵」 。ノートパソコンをはじめとした台湾エレクトロニクス産業に注目し、日本企業が今後、台湾企業とどのような協業関係を構築していくべきか、有益な示唆に富む提言がなされています。本書 『圧縮された産業発展』 とも関連する記事です。ぜひご覧ください。

川上桃子 著
価格 4,800円
A5判・上製・244頁
ISBN978-4-8158-0703-0 C3033
在庫有り


『名古屋大学 国語国文学』 [第105号、2012年11月] から(評者:飯田祐子氏)

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、『名古屋大学 国語国文学』(第105号、2012年11月、名古屋大学国語国文学会発行)で紹介されました。ラフカディオ・ハーンから伊藤比呂美まで —— 性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出す。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

“…… 本書は、フェミニズムと併走してきた〈男〉による「個人的なことは政治的である」というテーゼの真摯な実践である。「〈私とは何ものなのか〉という問い」は、〈私〉の欲望を突き抜けて〈私〉の解体へと向かっている。丁寧に細やかに〈男〉たちの言葉に分け入り、フェミニズム批評とは違う語法で描き出された〈男〉の姿は、新鮮であった。〈女の声〉に向けられてきた〈男〉の欲望を脱け出て、〈女の声〉に感応していく書き手のあり様には、感銘を覚えた。「個人的なこと」を「政治的なこと」として問題化するという行為が、個人と政治を分断する体制をゆさぶり壊すことを、本書とともに願いたいと思う。”(p.222)

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


『社会思想史研究』 [No.36 2012年] から (評者: 星野彰男 氏)

ヒューム 道徳・政治・文学論集 [完訳版]

ヒューム道徳・政治・文学論集[完訳版]

デイヴィッド・ヒューム著 『ヒューム 道徳・政治・文学論集 [完訳版]』 (田中敏弘訳) が、『社会思想史研究』 (No.36 2012年、社会思想史学会) に掲載されました。生前のヒュームが最も苦心して改稿を重ね、政治・経済・社会思想から道徳哲学・批評を含む広大な領域を横断的に論述したエッセイ集。多くの読者を獲得し、賢人ヒュームの名声を世に知らしめたもう一つの主著が、本邦初訳を多数含む 「完訳版」 としてよみがえります。

デイヴィッド・ヒューム 著
田中敏弘 訳
価格 8,000円
A5判・上製・500頁
ISBN978-4-8158-0672-9 C3010
在庫有り


『社会思想史研究』 [No.36 2012年] から (評者: 中野剛充 氏)

自我の源泉
近代的アイデンティティの形成

自我の源泉

チャールズ・テイラー著 『自我の源泉』 (下川潔・桜井徹・田中智彦訳) が、『社会思想史研究』 (No.36 2012年、社会思想史学会) に掲載されました。人間という主体についての近代的な理解、すなわち <近代的アイデンティティ> の複雑さと豊かさ、偉大さと危うさがいかに形成されてきたかを、隠れた道徳的立場とともに明らかにし、その真価を救出。共同体主義・多文化主義で知られるテイラーの主著、待望の邦訳。

チャールズ・テイラー 著
下川 潔・桜井 徹・田中智彦 訳
価格 9,500円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0648-4 C3010
在庫有り


『社会思想史研究』 [No.36 2012年] から (評者: 川島慶子 氏)

科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ

ヒューム道徳・政治・文学論集[完訳版]

隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、『社会思想史研究』 (No.36 2012年、社会思想史学会) に掲載されました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作。

「…… 本書の特徴は、ともすればバダンテールのような哲学者や思想史研究者が見逃しがちな 「科学」 という主題と、反対に科学史研究者がつい飛ばしてしまう 「経済や社会思想」 という主題の両方をしっかりと手中に収め、18世紀を通じて、フランス社会のみならず欧米全体に大きな影響を与えたパリの王立科学アカデミー (1666-1793) の変遷を、「有用性」 という観点からみごとに描き出していることにある。……」

隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り


『史学雑誌』 [第121編 第9号 2012年] から (評者: 安田佳代 氏)

日本帝国と委任統治
南洋群島をめぐる国際政治 1914-1947

日本帝国と委任統治

等松春夫著 『日本帝国と委任統治』 が、『史学雑誌』 (第121編 第9号 2012年、史学会刊) に掲載されました。帝国主義と新外交の狭間で生み出された、国際連盟による委任統治制度は、列強がせめぎあう太平洋に何をもたらしたのか。「仮装された植民地」 として日本が支配した 「南洋群島」 を軸に、20世紀前半の国際政治と日本の対外政策の展開を鮮明に描き出します。

「…… 序章で触れられている通り、日本の南洋群島委任統治に関しては、多くの研究蓄積があるが、南洋群島の国際政治的位置付けを包括的に検討した研究は見当たらず、南洋群島を軸に、アジア太平洋国際関係の変容を描き出したことが本書の特色である。南洋群島は、戦間期の日本ならびに戦後初期のアメリカにとって戦略上の要であり、統治の本来の目的は、その戦略的重要性の影に隠されてしまった。現地住民の自立を目指して、よりよい行政を行うという本来の目的が、パワーポリティックスに呑み込まれてしまった史実は、諸々の事情で自立できない地域を抱える今日の国際社会に、ある種の教訓を示している。」 (『史学雑誌』 第121編 第9号 2012年、p.98)

等松春夫 著
価格 6,000円
A5判・上製・336頁
ISBN978-4-8158-0686-6 C3031
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年10月7日付] から (評者: 太田聰一 氏)

「就社」 社会の誕生
ホワイトカラーからブルーカラーへ

「就社」社会の誕生

菅山真次著 『「就社」 社会の誕生』 が、2012年10月7日付 「日本経済新聞」 書評欄の 「今を読み解く」 に掲載されました。新卒就職・終身雇用を常識としてきた 「就社」 社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明します。

菅山真次 著
価格 7,400円
A5判・上製・530頁
ISBN978-4-8158-0654-5 C3036
在庫有り


『経済セミナー』 [2012年10・11月号] から
“国民の福祉向上のために”

ピグー 富と厚生

ピグー富と厚生

アーサー・C・ピグー著 『ピグー 富と厚生』 (八木紀一郎監訳/本郷亮訳) が、『経済セミナー』 (2012年10・11月号、日本評論社刊) に掲載されました。「福祉の経済学」 の古典にして、再評価いちじるしいピグー厚生経済学体系の初の邦訳。貧困と失業の存在する現実世界を扱える 「実践経済学」 たるべく、国民の福利向上の視点から、資源配分や分配、景気変動を論じ、それらへの介入政策を検討します。「ケンブリッジ大学教授就任講演」 も収録。

「…… 貧困と失業の存在する現実世界を捉えようとする厚生経済学体系は、今日の日本において大変有意義だ。」 (『経済セミナー』 2012年10・11月号、p.115)

アーサー・C・ピグー 著
八木紀一郎 監訳/本郷 亮 訳
価格 6,800円
菊判・上製・472頁
ISBN978-4-8158-0702-3 C3033
在庫有り


『ふらんす』 [2012年10月号] から (評者: 中地義和 氏)
“時代に騙されない覚醒したモダン”

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 (松澤和宏監訳) が、『ふらんす』 (2012年10月号、白水社刊) に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてる。

「…… 『アンチモダン』 は、モダンの裏側からその窪みや襞に光を当てる。近代文学史の表舞台を彩る形象が、両義的な陰影をまとい、奥行を増して新たに浮かび上がる。著者が膨大なコーパスからそのつど的確な引用を拾い出してくる手際、シャトーブリアンを論じながら、同時代と後続世代と20世紀批評のそれぞれの視点からの作家受容を、絶妙な遠近法のなかで示す手際が見事である。狭義の文学史の枠を大きく超えて、思想史、文化史、いや歴史学そのものにユニークな展望を提供する重要な書物の邦訳刊行を喜びたい。」

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


『日経SYSTEMS』 [2012年10月号] から (評者: 神林飛志 氏)
“ミドルウェアの開発には必須の知識”

論理学をつくる

論理学をつくる

戸田山和久著 『論理学をつくる』 が、『日経SYSTEMS』 (2012年10月号、日経BP社刊) の 「トップアーキテクトが薦める20冊」 に掲載されました。出来あいの論理学を天下り式に解説するのでなく、論理学の目的をはっきりさせた上で、それを作り上げていくプロセスを読者と共有することによって、考え方の 「なぜ」 が納得できるようにした傑作テキスト。初歩の論理学が一人でマスターできます。

戸田山和久 著
価格 3,800円
B5判・並製・442頁
ISBN978-4-8158-0390-2 C3010
在庫有り


『化学』 [2012年10月号、Vol.67] から

自然は方程式で語る 力学読本

自然は方程式で語る力学読本

大島隆義著 『自然は方程式で語る 力学読本』 が、『化学』 (2012年10月号、Vol.67、化学同人刊) に掲載されました。これまでの教科書では力学を理解しきれなかった人や、さらに深く学び直したい人に向け、数式の 「行間」 をしっかりと解説。大学初年次で修めるべき内容をほぼ網羅しており、日常事例を通じて納得しながら系統的に独習できます。

大島隆義 著
価格 3,800円
A5判・並製・560頁
ISBN978-4-8158-0708-5 C3042
在庫有り


「毎日新聞」 [2012年9月16日付] から (評者: 伊東光晴 氏)
“信念と思想の全体像をコンパクトに”

ピグー 富と厚生

ピグー富と厚生

アーサー・C・ピグー著 『ピグー 富と厚生』 (八木紀一郎監訳/本郷亮訳) が、2012年9月16日付 「毎日新聞」 で紹介されました。「福祉の経済学」 の古典にして、再評価いちじるしいピグー厚生経済学体系の初の邦訳。貧困と失業の存在する現実世界を扱える 「実践経済学」 たるべく、国民の福利向上の視点から、資源配分や分配、景気変動を論じ、それらへの介入政策を検討。「ケンブリッジ大学教授就任講演」 も収録。

アーサー・C・ピグー 著
八木紀一郎 監訳/本郷 亮 訳
価格 6,800円
菊判・上製・472頁
ISBN978-4-8158-0702-3 C3033
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年9月16日付] から (評者: 服部龍二 氏)

日中国交正常化の政治史

日中国交正常化の政治史

井上正也著 『日中国交正常化の政治史』 が、2012年9月16日付 「朝日新聞」 に掲載されました。「不同意の同意」 へと至る20年の交渉を、台湾問題の決定的重要性や国内政治との相互連関を再評価して解明。友好史観、外的衝撃論、「二つの中国」 政策論などの通説を正すとともに、激しい外交闘争と和解の模索の両面からその政策過程を捉え直して、歴史的交渉の新たな全体像を描き出します。

井上正也 著
価格 8,400円
A5判・上製・702頁
ISBN978-4-8158-0653-8 C3031
在庫有り


『数学セミナー』 [2012年10月号] から (評者: 上條隆志 氏)

素粒子から宇宙へ
自然の深さを求めて

素粒子から宇宙へ

早川幸男著 『素粒子から宇宙へ』 が、2012年10月号 『数学セミナー』 (日本評論社刊) に掲載されました。人間性と科学技術への深い理解に基づいて、科学研究の意義とその進むべき道を論じた評論、研究生活の多彩な思い出を綴った随筆、著者が直接かかわってきた戦後物理学を回顧した談論など、幅広い視野を持ち、新しい分野を拓いてきた独創的な物理学者の足跡を示す科学エッセイ集。

「…… この本の一番の魅力は、科学研究そのものの論理と社会の状況とを、同時に全体的に見渡す視野の広さである。例えば、ナチスに対するレジスタンスを闘いながら重要な研究を成し遂げたイタリアの科学者を高く評価した上で、戦後の経済的危機も客観的に語るなど、第二次世界大戦前後の各国の物理学研究と社会状況のかかわりを論じる。日本の物理学者達が、いかに犠牲を払って自由で自主的な共同研究をつくり守ってきたかも述べられている。
 そのような土台にたって、日本のマスコミの科学に対する誤った見方や行政の偏狭さを鋭く批判し、教育や研究体制について多くの具体的提言をしている。それらは今も意味を持つ。」 (2012年10月号 『数学セミナー』 p.87、評者: 上條隆志氏)

早川幸男 著
価格 2,200円
四六判・並製・352頁
ISBN978-4-8158-0222-6 C0042
在庫有り


『出版ニュース』 [2012年9月上旬号] から

「二重国籍」 詩人 野口米次郎

「二重国籍」詩人野口米次郎

『「二重国籍」 詩人 野口米次郎』 の著者である堀まどか先生が、2012年9月上旬号 『出版ニュース』 (出版ニュース社刊) の 「書きたいテーマ・出したい本」 欄において、「東西詩学の融合とその展開 —— 神秘とモダニズム」 と題するエッセイを書かれました。その中で当該図書についても触れられています。〈沈黙〉 の言葉を英語でつづり日本文化の紹介や諸芸術の融合を試みながら、「戦時メガフォン」 として文学史から消された 「世界的詩人」 の生涯・思想・作品を、初めてトータルに明らかにした知的伝記。

堀まどか 著
価格 8,400円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0697-2 C3095
在庫有り


『週刊 エコノミスト』 [2012年9月11日号] から

「今読む本 経済と歴史を極める242冊」 より

2012年9月11日号 『週刊 エコノミスト』 (毎日新聞社刊) の、「今読む本 経済と歴史を極める242冊」 で下記の図書が紹介されました。

【“中国の本質を知る” —— 田代秀敏氏による紹介】
黒田明伸 著
『中華帝国の構造と世界経済』

「……古代から文明が栄え続け、巨大な人口を擁する強大な統一王朝が次々と成立し、活発な国際貿易を行ってきたのに、なぜ中国は世界経済の中心にならなかったのか。この問題に正面から挑む黒田明伸著 『中華帝国の構造と世界経済』 ……は、「中華民族の偉大な復興」 を目指して台頭する中国が、世界経済において将来どのような位置を占めるのかを考察するための最高の羅針盤になる。……」

毛里和子 著
『現代中国政治 [第3版] -グローバル・パワーの肖像-』

「……中国政治研究の泰斗による定評ある概説書の最新版。薄熙来が失脚した重慶事件にも言及している。中国共産党が軍、国家、企業の全てを包括的に 「領導」 する政治体制が不動であることが明晰に解説されており、「共青団対太子党の対立」 が妄想に過ぎないことを教えてくれる。」

【“世界の産業・貿易史” —— 草光俊雄氏による紹介】
I. ウォーラーステイン 著/川北 稔 訳
『近代世界システム 1600~1750 —— 重商主義と 「ヨーロッパ世界経済」 の凝集』
『近代世界システム 1730~1840s —— 大西洋革命の時代』

「……ウォーラーステインの研究は、ブローデルの仕事をさらに発展させ、資本主義の成立にかかわるヨーロッパの覇権を中心と周縁という構図で世界史的に説明しようとするもので、その主著 『近代世界システム』 …… はその後のグローバル・ヒストリーに先鞭を付けたといえよう。……」


「日本経済新聞」 [2012年9月2日付] から (評者: 古市憲寿 氏)

「就社」 社会の誕生
ホワイトカラーからブルーカラーへ

「就社」社会の誕生

菅山真次著 『「就社」 社会の誕生』 が、2012年9月2日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。新卒就職・終身雇用を常識としてきた 「就社」 社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明します。

菅山真次 著
価格 7,400円
A5判・上製・530頁
ISBN978-4-8158-0654-5 C3036
在庫有り


『図書新聞』 [2012年9月1日号] から (評者: 川村邦光 氏)
“虫の病や 「虫」 観、多彩な腹の虫の来歴を詳しく描く”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著) が、2012年9月1日号 『図書新聞』 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究。

「…… 中国、日本、西洋の医書を渉猟し、じつに多彩な腹の虫の来歴が詳しく描かれている。腹を中心とする五臓思想の心身観と脳・神経思想の心身観は、明治期と現代とでは同じだとはいえないだろうが、どれほど違っているのだろうか。脳・神経思想のほうが圧倒しているようだが、心身感覚としては腹や胸の快不快を露骨に突出させているようにも思われる。この世に対して、頭が切れ、腹の虫が収まらない人が増えているのが昨今であるが、その処方はどうすればいいのか、獅子身中の虫が現れることが期待されるのだろうか。」 (2012年9月1日号 『図書新聞』 第3面より 評者: 川村邦光 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「讀賣新聞」 [2012年8月26日付] から (評者: 橋爪大三郎 氏)
“肝に銘ずべき教え”

アダム・スミス 法学講義 1762~1763

アダム・スミス法学講義1762~1763

『アダム・スミス 法学講義 1762~1763』 (水田洋・篠原久・只腰親和・前田俊文訳) が、2012年8月26日付 「讀賣新聞」 で紹介されました。1762-63年にグラスゴー大学で行われたアダム・スミスの法学講義を手稿から再現。司法=正義と統治の歴史を描き出し、自由で公正な社会を展望した壮大な文明史論にして、『道徳感情論』 から 『国富論』 にいたるスミス思想を体系的に把握するためには欠かせない文献。本邦初訳。

水田 洋・篠原 久・只腰親和・前田俊文 訳
価格 6,600円
A5判・上製・450頁
ISBN978-4-8158-0699-6 C3032
在庫有り


「毎日新聞」 [2012年8月26日付] から (評者: 加藤陽子 氏)
“経済人はなぜ満州事変を阻止できなかったのか”

帝国主義日本の対外戦略

帝国主義日本の対外戦略

石井寛治著 『帝国主義日本の対外戦略』 が、2012年8月26日付 「毎日新聞」 で紹介されました。日本の経済人はなぜアジア太平洋戦争を阻止できなかったのか —— 長年の研究にもとづき、近代の植民地帝国の形成から、在華紡路線・満鉄路線の対抗をへて、盧溝橋事件へと至る歴史を丹念に跡付け、新たな全体像を描きます。碩学による日本帝国主義史の決定版。

石井寛治 著
価格 5,600円
A5判・上製・336頁
ISBN978-4-8158-0707-8 C3033
在庫有り


『週刊 金曜日』 [2012年8月24日号] から (評者: 廣瀬 純 氏)

啓蒙の運命

啓蒙の運命

富永茂樹編 『啓蒙の運命』 が、『週刊 金曜日』 (2012年8月24日号、株式会社金曜日刊) の 「自由と創造のためのレッスン: 「革命的になる」 ということ」 で紹介されました。近代とともにあった啓蒙の多面性に光をあてると同時に、複数の系譜を浮かび上がらせ、その未来を洞察した白熱の共同論集です。

富永茂樹 編
価格 7,600円
A5判・上製・608頁
ISBN978-4-8158-0664-4 C3010
在庫有り


『文藝春秋』 [2012年9月] から(評者:佐藤優氏)

ネイションとエスニシティ
歴史社会学的考察

ネイションとエスニシティ

A・D・スミス著『ネイションとエスニシティ』(巣山靖司・高城和義他訳)が、『文藝春秋』(2012年9月、文芸春秋発行)の「古典でしか世界は読めない:第32回 国家統合、今ここにある危機」(佐藤優氏)で紹介されました。近代的なネイションの底にあるものは何か? —— ネイションやナショナリズムはまもなく乗り越えられるという楽観的な進化論を再検討するとともに、現在ふたたび生命力を示しているエスニックな要素の起源を探り、前近代的な文化とアイデンティティの運命を明らかにした名著。

アントニー・D・スミス 著
巣山靖司・高城和義 他訳
価格 4,200円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-0355-1 C3036
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年8月19日付] から
“台湾のハイテク企業成長の背景”

圧縮された産業発展
台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム

圧縮された産業発展

川上桃子著 『圧縮された産業発展』 が、2012年8月19日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。ノートパソコン生産の世界シェア90%以上という驚異的な発展 —— 。低コストの下請企業としてグローバルな産業内分業に組み込まれた後発の台湾メーカーが、先進国企業との相互作用の中から急激な成長をとげたメカニズムを、粘り強いインタビュー調査と明快な分析枠組みによって解きあかします。

「…… 台湾に焦点を合わせ、なぜ1990年代後半以降ハイテク企業をいくつも生み出せたかを論じる。追いかけたのはテレビや半導体でなくノート型パソコンメーカーだが、鴻海やTSMCといった企業の急成長の背景もこれを読めば想像が可能だ。
 書名にある 「圧縮された」 という表現は、欧米や日本の経験を短期間に習得し、先進工業国の仲間入りをした、との意味だ。デジタル化で技術のコピーが可能になったことが大きいが、本書は台湾メーカーの抜け目のない創意工夫にも注目する。……
 台湾の勃興を描いた書物は多いが、日米ハイテク戦争と台湾との視点で読むと本書からも新しい発見を得られる。」 (2012年8月19日付 「日本経済新聞」 第22面より)

川上桃子 著
価格 4,800円
A5判・上製・244頁
ISBN978-4-8158-0703-0 C3033
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年8月13日付] から

肖像画の時代
中世形成期における絵画の思想的深層

肖像画の時代

伊藤大輔著 『肖像画の時代』 が、2012年8月13日付 「朝日新聞」 の文化欄 「文化の扉 はじめての肖像画」 に掲載されました。肖像画とは、見たままの対象の描写なのか。院政期に雰囲気を一変させる絵巻物との連続性から、似絵や 「明恵上人樹上坐禅像」 など鎌倉時代の肖像画をとらえることで、その深層に形成された思想の言葉の次元を明るみに出します。中世へと向けて大きく転換していく社会にあって、絵画は何を語り出そうとしたのか。

伊藤大輔 著
価格 6,600円
A5判・上製・450頁
ISBN978-4-8158-0682-8 C3071
在庫有り


『歴史と経済』 [第216号 LIV-4 2012年7月] から (評者: 森岡邦泰 氏)

科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ

科学アカデミーと「有用な科学」

隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、『歴史と経済』 (第216号 LIV-4 2012年7月、政治経済学・経済史学会) で紹介されました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作。

隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り


『出版ニュース』 [2012年8月上旬号] から

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 (松澤和宏監訳/鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈訳) が、『出版ニュース』 (2012年8月上旬号) に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてた衝撃作。

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


『週刊 東洋経済』 [2012年8月4日号] から

ピグー 富と厚生

ピグー富と厚生

アーサー・C・ピグー著 『ピグー 富と厚生』 (八木紀一郎監訳/本郷亮訳) が、『週刊 東洋経済』 (2012年8月4日号、東洋経済新報社刊) の 「特集/不安な時代を生き抜く 『読書の技法』」 に掲載されました。「福祉の経済学」 の古典にして、再評価いちじるしいピグー厚生経済学体系の初の邦訳。貧困と失業の存在する現実世界を扱える 「実践経済学」 たるべく、国民の福利向上の視点から、資源配分や分配、景気変動を論じ、それらへの介入政策を検討します。「ケンブリッジ大学教授就任講演」 も収録。

アーサー・C・ピグー 著
八木紀一郎 監訳/本郷 亮 訳
価格 6,800円
菊判・上製・472頁
ISBN978-4-8158-0702-3 C3033
在庫有り


『週刊 東洋経済』 [2012年8月4日号] から (評者: 水野和夫 氏)

帝国の研究
原理・類型・関係

帝国の研究

山本有造編 『帝国の研究』 が、『週刊 東洋経済』 (2012年8月4日号、東洋経済新報社刊) の「特集/不安な時代を生き抜く 『読書の技法』」 (評者: 水野和夫氏) に掲載されました。帝国の多様な歴史を貫く原理とは何か? 史上にあらわれた帝国群の存立構造とその核心を、グローバルヒストリー研究の潮流や国民国家形成との関連を踏まえて掴み出した、第一線の論者による最も確かな帝国論。

山本有造 編
価格 5,500円
A5判・上製・406頁
ISBN978-4-8158-0473-2 C3022
在庫有り


『週刊 読書人』 [2012年7月27日号] から (評者: 桑瀬章二郎 氏)
“精神史の叙述は可能か”

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 が、2012年7月27日号 『週刊 読書人』 に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてた衝撃作。

「実に確信に満ちた書物だ。かつて自明視されていた出来事や思想、概念や信条、制度や様式に対する懐疑や異議申立てなど (もはや) ここにはない。『アンチモダン』 という標題や、「反革命」 「反啓蒙思想」 という冒頭に置かれた2章の章題が必然的に想起させるように、確かに本書はここ数十年の間に勢いを増した一連の歴史認識の問い直し (例えばフュレ以降の革命史)、あるいは進歩主義や 〈左翼〉 といった特定の時期の 「主流派」 への対抗運動に光を当てようとする新たな歴史叙述、精神史、文学史との間にある種の類縁性を有しているようにも見えるが、それはあくまで表面的なものにすぎない。なぜなら著者の記述にそうした思想史研究につきものの論争的性格や既成価値の拒否、対象への両義的感情や 「転向」 の後ろめたさ、哀愁やノスタルジーなど一切認められないからだ。……
 ……著者はフランス近・現代の文学や批評が今日においても我々の思考を覚醒させうることを示し、その精神史の叙述がいまだ可能かつ有効であることを示してくれる。だが……本書の魅力はもちろんそれだけに留まることはなく、特に第二部に頻出する一見脱線とも思える詳細な歴史的背景をめぐる叙述は読者に多くの貴重な情報と 「考えるヒント」 を与えてくれる。」 (2012年7月27日号 『週刊 読書人』 第3面より 評者: 桑瀬章二郎 氏)

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


『週刊 読書人』 [2012年7月27日号] から

「2012年 上半期の収穫から」 より

2012年7月27日号 『週刊 読書人』 (読書人刊) の、「2012年 上半期の収穫から」 で下記の図書が紹介されました。

【河本真理氏による紹介】
伊藤大輔 著
『肖像画の時代 -中世形成期における絵画の思想的深層-』

「……一見言説とは無縁に思われる鎌倉時代の肖像画のナラティブに光を当てることによって、院政期の絵巻物との意外な連続性を浮び上らせ、「明恵上人樹上坐禅像」 が華厳の思想に基づいていることを明らかにする。……」

【郷原佳以氏による紹介】
アントワーヌ・コンパニョン 著/松澤和宏 監訳/鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
『アンチモダン -反近代の精神史-』

【成田龍一氏による紹介】
坪井秀人 著
『性が語る -20世紀日本文学の性と身体-』

「……太宰治や谷崎潤一郎から、李箱・知里幸恵、さらに伊藤比呂美まで20世紀の 「日本文学」 を性 「が」 語るという観点からまとめあげた大著。長い期間にわたり書いてきた論文を、ひとつの主題でくくりあげる力技に感服するとともに、一編一編の繊細な分析にも舌を巻いた。」

【森村進氏による紹介】
水田 洋・篠原 久・只腰親和・前田俊文 訳
『アダム・スミス 法学講義 1762~1763』

「……一層詳細な……「ノートA」 の翻訳も出たことは喜ばしい。社会的状況と人間感情を重視する、法制度の経験主義的説明として比類ない。訳文は意外に読みやすい。……」


『歴史学研究』 [2012年8月号] から (評者: 青島陽子 氏)

帝国・身分・学校
帝制期ロシアにおける教育の社会文化史

帝国・身分・学校

橋本伸也著 『帝国・身分・学校』 が、『歴史学研究』 (2012年8月号、歴史学研究会) に掲載されました。西欧的学知の受容過程を俯瞰し、「教育の身分制原理」 とその揺らぎをエリート教育に即して読み解くとともに、辺境地域で展開された教育政策をたどることで、ロシア帝国固有の教育システムを解明、教育の社会文化史の可能性を問いかけた渾身作。

橋本伸也 著
価格 9,000円
A5判・上製・528頁
ISBN978-4-8158-0627-9 C3022
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年7月22日付] から (評者: 桜井哲夫 氏)
“反啓蒙思想の作家たちを論じる”

アンチモダン
反近代の精神史

アンチモダン

アントワーヌ・コンパニョン著 『アンチモダン』 (松澤和宏監訳/鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈訳)が、2012年7月22日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫ります。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてた衝撃作。

「…… とりわけ、反啓蒙思想という点で、アンチモダンの作家は共通しているだろう。たとえば、マルセル・プルーストの母は、息子にあてた手紙のなかで 「おまえは18世紀を馬鹿にしているように思えるよ」 と書いた。ユダヤ人解放はフランス革命の恩恵だと考えていた母親から見れば、息子の書くものに18世紀啓蒙思想への嫌悪感を感じ取っていたのかもしれない。
 ボードレールも進歩への崇拝を 「怠け者の教義」 と呼んだし、その傾向は、第2次大戦後のジュリアン・グラックまでつながっている。そして、ダンディズムを生み出すことになる平等化、均質化への反感は、一転して 「崇高性」 への執着へと結びついてゆく。それは1930年代のバタイユ、カイヨワらの 「社会学研究会」 にも顕著にあらわれてくるのだ。……」 (2012年7月22日付 「日本経済新聞」 第23面より 評者: 桜井哲夫 氏)

アントワーヌ・コンパニョン 著
松澤和宏 監訳
鎌田隆行・宮川朗子・永田道弘・宮代康丈 訳
価格 6,300円
A5判・上製・462頁
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
在庫有り


『週刊読書人』 [2012年7月20日号、第2948号] から(評者:山﨑眞紀子氏)

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、『週刊読書人』(2012年7月20日号、第2948号、読書人発行)で紹介されました。性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出します。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

“…… 20世紀日本文学の中に描かれた性と身体を語るというのではなく、性が語るのだ。「を」と「が」では大きな違いがある。性という題材を語る主体がいる「を」の場合と異なり、「が」はわかりやすく言えば性が勝手に語ってしまうわけで、そこには操作する主体はいない。そう考えてよいのだろうか? ……
…… 現在、性転換手術など身体改造技術はこの百年の間で驚くべき進歩を見せた。だが、著者の指摘するように、決してわがものにできない女の高く美しい声に対する男の欲望、所有できないゆえに一層高まる欲望が、ジェンダー化にどのように関わるのか。この問題提起は斬新であり、ジュディス・バトラーの登場以来、ジェンダー問題は本質主義を一切寄せ付けなくなったが、どこか釈然としない思いを抱いていた私にとって、装ったり演じたりする主体でもそこから自ずと立ちあがってしまう性、その性自身が語ってしまうジェンダーの不可視の問題を鋭く突いていて非常に面白く胸躍る論考である。……
私が最も夢中になって読み進めたのは120頁を費やしている第Ⅶ部伊藤比呂美である。かつて坪井秀人=伊藤比呂美論という構図が私にはあった。改めて、しかも一挙に読み、大きくため息。やはり素晴らしい。伊藤比呂美の果たした「性が語る」は、もっと研究されてよい対象であるが、坪井論文を越えるのはなかなか難しいだろう。”(第5面)

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


「沖縄タイムス」 [2012年7月7日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の痛みは永遠の謎?”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月7日付 「沖縄タイムス」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月7日付 「沖縄タイムス」 第19面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「神戸新聞」 [2012年7月8日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の痛みは永遠の謎?”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月8日付 「神戸新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月8日付 「神戸新聞」 第10面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「徳島新聞」 [2012年7月8日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の痛みは永遠の謎?”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月8日付 「徳島新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月8日付 「徳島新聞」 第7面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「大分合同新聞」 [2012年7月8日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身とは? 人類最大の謎”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月8日付 「大分合同新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月8日付 「大分合同新聞」 第11面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「宮崎日日新聞」 [2012年7月8日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の痛みの謎を追う”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月8日付 「宮崎日日新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月8日付 「宮崎日日新聞」 第8面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年7月15日付] から
“優れた研究者による見取り図”

現代中国政治 [第3版]
グローバル・パワーの肖像

現代中国政治[第3版]

毛里和子著 『現代中国政治 [第3版]』 が、2012年7月15日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。建国60年、改革開放30年の激動をへて世界有数の大国へと変貌した中国。毛沢東から胡錦濤へと至る政治の巨大な変容を、長年の研究により包括的に叙述、かつてない繁栄を迎えたかに見える大国の新たな肖像を描きだします。第一人者による最も信頼の厚い解説書、大幅改訂による待望の最新版。

「今さらながら、中国の政治はわかりにくい。重慶市のトップだった薄熙来・党委員会書記の解任は世界的なニュースになったが、誰が、いつ、どんな場で決めたのか、今でも明らかになっていない。
 情報がないわけではない。どこまで信用できるのか、疑念をぬぐえない情報が多いのだ。透明性の高い民主的な体制ではないため、結果として不確かな情報が飛び交う。
 こんな状況で頼りになるのは、優れた研究者による見取り図だろう。様々な情報を整理し、自分なりに理解するための、知的な土台。定評ある概説書の最新版である本書は、そんな一冊といえる。…… 基本的な問題を日本、中国、米欧の最近の研究成果を含む膨大な資料から著者は解き明かす。たとえば、共産党員の学歴や職業別の割合の変化を踏まえて、かつての 「農民党」 がいまや 「エリートの党」 に大変身したとの指摘には説得力がある。…… 様々な図表、要を得た略年表と索引、参考文献のリストなどは便利だ。」 (2012年7月15日 「日本経済新聞」 第20面より)

毛里和子 著
価格 2,800円
A5判・並製・404頁
ISBN978-4-8158-0700-9 C3031
在庫有り


『日本文学』 [2012年7月号、第61号] から(評者:和田桂子氏)

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、『日本文学』(2012年7月号、第61号、日本文学協会発行)で紹介されました。性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出します。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

「……〈性が語る〉という視点は「性をめぐる実体論や本質主義に対して批判的に距離を取ると同時に、性がある種の記号として身体や感覚に対して超越し乖離するような性の自律モデルとも異なる立場に立ち〈性〉をジェンダーとセクシュアリティを同時に射程に収める領域として位置づける」。著者はそこで、ジェンダーとセクシュアリティを同時に含む「性」という日本語を用い、20世紀日本文学に描かれる葛藤に満ちた性の様態を、その主体に焦点を当てて論じようとしているのである。……」(p.78)

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


『社会学評論』 [Vol.63 No.1 2012年] から (評者: 安達智史 氏)

「ボランティア」 の誕生と終焉
〈贈与のパラドックス〉 の知識社会学

「ボランティア」の誕生と終焉

仁平典宏著 『「ボランティア」 の誕生と終焉』 が、『社会学評論』 (Vol.63 No.1 2012年、日本社会学会) に掲載されました。人々を社会参加へと枠づける言葉は、どのような政治的・社会的文脈で生まれ、いかなる帰結をもたらしてきたのか。その言葉がまとう形はどのように作動するのか。動員モデルと意味論分析を介して日本におけるボランティア言説の展開をたどり、参加型市民社会のあり方を鋭く問いなおします。シニシズムを脱することはできるのか。

「…… 本書は、膨大な資料を用いてボランティアをめぐる言説を分析した、優れた知識社会学の書といえる。だが、それは同時に、日本における 「市民社会」 の歴史社会学として位置づけることも可能であろう。じっさい、本書がボランティアの分析を通じて描いていることは、地縁/血縁に基づく共同体には還元されえない新たな社会空間、つまり近代日本の市民社会をめぐる言説の展開そのものである。贈与のパラドックスという意味論形式は、日本における市民社会成立のためのある種の困難性 —— すなわち、ボランティアをおこなうためにわざわざ正当化 (=脱パラドックス化) が要求されるという事態 —— を、示唆するものである。 ……」 (『社会学評論』 Vol.63 No.1 2012年より p.176 評者: 安達智史 氏)

仁平典宏 著
価格 6,600円
A5判・上製・562頁
ISBN978-4-8158-0663-7 C3036
在庫有り


東京財団ウェブサイト(評者:川島真氏)

外交官の誕生
近代中国の対外態勢の変容と在外公館

外交官の誕生

箱田恵子著『外交官の誕生』が、東京財団ウェブサイトで紹介されました。科挙官僚の帝国で、いかにして近代外交の担い手は生まれたのか —— 。清末の公使館や領事館の開設はゴールではない。在外公館を孵化器に職業外交官が形成されていく過程を、個々の外交交渉のみならず、人事の実態を含めて把握することで、近代中国外交の展開と特質を浮き彫りにします。

箱田恵子 著
税込6,820円/本体6,200円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-0687-3 C3022
在庫有り


「毎日新聞」 [2012年7月10日付] から

アダム・スミス 法学講義 1762~1763

アダム・スミス法学講義1762~1763

水田洋先生と、訳書 『アダム・スミス 法学講義 1762~1763』 が、2012年7月10日付 「毎日新聞」 の 「ひと」 (第4面) で紹介されました。1762-63年にグラスゴー大学で行われたアダム・スミスの法学講義を手稿から再現。司法=正義と統治の歴史を描き出し、自由で公正な社会を展望した壮大な文明史論にして、『道徳感情論』 から 『国富論』 にいたるスミス思想を体系的に把握するためには欠かせない文献。本邦初訳です。

水田 洋・篠原 久・只腰親和・前田俊文 訳
価格 6,600円
A5判・上製・450頁
ISBN978-4-8158-0699-6 C3032
在庫有り


『出版ニュース』 [2012年7月中旬号] から

中国近世の福建人
士大夫と出版人

中国近世の福建人

中砂明徳著 『中国近世の福建人』 が、2012年7月中旬号 『出版ニュース』 に掲載されました。「朱子学の原郷」 にして出版文化の中心を抱え、科挙で驚異的な成功を収めながら中央の政治とは縁遠く、海外の世界へと開かれた 「異域」 の個性。中国官僚社会でのふるまいと歴史教科書の出版を焦点に、その歴史的境位と文化の質を見定めます。

「…… 宋代と明代の福建の士大夫と出版人に焦点をあて、官僚社会における福建人の位置、建陽出版界の中国文化への影響力を概観する。…… 〈本文で 「綱鑑」 のことを 「奇態な書物」 と評したが、この本自体が奇態、ケッタイである〉 と書きはじめる著者の 「後語」 は、本書の成立のいきさつを率直に語った異色の 「あとがき」 である。」 (2012年7月中旬号 『出版ニュース』 p.35)

中砂明徳 著
価格 6,600円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0689-7 C3022
在庫有り


「東奥日報」 [2012年7月1日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の痛みは永遠の謎”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月1日付 「東奥日報」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月1日 「東奥日報」 第7面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「岩手日報」 [2012年7月1日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身は永遠の謎?”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月1日付 「岩手日報」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月1日 「岩手日報」 第13面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「秋田魁新報」 [2012年7月1日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の謎を 「複眼」 で”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月1日付 「秋田魁新報」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月1日 「秋田魁新報」 第11面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「高知新聞」 [2012年7月1日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身とは? 複眼的に追う”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月1日付 「高知新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年7月1日 「高知新聞」 第14面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年7月1日付] から (評者: 荒俣 宏 氏)
“妖怪? 病原体? 正体探る大捕物”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年7月1日付 「朝日新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「中國新聞」 [2012年6月24日付] から (評者: 斗鬼正一 氏)
“心身の痛み 最大の謎か”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年6月24日付 「中國新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「自分って何? これこそは人類最大の謎だ。何しろ自分の心や体といっても、勝手に痛み、うずき、病む。だから、心身とは何か、自分は何にどう動かされているのか、こんな謎を、ご先祖様は探究し続けてきた。その足跡を、医学、国文学、文化人類学という 「複眼」 で迫ったのが本書だ。…… 室町、戦国、江戸の各時代のご先祖様には、体に巣くう奇虫の姿が見えてきた。腹や胸が痛む身体症状から、壁土を食べる異食症、ふさぎ、つかえ、喜怒哀楽まで、操るのは、心身をつかさどる 「五臓」 に飛び入る 「身中の虫」 だとする 「虫因観」 だ。……
 …… こうした江戸医学は、…… 幕末、明治期に、欧米から侵入した近代医学によって非科学的と駆除されてしまった。…… だが、いくら科学的に 「理解」 したところで、なぜ自分がそんな不幸な目に遭うのか 「納得」 はできない。勝手に腹が立ち、胸が痛むわが心身は、やはり永遠に人類最大の謎なのだろう。」 (2012年6月24日 「中國新聞」 第9面より 評者: 斗鬼正一 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「神奈川新聞」 [2012年6月24日付] から (評者: 永江 朗 氏)

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年6月24日付 「神奈川新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「…… 「虫が知らせる」 とか 「腹の虫がおさまらない」、「疳の虫」 など …… この腹の虫をまじめに学術的に研究したのが本書である。しかも、国文学や精神医学、民俗学の専門家による学際的研究だ。 …… ばかばかしい (と世間では思われがちな) ことを真剣に研究する行間からは滑稽さもにじんでくる楽しい本だ。
 浮かびあがるのは、昔の人の身体観・心身観である。 …… 腹の虫は比喩や虚構ではなく、五臓のなかに居座って身体と精神に影響を及ぼすと信じていた。 …… 虫が居所をなくすのは近代になってから。西洋医学が伝わってくると、腹の虫は日本人の身体から駆逐されていった。 …… しかし、五臓に精神が宿り、腹の虫が心身に影響を及ぼすという考え方はばかげているだろうか。ものの見方・考え方として、再評価できる面もあるのではないか。腹の虫に聞いてみたい。」 (2012年6月24日 「神奈川新聞」 第7面より 評者: 永江 朗 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年6月23日付、夕刊] から

アダム・スミス 法学講義 1762~1763

アダム・スミス法学講義1762~1763

水田洋先生と、訳書 『アダム・スミス 法学講義 1762~1763』 が、2012年6月23日付 「朝日新聞」 (夕刊) で紹介されました。1762-63年にグラスゴー大学で行われたアダム・スミスの法学講義を手稿から再現。司法=正義と統治の歴史を描き出し、自由で公正な社会を展望した壮大な文明史論にして、『道徳感情論』 から 『国富論』 にいたるスミス思想を体系的に把握するためには欠かせない文献。本邦初訳です。

「…… 戦前戦中は 『ほしがりません勝つまでは』 と言われ、個人主義はいけないものとされた。そんな体制に対する疑問や不満があったときスミスを読み、近代は個人を基礎にできあがってきたことがわかった。スミスも 『自愛心の哲学者』 と批判されたが逆境に耐え、『道徳感情論』 を書いた。利己心を基準にして、自律的な相互の同感で利己心の行き過ぎをコントロールできるという、『公平な観察者』 による同感の原理が説明されている。『国富論』 で知られるスミスだが、いろんな角度から研究する対象になってほしいと思う。 ……」 (「朝日新聞」 2012年6月23日付・夕刊、第6面、都築和人氏)

水田 洋・篠原 久・只腰親和・前田俊文 訳
価格 6,600円
A5判・上製・450頁
ISBN978-4-8158-0699-6 C3032
在庫有り


『週刊 エコノミスト』 [2012年7月3日号] から

現代中国政治 [第3版]
グローバル・パワーの肖像

現代中国政治[第3版]

毛里和子著 『現代中国政治 [第3版]』 が、『週刊 エコノミスト』 (2012年7月3日号、毎日新聞社刊) で紹介されました。建国60年、改革開放30年の激動をへて世界有数の大国へと変貌した中国。毛沢東から胡錦濤へと至る政治の巨大な変容を、長年の研究により包括的に叙述、かつてない繁栄を迎えたかに見える大国の新たな肖像を描きだします。第一人者による最も信頼の厚い解説書、大幅改訂による待望の最新版。

「…… 中国共産党の分析をはじめ 「中国モデル」 論の虚実、GDP世界2位の裏で進む格差、頻発する騒擾事件の背景と展望、私営企業家の登場と国営企業など新たな動きを比較分析の手法でクリアカットに描き出している。今後、1955年からほぼ50年続いた自民党一党優位体制と今も続く中国共産党統治の比較もぜひ進めてほしい。」(『週刊 エコノミスト』 2012年7月3日号、P.60)

毛里和子 著
価格 2,800円
A5判・並製・404頁
ISBN978-4-8158-0700-9 C3031
在庫有り


「京都新聞」 [2012年6月17日付] から (評者: 永江 朗 氏)

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年6月17日付 「京都新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「…… 「虫が知らせる」 とか 「腹の虫がおさまらない」、「疳の虫」 など …… この腹の虫をまじめに学術的に研究したのが本書である。しかも、国文学や精神医学、民俗学の専門家による学際的研究だ。 …… ばかばかしい (と世間では思われがちな) ことを真剣に研究する行間からは滑稽さもにじんでくる楽しい本だ。
 浮かびあがるのは、昔の人の身体観・心身観である。 …… 腹の虫は比喩や虚構ではなく、五臓のなかに居座って身体と精神に影響を及ぼすと信じていた。 …… 虫が居所をなくすのは近代になってから。西洋医学が伝わってくると、腹の虫は日本人の身体から駆逐されていった。 …… しかし、五臓に精神が宿り、腹の虫が心身に影響を及ぼすという考え方はばかげているだろうか。ものの見方・考え方として、再評価できる面もあるのではないか。腹の虫に聞いてみたい。」 (2012年6月17日 「京都新聞」 第11面より 評者: 永江 朗 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


『化学史研究』 [Vol.39 No.2 2012年] から (評者: 坂本邦暢 氏)

科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ

科学アカデミーと「有用な科学」

隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、『化学史研究』 (Vol.39 No.2 2012年、化学史学会) で紹介されました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作。

隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り


「茨城新聞」 [2012年6月10日付] から (評者: 永江 朗 氏)
“日本人の心身観を探る”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著)が、2012年6月10日付 「茨城新聞」 に掲載されました。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

「…… 「虫が知らせる」 とか 「腹の虫がおさまらない」、「疳の虫」 など …… この腹の虫をまじめに学術的に研究したのが本書である。しかも、国文学や精神医学、民俗学の専門家による学際的研究だ。 …… ばかばかしい (と世間では思われがちな) ことを真剣に研究する行間からは滑稽さもにじんでくる楽しい本だ。
 浮かびあがるのは、昔の人の身体観・心身観である。 …… 腹の虫は比喩や虚構ではなく、五臓のなかに居座って身体と精神に影響を及ぼすと信じていた。 …… 虫が居所をなくすのは近代になってから。西洋医学が伝わってくると、腹の虫は日本人の身体から駆逐されていった。 …… しかし、五臓に精神が宿り、腹の虫が心身に影響を及ぼすという考え方はばかげているだろうか。ものの見方・考え方として、再評価できる面もあるのではないか。腹の虫に聞いてみたい。」 (2012年6月10日 「茨城新聞」 第17面より 評者: 永江 朗 氏)

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
在庫有り


「読売新聞」 [2012年6月10日付] から(評者:細谷雄一氏)

外交官の誕生
近代中国の対外態勢の変容と在外公館

外交官の誕生

箱田恵子著『外交官の誕生』が、「読売新聞」(2012年6月10日付)で紹介されました。科挙官僚の帝国で、いかにして近代外交の担い手は生まれたのか —— 。清末の公使館や領事館の開設はゴールではない。在外公館を孵化器に職業外交官が形成されていく過程を、個々の外交交渉のみならず、人事の実態を含めて把握することで、近代中国外交の展開と特質を浮き彫りにします。

箱田恵子 著
税込6,820円/本体6,200円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-0687-3 C3022
在庫有り


『人間会議』 [夏号 2012年] から

鮎川義介と経済的国際主義
満洲問題から戦後日米関係へ

鮎川義介と経済的国際主義

井口治夫著 『鮎川義介と経済的国際主義』 が、『人間会議』 (夏号 2012年、宣伝会議刊) で紹介されました。日産自動車を創業し、日産財閥を満洲に移駐してその経済開発を一手に担った男の、経済的自由主義のヴィジョンとは何か。統制経済と闘い、米国資本導入による日満の開発によって日米開戦回避のために死力を尽くした希代の経営者の活動を、日米双方の一次史料からダイナミックに描き出します。

井口治夫 著
価格 6,000円
A5判・上製・458頁
ISBN978-4-8158-0696-5 C3031
在庫有り


『史学雑誌』 [第121編 第4号 2012年] から (評者: 藤沢 潤 氏)

グローバル冷戦史
第三世界への介入と現代世界の形成

グローバル冷戦史

O・A・ウェスタッド著 『グローバル冷戦史』 (佐々木雄太監訳/小川浩之・益田 実・三須拓也・三宅康之・山本健訳)が、『史学雑誌』 (第121編 第4号 2012年、公益財団法人史学会) で紹介されました。脱植民地化による第三世界の台頭は、超大国の命運をどのようにかえていったのか? 冷戦の主要舞台であった第三世界諸国の苦闘と戦略的対応を縦横に叙述、超大国の蹉跌の真の原因を描き出します。第三世界から見た冷戦史の新たな全体像を示し、現代世界の諸問題の起源をも捉えた注目作。

「…… 冷戦終結後、各国の外交文書の公開が進むなかで、「新しい冷戦史」 研究と呼ばれる、複数の文書館史料を用いた国際史研究が盛んであるが、本書はその代表的な成果の一つである。
 本書でウェスタッドは、冷戦とは手段を変えただけの植民地主義の継続に他ならないと主張する。ウェスタッドによれば、冷戦の最も重要な局面は欧州を中心とする米ソの戦略的対立ではなく、第三世界をめぐるものであった。…… (中略) …… 米ソの公文書に加えて南アフリカの史料なども駆使しながら、ソ連のアフリカ諸国やアフガニスタンへの介入を中心に……検討している。…… (中略) …… しかも、同時多発テロの起源は西洋近代性に対する第三世界の激しい敵意にあり、これに対するアメリカの新たな介入主義は冷戦期の政策の継続に過ぎないと指摘することで、ウェスタッドは単なる冷戦史研究の枠を超えて、現代世界の起源の解明にまで踏み込んでいる。
 このように、本書は冷戦史に関する歴史学的研究であると同時に現代世界の分析でもあり、今日の世界を理解する上で広く読まれるべき良書であると言えよう。」 (『史学雑誌』 第121編 第4号 2012年 pp.103-104、評者: 藤沢 潤 氏)

O・A・ウェスタッド 著
佐々木雄太 監訳
小川浩之・益田 実・三須拓也・三宅康之・山本 健 訳
価格 6,600円
A5判・上製・508頁
ISBN978-4-8158-0643-9 C3031
在庫有り


「朝日新聞」 [2012年6月2日付、夕刊] から (評者: 都築和人 氏)
“「腹の虫」 から心身を解く”

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる

「腹の虫」の研究

『「腹の虫」 の研究』 (長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著) が、2012年6月2日付 「朝日新聞」 (夕刊) で紹介されました。「虫が知らせる」 「虫の居所が悪い」といった表現の根底には、日本特有の 「虫」 観がある。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」 の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究です。

長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著 著
価格 6,600円
A5判・上製・526頁
ISBN978-4-8158-0698-9 C3047
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「中日新聞」 [2012年5月23日付] から
“フラーレン生成を解明 大量合成に道”

フラーレンとナノチューブの科学

フラーレンとナノチューブの科学

『フラーレンとナノチューブの科学』 の著者の一人である篠原久典先生が、2012年5月23日付 「中日新聞」 で紹介されました。20年以上にわたり謎とされてきた 「フラーレン」 が生成される仕組みを、篠原先生や英国人研究者らのグループが解明、英科学誌 『ネイチャー・コミュニケーションズ』 の電子版に発表されました。複数の金属原子を取り込んだ 「金属内包フラーレン」 の合成に世界で初めて成功、2011年には中日文化賞を受賞された篠原先生。これまでの研究成果が本書にまとめられています。

篠原久典・齋藤弥八 著
定価/本体価格 4,800円
A5判・並製・374頁
ISBN978-4-8158-0669-6 C3043
在庫有り


『週刊 エコノミスト』 [2012年5月29日号] から (評者: 橘川武郎 氏)
“企業、商社が展開する資源調達のダイナミズム”

戦後日本の資源ビジネス
原料調達システムと総合商社の比較経営史

戦後日本の資源ビジネス

田中彰著 『戦後日本の資源ビジネス』 が、『週刊 エコノミスト』 (2012年5月29日号、毎日新聞社) で紹介されました。資源メジャーの台頭、新興国向け需要の急拡大のもと、日本の原料資源調達はどのような方向を目指すべきか? 総合商社を軸とした戦後資源調達方式の成功を新たな視点で実証するとともに、曲がり角を迎えた戦後日本の資源調達システムの再構築へのヒントを、歴史的視野で提示します。

「…… 資源小国である日本にとっては、燃料に限らず原料に関しても、それを安く安定的に調達することが、国の浮沈にかかわる重大な課題である。この原料調達の問題に正面から光を当てているのが、本書である。 …… (中略) ……
 著者によれば、21世紀型総合商社は、未完成である。鉄鉱石サプライヤー、商社、鉄鋼企業などさまざまな事業主体のビビッドな動向に光を当てた本書を読むと、資源調達をめぐるダイナミズムを知ることができる。鉄鉱石に限らず、資源調達をめぐる状況は、刻々と変化している。この激変の中で資源小国日本が生き抜いていくことは容易ではないと、改めて実感させられた。」 (『週刊 エコノミスト』 2012年5月29日号 pp.54-55、評者: 橘川武郎 氏)

田中 彰 著
価格 5,700円
A5判・上製・330頁
ISBN978-4-8158-0688-0 C3033
在庫有り


「毎日新聞」 [2012年5月19日付] から

アダム・スミス 法学講義 1762~1763

アダム・スミス法学講義1762~1763

水田洋先生と、訳書 『アダム・スミス 法学講義 1762~1763』 が、2012年5月19日付 「毎日新聞」 で紹介されました。1762-63年にグラスゴー大学で行われたアダム・スミスの法学講義を手稿から再現。司法=正義と統治の歴史を描き出し、自由で公正な社会を展望した壮大な文明史論にして、『道徳感情論』 から 『国富論』 にいたるスミス思想を体系的に把握するためには欠かせない文献。本邦初訳です。

水田 洋・篠原 久・只腰親和・前田俊文 訳
価格 6,600円
A5判・上製・450頁
ISBN978-4-8158-0699-6 C3032
在庫有り


『GINZA』 [2012年6月号] から

啓蒙の運命

啓蒙の運命

富永茂樹編 『啓蒙の運命』 が、『GINZA』 (2012年6月号、マガジンハウス) で紹介されました。啓蒙の終焉か、深化か —— 。近代とともにあった啓蒙の「終焉」が予告されてすでに久しい。だが、啓蒙とはその始まりから問いに付され、審問にかけられる中で展開してきた、再帰性をもった運動であった。本書は啓蒙の多面性に光をあてると同時に、複数の系譜を浮かび上がらせ、その未来を洞察した白熱の共同論集です。

富永茂樹 編
価格 7,600円
A5判・上製・608頁
ISBN978-4-8158-0664-4 C3010
在庫有り


「読売新聞」 [2012年5月13日付] から(評者:細谷雄一氏)

オスマン帝国と立憲政
青年トルコ革命における政治、宗教、共同体

オスマン帝国と立憲政

藤波伸嘉著『オスマン帝国と立憲政』が、「読売新聞」(2012年5月13日付)に掲載されました。近代的な立憲主義のもとで、多民族多宗教の統合をいかにして果たすのか —— 。個人に基礎をおく憲法体制と民族的宗教的少数集団の権利主張、共和主義と共同体主義、公と私が鋭く対立する中での国民統合・憲政運用という、今なお解きがたい問題に果敢に挑戦したオスマン立憲政のアクチュアルな試みを、膨大な史料から政治史的・思想史的に跡づけ、近現代の世界史像に修正をせまる、気鋭による力作です。

“…… 現代ヨーロッパの多くの歴史家が、オスマン帝国崩壊の歴史に関心を寄せてきた。なぜこの巨大な帝国は第一次世界大戦を契機に崩れ落ちたのか。若き歴史家の藤波伸嘉氏は本書において、この巨大な問題に立ち向かい、トルコ語、ギリシャ語、アラビア語、そして西洋諸語の資料を巧みに活用して、壮大かつ緻密な歴史を描き出すことに成功した。…… 著者は本書において、「現存する個別の多民族多宗教的環境において如何なる統合の形が可能」であるかを問う。…… 本書からは溢れるほどの教訓が得られるだろう。才能溢れる若き歴史家の登場を喜びたい。”(「読売新聞」2012年5月13日付、第22面)

藤波伸嘉 著
価格 6,600円
A5判・上製・460頁
ISBN978-4-8158-0683-5 C3031
在庫有り


『日本物理学会誌』 [2012年5月号] から (評者: 永山國昭 氏)

大沢流 手づくり統計力学

大沢流手づくり統計力学

大沢文夫著 『大沢流 手づくり統計力学』 が、『日本物理学会誌』 (2012年5月号、日本物理学会) で紹介されました。サイコロとチップのゲームを楽しみながら、統計力学の真髄を直感的に納得。高校生でも研究者でも面白い、今までにない入門書です。生体内の現象に統計力学を応用した、最新の生物物理の話題も解説します。

大沢文夫 著
価格 2,400円
A5判・並製・164頁
ISBN978-4-8158-0674-3 C0042
在庫有り


「北海道新聞」 [2012年4月22日付] から(評者:佐藤泉氏)

性が語る
20世紀日本文学の性と身体

性が語る

坪井秀人著『性が語る』が、「北海道新聞」(2012年4月22日付)で紹介されました。性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出します。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。

“…… 本書は近現代の文学を軸に、映画、漫画、写真など、広範なイメージの領域を取り上げ、そこにざわざわとざわめいている言葉を記述する。一見すると多様なそのざわめきは、にもかかわらず男/女の分割の枠内にきれいに収まっており、それゆえ特定の波長に支配されているのだ。言葉や映像のみでなく、電話交換手(一般的に女性の職とされた)といった職種、ヒステリーや摂食障害などの「病」もまた、性が語る場として取り上げられているのが興味深い。
男女の性別は個々人のアイデンティティの宿命的な決定因であるかのように認識されている。だが、本書が端的に示すのは、このシンプルで根源的にみえる二分法が、いかに他の力関係と支え合い、補強され、ようやくのことで成り立っているにすぎないかということだ。……
本書は、小説や詩、写真が、いかにしてこの巨大な堆積物との間に共犯関係を取り結び、あるいは逸脱し、転倒させたのかに注目し、さまざまな肌理をもった作品を繊細な手つきで分析する。「痴人の愛」や「斜陽」など、近代文学の古典から、サブカルチャー、女性詩までをカバーしたこの大著は「性別」の大雑把な二分法を「性」というデリケートな領域へ取り戻そうとしているのだ。”(第10面)

坪井秀人 著
価格 6,000円
A5判・上製・696頁
ISBN978-4-8158-0694-1 C3095
在庫有り


『東洋史研究』 [第70巻 第4号 2012年3月] から (評者: 福島 恵 氏)

ユーラシアの交通・交易と唐帝国

ユーラシアの交通・交易と唐帝国

荒川正晴著 『ユーラシアの交通・交易と唐帝国』 が、『東洋史研究』 (第70巻 第4号 2012年3月、東洋史研究会) で紹介されました。遊牧国家とオアシス国家の共生関係の上にあった秩序を取り込みながら唐帝国がユーラシア東部に構築した交通・交易体制を解明。ソグド商人らの活動に着目しつつ駅伝や通行証制度、モノやカネの流通を考察する。「シルクロード」像の背後にある交易隆盛の実相を明らかにする渾身作です。

荒川正晴 著
価格 9,500円
A5判・上製・638頁
ISBN978-4-8158-0651-4 C3022
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年5月6日付] から (評者: 水野裕司 氏)
“構想力を備えた経営者の歩み”

鮎川義介と経済的国際主義
満洲問題から戦後日米関係へ

鮎川義介と経済的国際主義

井口治夫著 『鮎川義介と経済的国際主義』 が、2012年5月6日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。日産自動車を創業し、日産財閥を満洲に移駐してその経済開発を一手に担った男の、経済的自由主義のヴィジョンとは何か。統制経済と闘い、米国資本導入による日満の開発によって日米開戦回避のために死力を尽くした希代の経営者の活動を、日米双方の一次史料からダイナミックに描き出します。

「「構想力」 とは何か。世の中の大きな流れを読み取って、思い切った成長戦略を描く力量といえるだろうか。この本は、そうした資質を備えた企業経営者の歩みを丹念にたどった労作だ。 …… (中略) ……
 満州の開発に取り組んだ鮎川には軍国主義の印象がつきまとうが、実はグローバル感覚に富んでいた様子を丁寧に調べて描いている。日中戦争の泥沼化で実らなかったが、満州に大規模な米国資本を導入しようと、水面下で米政府関係者らと懸命に交渉していた。
 米資本を取り入れることで統制経済を和らげようとした。世界が発展するにはブロック経済を壊し、自由貿易を復活させなければならないと鮎川は考えていた。満州で実践をめざしたわけだ。
 グローバル化が急速に進む今、鮎川のような構想力は日本に強く求められるものだ。 …… (中略) ……
 …… 広い視野で成長の見取り図を描く力はますます重要になっている。投資家重視のあまり、短期の業績に目が向く傾向もある。鮎川が経営者に警鐘を鳴らしているようにみえる。」 (2012年5月6日 「日本経済新聞」 第21面より 評者: 水野裕司 氏)

井口治夫 著
価格 6,000円
A5判・上製・458頁
ISBN978-4-8158-0696-5 C3031
在庫有り


『出版ニュース』 [2012年5月上旬号] から

アメリカ合衆国と中国人移民
歴史のなかの 「移民国家」 アメリカ

アメリカ合衆国と中国人移民

貴堂嘉之著 『アメリカ合衆国と中国人移民』 が、『出版ニュース』 (2012年5月上旬号、出版ニュース社)で紹介されました。奴隷国家から移民国家へ転換したとされるアメリカ。しかし、そこには 「中国人問題」 が存在した。南北戦争後の国家と社会の再編のなか、アメリカの帝国的拡大と人種やセクシュアリティや労働の問題が交錯する 〈アメリカ人〉 の境界画定の動きを、多角的かつ重層的に読み解き、アメリカ史像の核心をうつ力作です。

貴堂嘉之 著
価格 5,700円
A5判・上製・364頁
ISBN978-4-8158-0690-3 C3022
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年4月29日付] から
“歴史の中に問題の要因求める”

日本石油産業の競争力構築

日本石油産業の競争力構築

橘川武郎著 『日本石油産業の競争力構築』 が、2012年4月29日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。産業の創始から今日までの初の本格的通史により、外国系と国内系石油会社の対抗をダイナミックに叙述、日本の石油会社の挑戦が挫折し続けた原因を正確に摑みだすとともに、歴史的文脈と今日の変化を踏まえ、確かな視点でナショナル・フラッグ・オイル・カンパニー創設への途を指し示します。

「…… なぜ、日本の石油産業はグローバルな経営体となることができなかったのか。これから日本の石油会社が競争力を持つには何をすべきかを論じた本である。特長は歴史の中に今日の問題の要因と解決策を求める姿勢である。…… (中略) …… メジャーに逆らった出光興産の出光佐三ら野武士的な石油業界人の姿も示し、歴史を余すところなく語る好著だ。」 (2012年4月29日 「日本経済新聞」 第22面より)

橘川武郎 著
価格 5,700円
A5判・上製・350頁
ISBN978-4-8158-0695-8 C3033
在庫有り


『大原社会問題研究所雑誌』 [643号 2012年5月] から (評者: 山岡義典 氏)

「ボランティア」 の誕生と終焉
〈贈与のパラドックス〉 の知識社会学

「ボランティア」の誕生と終焉

仁平典宏著 『「ボランティア」 の誕生と終焉』 が、『大原社会問題研究所雑誌』 (643号 2012年5月、法政大学大原社会問題研究所) で紹介されました。人々を社会参加へと枠づける言葉は、どのような政治的・社会的文脈で生まれ、いかなる帰結をもたらしてきたのか。その言葉がまとう形はどのように作動するのか。動員モデルと意味論分析を介して日本におけるボランティア言説の展開をたどり、参加型市民社会のあり方を鋭く問いなおします。シニシズムを脱することはできるのか。

「…… 本書発刊の2週後、3月11日に東日本大震災が発生した。広大な地域に未曽有の凄惨な被害をもたらし、ボランティアに限らず寄付や物資など、多くの 「民間支援」 = 〈贈与〉 が日本社会に沸き起こり、溢れた。この状況の中で、我々の生き方に関する根源的な問いが発せられ、社会のありようについて様々な言説が生まれつつある。すでに減衰した楕円の磁場を再構築する日が、これからの生活再建や地域復興の過程で、きっと来るかもしれない。そのとき、この著作は真の予見の書として改めて再評価されるだろう。期せずして、3.11後を読み解く上での、貴重な文献になったのである。」 (『大原社会問題研究所雑誌』 643号 2012年5月、pp.73-74、評者: 山岡義典 氏)

仁平典宏 著
価格 6,600円
A5判・上製・562頁
ISBN978-4-8158-0663-7 C3036
在庫有り


「日刊工業新聞」 [2012年4月24日付] から

自動車の衝突安全

自動車の衝突安全

水野幸治著 『自動車の衝突安全』 が、2012年4月24日付 「日刊工業新聞」 で紹介されました。自動車の衝突時に乗員や歩行者の安全を確保する衝突安全について、関連法規や傷害バイオメカニクスなども含め、多角的かつ系統的に解説した初の成書です。自動車工学の研究者・技術者だけでなく、事故捜査・鑑定従事者、交通外傷を治療する医師など、自動車・交通事故に関わる全ての人に。

水野幸治 著
価格 5,800円
B5判・上製・320頁
ISBN978-4-8158-0691-0 C3053
在庫有り


『レヴァイアサン』 [50号 2012年] から (評者: 松本充豊 氏)

中国返還後の香港
「小さな冷戦」 と一国二制度の展開

中国返還後の香港

倉田徹著 『中国返還後の香港』 が、『レヴァイアサン』 (50号 2012年、木鐸社) で紹介されました。返還以前の多くの悲観的予測を裏切り、安定した中国・香港関係が生み出されたメカニズムを、一国二制度下の政治・経済・社会情勢の推移から明快に分析、「高度な自治」と中港融合の実像を鋭く描き出します。中国政治と香港の行方を考える必読の1冊。

「…… 返還後の香港政治、および中国 (中国大陸)との関係の政治過程を緻密に観察し、丁寧に分析した本書は極めて実証性が高く、さらに従来中英関係に力点がおかれてきた香港研究に中港関係という新たな視座を与えている。 …… (中略) …… 台湾研究にも多くの示唆を与え、中台関係研究に有効な視座を提供してくれている ……」 (『レヴァイアサン』 50号 2012年、p.164、評者: 松本充豊 氏)

倉田 徹 著
価格 5,700円
A5判・上製・408頁
ISBN978-4-8158-0624-8 C3031
在庫有り


『西洋史学』 [2011年 No. 242] から (評者: 川島慶子 氏)

科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ

科学アカデミーと「有用な科学」

隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、『西洋史学』 (2011年 No.242、日本西洋史学会) で紹介されました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作です。

「…… 本書を読むことで、読者は必然的に科学に関する現代の諸問題についても考えざるを得まい。つまり、国家と科学の、ひいては科学者との理想の関係、科学の有用性の享受者とは誰か、純粋科学と応用科学のあるべき関係、科学政策におけるわれわれ 「素人」 の役割とは何か、等々である。そういう意味でも、本書は単に18世紀のフランス科学、といった狭い枠組みを超える大きな問題提起を行った研究書である。……」 (『西洋史学』 2011年 No.242、p.73、評者: 川島慶子 氏)

隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り


『西洋史学』 [2011年 No. 241] から (評者: 高橋 進 氏)

イタリア20世紀史
熱狂と恐怖と希望の100年

イタリア20世紀史

シモーナ・コラリーツィ著 『イタリア20世紀史』 (村上信一郎監訳/橋本勝雄訳)が、『西洋史学』 (2011年 No.241、日本西洋史学会) で紹介されました。20世紀初頭、国王陛下の 「臣民」 でしかなかったイタリアの 「民衆」 が、議会制民主主義と近代産業国家へと踏み出し、二度の世界大戦や内戦、冷戦といった幾多の困難を乗り越えて、イタリア「国民」となり 「市民」 となっていく曲折に満ちた道程を、密度濃く描き出します。複雑で魅力あふれる現代イタリアを理解する最良の一冊。

「…… 本書の利点は何よりも、実証的な研究を基礎にした 「20世紀のイタリア史」 の信頼できる通史であることである。イタリアでは統一国家形成から1980年代までの、あるいは第二次大戦後の政治史、政党史、労働運動史、経済史、思想史は書かれていたが、一人の歴史家による統一した視点からのバランスの取れた20世紀の通史は管見の限りでは存在しなかった。それゆえ、イタリアで版を重ねているのであろう。また、日本語で読めるイタリア現代史についてはなおのことであり、…… (中略) …… 空白を埋め、20世紀全体を把握できるイタリア現代史として本書の価値は高い。…… (中略) ……
 …… 日本ではイタリア現代史の詳しい通史がない中で、「経済の奇跡」 の時代の 「第8章 大変動の時代」、左右のテロと秘密情報部のクーデタ計画、歴史的妥協、市民社会の変化を扱った 「第9章 鉛の時代」、第一共和制の崩壊から世紀末を論じた 「第10章 世紀末の危機」 などの各章は非常に内容豊富であり、有益かつ刺激的である。
 というのは、どの章も政治史だけではなく、社会変動を基本に、経済や政治、文化の複合的な関係の中でその時期を論じているからである。 …… (中略) ……
 また、監訳者が 「解題」 で述べているように、著者が歴史の転換点における 「もう一つの選択肢」 を示す試みを随所で行っていることも本書の特徴・魅力である。……」 (『西洋史学』 2011年 No.241、p.85、評者: 高橋 進 氏)

シモーナ・コラリーツィ 著
村上信一郎 監訳/橋本勝雄 訳
価格 8,000円
A5判・上製・610頁
ISBN978-4-8158-0650-7 C3022
在庫有り


『出版ニュース』 [2012年4月下旬号] から

「二重国籍」 詩人 野口米次郎

「二重国籍」詩人野口米次郎

堀まどか著 『「二重国籍」 詩人 野口米次郎』 が、『出版ニュース』 (2012年4月下旬号、出版ニュース社)で紹介されました。〈沈黙〉 の言葉を英語でつづり日本文化の紹介や諸芸術の融合を試みながら、「戦時メガフォン」 として文学史から消された 「世界的詩人」 の生涯・思想・作品を、初めてトータルに明らかにした知的伝記。東西の文化翻訳への志はなぜ挫折しなければならなかったのか。

堀まどか 著
価格 8,400円
A5判・上製・592頁
ISBN978-4-8158-0697-2 C3095
在庫有り


『週刊 読書人』 [2012年4月20日 (金) 号] から (評者: 加藤洋子 氏)
“一国史にとらわれない研究”

アメリカ啓蒙の群像
スコットランド啓蒙の影の下で 1723-1801

アメリカ啓蒙の群像

田中秀夫著 『アメリカ啓蒙の群像』 が、2012年4月20日 (金) 号 『週刊 読書人』 で紹介されました。フランクリンからジェファスンにいたる 「アメリカ建国の父たち」 に焦点を合わせ、大西洋を越えた思想的交流を跡づけることによって、「アメリカ啓蒙」 の実像を明らかにした労作。「スコティッシュ・モーメント」 はアメリカにいかなる影響を及ぼしたのか。

田中秀夫 著
価格 9,500円
A5判・上製・782頁
ISBN978-4-8158-0685-9 C3030
在庫有り


『イギリス哲学研究』 [第35号 2012年] から (評者: 坂本達哉 氏) から

ヒューム 道徳・政治・文学論集 [完訳版]

ヒューム道徳・政治・文学論集[完訳版]

デイヴィッド・ヒューム著/田中敏弘訳 『ヒューム 道徳・政治・文学論集[完訳版]』 が、『イギリス哲学研究』 (第35号 2012年、日本イギリス哲学会) で紹介されました。文明社会の「人間学」へ —— 。生前のヒュームが最も苦心して改稿を重ね、政治・経済・社会思想から道徳哲学・批評を含む広大な領域を横断的に論述したエッセイ集。多くの読者を獲得し、賢人ヒュームの名声を世に知らしめたもう一つの主著が、本邦初訳を多数含む 「完訳版」 としてよみがえります。

「…… 本邦初訳となる諸論文の意義は大きい。なかでも 「エピクロス派」 「ストア派」 「プラトン派」 「懐疑派」 の四連作、「一夫多妻制について」 「愛と結婚について」 「エッセイを書くことについて」 「中産層について」 「歴史の研究について」 に共通するヒュームの時代を超えた女性観や結婚観、「悲劇について」 「雄弁について」 「趣味の標準について」 における 「啓蒙美学の里程標」 (P・ゲイ) と言われる芸術論、そして何より、モンテスキュー 『法の精神』 と同時期に書かれながら風土理論の根本批判を展開し、『政治論集』 への跳躍台となった 「国民性について」 など、どれもこれも、はじめて現代の日本語で読める喜びは大きく、じつに新鮮である。 …… 」 (『イギリス哲学研究』 第35号 2012年、p. 105、評者: 坂本達哉 氏)

デイヴィッド・ヒューム 著
田中敏弘 訳
価格 8,000円
A5判・上製・500頁
ISBN978-4-8158-0672-9 C3010
在庫有り


『中国経済研究』 [第9巻 第1号 2012年3月] から (評者: 徐 一睿 氏) から

現代中国の財政金融システム
グローバル化と中央-地方関係の経済学

現代中国の財政金融システム

梶谷懐著 『現代中国の財政金融システム』 が、『中国経済研究』 (第9巻 第1号 2012年3月、中国経済学会) で紹介されました。現代中国の経済発展に果たした、積極果敢な楽観主義者としての地方政府の決定的役割を解明、独自の中央-地方関係に基づく財政金融システムが構造的に生みだしてきた問題と、それが世界経済に及ぼす影響を描き出します。グローバル不均衡や人民元改革問題にも新たな光をあてる画期的成果。

「…… 本書の最も大きな功績は、何よりも中国のマクロ経済の視点から、グローバル化に加えて、中央-地方関係をキーワードとして、金融と財政の両面から分析を進めた点である。現在日本国内における中国の財政・金融改革に関する先行研究を全体的に見渡せば、それぞれに多くの先行的研究がなされてきたといえよう。しかし、金融と財政をリンケージして、歴史的、実証的な分析をこなす研究はさほど多く存在しない。本書では、金融と財政の垣根を取り除きつつ、丁寧な実証分析を通じて、改革開放以降から今日にかけて、中国のマクロ経済の変貌ぶりをきめ細かく解剖した。…… (中略) ……
 …… 特に注目に値するところは、第2部の地方政府を経済活動の主要アクターとしてとらえ、要素市場への介入というレントシーキング行動を通じて、資産バブルの発生要因について、金融と財政の両面から分析を進めた点である。…… (中略) …… こうした視点から土地にかかわる 「財政」 的機能と 「金融」 的機能の両面からの実証的分析を勧め、本領域において、先駆的な研究であると言っても過言ではない。…… 」 (『中国経済研究』 第9巻 第1号 2012年3月、pp. 48-49、評者: 徐 一睿 氏)

梶谷 懐 著
価格 4,800円
A5判・上製・258頁
ISBN978-4-8158-0678-1 C3033
在庫有り


『化学』 [2012年5月号 Vol. 67] から (評者: 有賀克彦 氏) から

フラーレンとナノチューブの科学

フラーレンとナノチューブの科学

篠原久典・齋藤弥八著 『フラーレンとナノチューブの科学』 が、『化学』 (2012年5月号 Vol. 67、化学同人刊) で紹介されました。わが国で最初期よりナノカーボン研究をリードしてきた著者らが、フラーレン発見に至る背景から、ナノスケールの炭素が生み出す多彩な構造・物性、そしてピーポッドやグラフェンなどの最新の話題まで、平易に解説します。基礎的事項を系統的に理解する上でも最適の書。

「……著者が本分野の第一人者であることは疑いようもないが、その内容も最良の概説書と称するにふさわしい。…… (中略) …… 読者は自分の知りたい内容をその理解度に応じて、自ら選んで読み進めることができる。全体を通読し、この分野の概要を学び取るのもよいし、必要なときに必要な項目を勉強してもよい。…… (中略) ……
 写真やグラフ、構造式などの図が多いことも特徴である。文章だけが続くような部分が少なく、読み飽きることや理解不可能な迷宮に入り込むことがない。その一方で、参考文献も歴史的な論文からここ数年の論文まで網羅されており、より進んだ知識を得るための手がかりも与えられている。…… (中略) ……
 …… 評者がこの本で最初に読んだのは、実は最終章の 「自然界と宇宙におけるフラーレン」 である。その内容は科学に裏打ちされたロマンに満ちている。…… (中略) …… 読み終わって 「面白い、感動した」 といわせる良書である。」 (『化学』 2012年5月号 Vol. 67 No. 5、p.58、評者: 有賀克彦 氏)

篠原久典・齋藤弥八 著
価格 4,800円
A5判・並製・372頁
ISBN978-4-8158-0669-9 C3043
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年4月8日付] から (評者: 後藤康浩 氏)
“鉄鉱石の調達をめぐるドラマ”

戦後日本の資源ビジネス
原料調達システムと総合商社の比較経営史

戦後日本の資源ビジネス

田中彰著 『戦後日本の資源ビジネス』 が、2012年4月8日付 「日本経済新聞」 に掲載されました。資源メジャーの台頭、新興国向け需要の急拡大のもと、日本の原料資源調達はどのような方向を目指すべきか? 総合商社を軸とした戦後資源調達方式の成功を新たな視点で実証するとともに、曲がり角を迎えた戦後日本の資源調達システムの再構築へのヒントを、歴史的視野で提示します。

「…… 資源の中でも突出した需要の伸びを示した鉄鉱石を日本や中国、米国など主要鉄鋼生産国がどう調達してきたかを研究した本である。資源論であると同時に素材メーカー、総合商社、資源会社などの競争関係の分析、経営戦略論にもなっている。…… (中略) ……
 …… 総合商社が輸出入を取り扱う手数料ビジネスの縮小に対応し、資源の上流権益取得に力を入れ、資源を投資ビジネスに変えていった流れの分析は読み応えがある。鉄鋼メーカーと総合商社の分業的な長期的関係が相互利益となり、原料の安定調達を実現した。戦後の日本産業が競争力を発揮した形を鮮やかに描いている。…… (中略) ……
 最も重要な素材である鉄鋼とその原料調達は各国の資源事情、産業構造などによって様々な形態をとり、産業の盛衰を規定する一方、ダイナミックに変化する。産業ドラマをみる思いがする研究書であり、他分野のビジネスマンにも参考になる部分が多いだろう。」 (2012年4月8日 「日本経済新聞」 第21面より 評者: 後藤康浩 氏)

田中 彰 著
価格 5,700円
A5判・上製・330頁
ISBN978-4-8158-0688-0 C3033
在庫有り


「日本経済新聞」 [2012年4月1日付] から

外交官の誕生
近代中国の対外態勢の変容と在外公館

外交官の誕生

箱田恵子著『外交官の誕生』が、「日本経済新聞」(2012年4月1日付)で紹介されました。科挙官僚の帝国で、いかにして近代外交の担い手は生まれたのか —— 。清末の公使館や領事館の開設はゴールではない。在外公館を孵化器に職業外交官が形成されていく過程を、個々の外交交渉のみならず、人事の実態を含めて把握することで、近代中国外交の展開と特質を浮き彫りにします。

“…… 科挙という古い官僚登用システムの中からどうやって彼らが育まれたのか。そんな疑問に答える歴史研究の力作である。著者が注目するのは、清朝が1870年代から相次いで設けた在外公館 …… 実務経験を通して近代的な外交を担いうる人材を育てる場になった、…… やがて彼らの成長を支える人事システムなども整っていき、20世紀の初頭には在外公館が正規の制度の中に定着した。そこでは、在外公館につとめる彼ら自身の意見も大きな役割を果たした。…… 入り組んだ歴史を、制度の変化だけでなく人事の実態や外交官たちの世界観にまで分け入って解きほぐしている。”(「日本経済新聞」2012年4月1日付、第20面)

箱田恵子 著
税込6,820円/本体6,200円
A5判・上製・384頁
ISBN978-4-8158-0687-3 C3022
在庫有り

年度別書評一覧

近刊案内

2024年4月16日出来予定

愛・セックス・結婚の哲学

R・ハルワニ 著
江口 聡・岡本慎平 監訳
A5判・上製・576頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1154-9
Cコード 3010

2024年4月16日出来予定

在日フィリピン人社会

高畑 幸 著
A5判・上製・330頁
税込6,380円/本体5,800円
ISBN 978-4-8158-1153-2
Cコード 3036

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重版案内

2023年4~5月

2023年 春の一斉増刷

2024年1月19日出来

アメリカの人種主義(第2刷)

竹沢泰子 著
A5判・上製・516頁
税込4,950円/本体4,500円
ISBN 978-4-8158-1118-1
Cコード 3022

2023年12月22日出来

進化倫理学入門(第2刷)

スコット・ジェイムズ 著
児玉 聡 訳
A5判・上製・336頁
税込4,950円/本体4,500円
ISBN 978-4-8158-0896-9
Cコード 3012

2023年11月30日出来

派閥の中国政治(第2刷)

李 昊 著
A5判・上製・396頁
税込6,380円/本体5,800円
ISBN 978-4-8158-1131-0
Cコード 3031

2023年11月17日出来

消え去る立法者(第3刷)

王寺賢太 著
A5判・上製・532頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1120-4
Cコード 3010

2023年10月27日出来

統計学を哲学する(第5刷)

大塚 淳 著
A5判・並製・248頁
税込3,520円/本体3,200円
ISBN 978-4-8158-1003-0
Cコード 3010

2023年10月23日出来

質的研究の考え方(第7刷)

大谷 尚 著
菊判・並製・416頁
税込3,850円/本体3,500円
ISBN 978-4-8158-0944-7
Cコード 3036

2023年8月28日出来

対華二十一ヵ条要求とは何だったのか(第4刷)

奈良岡聰智 著
A5判・上製・488頁
税込6,050円/本体5,500円
ISBN 978-4-8158-0805-1
Cコード 3021

2023年8月24日出来

世界史のなかの東南アジア【上巻】(第2刷)

アンソニー・リード 著
太田 淳・長田紀之 監訳
A5判・上製・398頁
税込3,960円/本体3,600円
ISBN 978-4-8158-1051-1
Cコード 3022

2023年8月21日出来

客観性(第4刷)

ロレイン・ダストン/ピーター・ギャリソン 著
瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪 訳
A5判・上製・448頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1033-7
Cコード 3010

2023年8月10日出来

宇宙機の熱設計(第3刷)

大西 晃 他編
B5判・上製・332頁
税込19,800円/本体18,000円
ISBN 978-4-8158-1042-9
Cコード 3053

2023年7月28日出来

中央銀行はお金を創造できるか(第2刷)

金井雄一 著
A5判・上製・234頁
税込5,940円/本体5,400円
ISBN 978-4-8158-1125-9
Cコード 3033

2023年6月21日出来

キュビスム芸術史(第2刷)

松井裕美 著
A5判・上製・692頁
税込7,480円/本体6,800円
ISBN 978-4-8158-0937-9
Cコード 3071

2023年6月15日出来

科学アカデミーと「有用な科学」(第3刷)

隠岐さや香 著
A5判・上製・528頁
税込8,140円/本体7,400円
ISBN 978-4-8158-0661-3
Cコード 3040

2023年5月25日出来

統計力学の形成(第3刷)

稲葉 肇 著
A5判・上製・378頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1036-8
Cコード 3040

2023年5月24日出来

明代とは何か(第2刷)

岡本隆司 著
A5判・上製・324頁
税込4,950円/本体4,500円
ISBN 978-4-8158-1086-3
Cコード 3022

2023年5月12日出来

消え去る立法者(第2刷)

王寺賢太 著
A5判・上製・532頁
税込6,930円/本体6,300円
ISBN 978-4-8158-1120-4
Cコード 3010

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