内 容
シベリアから「満洲」へ —— 。東清ないし東支鉄道ともよばれ、「満洲」を通るロシアの「植民地化会社」として、露・中・日・仏・米が角逐する国際政治の焦点となった中東鉄道。海運とも連動する鉄道事業経営と、収用地や警備隊による植民地経営が一体となった、その全体像を初めて実証的に解明。西洋史・東洋史・日本史を横断する跨境的な東北アジア近現代史を描きだす。
目 次
凡 例
序 章
1 本書の意義 —— なぜ中東鉄道をとりあげるのか
2 先行研究 —— 帝国主義論と植民地近代化論の狭間で
3 本書の視角と構成
4 史料、用語、ロシアの政策決定機構について
第1章 中東鉄道をめぐる国際環境
はじめに
1 中東鉄道とロシア帝国 —— 1895-1916年
2 ロシア革命後の混乱 —— 1917-1924年
3 ソ連と中国、満洲国の合弁経営 —— 1924-1935年
小 括
第2章 中東鉄道の組織構造と社員
はじめに
1 監督官庁と、筆頭株主の露清銀行
2 社内の組織構造
3 敷設期の社員たち
4 経営開始後の社員たち
小 括
第3章 鉄道事業
—— 路線、収支、貨客の分析
はじめに
1 鉄道の敷設と幻の複線化、延伸計画
2 中東鉄道の財政
3 輸送貨客量の変遷
4 上位輸送貨物の分析 —— 茶、穀類、大豆三品
小 括
第4章 鉄道・港・海運の「三位一体の交通システム」
はじめに
1 不凍の商港の夢、大連
2 海洋汽船
3 日露戦争後の「三位一体の交通システム」の再建
小 括
第5章 植民地としての収用地の形成と変容
はじめに
1 収用地の形成
2 収用地への入植をめぐる諸問題
3 ロシア式行政の確立
4 中国による利権回収から満洲国の統治下へ
小 括
第6章 燃料資源の確保をめぐる苦闘
はじめに
1 鉱山と森林の利権獲得 —— 1896-1905年
2 薪と撫順炭への依存 —— 1906-1919年
3 燃料資源の転換 —— 1920-1935年
小 括
第7章 中東鉄道警備隊と護路軍
はじめに
1 警備隊の成立
2 義和団戦争と軍拡
3 日露戦争後の再編と辛亥革命時の干渉
4 護路軍への再編と解体
小 括
終 章 「植民地化会社」の「罪と罰」
1 結 論
2 残された課題と展望
注
あとがき
初出一覧
史 料
付 表
地 図
参考文献
図表一覧
索 引
英文要旨
受 賞
書 評
『セーヴェル』(第30号、2014年3月、評者:藤原克美氏)
『史学雑誌』(第122編第8号、2013年、評者:吉井文美氏)
『東アジア近代史』(第16号、2013年3月、評者:加藤聖文氏)
『中国研究月報』(第67巻第7号、2013年7月号、評者:林采成氏)