内 容
膨張する日本帝国のもと、満洲国経済はいかなる位置を占めたのか? 対外経済関係、周辺交易をも視野に、大豆から鉱工業にいたる満洲国生産力をマクロデータを駆使して復元、緻密な数量経済史的分析により、建国初期から未解明であった後期まで、満洲国経済の全体像を初めて示した労作。
目 次
はしがき
図表一覧
第Ⅰ部 「満洲国」概論
第1章 「満洲国」論
—— 日本植民地帝国と「満洲」
はじめに
Ⅰ.「満蒙問題」とその展開
—— 満蒙は日本の生命線
Ⅱ.「満洲国」成立とその歴史的意義
—— ある歴史の終わり、そして新たな始まり
Ⅲ. 帝国の肥大と「満洲国」
—— 満洲の日本化
Ⅳ.「大東亜共栄圏」と「満洲国」
—— 大東亜共栄圏の長子
むすび
第2章 「満洲国」経済論
—— 計画と統制
はじめに
Ⅰ. 満洲国経済建設の目的と方法
1)満洲国第一期経済建設
2)満洲国第二期経済建設
3)満洲国経済開発の基本理念の確立
Ⅱ. 建設目標および方式の変転
1)現地調弁主義から対日隷属主義へ
2)「一業一社主義」対「綜合経営主義」
3)太平洋戦争期の経済運営
Ⅲ. 戦時経済と物資統制
1)生産計画から物資統制へ
2)満洲物資動員計画
3)配給統制の拡大
4)価格統制と闇市場
むすび
第Ⅱ部 「満洲国」経済のマクロ的分析
第3章 「満洲国」生産力の水準と構造
—— 生産指数および生産実績の検討
はじめに
Ⅰ.「満洲国」生産力のマクロ的指標
1)「満洲国産業生産指数」について
2)生産額と産業構造
3)「満洲国国民所得統計」について
4)小 括
Ⅱ.「満洲国」農業生産力の展開
1)大豆モノカルチャーの確立
2)多角的農業への転換
3)「満洲国農業生産指数」
4)農業・農産物統制の展開
5)戦時緊急増産とその帰結
6)小 括
Ⅲ.「満洲国」鉱工業生産力の展開
1)「満洲国」成立前の「満洲」鉱工業
2)「満洲国」経済建設計画の展開
3)「満洲産業開発五ヵ年計画」の実績
4)太平洋戦争下の「満洲国」鉱工業
5)小 括
第4章 「満洲国」対外経済関係の展開
—— 国際収支分析を中心として
はじめに
Ⅰ.「満洲国」国際収支の概観
1)「満洲国」国際収支統計
2)1920年代の「満洲」国際収支
3)「満洲国」の対日収支
4)対第三国収支と対華北収支
Ⅱ. 貿易および貿易収支
1)1920年代の「満洲」貿易
2)1930年代の「満洲国」貿易
3)「満洲国」貿易統制の展開
4)1940年代の「満洲国」貿易
Ⅲ. 対満投資の諸局面
1)1920年代の対「満洲」投資
2)対「満洲国」投資の展開
3)満鉄ルート
4)満業ルートおよび財閥系資本
Ⅳ. 為替資金と対外決済
1)円ブロック形成と外貨不足問題
2)対日依存の拡大と円資金調達問題
3)対華北支払超過の累積
4)円資金過剰問題と対外決済機構の崩壊
むすび
第Ⅲ部 「満洲」周辺交易論
第5章 「関東州」貿易統計論
はじめに
Ⅰ. 問題の所在
1)関東州貿易統計の問題点
2)関東州経済の特殊性
Ⅱ. 関東州貿易統計の検討
1)「海路貿易」と「陸路貿易」
2)関東州「海路貿易」統計
3)関東州の対日本輸出 vs. 日本の対関東州輸入
4)析出された課題
Ⅲ. 関東州の対「満」貿易
1)1938年の対「満洲国」輸出入
2)松本推計
3)「満洲国」(および満鉄)貿易統計の利用
4)「陸路輸入」推計の可能性
Ⅳ. 関東州密輸問題(とくに「冀東密貿易」について)
1)関東州密貿易
2)「冀東密貿易」
3)関東州密輸推計
Ⅴ. 関東州・内地間貿易
1)パネルA vs. パネルB
2)パネルA「関東州の対日本貿易」
3)パネルB「日本の対関東州貿易」
4)関東州「総」輸出入 vs. 関東州「純」輸出入
第6章 「朝鮮」・「満洲」間陸境貿易論
はじめに
Ⅰ.「清韓宗藩関係」と辺市貿易
Ⅱ.「韓国併合」と朝鮮・満洲関係の再編
Ⅲ.「朝鮮米飢餓輸出」と朝鮮・満洲関係の深化
Ⅳ.「満洲国」の成立と朝鮮・満洲関係の新展開
Ⅴ.「円ブロック」拡大と戦時貿易
むすび
第Ⅳ部 統計資料解題
第7章 「満洲国」国民所得統計について
はじめに
Ⅰ.「満洲国」国民所得統計の3系列
1)満鉄経済調査会系列
2)満洲国経済部系列
3)満洲調査機関聯合会系列
Ⅱ. 国民所得推計における物的(客観的)方法と人的(主観的)方法
Ⅲ.「国家資金計画」と国民所得統計
むすび
第8章 「満洲国」国際収支統計について
はじめに
Ⅰ.『満洲(関東州ヲ含ム)国際収支調査書』の成立
Ⅱ. 第一次調査に対する論評
Ⅲ. 満洲国財政部(—経済部)による公式調査の継続
Ⅳ. 満洲中央銀行調査「満洲(関東州ヲ含ム)対日本および対華北国際収支」
むすび
あとがき
参考文献一覧
索 引
書 評
【読売新聞書評】