内 容
戦後ODAの淵源ともいうべき対中借款は、いかにして始まったのか。草創期にあたる日清戦後から第一次大戦期の展開を多角的にたどり、帝国主義的理解の限界をこえて、国際環境と中国側の主体性も踏まえた新たな実像を描き出す。開発と侵略の間を浮彫にする新鋭の成果。
目 次
序 章 政治経済史から見る対中国借款
—— 東アジア・ナショナリズム・資源
1 問題の所在
2 課題と方法
3 本書の構成
第1章 経済的アプローチの模索
—— 日清・日露戦争と対中国借款の起源
はじめに
1 日清戦後の製鉄業・南進政策
2 対漢陽鉄政局借款の開始
3 日露戦後経営と清朝の鉄道政策
おわりに
第2章 辛亥革命期の「支那保全」の試み
はじめに
1 旧四国借款団と日本
2 対南京政府借款とめぐる日中英関係
3 六国借款団の結成と「支那保全」
おわりに
第3章 対華二十一ヵ条要求への収斂
—— 華中・華南から満蒙へ
はじめに
1 第三号と漢冶萍公司
2 第五号第五条と華中・華南の鉄道利権
おわりに
第4章 「日支親善」と第一次世界大戦
—— 日中合弁企業・九州製鋼会社の設立
はじめに
1 日中合弁による製鋼会社設立の動き
2 日本国内の政策方針
3 九州製鋼会社の設立と中国情勢
おわりに
第5章 政治借款の展開と第一次世界大戦
——「西原借款」再考
はじめに
1 「鮮満金融一体化」と寺内内閣の成立
2 中国幣制改革への関与
3 援段政策から南北和平へ
おわりに
第6章 対中国経済外交の展開と商業会議所
—— 第一次世界大戦下の中国の幣制改革をめぐって
はじめに
1 第二次政治改革借款と幣制改革
2 各商業会議所の動向
3 阪谷の幣制改革構想の展開
おわりに
終 章 国際協調と「日支親善」のあいだ
1 経済的国際協調の枠組みと日本
2 政策主体の変遷と中国論
3 第一次世界大戦後の国際借款団と「日支親善」
注
あとがき
初出一覧
文献一覧
図表一覧
事項索引
人名索引
書 評
『中国経済経営研究』(第2巻第1号、2018年3月、評者:林幸司氏)
『日本史研究』(668号、2018年4月、評者:白木沢旭児氏)
『日本歴史』(第835号、2017年12月号、評者:古結諒子氏)
『図書新聞』(第3316号、2017年8月19日付、評者:塚本英樹氏)
『東アジア近代史』(第21号、2017年6月、評者:北野剛氏)