内 容
中国ナショナリズムの実像 ——。時に暴力をともなう激しい対日ボイコットはなぜ繰り返されたのか。たんなる外交懸案の解決でも自国工業の振興でもない、それぞれの運動が生じた異なる地域事情と利害・思想を詳らかにするとともに、それらが愛国主義へとつながっていくメカニズムを捉えた力作。
目 次
凡 例
巻頭地図
序 章 ナショナリズム研究と対日ボイコット運動
1 はじめに
2 主要な先行研究とその問題意識
3 工業発展か、外交懸案か
4 運動の担い手
5 愛国運動の地域的偏差
6 本書の構成と日中関係史の視点
7 中国におけるボイコット運動の起源
第1章 第二辰丸事件とその地域的背景
1 はじめに
2 事件の端緒と運動の展開
3 領海の問題
4 治安と武器密輸の問題
5 革命派の動向
6 小 結
第2章 東南アジア華僑による民国初年の対日ボイコット
1 はじめに
2 運動の発端
3 ボイコットの背景と動機
4 マニラの状況
5 孫文の電報と運動の終幕
6 小 結
第3章 懐疑される愛国心
—— 中華民国四年の排日運動をめぐって
1 はじめに
2 二十一か条要求をめぐる外交交渉
3 中国における反対運動の展開
4 救国儲金という運動形態
5 愛国運動を総括する
6 愛国と厭世
7 小 結
第4章 五四運動における暴力と正義
1 はじめに
2 運動の初発
3 学生と政権
4 五月四日事件における暴力と法治
5 小 結
第5章 上海五四運動における工界の位置
1 はじめに
2 上海における運動の発端
3 上海における罷市の開始
4 上海における罷工の開始
5 工界という概念の流布
6 工界の組織化の試み
7 小 結
第6章 旅順・大連回収運動
1 はじめに
2 二十一か条無効の提起から経済絶交運動へ
3 武漢での展開
4 長沙での展開
5 現地日本人の激昂
6 小 結
第7章 五四と五卅のあいだ
1 はじめに
2 工部局と上海の五四運動
3 五卅事件の発生
4 共同租界の条例をめぐる論争
5 五卅運動の要求事項
6 小 結
終 章 ボイコット運動の歴史的位相
1 ナショナリズムと大衆運動
2 ボイコットと日中貿易
3 比較の視点
註
あとがき
文献一覧
図表一覧
索 引
書 評
『アジア研究』(第70巻第3号、2024年7月、評者:武藤秀太郎氏)
『中国研究月報』(2024年5月号、第78巻第5号、評者:宮脇雄太氏)
『人民の歴史学』(第236号、2023年6月、評者:千葉正史氏)
『歴史学研究』(2023年8月号、第1038号、評者:井出匠氏)
『東洋史研究』(第81巻第4号、2023年3月、評者:水羽信男氏)
『アジア経済』(第64巻第1号、2023年3月、評者:村田雄二郎氏)
UTokyo BiblioPlaza(2023年1月19日公開、自著紹介)
『社会経済史学』(第88巻第3号、2022年11月、評者:今井就稔氏)
『東アジア近代史』(第26号、2022年6月、評者:櫻井良樹氏)
『図書新聞』(2022年4月2日号、第3537号、評者:小野寺史郎氏)